ゴールデンカムイ最新第177話長谷川写真館の感想(ネタバレ含む)と考察+176話あらすじ感想。キロランケの回想。ウイルク、ソフィアと共に日本語学習の日々。

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前話第176話 それぞれの神様のあらすじ

関谷の最期

関谷は、自分が飲ませた毒によって昏倒していたはずの土方からの思わぬ反撃で左耳を包丁で切り落とされ、さらにそれを左肩に深々と受けた。
土方から逃げるように、よたよたと外に向かう。

関谷は、土方がフグ毒を飲んだことを知り、すかさずフグ毒の致死量を相殺する量のトリカブトを飲んだこと、またヒ素、ストリキニーネという毒薬も含まれた残り7つの丸薬の中から、見事に目的のトリカブトだけを取り出すことに成功したことも信じられずにいた。

肩からの大量に出血は地面を汚していく。
関谷は間もなく地面に仰向けに倒れ込んだ。

関谷の後を追った土方は、すぐそこに倒れている関谷の元に、血の付いた包丁を持って立つと関谷に声をかける。
「飲まなければ確実に死ぬなら一か八かに賭けて飲むしかない 度胸と経験が運命を引き寄せたと言っておこう」


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「ありえない…そんなことは奇跡だ」
関谷は目をかっと開く。
「そう…まさに奇跡 やはり神はいた そう思うだろ? 土方さん」

「神は……ようやく俺に裁きを与えやがった」
目を開き、口元は微かに笑みを浮かべたまま、事切れる関谷。

いつの間にかやってきて、土方の背後に立っていた門倉が口を開く。
「自分の信仰心と娘の理不尽な死に折り合いをつけようと殺しを重ね 凶悪な自分を創り上げたんじゃないですかね」

「『娘の死は自分に対する神の罰であるはずだ』ってね…」

神のことはよくわからん、と土方。
「私は現世にしか興味はない この世に生まれ落ちて命をどう使うか…私はそれでいい」

門倉は倒れている関谷を見ながら、せめて関谷の刺青は役に立ててやれれば、と呟く。

一方、キラウシは一人取り残されたように、凍結した阿寒湖に立っていた。
「門倉 大丈夫かな~」


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いじめ解決?

街中を歩くチヨタロウの先に、自分をいじめる悪ガキ三人組がいる。

さきほど牛山に派手に殴られたばかりの三人組は、牛山と一緒にいたチヨタロウを明らかに恐れていた。

その好機を逃さず、チヨタロウはギラッと三人組を睨みつける。

ビビる三人組。

チヨタロウがジリジリと接近してくる、その圧力に耐えきれず、坊主頭の悪ガキが逃げ出す。

あとの二人も続いていくのを、チヨタロウはフッ、と微笑を浮かべて見つめていた。

その背後では、阿寒湖から上がってまだ震えている牛山が歩いている。

(ありがとうオベンチョ…)
チヨタロウは心の中で牛山に別れを告げる。
(きみを忘れない)


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集落で休憩する杉元たち

数戸のテントと、数頭のトナカイのいる小さな集落にやってきた杉元たち。

そこの住人が、ロシア語が分かることを確認した月島軍曹は、アシリパの写真を見せてその行き先を問う。

杉元は集落の住人から、しばらく前に三人の男と一緒に親戚からトナカイを一頭届けに来た、と月島軍曹の通訳を介して情報を得て、笑顔を浮かべる。
「アリシパさん…」

手を大きく打ち鳴らし、天幕で休ませてもらいますよ、と少し離れたところにいる鯉登少尉を呼ぶ月島軍曹。

戻ってきた鯉登少尉の顔は少し上気させ、息を弾ませていた。
「小さいトナカイがいた」

「そうですか」
子供のような報告をする鯉戸少尉に、素っ気ない態度の月島軍曹。


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少尉殿にトナカイの首輪をつけておいたらどうだ? と月島軍曹にさらっと嫌味を言う杉元。

