第189話 血痕
目次
前話第188話 生きるのあらすじ
誤射
尾形の背後から迫っていた杉元は、尾形の名を大声で叫ぶ。
尾形に向けて毒矢を引き絞っていたアシリパは、杉元の上げた大声にビクつき、思わず矢を番えていた手を離してしまう。
飛んでいった毒矢は尾形の右目に刺さっていた。
尾形は糸の切れた人形の如く崩れ落ちながらアシリパを左目で捉え、口元を歪ませる。
アシリパはそんな尾形をただ呆然と見つめていた。
そこに杉元が飛び出し、尾形の髪を掴んで仰向けに倒す。
杉元は尾形の上に覆いかぶさり、もう片方の手に持った折り畳みナイフで尾形が毒矢を受けた右目を抉り出す作業を行うのだった。
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ペタン、とその場に膝から崩れ落ちるように座り込むアシリパ。
矢を掴んでいた右手は小刻みに震えていた。
杉元はアシリパの誤射した矢を目玉ごと尾形の眼窩から引き抜くことに成功すると、続けて尾形の眼窩に口をつけて毒を血ごと吸い上げる。
口に含んだ血をすぐ横に吐き、もう一度同じ作業を行う。
「この流れでは死なせねぇぞ」
裂いた布を、尾形の目を塞ぐように巻いていく。
「あの子を人殺しにはさせねぇ」
「お前の死にこれっぽっちも関わらせるもんかよ!!」
杉元は尾形の頭に巻いた布をぎゅっと縛る。
その時、ちょうど杉元とアシリパの間の流氷に亀裂が生じ、隙間が開いていく。
それを察知した杉元はアシリパの名を呼び、手を伸ばす。
「アシリパさん!! 俺の手を…!!」
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再会
放心していたアシリパは、杉元の声に我を取り戻していた。
そして杉元の名を叫びながら、杉元の元に向けて手を伸ばしつつ跳躍する。
二人はがしっと手を繋ぐ。
そして杉元は、そのまま杉元の胸に飛び込んできたアシリパを抱き締める。
「やっぱ生きてた」
アシリパは涙を滲ませる。
「言ったろ? 不死身だって…」
笑顔で応える杉元。
白石は少し離れたところで、杉元たちに向かって走り出そうとするリュウをおさえつつ、二人の感動の再会シーンを見つめていた。
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元気そうだね、少し重くなった? と杉元はアシリパを抱き締めたまま優しく声をかける。
「立てるかい? アシリパさん さあ行こうか」
「離れない…!!」
杉元の胸に顔を埋めたまま、アシリパが呟く。
杉元は少しだけ困ったようにアシリパを見つめた後、キロランケを追わないといけないことを伝える。
「なんか…まぶたがくっついて離れないッ」
必死に答えるアシリパ。
あまりの寒さで冷え切った杉元のコートの金属製ボタンに、アシリパの右目のまぶたの皮膚がくっついていたのだった。
事態を悟った杉元は、ムリヤリ剥がすとまぶたが裂けてしまう、と焦った末に、白石を呼ぶ。
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とんでもない展開
二人に近寄って、どうかした? と声をかける白石に、杉元が叫ぶ。
「オ〇ッコかけてくれ」
え? と白石とアシリパが声を上げる。
「え? 何をかけるって? ちょっとまて」
信じられないような杉元のアイデアを察して、焦るアシリパ。
「オ〇ッコ出るか!? 白石!!」
真面目な表情で白石に視線を送る杉元。
「膀胱が破裂しそうなほどパンパンだぜ」
白石もまた真面目な表情で杉元に応える。
「ちょっ…ヤメロ! おいッ」
何をするのかはっきりと知ったアシリパは、杉元の胸に顔を埋めたまま必死に拒否する。
「やめろおおお!」
しかし拒否も虚しく、アシリパは白石の小〇を顔に受けるのだった。
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小〇の熱でボタンとまぶたが離れる。
笑顔で小〇を撒き散らす白石をバックに、アシリパと同じく、小〇を受けた杉元も笑っていた。
とっくにボタンからまぶたが離れたにも関わらず、白石はアシリパの顔に小〇をかけ続けていた。
「もういいゾ…白井もういいゾ~」
