ゴールデンカムイ最新第163話指名手配書の感想(ネタバレ含む)と考察。尾形VSヴァシリ。そしてキロランケは過去をアシリパに語る。

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前話第162話狙撃手の条件のあらすじ

追跡

「(ヴァシリ!)」
尾形に撃たれた男の容態を見ていたカイゼル髭の男が狙撃手の名を呼ぶ。
「(どこへ行く? 彼は重傷だ)」

「(皇帝を殺した男を逃してしまう)」

ヴァシリの言葉にもう一人のロシア人が、キロランケを仕留めれば出世でき、暇つぶしにリスを撃つような国境警備の仕事をせずに済む、と同意する。

ヴァシリはキロランケ達の方向を警戒しつつ、負傷したロシア人――イリヤを撃った尾形は本来は頭を狙えたはずだが、わざわざ腹を撃ったのは足手まといにすることで自分たちの攻撃から逃げる時間を稼ぐ為だったと分析する。

その説明を聞きながら、敵であるキロランケ達に脅威を覚えるカイゼル髭。

「(追え!)」
尾形に撃たれた男が顔面に汗を浮かべながら指示する。


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読み合い

イリヤの指示に従い、ヴァシリを始め残り二人のロシア人警備隊員もスキー板を履き、ストックを使って森を歩いていた。
二人が歩いていく先をヴァシリが双眼鏡で確認する。

ヴァシリは木の根元にしゃがみ、じっと森の中を観察していた。
イリヤを狙撃した男の身になって行動を予測しようとする。

トナカイの橇は、険しい森の中を進むことは出来ない。
負傷した仲間を抱えて徒歩で自分たちから逃げることは出来ないと分かっているはず。

となると、森に逃げた時に出来た橇の痕跡を発見した自分たちがそこからキロランケ達を追跡し始めるのを待ち伏せて狙撃する。


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自分なら、あの斜面から撃つ、とその斜面を監視するヴァシリ。
橇の痕跡が残るあたりをうろうろしている二人の仲間を尾形が狙撃するのを待ち構える。

しかし一向に尾形が撃ってこないことから、もし自分が奴ならば、自分を待つということに気付く。

実際、尾形はヴァシリが思い至ったように、銃を構えてヴァシリをじっと待っていた。
「狙撃に向いてるやつってのは臆病なまでに慎重なもんだ」

勝負は尾形もヴァシリも、互いにどちらがより早く相手を見つけるかという様相を呈していた。


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キロランケの罠

カイゼル髭の男が木の根元に、ウイルタ民族の食器入れであるモロッチョーが置かれている事に気付く。

ヴァシリもまた、カイゼル髭がモロッチョーを見つけたのに気付く。

黒い帽子を被ったロシア人がモロッチョーを持ち上げると、地面とモロッチョーとの間に紐がピンと張り詰める。

そしてモロッチョー側の紐に繋がっていた小さな金属棒が、モロッチョーの底面の今まで刺さっていた穴からシュッ、という音と共に抜ける。

黒い帽子のロシア人がなんだこれは? と不思議がっていると、モロッチョーから煙が上がり始める。


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ドンッ

モロッチョーが派手に爆発する。

上半身がバラバラになる黒い帽子のロシア人。

キロランケ達はその爆発音を少し離れたところから聞いていた。

「原理的にマッチと似たようなものだ」
キロランケが呟く。
モロッチョーに仕込んだ罠とは、表面をザラザラに加工した金属棒を薬品に差し込んでおいて、それを持ち上げた際に紐についた金属棒が抜け、その摩擦によって生じた火花が薬品に点火し爆発を起こすというものだった。


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即死した黒い帽子のロシア人の顔が雪上に散らばっていた。
そのすぐそばには、右目を失い苦しむカイゼル髭が悲鳴を上げている。

そもそも手投げ弾の歴史は古かったが、その事故率の高さのために戦場ではあまり積極的には用いられてはいなかった。

日露戦争の開戦当初もやはり使われてはいなかった。
しかし二百三高地における戦いの中で、当時名もない一兵士だったキロランケが、その後の手榴弾の原型となる即席の手投げ弾を開発したのだった。