「まったく杉元は嫌味な男だな? 月島」
鯉登少尉は特に怒ることなく、呆れた様子で月島軍曹に同意を求める。
「なあ! 月島ぁん」
すぐ傍らに落ちているトナカイの首輪をじっと見つめる月島軍曹の首が大きく前後するくらいに強く肩を揺する鯉登少尉。

天幕で休む杉元たち。

「亜港監獄まであと少し…アシリパさんは近いはずだ 急がないとな」
谷垣と鯉登少尉の間で自らに言い聞かせるように呟く杉元。

そのそばで、チカパシとエノノカが興味深そうに何かを見つめている。


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天幕に立てかけられた木彫りの人形を手に取り、谷垣にこれが何かと問いかける二人。

ネズミ? と谷垣。
どこがネズミなんだよ、と突っ込む杉元。
「犬だろ」

集落の男の言葉を訳す月島軍曹。
「ナーナイ族の男が置いていったもので何だかわからないそうだ」

樺太の生き物か? クズリじゃないのか? と鯉登少尉。

ぜってー犬だろ、と杉元。

木彫りの人形は犬にも、クズリにも似ており、明らかに何かの動物を模したものだった。


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ソフィア脱獄作戦の準備

キロランケは亜港監獄を少し離れた場所からじっと見つめていた。

亜港監獄内では、ソフィアが牛乳をインクにして手紙をしたためている。
キロランケとソフィアの牛乳で書いた手紙のやり取りは続いていたのだった。

看守の気配を感じたソフィアは、牛乳を入れる器としての機能を果たしていたパンを牛乳ごと食べて証拠を隠滅する。

亜港監獄の敷地内を歩く白石。

(「あんな囚人いたっけ?」)
白石を見て疑問に思う看守。
しかし看守はもうすぐ休憩時間なので、特に追求せずに見逃すのだった。


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白石は頭の左半分に髪を生やしていた。
コートの中に隠していた袋を窓から囚人に手渡し、素早くその場を去ると、塀の下に掘った穴から無理矢理体を通して外に出ようとする。

この脱獄作戦の準備をする前、キロランケ達は、ニヴフ民族の集落に立ち寄っていた。

アシリパはニヴフ民族の男が耳付きのフードを被っているのを羨ましがる。

ニヴフは樺太で最も人口の多い少数民族。
彼らは川沿い、海岸に定住して漁業を中心に生活する傍ら、犬橇で各地を移動するという、樺太アイヌと似た生活をしているのだった。


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金塊奪取の意義

白石とアシリパは、キロランケからソフィア脱獄に関して話を聞いていた。

アシリパの父を良く知るソフィアを脱獄させ、アシリパと引き合わせれば金塊の暗号を解く何かがわかるかもしれないということだよね? とまとめてから白石が続ける。
「可能性はあるかもしれないけどよ 危険に対して収穫が釣り合わないんじゃねえの?」

キロランケは亜港監獄に、昔極東の少数民族を独立させようと戦ったソフィアの手下が何十人といると答える。

キロランケの作戦は、つまり彼らを味方につけるということかと理解する白石。

「もしその人達の協力で金塊を見つけたとして本当にアイヌのためになるのか?」


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そうキロランケに訊ねるアシリパを、尾形が横目で見つめる。

もちろんだ、とキロランケ。
キロランケは、アイヌのみならずウイルタ、ニヴフ、ナーナイ、エベンキ、ヤクートなど、樺太、ロシア極東において生活する少数民族が自分たちの生活や文化を保ったまま居続けられるように、と金塊を手に入れる意義をアシリパに説くのだった。

ソフィアの元に白石からの差し入れが届く。
その袋の中身は耳付きフードをはじめとしたニヴフの衣装だった。

一方その頃、杉元、谷垣、チカパシは橇で雪上を走っていた。


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第176話 それぞれの神様の振り返り感想

ギリギリのところを生き残った土方

土方はフグ毒を中和する為にトリカブトを飲み、見事に毒を相殺した。
そうして関谷を打ち破ることに成功する。

しかしヒ素、ストリキニーネもあったのに、トリカブトをピンポイントで選択できたこと自体には実はタネは無く、ただただ運任せの行動だったとは……。
前回は、土壇場で冷静にトリカブトを選んでスマートに窮地を脱したのだと思っていたけど、全然そういうわけではなかったんだなー。
土方にとって、これはかなりギリギリの賭けだったのか……。