口から小〇を吐きながら、力なく呟くアシリパ。
白石は目に涙を滲ませながら、杉元に泣いてるのか? と声をかける。
「お前のオ〇ッコだ」
杉元もまた白石の小〇を顔に受け続けていた。
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第188話 生きるの振り返り感想
予想もつかない展開(笑)
どんな死闘が繰り広げられるのだろう、と思っていたら、戦いはお預け……いや、実際はもう終了なのかもしれない。
杉元がとんでもなく冷静過ぎた。
てっきり前回ラストのコマから、杉元はすでに怒り狂っていて、周りが見えていないくらいの状態なのかと思っていた。
でもアシリパの毒矢を目に受けた尾形を殺すまいと、一瞬で尾形打倒とから救助に思考をシフトさせ、毒矢に犯された尾形の右目をナイフで抉りだして、すぐさま口で毒を吸い上げるとか……ただただ驚いた。
それだけ、アシリパをこの金塊争奪戦において、人殺しにさせまいという強い意識が杉元にあったということだろう。
自分を瀕死の目に遭わせた男にリベンジすることなど、それに比べればはるかに優先度が低かったらしい。
この流れでは死なせない、とかつくづくアシリパ想いすぎる……。
ひょっとしたら、アシリパによる誤射がなくても、当初から尾形のことを救おうという頭はあったのかもしれない。
尾形だって、何だかんだで一緒に旅をしてきた仲間でもある。
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ただ、尾形がアシリパを殺すと判断したら、その場合は問答無用で杉元は尾形の命を取るべく行動していたはずだ。
前号のラストの杉元はそういう表情だった。殺意を感じた。
ともかく、これで杉元VS尾形は無くなった、もしくは先に持ち越しになったといってよいだろう。
この流れであれば尾形は一命をとりとめるだろう。
ただしスナイパーの命である目を失い、さらにさりげなく、杉元とアシリパが抱き合った瞬間に尾形の銃が流氷の切れ間に落ちているっぽいんだよなぁ。
尾形は元の戦闘能力を取り戻すことはないかもしれない。
杉元一行はソフィアと合流し、尾形を連れてこの流氷原を抜けた先の、おそらくはサンクトペテルブルク? あたりに逗留するのかな。
尾形が死なないということは、占いの結果はやはりキロランケの死を示していたということか。
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前代未聞を更新し続ける漫画
しかし感動の再会シーンに白石という、とんでもなくひどいノイズが入って笑ったわ。
アシリパを救うためには、白石の小〇以外に、もっとマシな方法あったんじゃないのか(笑)。
ラスト、離れたアシリパと杉元が同時に白石の小〇を受け続けていた?
男がたまに二股の小〇を出すことがあるのを女性は知るまい(笑)。
いや、自分だけなのかも知れないけど……。
アシリパがコートのボタンにかぶたがくっついた事態を把握して、すぐさま白石に小〇をリクエストするという杉元の思考回路は、直前に尾形を倒すことから救うことに状況を判断してすぐさま切り替えたのと同じく、やはり冴えていたと褒めるべきなのか。
そういえば以前、小〇かけたらいい、みたいなやりとりをしていた場面が確かあったような……。
パッと思い出せないけど……。
嫌な伏線だ。回収しないで欲しかった(笑)。
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しかし野田先生……。
ヒロインの顔に小〇ぶっかける漫画とか、前代未聞をいくつ更新するつもりなんだろう……。
漫画界の江頭2:50のつもりなのか。伝説残そうとし過ぎ。
アシリパが死んだと思っていた杉元と再会するという名場面に対して、素直な感動に浸らせて欲しいのに……(笑)。
この展開は、どこまでもゴールデンカムイらしさに溢れている、と評すべきか。
どこを切っても金太郎飴の如く”ゴールデンカムイ”。
前号のラストで、次はいよいよ尾形との死闘か、とピリピリしてたのに、そんな毒気が完璧に抜けちゃった。
とりあえずもう、杉元一行が流氷原において誰かと戦うような緊迫した場面は出て来ないかな?
