第116話 青い目
第115話のざっくりとしたあらすじまとめ
カムイコタンを襲う大量のバッタ。
一人マンボウを獲りに行ったアシリパ。
森の中を行く谷垣とインカラマッは木の実を獲っている。
インカラマッは谷垣の胸のボタンを縫う。
谷垣といい感じになるインカラマッ。
そこに現れたアイヌの爺からラッコの肉を手渡される二人。
爺は「必ず男女二人で食べなさい」と言い残す。
ラッコの肉がもたらす効果を知っているインカラマッは照れて谷垣の元から離れるべく駆け出す。
バッタが黒い雲となって杉元たちに近づいてくる。
いち早く気づいた谷垣だったがバッタの直撃を受ける一行。
バッタを振り払いながら必死で逃げ、見つけた番屋に逃げ込む杉元、白石、谷垣、尾形。
谷垣ははぐれたインカラマッの安否を案じている。
逃げ込んだ番屋で尾形がバッタの正体について語り出す。
屯田兵が大砲を持ち出して立ち向かった「蝗害(こうがい)」だという。
通り過ぎるまで番屋にこもることになった一行。
その頃インカラマッは、舟の上にいるアシリパに呼ばれて舟に逃げ込む。
杉元たちは谷垣がもらったラッコの肉を煮てオハウにしていた。
時間が経つごとにラッコ肉の催淫効果が杉元、白石、谷垣、尾形の4人を襲う。
アシリパはインカラマッと二人きりのこの状況をチャンスと見て、自分の父について知っていることを話せと問いかける。
番屋にいる杉元たちの元にキロランケが逃げ込んでくる。キロランケの肉体に魅了された4人。
アシリパの父のことは知っているというインカラマッ。
アシリパは恨みがあるのかとインカラマッに問いかけるがインカラマッは否定する。
フチを不安にさせて谷垣を利用して私を追って来たくせに、というアシリパの言葉にインカラマッはフチに嘘は言っていないという。
そしてインカラマッは、さらにアシリパの父を殺害したのはキロランケであると告発する。
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第116話 青い目
インカラマッがアシリパに告げる。
「アシリパちゃんのお父様…ウイルクはアイヌを殺して金塊を奪うような人じゃない」
「私たちが初めて出会ったときウイルクは北海道へ来たばかりで日本語は話せずアイヌ語は樺太訛りでした」
「あなたと同じ深い…青い目…」
インカラマッは、アシリパはポーランド人の父と樺太アイヌの母から生まれたという。
樺太には北海道アイヌと似ているが独自の文化を発展させた樺太アイヌが先住しており、そもそも日露戦争まではロシア領で、帝政ロシアに弾圧されてヨーロッパから極東へと流刑になった沢山のポーランド人がいた。
ウイルクはアムール川流域の少数民族と一緒になって帝政ロシアからの民族解放運動を行い、北海道の小樽へと逃げたという。
「私は毎日ウイルクとすごしました」
インカラマッが続ける。
「ウイルクは父親の影響で信仰はキリスト教でしたが私が教える北海道アイヌの信仰や土地のことや言葉 私たちの食べるもの…すべて受け入れてくれました」
「戦いで傷ついたウイルクはこの土地で癒され北海道アイヌを愛していた」
じっと聞いていたアシリパが口を開く。
「…私だって父がのっぺら坊だとは信じてないけど父からインカラマッの話は一度だって聞いたことないぞ」
「父は私の母から”すべて教わった”と言っていた」
「お前の言うことはすべてが怪しい!!」
インカラマッが答える。
「たしかにアシリパさんのお母様は美しい人でした…ウイルクにとっては私はまだ子供でしたから忘れちゃったかもしれませんね」
インカラマッが涙を流す。
アシリパはインカラマッの話の中に自分と杉元の関係性を見る。
インカラマッはウイルクの事が好きだったんだなぁ。
でもウイルクはインカラマッを恋の対象として見てくれなかったと。
アシリパさんが杉元のことが好きだけど、杉元から真剣に見てもらえないというのと同じ。
アシリパさんはそんな自分との共通点をインカラマッに見出したわけか。
なんとも切ないね。
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キロランケが加わり男の園がより熱を帯びる
キロランケが話し出す。
「土方歳三たちとは旭川ではぐれたままそれっきりだ」
「詐欺師の鈴川の情報をもとに杉元たちが釧路へ行くだろうと俺は予想した」
「そしたら近くのコタンでお前らの話を聞いてな」
ラッコ鍋は依然、煮込まれ続けている。
キロランケの顔が紅潮していく。
「それよりよぉ 杉元おまえ…」
「ちょっと見ない間に急に…いい男になったな」
杉元は着ているシャツの第二ボタンまではだけている。
白石が話に入ってくる。
「キロちゃんも前よりいい身体になってねえかいえぇ?」
キロランケが筋肉に力を入れてアピールする。
「そうかあ? どうだ? 谷垣ぃ」
谷垣は紅潮して、息を荒くする。
(なんなのだ…?この感情!!)