一か八か、天に運を任せて丸薬を飲み、その結果、土方は生き、関谷は破れた。

何か、関谷から持ち掛けられた選択ではなく、土方自ら気付き、考え、幸運に酔って選び取った結果だけにこの結果は余計に劇的に感じたなぁ。


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土方に薬の知識が無ければ、そもそもトリカブトを飲もうとは思いつかないし、飲むことを思いついても確率としては他の毒を選ぶ可能性が高かった以上、関谷の言うようにこれは奇跡と言って良いだろう。
ある意味、これまでの戦いの中で一番ピンチだったのではないか。
全然違うんだけど、何かジョジョ第3部のダービー戦を思い出すなー。

元々信仰心が篤かった関谷にとって、こんな風にして土方に敗れたことを”神の裁き”と解釈したのは、彼自身、とても納得のいくやられ方だったことを表しているのだと思う。
おそらく、娘を理不尽に失って以来、関谷は死に場所を探していたのだろう。
何の罪もない幼い娘が雷に打たれて死ぬという、神のイタズラを言ってもいいくらいにレアな事故死を遂げてしまった時点で、関谷は壊れていたのだった。


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「自分の信仰心と娘の理不尽な死に折り合いをつけようと殺しを重ね凶悪な自分を創り上げた」

「『娘の死は自分に対する神の罰であるはずだ』」

門倉が名探偵ぶりを発揮している。
なんか、VS関谷編をいい感じに締めてるなぁ。
なんだかんだで今回の勝利の功労者の一人ということで(笑)。

で、キラウシがオチをつけると(笑)。

悪ガキ3人組にいじめられていたチヨタロウは牛山によって見事に立場を逆転出来たみたいだし、めでたしめでたし……なのか?


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舞台は亜港監獄へ

どうやら、ソフィア脱獄作戦決行の時は近いようだ。

ソフィアを脱獄させようとしているキロランケは、ソフィアと共に収監されている彼女の手下を味方につけようということらしい。
どうやってそれを実現するのかなぁ。
ソフィアと手下とで意思疎通が図れるような環境とは思えない。
白石が間に入るとか? うーん。

そういえば今回の、ソフィアに変装を届けに亜港監獄に侵入した白石の変装は何?(笑)

坊主頭のピッタリ左半分に髪を生やしている(カツラ? 毛皮? を被ってる?)意味がわからん。これって、何か元ネタがあるのかなぁ?


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こんなエキセントリックな頭させてたら、かえって目立つような気がするんだが……。
これは脱獄作戦の布石なのかな。
それとも、ただ白石の面が割れないようにするための工夫なのか。

白石があっさりと亜港監獄内に侵入して、おそらく脱獄の下準備の一つとして、ソフィアに変装を渡せたところはさすがと言って良いと思う。

やはり脱獄を考えるなら、監獄は白石の活躍する格好の場所と言える。

ソフィア脱獄作戦決行時、白石の脱獄王としての本領発揮の場面はやってくるのだろうか。

キロランケが一体どんな作戦でソフィア脱獄を実現させるのか楽しみだ。

そして、アシリパを追って樺太までやってきた杉元たちもまた亜港監獄を目指して橇を走らせている。

以前も思ったけど、やはり亜港監獄がキロランケ、アシリパと杉元たちが集結する場となりそうだ。

ソフィア脱獄と同時に、杉元VSキロランケ、そして杉元VS尾形の場面が見られるのは楽しみ。

最終的には雨降って地固まるって感じで皆でまた仲間として一緒に行動出来ればいいな。


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少数民族の独立性保持の為に

アシリパは、自分たちが金塊を手に入れることが本当にアイヌの為になるのかとキロランケに問いかける。

それに対してキロランケは、アイヌだけではなく、ウイルタ、ニヴフ、ナーナイ、エベンキ、ヤクートなど、少数民族が各々の文化を守って生活していくことの助けになるはずとその意義を説いた。