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尾形は戦闘不能だし、キロランケはおそらく死んでしまう……。
この先の展開として、まずはキロランケがどうなるかが気になる。
自分はすでに彼を物語から退場するものと扱っているけど、もちろんそうならない道があるならまだまだ活躍してほしいと思っている。
この展開でキロランケが助かるとか、軽く小躍りするわ。
こんな良いキャラを退場させないで欲しいのが本音だ。
キロランケが腹部に負ったのは、どう見ても助からないっぽい深手なんだけど、どこまでも読者を良い意味で裏切ってくれることを期待したい。
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第189話 血痕
雪上に続く血痕
杉元とアシリパが再会する数分前。
鯉登少尉は、スヴェトラーナを連れた月島軍曹とともに谷垣が倒れているのを発見していた。
誰にやられたのかという月島軍曹からの問いに、谷垣は怒りを滲ませて答える。
「キロランケだ あの野郎…ッ」
自分たちがやるから、と谷垣を落ち着かせ、休ませようとする月島軍曹。
その傍らで鯉登少尉は雪上に残るキロランケのものらしき血痕を見つけていた。
血痕は雪上に点々と、遠くまで続いていた。
谷垣はキロランケが深手を負っていることを月島軍曹と鯉登少尉に伝える。
鯉登少尉と月島軍曹はスヴェトラーナを谷垣の元に残して血痕を追うのだった。
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鯉登少尉の怒り
鯉登少尉と月島軍曹が血痕を追い続けていると、その途中に谷垣の銃が落ちていることに気づく。
「この銃…谷垣のだよな?」
何気なく銃を拾い上げる鯉登少尉。
月島軍曹は血痕がさらに先にも続いていると鯉登少尉に報告する。
「何だ このヒモは」
鯉登少尉は銃の引き金に紐がついていることに気付く。
その紐の両端にはピンのようなものが結ばれていた。
月島軍曹は銃の置かれていたあたりに視線を送る。
そこにはピンが抜かれたことで起動済となっている爆弾があった。
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月島軍曹は一瞬のうちに鯉登少尉の頭を抱え、爆弾から守るように自身の体と鯉登少尉の体を入れ替える。
その瞬間、爆弾が爆発する。
吹っ飛んでいく二人。
谷垣の元から離れていたキロランケは、爆発音のした方に振り返る。
その音はソフィアの耳にも届いていた。
「なんだ!? いまの音」
白石と共に、尾形の元を目指していた杉元が呟く。
お〇っこしたい、と白石。
鯉登少尉は負傷していなかった。
そしてすぐに、キロランケの仕掛けた”仕掛け爆弾”による爆発であることに気づく。
鯉登少尉の傍らには月島軍曹が横向きに倒れていた。
鯉登少尉は月島軍曹の顔の方に廻り、その容態を確認しようとする。
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月島軍曹は首から出血していた。
患部を手で押さえ表情を歪めている。
「鯉登少尉殿 怪我は!?」
月島軍曹は自身の容態を顧みずに、まずは鯉登少尉の心配をするのだった。
鯉登少尉の表情にみるみる内に怒りが充満する。
即座に立ち上がり、サーベルを抜き放つと血痕の続く方角へと駆け出していく。
「あ…ッ ひとりで行くな!!」
必死に鯉登少尉を制止しようとする月島軍曹。
しかし、鯉登少尉にはその声は届いていなかった。
「おのれ…!!」
鯉登少尉は怒りに突き動かされ、サーベルを片手にやみくもに血痕を追っていくのだった。
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運命を分けたアザラシ
血痕を追っていた鯉登少尉は、血痕が途切れていることに気づき立ち止まる。
周囲を確認しても、キロランケの足跡すら見つけることができない。
海に落ちたのか? と呟きながら、辺りを観察する。
そんな鯉登少尉の背後にある岩の陰に、キロランケは潜んでいた。
キロランケは足音を立てることなく、静かに鯉登少尉に近づいていき、銃口を鯉登少尉に向ける。
発砲しようとしたまさに瞬間。
ブゥ~~~~ッ
海面からアザラシが勢いよく顔を出す。
顔を出した瞬間、鼻から思いっきり息を吐き出すその異音が周囲に響く。
キロランケは音のした方向に視線を向けたことで、一瞬、発砲のタイミングが遅れていた。
鯉登少尉もキロランケと同じくアザラシの方に振り返っていたが、その視線の先でキロランケが自身を狙っていることに気づいていた。
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ドンッ
キロランケの撃った銃弾は空に向かって飛んでいく。