(抑えきれない)
谷垣と同じく白石もまた悶々とした気持ちを抱えていた。
(こんな気持ちはじめてだ)
(どうやって発散させりゃ良いんだ…!!)
「……」
尾形は上半身を裸にして身体を横たえている。
杉元は息をハァハァと荒げて、着ているシャツを脱ぐ。
「ダメだ俺…もう我慢できねぇ…」
「相撲しようぜ」
杉元が自身のお尻をピシャリと叩いて誘う。
全員の心が一つになる。
( なるほど そうか!! )
男ばかり5人の密室空間となった番屋の中で、男たちは息を切らしながら裸で相撲を取り合う。
うーん。BL好きには堪らないのか?(笑)
ターゲットがあからさまで笑える。
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「ごっちゃんです」
全員が声を揃える。
夜明けを迎えた頃には、既に外にバッタの姿はなかった。
何してんだ(笑)。
しかしラッコ鍋恐るべし。
狂気の夜が明けて
「なんかバッタどっか飛んでったみたい…」
白石が言う。
「ああ…うん」
杉元が返事をする。
「じゃあそろそろ行こうか」
「……なんか盛り上がちゃったな?」とキロランケ。
「なんでだろうな…ハハハ」
気まずい雰囲気の中、男たちは着替えている。
「………」
沈黙が続く。5人全員、誰もが誰とも目を合わせない。
出かける準備が整った谷垣を除く一行。
「……誰にも言うなよ?」
杉元が言う。
杉元の言葉に、白石とキロランケは俯いて気まずさを漂わせている。
トラウマだよなぁ。
記憶はしっかりあるというのが悲しい(笑)。
その時、ドアが開く。
番屋へと上がって来たのはキンカラマッだった。
インカラマッは顔を紅潮させ、谷垣の上に身体を横たえる。
「谷垣ニシパ…」
谷垣は、それでようやく目を覚まし、インカラマッ直ぐそばにいることに焦る。
「インカラマッ?」
インカラマッが言う。
「ラッコの肉は食べると欲情すると信じられています」
「ラッコがつがいの片方を人間に獲られると行き場のない欲情で死んでしまうほど孤独に弱いと言われているからです」
そしてインカラマッはおもむろに着物を脱ぐ。
「!!」
谷垣が焦る。
「ちょっと待て どうしたんだ急に……」
インカラマッが顏を紅潮させながら言う。
「谷垣ニシパはラッコの肉を食べたせいにしていいです……」
そのまま谷垣の唇に自らの唇を重ねる。
「………」
谷垣はすぐそばに置いていた二瓶の銃をシャツで隠す。
「はぁ…」
「はああ…」
チカパシはこっそりその様子を見ている。
「オチウ…」
※オは「陰部」、チウは「~を刺す」の意。つまりセッ〇スのこと。
チカパシはしゃがみこんで泣いてしまう。
初めて見る大人のセッ〇スの迫力にチカパシが泣く。
無事くっつきました。
チカパシは見ちゃいけません。
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ついに形になったキロランケへの疑惑
「このまま網走へ行けばキロランケと再会してしまう」
インカラマッが続ける。
「とても危険な男です 最後には刺青人皮も奪われ金塊も奪われる」
「脅威が無くなるまでアシリパちゃんは身を隠してください」
警戒を促すインカラマッにアシリパが問いかける。
「キロランケニシパをどうするつもりだ? キロランケニシパが父を殺すとは思えない…」
インカラマッが即答する。
「証拠があります」
証拠。確信を持っているインカラマッ。
「アシリパちゃん」とインカラマッ。
「一晩中ここにいたのか?」と谷垣。
杉元達も谷垣たちに合流する。
「あ!」
アシリパに気づいた白石。
「いたいたアシリパちゃんだ」
「よかった…無事だったか」とほっとした様子の杉元。
インカラマッは杉元たちの中にキロランケを発見してビクつく。
(キロランケ!!)
アシリパは鋭い瞳でキロランケを振り返る。
「キロランケニシパが私の父を殺したのか?」
不意に直球の質問をぶつける。
直球すぎ。もう少し迂回してもいいのでは?