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ヴァシリは味方がどんな攻撃を受けたのかを観察する。
カイゼル髭は右目の他に右腕も肩からごっそりと失っていた。

爆発物を用いた攻撃から、”皇帝殺し(キロランケ)”が仕掛けたとヴァシリは見抜く。

双眼鏡を覗いたまま、ヴァシリは脳裏で、自分が撃ったオロッコを救う為に堂々と狙撃手に身を晒した男がキロランケだったのかと思い当たる。
そして、あの時撃っていれば良かったか? と考える。

ヴァシリはあの時、狙撃手に撃たれようが仲間を救うとでもいうようなキロランケの勇気に敬意を払っていたわけではなかった。
ただ単に、ヴァシリにとってはキロランケがまるで「『撃ってみろ』」と不遜な態度を示しているように感じ、それが気に食わなかっただけだった。


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(獲物の生き死にを決めるのは狙撃手の私だ)

双眼鏡を覗くのを止めるヴァシリ。
カイゼル髭がもがき苦しみ悲鳴を上げ続けているが、冷静沈着な表情は全く崩れない。

「そう…助けに出て来るような奴ではないだろうな」
尾形はカイゼル髭を誰も助けに来ないことを予測していた。
フードの下から苦しむカイゼル髭のいる方向をじっと見つめている。
「このうめき声を一晩中聞いても平気な人間のはずだ」


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『ユルバルス』

キロランケ、アシリパ、白石は、尾形が腹を撃ったイリヤの目の前に立っていた。

「(〇〇〇〇)」
キロランケを見上げながら、何度も繰り返しロシア語の単語を呟くイリヤ。

キロランケは冷たい目でイリヤを見下ろしている。

「くりかえし何と言ってるんだ?」
アシリパがキロランケに問う。

イリヤは懐から自身の血に汚れた紙を取り出す。


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二つ折りになっていた紙が広げられると、そこにはキロランケの顔写真が中央に印刷されており、その下には文字が書かれている。

「(ユルバルス)」

イリヤの言葉を聞きながら、キロランケの顔写真に見入るアシリパと白石。

「(ロシアはお前を忘れていない)」
イリヤは淡々とキロランケに向けて呟く。

その頃、ヴァシリは木の幹に隠れ、銃を構えている尾形の姿を双眼鏡で捉えていた。


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第162話狙撃手の条件の振り返り感想

キロランケの武器

キロランケの武器である手投げ弾は、何とキロランケ自身による画期的な発明だった。
爆弾を切らして、銃砲店で補充していたような記憶があるけど、それはキロランケが開発したものが一般化し流通しているということなのだろうか。
それとも材料を仕入れてキロランケが自分で作ったのだろうか?

確かキロランケが登場したばかりの頃は、日露戦争では工兵として活躍したって説明があっただけだったけど、実は本当に工兵として優秀だったんだな。


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それまで信頼の置けなかった武器を、きちんと使えるように改良した。
10代でロシア皇帝を爆殺するくらいだし、爆発物の取り扱いこそがキロランケの武器なんだとはっきりした。

これまでキロランケが爆弾で戦っている描写は少ししかなかった。
そもそもキロランケの戦闘描写自体がレアだったので、その強さは何となくでしか感じられなかったが、今回の話でこれは思った以上に戦闘力が高いのではないかと思った。

今回仕掛けた爆弾の罠はかなり凶悪だわ。


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引っ掛かった二人が不注意だったというのもあるけど、時間があればキロランケであればもっと色々な仕掛けが出来そうだ。

杉元、アシリパ、白石、谷垣、尾形、そしてキロランケといずれも得意とする技能が異なり、チームとして見るならとてもバランスが良いなー、と感じる。


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本名

”ユルバルス”がキロランケの本名であるようだ。

さすがにロシアで一番の権威であり権力者である皇帝暗殺の実行犯、キロランケの存在は有名なようだ。

おそらく10年以上は昔の事件だが、ロシアではいまだにキロランケを追っていた。当然と言えば当然。

キロランケはとんでもないスケールの人間だったんだなぁ……。


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そして、そんなキロランケと近しいウイルクもまた同じ。
当然、その娘のアシリパがこの金塊を巡る戦いにおいて重要なポジションなんだなということも改めて感じた。

キロランケがロシアのパルチザンだという情報自体は8巻で土方が言及していたけど、ここにきてそのあたりの伏線が回収されてきた。
いよいよ話のスケールが本当にロシアまで広がり始めてきたことに本当にワクワクしている。


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ロシアの存在は金塊争奪戦にどう影響する

キロランケが金塊を得ようとしているのは、ロシア政府に抵抗する為のパルチザン活動資金の為?