鯉登少尉は銃を撃とうとしていたキロランケよりも一瞬早く反応し、銃身に向けてサーベルで切り上げていた。
それにより、銃口の先は空に向いていたのだった。
鯉登少尉は裂帛の気合とともに、キロランケに向けて両手でもってサーベルを渾身の力で振り下ろす。
それと同時に、キロランケは斬撃を防ぐべく、銃床を鯉登少尉に向けて振り上げる。
鯉登少尉のサーベルを、銃床で防いだキロランケ。
サーベルの刃は銃床に食い込んでした。
その状態のまま、キロランケは銃を持ち上げていく。
するとそのキロランケの動きによって、鯉登少尉の体はまるでサーベルに引かれていくようにキロランケに寄っていく。
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キロランケは近付いてきた鯉登少尉の顔面に拳を打ち込む。
しかし鯉登少尉は一切怯むことなく、キロランケを睨みつけると、その鼻っ面に拳を叩き込んで反撃する。
キロランケは鯉登少尉の下腹部あたりにタックルを仕掛けていた。
体を浴びせて、雪上に押し倒すと、今度は自身のマキリを抜いて鯉登少尉の胸に向けて思いっきり振り下ろしていく。
鯉登少尉はその攻撃に対して、肘を折った状態の右腕でかろうじて胸元への一撃を防いでいた。
キロランケのマキリは鯉登少尉の腕を完全に貫通しており、その刃先は胸にも刺さる。
「おぉおのれよくも…私の部下たちをッ」
咆哮する鯉登少尉。
鯉登少尉はキロランケの腹部に刺さっているマキリを左手で抜き取り、キロランケの首元に突き刺すのだった。
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第189話 血痕の感想
死闘の果て
キロランケの戦いはここで終わりなのか。
谷垣から致命傷といってもおかしくない深手を受け、さらに今回のラストでは首元(だよね多分……)にマキリを受けた。
腹部の傷の蓋をしていたマキリが抜かれたことで出血過多になるのと同時に、首元を刺されたならますます生き残る可能性は低くなるわけで……。
というか、谷垣による傷を負ったあとも、心のどこかでまだ自分はキロランケが最終的には杉元一行に戻るのだとどこかでその可能性を信じていたところがある。
でもそれが今回でほぼ潰えたのを感じた。
ここまで杉元たちと死闘を演じてしまうとさすがに元には戻れないだろうし、何よりキロランケの命が続くとは思えない。
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キロランケはもう物語から退場することでほぼ決定でしょう。
これは前回、前々回あたりも言っていたような気がするけど、今回のラストでより一層、濃厚になったと言って良いでしょう。
キロランケ好きには哀しい限りだ……。
爆弾を使うとか、かつてウイルクと行動を共にしていた過去があってロシア政府から追われているとか、数多くの魅力があったんだけど……。
樺太編に入る前、網走監獄で杉元を裏切ってから、既に杉元の元には戻れない路線を歩んでいたんだな……。
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樺太編に入ってからずっと、また杉元たちとバカやってくれるんだと思ってたのになー。
残念過ぎる。
谷垣との鬼気迫る死闘に続きて、今回の仕掛け爆弾、そして鯉登少尉との死闘……。
これはもう、完全に敵だわ……。
キロランケが実はクソみたいな本性だった! という面を露わにしてくれたらよかったんだけど、でもそんなことはないし……。
キロランケ好きの自分にとっては、今回も、谷垣から深手を負わされていたにも関わらず、最後まで追っ手である鯉登少尉と戦う、その決して諦めない姿勢に感嘆すらしていたんだけどな……。
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仕掛け爆弾という工兵ならではの戦法で鯉登少尉たちを最後まで苦しめるしぶとさは、やはりウイルクから受け継いだ理想のためにまだ死ねないという強烈な意志力によるものなのか。
やはり主人公側にいて欲しい、強くて魅力的なキャラだと思う
……いや、マジで死んじゃうの? これ……。何か信じられないんだけど……。
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しかし冷静に考えて、腹部の深手に加えて、鯉登少尉からの一撃は致命傷だろう。
不死身の杉元ならともかく、さすがにこの流氷原の上で猛吹雪に晒されているという悪条件の下で、ここまでメチャクチャにやられて生き残れるとは思えない。
そもそも鯉登少尉がこのあと、止めを刺すでしょう。
鯉登少尉にはキロランケとの思い出などない。よって躊躇う理由がない。
次回でキロランケの散り様かな……?