キロランケは元々民族独立のために戦ってきた活動家だし、説得力があるように思う。

しかしそれなら杉元たちを裏切ることなく、もっと穏便な形でアシリパをここまで連れて来れたと思う……。
アシリパを通じてアイヌへの理解を深めてきた杉元は、キロランケの思想に特に反対しなかったんじゃないかな……。

何だかキロランケはまだ本心を隠しているような気がする。
以前の尾形とのやりとりもどこかきな臭さを感じさせたし、キロランケが一体どういうつもりで動いているのか、まだ判断を下すには情報が足りないだろう。

キロランケと尾形の動きには注目していきたい。

次号か、もしくはその次くらいからソフィアの亜港監獄脱獄作戦決行かな。


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ゴールデンカムイ最新第176話それぞれの神様の感想(ネタバレ含む)と考察。土方チ...
前話第175話 繭のあらすじ牛山から得たヒント氷の湖面に空いた穴から顔を出した牛山を門倉が助け出す。 どこにいたのかと問いかける門倉。 牛山は、気づいたら氷から頭を出してた、と震えながら答える。 そして精力剤だと女郎に言われて何かを飲まさ...

176話の感想記事は上記リンクをクリックしてくださいね。

第177話 長谷川写真館

来客

眼鏡に坊主頭の日本人、長谷川幸一は丘の上から町を撮ろうとカメラをセッティングしていた。

その時、背後から聞こえてきた遠吠えに長谷川が振り向くと、そこには狼の姿がある。

慌てて被写体を狼に変えようカメラを移動させようとする長谷川だったが、既にそこに狼の姿はなかった。
「珍しいな 民家のこんなに近くまで…」

帰宅する長谷川。
出迎えたのは椅子の上でまだ幼い子供を抱いている白人女性だった。

長谷川が”フィーナ”と呼ぶ女性は妻であり、彼女が抱いている娘はオリガと言った。
フィーナはオリガを抱き長谷川に視線を向けて、長谷川への来客を伝える。

長谷川は当然のようにロシア語で来訪者に挨拶する。

来客としてそこにいたのはウイルク、キロランケ、ソフィアだった。

ソフィアは、写真を撮ってもらうためにここに来たわけではないと話を切り出す。

日本人がいると聞いて来たというソフィアに続いて、ウイルクが、日本に興味があるため、報酬を出すので日本語を教えてほしい、と長谷川に依頼するのだった。


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日本語学習の日々

キロランケは、アシリパ、白石、尾形に長谷川の素性について説明していた。

長谷川は10代の頃に父の仕事の関係でロシアにやってきた。
そして知人から写真館を譲り受けて以来、ウラジオストクにて写真師として働き、地元の女性と結婚したのだった。

キロランケは、長谷川の元を訪ねて、いきなり日本語を教えて欲しいというお願いをしたにも関わらず、長谷川がそれを引き受けてくれたのは、久々に日本語に触れる懐かしさからだったのかもしれない、と振り返る。

皇帝を爆殺してから、キロランケ、ウイルク、ソフィアの三人は10年以上のロシア政府からの逃亡生活を送る。
長谷川写真館近くの農家に潜伏し、そこから日本語習得のために長谷川写真館に通う日々は、彼らにとって束の間の穏やかな時間だった。


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キロランケは、ソフィアは自分の事をまるで弟のようにかわいがってくれていたと振り返る。

「ワタシ デブ女…好き…デース」

「”フィリップ”さんはふくよかな女性が好みなんですねぇ?」
長谷川はキロランケの発言を修正する。

「〇ンコ」
ソフィアがニヤニヤ笑いながら、キロランケを指さす。

〇ンコォ? とキョトンとした様子を見せるキロランケ。

「なんですか? ”ゾーヤ”さん ダメですよ 失礼ですよ」
長谷川はソフィアに注意する。


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長谷川の反応を見て、〇ンコだめッ とソフィアに注意するキロランケ。

