ゴールデンカムイ最新第288話爽やかな男ネタバレ含む感想と考察。土方とアイヌの交流。

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第288話 爽やかな男
※第287話のみ。第288話はヤングジャンプ発売後に更新予定です。

前話第287話あらすじ

キラウシは門倉と五稜郭の外に馬を走らせる。

そこで永倉と合流する。

五稜郭への艦砲射撃を封じることに成功した永倉は、門倉とキラウシに、鶴見中尉に対して、五稜郭への大規模攻撃を躊躇する「種」は残したと話すのだった。。

一報、汽車で函館までやってきた鯉登少尉と月島軍曹は永倉の話が信用できないと指摘してくる鯉登少尉たちに対して、そうとも言い切れないと答える。



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函館戦争後、金欠だったはずの明治政府が新帝都となる東京の大規模開発事業を始めたケースを皮切りに、横浜、札幌、東京、大阪に建っていくビール工場からは、日清戦争の軍費を賄えるほどの酒税を徴収できたことを挙げる鶴見中尉。

月島軍曹は奥田閣下が権利書を知らないはずはないとして、アイヌとの不都合な条約破棄が目的で自分たちは金塊を餌に利用されたのかと鶴見中尉に問う。

鶴見中尉は、本当に権利書があるかどうかはこの目で確かめると結論する。
「土方歳三ののぞみ通りに喧嘩してやる 五稜郭攻囲戦だ」

門倉から得たヒントを元に、土方が率先して地面を掘り始める。

なぜここなのかという杉元の問いかけに、土方はあまりに昔のことで忘れていたが、門倉の入れ墨に、この場所を示す重要な文字があったと答える。

まもなくシャベルの先が何か固いものに当たる。出て来たのはフタだった。



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杉元とアシリパが井戸の底に降りると、足元には何かが詰まった鹿革の袋が大量に置かれていた。

井戸の外に引き上げられていく鹿革の袋。そこから零れ落ちていくそれは、砂金だった。

第288話の感想記事です。

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第288話 爽やかな男

キムシプと土方

1902年ロシア領事館でウイルクを含めたアイヌたちは話し合っていた。
北海道を実効支配している政府に権利書を見せたところで土地を引き渡すとは思えないという意見に、ウイルクは榎本武揚に頼めばいいと答える。
しかし政府の要人である榎本に自分たちが会えるような立場ではなく、そこにたどり着くまでに権利書が奪われてしまうことをキムシプたちは懸念するのだった。
「でもあのニシパならつないでくれるかも……」
キムシプは38年前となる1869年に土地購入の交渉で五稜郭を訪ねた時のことを思い出す。
馬に水を飲ませるため、井戸から水を汲んでいたキムシプに声をかけたのは土方だった。
「珍しい入れ墨だ…意味はあるのですか?」



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そして土方は自分の馬にも水を飲ませなければと、キムシプが遠慮するのにも構わず水汲みを手伝い始める。

土方に、さきほど奉行所に入っていったアイヌたちは仲間かと問われ、キムシプは肯定する。
「俺たちが獲った昆布とか貝とか買ってくれるって」

土方は水汲みを続けながら、そうか、ここのことは榎本さんに任せきりだと呟き、キムシプに爽やかな笑顔を向ける。
「俺は戦と馬と…女のことしか得意じゃない!!」

その爽やかさに思わず見惚れるキムシプ。

その男が蝦夷共和国幹部の土方歳三だとキムシプは後に知るのだった。



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榎本武揚は土地購入の話を土方を含めた側近にさえ明かしていなかった。
契約は秘密裏に動いていき、アイヌたちは蝦夷共和国に金塊を支払う準備を進めていた。

交渉の場に出ていたアイヌたちは榎本が相手でも過信は禁物だと警戒を強める。ロシア領事館に隠してあることがバレたら全て奪われる。それを避けるために、支払いに使う分だけ持ち出して、船や陸路で分岐させることでロシア領事館と金塊が結びつかないようにしようとアイヌたちは知恵を絞るのだった。

アイヌたちが五稜郭を訪ねていたある日、政府軍による総攻撃が開始される。

海からは艦砲射撃が降り注ぎ、幕軍の敗残兵は街に火を放つ。



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混乱の最中、アイヌたちもまた函館山に避難を開始していた。
その道中で、アイヌたちは腹部を撃たれた土方と出会う。

(あの時の爽やかニシパだ…)
土方に肩を貸して一緒に避難するキムシプ。
そんなのほっとけとキムシプの行動を止めようとするアイヌの仲間たちに、キムシプは答える。
「この人は榎本武揚さんの仲間だよ 助けなきゃ」

家主が避難して不在となった家で、キムシプたちは土方の手当てを行う。



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戦火を恐れ逃げていく人が話している声が、家の中にいるアイヌや土方たちに聞こえる。
「回天丸が燃やされたらしいわ」