ロシアはその金塊の存在を知らないと思われる。
今後の展開の大穴として、今後ロシアも金塊争奪戦に参加するようになったりするのだろうか……?

そもそも日本国内に隠されているわけだから、流石に堂々とロシアの国家から金塊争奪部隊を派遣する事など出来ない。
それだと日露戦争で負けたばかりのロシアがその傷も癒えないうちに、再び戦争をふっかけることになる。全く現実的ではない。


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とはいえ目の前にぶら下がっているなら当然金は欲しいし、もし金塊を得ようとするなら少数精鋭を派遣するか、もしはその精鋭が第七師団に協力していくらか取り分を分けてもらうとか……?

北海道の独立を目論む鶴見中尉ならば、ロシアと繋がりを作っておくことで日本からの独立の後ろ盾になってもらうことも考えてそう。

ロシアからしたら北海道が独立した方が嬉しいだろう。
当然、北海道が日本から切り離されれば日本としての国力はその分落ちる。
独立した北海道の国家単独の軍事力に対してであれば、ロシアがその国を乗っ取ることができるかもしれない。


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色々妄想したけど、思い付きのガバガバ予想なので全く参考にはならない。

ただ、物語にロシア国家が絡むと話のスケールが大きくなって面白くなるというのは間違いない。

ますます予想がつかなくて、今後の展開から目が離せないと思う。


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ヴァシリ

ロシアの狙撃手は、やはりロシア(ソ連)でスナイパーとくれば”ヴァシリ”だった。

モデルはヴァシリ=ザイツェフ。

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以前も指摘した通り、ヴァシリ=ザイツェフ本人ではなく、あくまでモデルにしたキャラだろう。
尾形に似た雰囲気がある。

「良い狙撃手とは冷血で獲物の追跡と殺人に強い興味があるよな人間である」

尾形もヴァシリも似たようなタイプであり、この条件に合うのだろう。
少なくとも尾形はばっちりだ。


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ヴァシリの過去は分からないが、尾形以上にスナイパーに向いている人間もいないはずだ。
獲物の追跡はともかくとして、殺人に強い興味があるという点はきちんと満たしているように思う。

「憎しみにかられて銃を撃つものは狙撃手に向いていない」

気に食わなかったからという理由で、絶好のチャンスだったのにキロランケを撃たなかったヴァシリも、スナイパーに向いているということなのだろうか。
憎しみとは少し違うように思うんだけど……。


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あの場面、尾形だったら構わず撃ってそうな気がする。

きっとその分、尾形はヴァシリを上回るんじゃないかと予想している。
今回、尾形がヴァシリに先に捕捉されるというピンチで終わるけど、ここから尾形は逆転するはずだ。

ただ、具体的にどうやって切り抜けるか想像がつかない。


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一発で頭を打ち抜かれて終了じゃないのかな……。

それとも、自分の銃とオロッコの銃を気まぐれに交換していたから初撃で撃たれずに済んだという尾形の持ち前の強運ぶりを発揮して、尾形がヴァシリに撃たれる前にその存在に気付くか、それともたまたま大きく伸びをするなどして動いた瞬間に狙撃されることでギリギリで致命傷を避けるとか、いずれにしても運を軸にした切り抜け方しか思い当たらない……。

ここらへんが、自分の発想の貧困さを感じるところなんだよなぁ……。

この先、予想のつかない展開が続くことを期待。


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162話の感想記事は上記リンクをクリックしてくださいね。

第163話 指名手配書

スナイパーの条件は”慎重さ”