しかしソフィアはキロランケ達の反応を楽しむように、再び〇ンコ、と口にする。

再び、〇ンコだめッ、と繰り返すキロランケ。

「辞めなさい二人共」
長谷川は少し困った様子で二人を仲裁していた。

「チョット! あなたタチ…仲良くネ~」
そこにウイルクが割って入る。
「『和を以て貴しとなす』デショ!!」


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三人の学習傾向

長谷川はオリガとフィーナの写真を撮影する準備をしがてら、ウイルク、キロランケ、ソフィアの日本語習得の進捗度合いを話していた。

男二人に関しては習得速度が非常に早い、と長谷川。
特に”グレゴリー”(ウイルク)に関して、長谷川は非常に頭が良いと感じていた。
それに対して”ゾーヤ”は学習の成果が思わしくなく、日本語は向いていないようだと評する。

「(日本人は物乞いだって日本語を上手に話すでしょう?)」
フィーナが何気なく、しかし鋭い指摘をする。
「(頭の良さじゃないわ 彼女は日本語に興味がないのよ)」

テーブルについているソフィアの前に長谷川がお茶を置く。

「メルシー」

長谷川は彼女がフランス語で感謝を述べたことをその場では突っ込まず、流すのだった。


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川辺に出たウイルク、キロランケ、長谷川の3人。
ウイルクは川辺に仕掛けたホイヌ(貂)を獲る為の罠の仕組みと、貂の毛皮は高く売れると日本語で説明する。

「へえ~」
長谷川は感心し、貂をその罠でたくさん獲って新しいカメラを買おうかなと笑顔を返す。

「取らぬ狸のカワザンヨウですヨ~」
朗らかに笑うウイルク。

「いつの間にそういうの憶えたの?」
突っ込む長谷川。

その時、パキッと森の方から音が聞こえてくる。

その瞬間、キロランケとウイルクは素早く音の聞こえてきた方向に意識を向けるのだった。

そんな二人の様子から長谷川は、彼らが常に周囲を警戒していると感じ、狩猟に詳しいんですね、と前置きをしてから一つ質問を投げかけるのだった。
「あなた達はどこから来たんですか?」

「”ゾーヤ”さんのような貴族階級出身ではなさそうですね」


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農民と革命家

ソフィアは農民の恰好をしていたがロシア語の読み書きが出来た上、フランス語が会話の中で出て来ることがあった。
それらのことから、長谷川はソフィアが何者か、想像がついていたのではないかとキロランケは振り返る。

その時代、ロシアの貴族や知識人層の一部は農民の恰好をして、農民の生活に紛れ込むことでロシアの近代化を目指して、君主制打倒の啓蒙活動をしていたのだった。

しかしソフィアのような革命家と農民の価値観はあまりにも違っていた。

農民の心の内には信仰が深く浸透していた。
その信仰はそのままロシア皇帝への崇拝に結びついおり、そのために農民たちは自ら変わろうとしないのだと革命家たちは結論する。
そして革命家はその答えを元に、皇帝が”神の代理人”ではなく、”単なる人間”と証明する為に皇帝を爆弾で暗殺したのだった。

そこまで黙って聞いていた白石が、ちょっと待て、と話に割って入る。
「キロランケとウイルクは少数民族の独立運動のために戦っていたんじゃなかったのか?」

キロランケは、そうさ、と白石の言葉に同意する。
「俺とウイルクはソフィアたち過激派組織を利用したんだ」

ある日、長谷川は町に降りていた。

そこで、キロランケ、ウイルクの名前と顔が載った手配書を目にする。
長谷川はそれらを手に取り、じっと眺める。



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第177話 長谷川写真館の感想

長谷川夫妻の運命は

キロランケの回想で始まった今回の話。

回想の中心は長谷川だった。

今後の流れとして確かなのは、キロランケとウイルクは北海道に逃げて、ソフィアは捕まって亜港監獄に収監されるということ。

そこに、今回登場した長谷川がどう関わって来るかが気になる。

町に降りて目にした手配書から、長谷川は彼らが日本語を覚えたいのは亡命の為だと理解しただろう。
たとえ彼らに日本語を教える日々で、彼らが決して悪い奴らではないことを知っていても、長谷川には守るべき妻も娘もいる。

