前話第156話不死身の杉元ハラキリショーのあらすじ
ハラキリショーの手本
たすき掛けをした山田座長が刀の根元部分に近い刃で和紙を切りながら、この動作で刀が本物だと観客に確認させるのだと説明する。
それ本物じゃないの、と怖がるチカパシ。
杉元も、本物を使ったら危ないだろ、と眉を顰める。
山田座長は仕掛けがあるから大丈夫、と答え、腕を上に上げる大げさな動作をする。
「そして祈ります」
ハラキリに仕掛けがあるなら、その動作に意味はないのではないか、という杉元の質問に答えず、山田座長は続けて腕に瓶の水をかける。
「斬る部分に水をかけてお清めをします」
それも必要か、と再び杉元が問う。
とても重要です、と答えた山田座長は、右手で刀を持ち上げて目を光らせる。
「ハイッ では斬りますよッ」
水をかけた左腕の内側を何度も刀の刃を当てて往復させる。
「何度か腕をなぞって客席のお客さんによく見せてください」
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「わああッ すっごい血がでてるよ 大丈夫?」
左腕から血が流れて出ているのを見て、チカパシが震える。
「〇玉が…! ひゅんひゅんするッ どうして? 杉元ニシパ」
杉元は、わからん、と即答する。
山田座長は続けて右足のアキレス腱のあたりを刀をあてて切りつける。
そして、左足でケンケンをして客席に進みながら腕や右足の血を見せると説明する。
「この頃にはもう観客は唇真っ青で阿鼻叫喚ですッ」
そして、舞台の中央に戻り、上半身を裸にして瓶で水をかける。
乳輪がでかいッとツッコミを入れる杉元。
「そして…」
山田座長は刀身を白布で包んで持ち、刃を自らにあてる。
「切腹ッ むううッ」
腹から血が流れていく。
チカパシは、俯いて苦しんでいる山田座長を見て震えている。
「こんな感じですね」
にこやかな表情で顔を上げる山田座長。
「あとは助手がわたしを布でくるんで奥へ運びハラキリショーはおしまいです」
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タネ明かし
わあああ、と拍手する杉元とホッとした様子のチカパシ。
山田座長は刃には、深い溝が設けられている、と仕掛けを説明し始める。
そこに唐紅の染料を固めたものを詰めているので、水を流した部位に刃を滑らせると赤い染料が溶けだして血が流れたように見せかけられるのだと聞き、杉元は納得する。
「なぁんだ そんな仕掛けになってたのか」
山田座長は、最初に見せた大げさなお祈りの動きは、その後、切る部位に水をかけていく行為が不自然にならないよう、一連の儀式に見せかける効果があるのだと言って再びお祈りの動きをしてみせる。
なるほど頭良いッ、と杉元。
最初に和紙を切ったのは、本当の刃が刀の鍔の辺りにあるので気をつけて、と補足し、山田座長は杉元に練習を促す。
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演技過剰な杉元
山田座長と同じくたすき掛けをした杉元は、うむ、と言ってから、右手に持った刀を勢いよく振り上げる。
「南無阿弥陀仏ぁ!!」
「ヒッ! 念仏…」
驚く山田座長。
チカパシが杉元の左腕に水を流しかける。
「ハアアッ冷たいッ」
目を閉じ、頭を左右に振って大げさなリアクションをする杉元。
「冷たい冷たいッ 水が…すごく冷たい!!」
「『水が冷たい』って情報は別に客に伝えなくていいですから」
引き気味に杉元にツッコむ山田座長。
「斬るよぉ~? 斬るよぉ~?」
杉元は張り詰めた表情で刃を左腕にあてる。
そして一気に動かす。
「痛だだだだッ いっったーッツ ううううーッ 痛だだッ」
やけにキリッとした表情で続けざまに右足の脛あたりを切る。
「痛だだだだッ」
『痛い』って言うのやめて? と山田座長。
痛がる声が過剰で観客の気が散るのでもっと格好良く優雅に振舞って、とアドバイスを送る。
「こういうゆっくり引き裂く斬り方は痛えんだよ 刺されたりすんのはすぐには痛くねえけど」
憮然とした表情の杉元。
そんな怖いこだわりはいいですから、と山田座長。
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ますます芸を磨く鯉登少尉
黄色い歓声が上がる。
そちらに視線を向ける杉元。
男が肩で長い竹を立たせてバランスをとる。
その竹の先に回した紐に鯉登少尉がバランスをとりつつ華麗にぶら下がっている。
鯉登少尉は一本竹上乗芸(いっぽんだけうわのりのげい)という芸もマスターしていた。
長吉がバランスをとっている鯉登少尉に、観客に向かってキスを投げて下さい、と声をかける。
キスを投げるとは? と鯉戸少尉。
長吉は、チュッ、と投げキッスをする。
「『投げ接吻』です」
海外では受けると補足する。
鯉登少尉は長吉に倣い、鯉登少尉を見上げている女性陣に向けて投げキッスをしてみせる。
ぎゃあッ、と興奮している女性陣。
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先見の明がある杉元