何か虚脱感があるんだが……。
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運命を変えたのは……
アザラシだった。
彼の鼻息は、完全に戦いの行方を左右してた。
シリアスの中に差し色のように入る、何とも間抜けなシーンがゴールデンカムイだよなぁと思う。
あのままアザラシが登場していなかったらキロランケは鯉登少尉を仕留めていただろう。
しかしアザラシの登場によりキロランケは絶好のチャンスを逃したし、逆に、それまで見事にキロランケの罠に引っかかっていた鯉登少尉はアザラシの鼻息で窮地を脱した。
運命のイタズラと言うにふさわしい。いや、アザラシの鼻息とかマジでイタズラでしかないでしょ。
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鯉登少尉の新しい魅力
鯉登少尉は上に立つべき人間だと思う。
冷静に動けない以上、軍人としてはまだ未熟なのかもしれない。
軍人の資質としては、まだ月島軍曹を超えないと思う。
月島軍曹は今回も冷静だった。
瞬時に仕掛け爆弾を見つけて、鯉登少尉を爆破から守った。その判断力。
やはり月島軍曹も最高だ。
しかし今回は鯉登少尉にフォーカスを当てていくべきだろう。
部下を傷つけられて激昂するのは軍人としては未熟だ。
しかしそれも部下を大切に想っているからこそ。
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そう思うと鯉登少尉に魅力を感じられないはずがない。
普段散々世話になっている月島軍曹のみならず、谷垣のことまでも自身の部下としてキロランケに怒りをぶつけていた。
怒りに身を任せ、キロランケに渾身の力でサーベルを打ち込む姿はかっこよすぎだ。
芸の天才という面とはまた全然違った魅力が確立された。
樺太編に入って以降、月島軍曹はもちろんのこと、鯉登少尉という人物に関してもその魅力が立体的に浮かび上がった。
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鯉登少尉は軍の要職についている父を持つ、言わば坊ちゃんだ。
いずれ人の上に立つことを運命づけられているといってもよいだろう。
それは往々にしてプライドだけが先行するあまり、部下をないがしろにする最低の上官になる可能性があるが、鯉登少尉の場合は全くそんな心配は無用だった。
彼のような部下想いな人物にこそ、上に立って欲しい。
しかし彼は冷静さを保つことができず、感情に拠って行動してしまった。
その結果、窮地に立ってしまうのだから、軍人としては失格なのかもしれない。
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若いから成長を期待すべきかもしれないが、それでも部下を持つ立場なら、戦地では一瞬の判断ミスが死につながるわけで、鯉登少尉の無鉄砲な行動は、その動機など考慮されず、咎められるべきだろう。
この後月島軍曹から大目玉食らってへこみそう(笑)。
でも軍人としては未熟であっても、人間としては素晴らしいと思うわ。
いずれ鯉登少尉が決して揺るがない冷静さを身に着けた時、最高の上官が生まれるのだろう。
以上、ゴールデンカムイ第189話のネタバレを含む感想と考察でした。
第190話に続きます。
コメント
オシッコ以外に方法がなかったのかと、自分も考えましたが結論から言えば最善策だったと思います。
野田先生は寒さを本当によくご存知だと思います。
自分は2冬を北海道で過ごしましたが、マイナス15度以下になると、車の暖房が窓に当たるとそこに発生した水分が凍りつき、ガラスが白くなってしまいます。内側の窓が凍るんです。氷ついているので雑巾でも拭えません。
杉元のボタンに暖かい息を吹きかければと思うかも知れませんが、北海道より更に北の、しかも流氷の上。吹雪いてるとなれば最低でもマイナス30度…。到底息なんか間に合わないし、その間にアシリパさんの瞼が凍傷になってしまいます。あの記憶で瞬時に女の子のアシリパさんの顔を傷つけずに済ますにはアレが最善策だったと膀胱パンパンの白石を褒めてあげたいですwww
まぁ生理的嫌悪感はあれどもオシッコで人は死なないので爆笑をありがとうと思いました。
いつも考察を楽しみに拝見しております。駄文失礼しました。