ヴァシリは尾形の姿を発見していた。
しかし、スナイパー相手の戦いであれば、その攻撃は一発で相手仕留めなければ逆に位置を特定されて斃されてしまう可能性が出てくる。

その考えが念頭にあるヴァシリは、銃を構えたままじっと動かない。

ヴァシリは銃口を尾形に向けて構えたまま、ただただ尾形をじっと監視し続ける。
しかし尾形の姿を発見してから、ヴァシリは尾形が全く動いていないことに気付き、それがどこか妙であると感じ始めていた。


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ロシア皇帝暗殺の瞬間

尾形に腹を撃ち抜かれたイリヤは意識を失い、痙攣を始めていた。

その様子をじっと見つめているキロランケにアシリパが訊ねる。
「これ…キロランケニシパか?」
その手にはイリヤが落とした手配書がある。

白石は自分たちを待ち受けていたロシア国境警備隊の狙いがキロランケだったことを悟る。
そして、何故ロシアから指名手配を受けているのかをキロランケに問う。

それを受け、キロランケは静かに語り始める。


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サンクトペテルブルグで反体制過激派組織と知り合ったキロランケ。当時15歳。

列を為した兵隊や群衆がロシア皇帝を乗せた馬車で駆けていくのを見つめている。
群衆の中にいたキロランケはおもむろに手に提げていたバッグの中から伸びた紐を引き、爆弾を起動させると、皇帝の馬車に向けてそれを投げつける。

爆弾は空中で大きく弧を描き、皇帝の馬車を引く馬に当たって地面に落ちる。

皇帝の馬車に載せるつもりだったにも関わらず失敗してしまうキロランケ。

しかし、すかさずキロランケと少し離れた位置にいた群衆の一人、スーツ姿の男が爆弾の入ったバッグに駆け寄って、バッグを掴み上げる。


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その人物は

アシリパはイリヤが落とした手配書の裏に紙が貼りつけられていることに気付き、ゆっくりと紙を剥がしていく。

キロランケの話は続いていた。

バッグを掴んだスーツ姿の男は皇帝の乗っている馬車にそれを載せる。

この事態に際しただただ絶句している皇帝。

皇帝の馬車に爆弾バッグを載せたスーツ姿の男はウイルクだった。

アシリパは手配書から紙を剥がす。
そこにはキロランケと同様にウイルクがロシアからの指名手配犯となっていた。

「アチャ…」
驚くアシリパ。


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爆弾バッグの投擲に失敗したキロランケをウイルクがカバーし、皇帝の暗殺に成功したのだった。

「そりゃロシア人も怒るぜ」
ずっと話を聞いていた白石が神妙な表情で呟く。

ウイルクは爆発に巻き込まれて顔から出血し、気を失っていた。
そんなウイルクの腕を肩に回してキロランケはその場から撤退する。

そこまで話したキロランケはアシリパと白石に、ロシア皇帝の暗殺現場にはアシリパの父親がいたこと、そして自分とウイルクの二人で皇帝を暗殺したのだと続ける。


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慎重なヴァシリ

ヴァシリは双眼鏡で1時間以上尾形を観察し続けていた。

その間、尾形は動きを見せることはない。それどころか呼吸をしている気配すらない。

ヴァシリは、尾形のスナイパーとしての能力を高く評価していた。
そして、そんな優れたスナイパーにしては、身の隠し方が雑であることに違和感を覚える。

ヴァシリは移動してさらに尾形の監視を継続するのだった。


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銃撃

辺りは暗くなり始めていた。

白石は尾形の戻りが遅いことに心配になり、キロランケとアシリパに尾形の加勢を提案する。

キロランケは尾形が独りで戦うと言ったので、スナイパーとしての腕を信じて待とうと答える。

その頃、移動していたヴァシリは別角度から尾形を双眼鏡で監視していた。

そしてそのまま夜が明ける。


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双眼鏡で監視し続けていたヴァシリは、周囲の様子からようやく新しい事実に気付く。
移動したこと、そして夜が明けたことにより、雪の上を歩いた跡を消したような痕跡が見えるようになっていた。

ヴァシリはその痕跡を目で追っていく。
そしてその視界に、樹上に置かれたオロッコの棺を捉えたのだった。

尾形は暗がりの中、目を開けて雪を口に含んでいた。

ヴァシリは新しい情報から、今まで監視してきた尾形は、遺体を利用して作った身代わりであり、本物の尾形はオロッコの棺に潜んでいると判断していた。
オロッコの棺に銃口を定めて銃撃する。