彼らに日本語を教えることは亡命を助けることであり、それはロシア政府に敵対するということに他ならない。

彼らの存在が他の誰かによって通報されないとも限らず、その場合確実に自分はおろか妻や娘にまで塁は及ぶ。


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そうなると、長谷川はキロランケ達を通報するか、もしくはここにいることは黙っているから速やかに立ち去れと通告するかだろうな。

少なくとも自分が長谷川の立場だったらそうすると思うわ。
長谷川は明らかに幸せな家庭を築いてるもの……。この平穏は壊したくないだろう。

彼らがロシアから追われる立場だと知ってしまった以上、以前と同じようにのほほんと日本を教えてなんかいられないはずだ。

もし長谷川がその決断を下す前に近所の住民から通報が……なんて展開になってしまったら、キロランケはかなり後悔するんじゃないかと思うんだよなぁ。
アシリパたちに話している姿は淡々としていたので、特にそういう悲劇は無かったのかなと今のところ予想している。

もし長谷川一家を不幸に陥れてこの冷静な語り口調だったとしたらかなりの極悪人だろう。
テロリストは、〇〇の為に犠牲はつきもの、と考えて居直るのが最悪なんだけど、キロランケにはそうあって欲しくないなぁ。


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ウイルクが惜しい……あとソフィアが美し過ぎる

樺太を行く旅の途中、ウイルクの回想がちょいちょい出て来るが、彼の魅力がどんどん出て来ているような気がする。

既に網走で尾形に殺されてしまったのが惜しいと思う。

頭脳明晰で、ロシア皇帝の暗殺に関わり、アシリパの父とか魅力の塊なんだよなぁ。

こうなると、尾形に撃ち殺されたのはウイルクではなく、ウイルクはまだ生きている説を何とか無理やりにでも浮上させたくなってくる。
自分の頭ではちょっと無理なので誰か捻り出してくれないかな(笑)。


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そしてソフィア。美し過ぎ。
〇ンコとか言ってイタズラ好きな表情を浮かべているのも、内から滲み出る品も魅力的。

革命を実現しようと行動している以上、男勝りなところがあっても全然不思議ではないんだけど、しかし亜港監獄で暮らしている内に起ったであろうあの外見の変わりようは悲劇だわ(笑)。
鞭を打たれても肉体的にも精神的にも全く堪えないあの力強さは頼りがいがあってかっこいいんだけどね。

ロシアのフィギュアスケートの女性指導者で選手時代は妖精のようだったけど指導者になってからは……、みたいな記事をネットで目にした記憶が頭の片隅にあるけど、なんだか改めてそれを思い出したなぁ。
亜港監獄内で変わってしまったソフィアの姿を見たときから思っていたけど、人間ってここまで変わるものなのだろうか……。

監獄に入れられる前にあの姿に変わった可能性もあるけど、自分は、監獄の過酷な環境が彼女を変えたという方が自然だと思う。

脱獄出来たら戻る可能性もあるのだろうか。今の姿のソフィアも強そうでいいけど、以前の姿に戻る可能性にもちょっとだけ期待したい。

以上、ゴールデンカムイ第177話のネタバレを含む感想と考察でした。

第178話に続きます。

ゴールデンカムイ
ゴールデンカムイ(野田サトル先生)の考察、感想、ネタバレなど。

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コメント

  1. ののちゃん より:

    単行本派なのですが、白石の髪型については
    170話で囚人の髪型について触れているのではないでしょうか?

    • ゴン より:

      ありがとうございます!
      確かに収監されている男の囚人は頭の半分髪が剃られているという描写がありますね。すっかり失念してました。恥ずかしいですがここで教えてもらってよかったです。

      しかしどうやってこの髪型を再現したんだろう(笑)。カツラだとしても、かなり器用に作ったものだよなーと思いました。
      それとも侵入するまで期間をおいたのかな。1か月あればいくらかは伸びるので。
      でもそんな時間の経過を表す描写はなかったしなぁ……。