鯉登はとても華がある、と感心した様子の山田座長。
「いい加減にしろ鯉登少尉ッ」
杉元が鯉戸少尉を指さして叫ぶ。
「お前は樺太公演に必要ないぞ」
「文句があるなら実力で私の芸を凌駕すれば良いだろ」
鯉登少尉は仰向けにバランスをとっていた姿勢から反転し、俯き状態になって杉元を見つめながら、自分の軽業を止めさせようとするのはハラキリショーに自信がないということではないかと指摘する。
「その程度の気概で『この街に杉元の名前を轟かそう』など片腹痛いわ!!」
杉元は鯉登少尉のもっともな言い分に何も言い返せない。
そして、何か他に客が熱狂するような妙案は無いかと知恵を絞り、そうだ、と思いつく。
「ローラースケートを使った芸はどうだろうか?」
大正2年に大ブームとなったローラースケートで歌ったり踊ったりすればウケるのではないかと言う杉元に、山田座長は、バカみたいだからダメだと却下する。
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ハラキリ芸も完璧にやれば十分話題になる、と杉元の肩に手を置く山田座長。
海外で披露した際、本当に死んだと誤解され警察が乗り込んで来た結果、現地の新聞に載ったという自分の経験を話し、さらなる練習を杉元に促す。
腕に刃をあて再び、痛だだだ、とわざとらしく痛がる杉元。
「『痛い』って言うのもうやめて!!」
山田座長がツッコむ。
杉元の練習風景に飽きたチカパシは、大きな独楽が回っているのに気が付く。
すげえ、と眺めていると、突然独楽が真っ二つに割れて子供がポーズをとってみせる。
チカパシは驚き、かっこいい、自分もやりたいと騒ぎだす。
目が回るよ? という指導しているの男の忠告にもチカパシはめげない。
「オレ小さいからこれならできるし踊るより簡単だもん」
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相変わらず苦戦する谷垣
少女団の踊りの練習に参加している月島軍曹と谷垣。
月島軍曹は他の少女たちと同じような動きになっているが、谷垣はその動作に追いついていない。
その為、フミエ先生から遅れていると罵倒を受ける。
尻がデカ過ぎて重いのか、という畳みかけるような罵声に、すみません、とだけ答える谷垣。
練習が終わり、テントの外で木箱に座り泣く谷垣。
谷垣の周りに少女たちが集まり、谷垣を心配して声をかけている。
月島軍曹は無表情で谷垣を見つめている。
一人の女性がやって来る。
そして少女たちに、フミエ先生に怒られるよと言ってテント内に戻るように促す。
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公演成功を決意する谷垣
「ゲンジロちゃん」
女性が、少女たちの後に続いてテントに戻ろうとする谷垣の背中に声をかける。
「アタイね この街の公演で踊るのが最後なの」
振り向く谷垣。
「紅子先輩… ウソだろう?」
紅子は、少女団のメンバーが全員孤児であり、ヤマダ曲馬団に面倒を見てもらっていると話し出す。
身体が大きくなったら少女団を卒業し、その街のどこかにもらわれて曲馬団は別の土地に移っていくのだという。
「ゲンジロちゃんと最後に踊れて良かった」
笑顔で谷垣を見つめる紅子。
「樺太公演…絶対に成功させようね!」
紅子を見つめながら涙を流す谷垣。
「うん!!」
その様子を月島軍曹は、やはり無表情で見つめる。
必死に練習する杉元、鯉戸少尉、谷垣。そつなくこなす月島軍曹。
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サーカス当日
テントに集う客たちの人波。
客たちの中にエノノカとお爺さんの姿もある。
各所に立てられた上りの中に”不死身の杉元ハラキリショー”の文字がある。
「さぁさぁ満員御礼だよ!!」
山田座長が団員たちに声をかける。
「みんな気を引き締めていきましょうッ」
「樺太公演開幕だッ!!」
杉元が力強く叫ぶ。
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第156話不死身の杉元ハラキリショーの振り返り感想
杉元はうまくやれるのか
山田座長を説き伏せ(脅して(笑))、門外不出の芸であるハラキリショーをやらせてもらえることになった杉元。
山田座長の手本を見た上で、さらに刀に仕込まれた仕掛けを学んでも肝心の杉元自身がふざけてるのか、それとも妙なところでリアル志向な為か山田座長からダメ出しの嵐を食らってて笑った。
杉元は別に芸で食っていくわけではない。
あくまで樺太に”不死身の杉元”というコピーを轟かせる為の公演への出演に過ぎない。
しかし鯉登少尉にライバル意識を持ってるあたり、本人は真剣なんだろうな。
真剣に客を沸かせるアイデアを考えて、ローラースケートでダンスと歌とか。
光GENJIをこの時代から考えていたとか笑うわ。
杉元、谷垣、月島軍曹が踊ってる図があまりにもムキムキで暑苦しすぎる。
歌詞も軍歌っぽくて面白い。
でも案外、女性には受けそうな気がする。