ヴァシリは何発も同じ位置に撃ち込んでいく。


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その銃声を聞いていたキロランケ達。

ヴァシリはたった今撃った、尾形が潜んでいるはずのオロッコの棺を観察する。

しかしヴァシリが身代わりだと判断していた案山子こそが尾形だった。
尾形は昨日から一切身動きをせず、ヴァシリの目を欺いていた。
ヴァシリの位置を特定した尾形は立ち上がって銃を撃つ。

尾形の放った銃弾がヴァシリの顎を撃ち抜く。


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第163話 指名手配書の感想

ヴァシリの思考の上を行く尾形

尾形VSヴァシリのスナイパー同士の緊張感のある戦いに決着がついたようだ。

ただ、ヴァシリは死んでないのではないか。
尾形が撃ち抜いたのはヴァシリの顎だから、致命傷ではないと思う。

多分、尾形はヴァシリを生かしたっぽい。
拘束して情報を得ようとしているのではないか。


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やはり尾形は大した男だ。
ヴァシリの思考の上をいき、完全に操作していたように思う。

ヴァシリだからこそ尾形が身代わりの案山子を立てていたという偽りの答えに行き着いた。

そしてそんな尾形の策略に引っかかって発砲してしまったヴァシリは、尾形に位置を特定されて撃たれてしまった。

尾形のファインプレイはヴァシリの思考を操作してヴァシリを動かしたことだけではない。
ヴァシリが、尾形の用意していた”答え”に行き着くまで半日以上一切動かずに待ち続けていたこと。これも大きい。

頭が良ければ尾形の作戦は考え付けるかもしれない。
でも実行出来るのは生粋のスナイパーである尾形だけだ。
この、ずっと一定の集中を保ちながら相手の動きを待ち続けられる驚異の忍耐力も尾形の武器と言えるだろう。
俺には絶対無理。動くのはもちろん、じっと待ってたら寝てしまうだろう。
たとえ生死がかかっていてもダメだと思う。


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今回の話でさらに尾形のポテンシャルが見えた。

前述したような策を思いついたとしても、普通はまず、自分を狙っているスナイパーに不用意を装って自分の姿を晒せるだろうか。
その度胸がすごい。

 。

もちろん、尾形には自分の位置の特定を避けたいはずのヴァシリがすぐには撃ってこないという読みがあったと思う。
しかしそうやって先を読めることと、実際にそれに従って行動することは全く違う。
ただ待つだけではなく、ヴァシリの銃声がいつ起こるか分からない中で一定の集中を保ち続けなくてはならないことが、一体どれだけ精神的ストレスを感じるのだろうか。

尾形には頭脳も度胸もある。作戦遂行の為の忍耐もある。
極めて優れた兵士だと思う。

面白い戦いだった。


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キロランケとウイルク

自分はキロランケとウイルクからは、強いつながりを感じていた。今回の話でその理由がわかったわ。

ウイルクは、キロランケの大仕事の失敗をフォローした戦友同士だった。
それをきっかけに、良い上司と良い部下、あるいはそれ以上の関係になったのだと思う。

こんな過去があったなら、そりゃ繋がりは確実に強くなるよね。


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アシリパの記憶

今回、指名手配書にウイルクが載っているという証拠を片手に、キロランケからウイルクについて聞かされたアシリパだったけど、それをきっかけに何かを思い出すのだろうか。

この樺太の旅はアシリパの記憶を呼び覚ます為の旅。
ロシアとの国境を間近にして、それが顕著になってきた。

アシリパが金塊に関する決定的な記憶を思い出すのも近いのかもしれない。

以上、ゴールデンカムイ第163話のネタバレを含む感想と考察でした。

第164話に続きます。

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ゴールデンカムイのアニメが放送された2018年4月。10月からは2期が始まります。こんなサイトを運営しているからには当然アニメもチェックするわけですが、しかし、実は自分の住んでいるところでは悲しい事にテレビでの放送が無いんですよね。 東京や大阪、北海...

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