「『鬼の回天骨ばかり』ってな」

それは土方が乗艦した回天丸のことだった。

「残るは弁天台場…守らなくては」
弁天台場の救援に向かう際に腹を撃たれた土方は、艦砲射撃による五稜郭の陥落を案じていた。

弁天台場は昨日土方が寝てる間に降伏したとキムシプに告げられた土方は、自分を函館山に連れて行くよう頼むのだった。

アイヌの服を着せられた土方が、キムシプに肩を借りて到着したのは観音像の前だった。



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この観音様に会いに来たのか? と土方に問うキムシプ。

その時、轟音と共に艦砲射撃が五稜郭を襲う。

同行したアイヌたちと一緒に、土方はただその様を見つめるだけだった。
そして、無念そうに眼を閉じる。

その時、政府軍の兵士が現れる。
「やっぱい土方歳三じゃ!!」

「撃つなッ」
蝦夷共和国が負けたらアイヌの土地がなくなると必死の思いで、キムシプは兵士を止めようと飛び出す。

キムシプが掴んだ銃身から発射された弾は土方から逸れて、すぐ隣に立っていたアイヌの頭を撃ち抜く。

狼狽するアイヌたち。



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「やめてくれキムシプ!! みんな殺される!!」
そう言ってこの場を収め、連行されていく土方。

土方は最後にアイヌたちに、申し訳ない、と謝罪する。
「助けてもらったご恩は忘れません」

結局は政府軍に土方を引き渡してしまった形になるのもあり、キムシプたちは榎本に土方のことを伝えることは出来なかった。

しかしその後土方が処刑されたという話は出て来ず、数年後、代わりに聞いたのは監獄に幽閉されているという噂だった。

過去に看守だったという男に確認して、土方の生存を確信するアイヌたち。

アイヌたちの間で、過去に交流があり、尚且つ蝦夷共和国の幹部だった土方であれば榎本に話を通してもらえる可能性が浮かび上がる。

「土方歳三…」
ウイルクは何かを考えながら、そう呟くのだった。



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アイヌの中でロシア領事館に金塊があることを知っている者がいる可能性があるので、金塊を移す必要があるというアイヌに、良い考えがあるとキムシプが案内したのは五稜郭の、あの土方と一緒に水汲みをした馬用の井戸の跡地だった。

奉行所が取り壊され、埋められた馬用の井戸に一旦砂金を隠すアイヌたち。

ウイルクは金塊を投げ込んだ井戸の底を見つめて、土方歳三が恩を忘れていなければ、未来のアイヌに報いてくれるだろうと呟く。
「…アシリパ」

金塊を見つけたことに喜び、抱き合っている杉元と白石。
その傍らに立つアシリパは、ふと視線を感じ、上を見上げる。

その視線は井戸の入り口からアシリパのことをじっと見下ろす土方のものだった。



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感想

土方の動機

土方はキムシプたちに命を救われていた。
金塊争奪戦に参戦していた動機のひとつとして、どうやらアイヌへ報いようとする気持ちもその根底にあったようだ。

キムシプたちは自分たちの命が危なくなるギリギリまで土方を引き渡そうとしなかったわけだから、そりゃ土方じゃなくてもよほどの恩知らずじゃない限りは恩を返そうとするよな……。

ラスト、井戸の入り口に立った土方が、底で自分を見上げているアシリパと見つめ合うシーン。



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ウイルクの代わりに土方がアシリパをここに導いたという演出なのか。ウイルクに託された想いを見事にリレーできた土方が最高過ぎた。

土方には最後まで生き残って欲しいわ。最終話では永倉たちと笑い合っててほしい。

ただ、アシリパたちをここまで導いて、かつて敗北した五稜郭で鶴見中尉率いる第七師団と勇敢に戦い、戦友たちの元に旅立つというのも、人生のピリオドの打ち方として最高にかっこいいんだよな……。
やはり心の底から土方は武人だから、戦場に死に場所を求めているようなところがある。無茶しなければいいんだけど……。

個人的には、この土方の行く末というのも、最終局面の見所の一つとなった。



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ウイルクが土方を選んだ理由

そしてウイルクが土方に金塊の暗号やアシリパのことまで託そうとしたのは、土方が爽やかな男だったからだった。過去にこのような結びつきが出来ていたことがわかり、なるほどと思った。
単に強くて、アイヌという民族を守るために動いてくれるという期待だけでは、ひょっとしたらウイルクたちはそこまで踏み切れなかったかもしれない。最後の決め手は民族など一切関係なく、ただただ人間として好感を持てる、土方の爽やかな人柄だったようだ。



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榎本の名前が良く出て来るな……

話の舞台が五稜郭に移ってから何度となく名前が出るようになった榎本武揚。彼はこの金塊争奪戦に絡んでいないのかな……?
彼は実際の史実において、函館戦争で敗北後、政府に仕えている。これはゴールデンカムイにおいても同じだ。

ゴールデンカムイ作中だとまだ亡くなっていない。おそらく海軍中将を退役した後くらいの時期になる。
土方同様に老いてもまだまだ意気軒高で、土地の権利書や金塊を狙って密かに、独自に動いていたとか? ずっと政府に雌伏し続けていたその腹の中では常に野心家として捲土重来を狙っていたみたいな展開があったら面白い。
土地の購入の話を土方を含めた側近にしていなかったというアイヌたちの証言から判明した、榎本が秘密主義で独自に動くところもその妄想を膨らますのに大いに役立っている(笑)。



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鯉登父に働きかけようと思えば出来る立場にあると思うし、何より、これまでいまいち金塊争奪戦に参戦する動機が読み切れなかった尾形が実は榎本武揚の部下だったら……とか、色々妄想が膨らんでしまう。
ここに来て鶴見中尉とは別の大ボス出現! ……となったら熱過ぎる。

ラストは一体どんな結末になるんだろう。注目していきたい。

以上、ゴールデンカムイ第288話のネタバレを含む感想と考察でした。

第289話に続きます。

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