でもアシリパさんらしいっちゃらしい。
「え?」と呆気にとられる白石。
「俺が? なんだよいきなり…」
キロランケが当然の質問を返す。
(こんなところで会っていきなり問い詰めるとは…しょうがない子ですね…)
インカラマッが心の中で思う。そして言葉を出す。
「……証拠は馬券に付いた指紋です」
そして、競馬の時の馬券を取り出す。
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白石がオウム返しをする。
尾形はただ黙って聞いている。
インカラマッが話を続ける。
「指紋は人によってそれぞれ模様が異なるため外国ではすでに数年前から犯罪捜査に利用されています」
※日本では指紋による鑑定が捜査に正式に採用されたのは明治44年から。
「私は苫小牧の競馬場で男性方の指紋を採取し、照合を依頼したところキロランケさんの指紋が数年前ある場所で採取されたものと一致しました」
インカラマッはさらに続ける。
「アシリパちゃんのお父様が殺害された現場です」
「遺品のマキリの刃に指紋が付いていたそうだ」
アシリパがインカラマッの言葉を補足する。
「父とは何年も会っていないと言っていたよな?」
キロランケが反論する。
「おいおい 俺が犯人なら監獄にいるのっべら坊は何者だよ?」
インカラマッが間髪入れずに答える。
「極東ロシアの独立資金にアイヌの金塊を持ち出そうとしたあなたのお仲間の誰かでは?」。
指紋を採取していたのか。
あらかじめキロランケの事を怪しいと睨んでいなければ馬券を回収するなんてない?
いや、地道に誰の物であろうと採取してきたのか。
流れを変える尾形
尾形が流れを止める。
「この女…鶴見中尉と通じてるぞ」
インカラマッへと自らの銃を向ける尾形。
谷垣がインカラマッを庇う。
「よせッ何を根拠に…」
「谷垣源次郎~」
尾形が若干呆れた調子で言う。
「色仕掛けで丸め込まれたか?」
「殺害現場の遺留品を回収したのは鶴見中尉だ」
「つまり鶴見中尉だけが指紋の記録を持っている」
尾形の言葉に、谷垣は慌ててインカラマッを振り返る。その目は疑惑を含んでいる。
「鶴見中尉を利用しただけです」
一切戸惑うことなく、平然と言い放つインカラマッ。
その様子を見て谷垣は戸惑う。
「………」
「大した女だな? 谷垣よ……」と尾形。
そういえば鶴見と向かい合って会話してる描写があったなぁ。
あれもあって、インカラマッが怪しく見えていたのも事実。
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黙って聞いていたキロランケは自分にはやましいところは一切ないという表情で続ける。
「この状況がやつの狙いだろ? 殺し合えば鶴見中尉の思うツボだ」
「アシリパ…父親がのっべら坊じゃないと信じたい気持ちはよくわかる」
「でもあんな暗号を仕掛けられる男がこの世に何人もいるはずない」
「アシリパだってあの父親ならやりかねないと…そう思っているんだろ?」
アシリパは何も言い返すことができない。
「どっちだ? どっちの話が本当なんだ?」
白石はインカラマッ、尾形、キロランケのやりとりにただただ戸惑っている。
「誰が嘘をついてるんだ?」
「白石。この中で監獄にいたのっぺら坊と会ってるのはお前だけだ」
尾形が白石に水を向ける。
「どんな野郎だった?」
「本当にアシリパさんと同じ青い目だったのか?」と問う杉元。
「え? 俺は一度も青い目なんて言ってねぇぞ」
杉元の質問に、白石は即答する。
「あんな気持ち悪い顏マジマジと見たことねえよ」
「土方歳三が前にそれぽいこと言ってた気がするけど…」
「それに多分…他の囚人ものっぺら坊とは会話してないんじゃねえかな」
「あいつは黙々と入れ墨を掘るだけだった」
「脱獄の計画はすべて土方歳三を通して俺たち四人に伝えられたんだ」
(のっぺら坊は”ほんとうにのっぺら坊なのか”?)
(たしかにこんなマネが出来る様な奴はそうそういない)
(ひょっとしてすべて土方歳三が仕組んだことなのでは?)
土方が口元に凄絶な笑みを浮かべる光景が脳裏に浮かぶ。
大きな疑問が表出し、今、ひとつの答えが出ようとしている。
ここからの展開は絶対見逃せない。
「釧路の谷垣から小樽のアイヌのお婆さんへまた電報が来てました」
月島が鶴見に報告する。
「杉元たちと合流したようです」
「よし…そろそろ我々も網走へ向かおうか」と鶴見。
緊迫するキロランケ、インカラマッ、尾形、アシリパ。
杉元、白石、谷垣はただただ戸惑うばかり。
ここに来て様々な疑問が答えを求めて一気に噴出した。
果たして真相はなんなのか。
そして忍び寄る鶴見。
あー、次回が待ち遠しい……。
以上、ゴールデンカムイ第116話青い目のネタバレ感想と考察でした。
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