第289話 五稜郭攻囲戦
前話第288話あらすじ
1902年、ロシア領事館でアイヌたちとウイルクは話し合っていた。
権利書の効力を引き出すために、榎本武揚に会うアイデアを思いつくウイルクだったが、政府の要人である榎本に会うまでに権利書が奪われてしまうこと懸念するアイヌたち。
しかしキムシプは一人、頼りに出来そうな人物を思いついていた。
38年前の1869年、土地購入の交渉で五稜郭を訪ねた際、キムシプは若い頃の土方歳三と出会っていた。
この時の会話における土方の爽やかさは、キムシプに鮮烈な印象を与えていたのだった。
アイヌたちが五稜郭を訪ねた際、政府軍による総攻撃に出くわす。
混乱の最中、アイヌたちが函館山に避難する途中、腹部を撃たれた土方と出会う。
(あの時の爽やかニシパだ…)
キムシプは土方に肩を貸して一緒に無人の民家に避難して土方に治療を施すのだった。
そんなのほっとけというアイヌの仲間たちに、キムシプは答える。
「この人は榎本武揚さんの仲間だよ 助けなきゃ」
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戦火を恐れ逃げていく人たちの会話から、土方が乗艦した回天丸が炎上していると知った土方は、残る要所である弁天台場を守らなければならないと、アイヌたちに自分を函館山に連れて行くよう頼むのだった。
観音像の所までやってきたアイヌたちと土方の前に政府軍の兵士が現れる。
「やっぱい土方歳三じゃ!!」
「撃つなッ」
兵士を止めようと飛び出したキムシプが銃身を掴む。
その瞬間、発射された弾は土方ではなく、その隣に立っていたアイヌの頭を撃ち抜く。
土方はキムシプにやめるように言い、連行されていく。
「助けてもらったご恩は忘れません」
その後アイヌたちが土方について聞いたのは処刑されたという話ではなく、監獄に幽閉されているという噂だった。
看守だった過去がある男に確認し、アイヌたちは土方の生存を確信する。
アイヌたちの間で、あの土方であれば榎本に話を通してもらえるという期待が膨らみ始める。
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アイヌたちは五稜郭の、埋められた馬用の井戸に一旦砂金を隠していた。
ウイルクは金塊を投げ込んだ井戸の底を見つめ、土方歳三が恩を忘れていなければ、未来のアイヌに報いてくれるだろうと呟く。
「…アシリパ」
井戸の底で杉元と白石が、金塊を見つけた喜びのあまり抱き合っていた。
その傍らに立ち、ふと上を見上げるアシリパ。
アシリパが感じていたのは、井戸の入り口からアシリパのことをじっと見つめる土方の視線だった。
第288話の感想記事です。
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第289話 五稜郭攻囲戦
五稜郭の堀に艦砲射撃の弾が落ちる。
艦砲射撃は五稜郭の守りのために築かれた堡塁を直撃する。
井戸の底にいた杉元たちにも艦砲射撃の轟音は聞こえていた。
杉元たちを井戸から出そうとすべく、牛山は井戸に垂らしたロープを持つ手に力を籠める。
五稜郭の各所に築かれていた堡塁が、艦砲射撃で徹底的に破壊されていく。
艦砲射撃が五稜郭の敷地に落ちても、ソフィアの部下たちは全く意に介した様子もない。
白石もしぶしく協力して、は井戸の穴を塞ぐ工程が着々と進む。
五稜郭の堡塁が艦砲射撃で破壊されていく。
鶴見中尉の号令で、五稜郭に3つある入口の全てから敵地に突っ込んでいく兵士たち。
鶴見中尉が突然、早く橋を渡し切って、五稜郭の中へ進むようにと兵士たちに叫ぶ。
鶴見中尉は、さきほど破壊し尽くした堡塁が無人で、人的被害は全く与えられていないことに気付いていた。
堡塁ではなく、地面に掘った塹壕から出て来る夏太郎。
土方たちは第七師団が五稜郭の中へ入っていくのを観察しており、絶好の攻撃の機会を得る。
敵から一方的に攻撃される危機にあることを自覚した鶴見中尉は、必死になって、歩兵たちに五稜郭の中へ向かうよう激を飛ばすのだった。
感想
五稜郭内に築かれた堡塁を正確に破壊し尽くす鶴見中尉。
そして、それを読み切って一方的な攻撃のチャンスを作る土方。
し尽くす鶴見中尉。
そして、それを読み切って一方的な攻撃のチャンスを作る土方。
緒戦の読み合いは土方に軍配が上がったけど、このまま鶴見中尉がやられっぱなしなわけがない。
実際、いち早く堡塁が囮であることに気付き、素早い判断で五稜郭へ歩兵を誘導している。
まずは攻撃を食らうことになるが、ただではやられるつもりはないだろう。
きっと鶴見中尉はここからどう反撃するのが効果的か、高速で思考を巡らせているはずだ。
数では明らかに不利な土方たちはどう戦うのか。
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夏太郎たちは地面に掘った穴(塹壕と呼んでよいのか?)から攻撃を仕掛けるんだろうけど、数で勝る第七師団相手に勝ち切る策があるのかな。
籠城戦を覚悟する杉元だけど、戦いの序盤から第七師団は五稜郭の中に入ってきている。
籠城するなら敵を入れてはならないのかなと思っていたけど……。
ひょっとして土方、もしくはソフィアの戦略なのか?
兵の数で負けているならよほど上手く戦わないと勝利は難しい。
何かとっておきの策があると期待したい。
杉元たちは見事に第七師団を撃退して金塊を手に入れることができるのか?
正直、白石の執着っぷりがフラグなのかなと思ってしまった。
白石には悪いが、戦いの最中に井戸が破壊されたりして、結局手に入らない展開がありそうな気がしている。
これから毎号、緊張感のある戦闘が続くのかと思うと楽しみだ。
以上、ゴールデンカムイ第289話のネタバレを含む感想と考察でした。
第290話に続きます。