仮に樺太編がアニメになるならおそらくローラースケートを履いて踊って歌ってくれる様子が観られるだろう。
こんなオイシイ絵を動画にしないわけがない(笑)。
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鯉戸少尉の芸の才能
磨きがかかってる。
これ、現代だと天上から吊り下げられている布でやる演目じゃないかな。
なんか観たことがある。
でも下で竹をバランスよく支えている役がいる分、布でやるよりも難しそうに見える。
まさか鯉登少尉にここまで芸の才能があろうとは……。
今回、投げキッスをする様子ひとつとっても、確かに華がある。
芸人としての華。
こればっかりは天性のものであり、それを持たない人が身につけることは非常に困難だろう。
元々お坊ちゃんだし、ルックスは貴公子然としていると言えなくもない。
ますます山田座長の鯉戸少尉への評価は上がるばかりだ。
鯉登少尉のまともな戦闘描写は実はあまり無かったりする。
飛行船の上で杉元と対峙した時も、結局白石に落とされてしまったし、その後の坂本慶一郎との戦いの時も逃げる坂本を追跡したけど振り切られてしまった。
鯉登少尉の示現流が遺憾なく発揮される時はいつになるのか。
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谷垣と月島軍曹のコンビ
面白い。
前回、自分だけ巧く踊れないことに泣くくらい真剣に悩んでたけど、今回もフミエ先生からダメ出しを食らって泣いちゃった。
テントの外でめそめそしてる谷垣を少女たちが慰めてる様子のが面白すぎた。
今回の話で一番笑った。
谷垣は真面目だなぁ。
出来なくても、バカバカしいと言ってやめることなく、真剣に取り組んでて偉い。
ゲンジロちゃんとか呼ばれて普通に馴染んでるんだよなー。
そして、その谷垣を無表情で見つめる月島軍曹。
もうツッコむのやめたって感じの、捨て鉢な様子に笑ってしまう。
自分以外のメンバーが夢中になって公演の為に練習してるのが、いまいち納得いってないのかも。
一生懸命な谷垣と、冷静な月島軍曹は良い組み合わせだと思う。
やはり月島軍曹はどこまでも世話役なんだな(笑)。
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次の展開は?
しかし、土方と用一郎のシリアスな戦いから一転、あっという間にこの展開……。
ほんと予想不可能な漫画だなー。
次の展開としては、ハラキリショーが成功して、杉元の思惑通りアシリパさんやキロランケ、尾形、白石が杉元の生存を知ることになるのだろう。
そして、土方→杉元と来たからには、順番として次はアシリパサイドの話になっていくのではないか。
キロランケや尾形の向かう先はどこなのか。
まだまだ樺太の旅は続くのか。
ひょっとしたらロシアまで足を伸ばすのか?
この旅の果てに、アシリパや白石、そして追跡している杉元たちは一体何を知るのだろう。
今回のようなギャグ回があっても、その先にはすぐシリアスな展開が待っている。
見逃せない展開が続く。
156話の感想記事は上記リンクをクリックしてくださいね。
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第157話 樺太島大サーカス
樺太公演開始
満員の観客を前に、山田座長がサーカス開始の口上を述べる。
サーカスが早速始まる。
長吉はいくつものタライの上で絶妙なバランス感覚で逆立ちしてみせる。
巻き起こる観客の歓声。
長吉はその歓声にさらにV字バランスを披露して応える。
一方、鯉登少尉は自身の演目『一本竹上乗芸』を行っていた。
固唾を飲んで鯉登少尉の演目を見つめる女性達に、鯉戸少尉は長吉から習った通りに投げキッスをする。
あまりの刺激に思わず悲鳴を上げる女性達。
杉元は舞台が盛り上がっているのを悔しそうに見つめながら呟く。
「むう… 見ておれ 鯉登少尉め」
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踊る谷垣
谷垣と月島軍曹は少女たちと同じ衣装に身を包み、少女たちと動きを合わせて踊る。
紅子が谷垣に向かってニコッとほほ笑む。
(紅子先輩…)
紅子とアイコンタクトを交わし、谷垣は落ち着いた様子で小さく頷く。
一方、月島軍曹は練習時と変わらない表情で無難に踊り続ける。
「大独楽回しでございますッ」
裃のような衣装に身を包んだ演者が走りながら太いロープを引く。
大きな独楽が回転している。
それがバカッと開くと、空の独楽の中からチカパシが登場する。
「ヤアッ」
ポースを決めたチカパシに観客たちが盛り上がる。
「チカパシィ!!」
歓声を上げるエノノカ。
「ゲエーッ」
突然吐いたチカパシ。
「おお~~…」
観客たちは普通にチカパシに向けて拍手を送る。
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鯉登少尉の大演目
歓声の中、鯉登少尉は40度の角度で張られたロープの上をバランスをとりながら登る『坂綱』を行っていた。
鯉登少尉はロープの先に自分が大切にしている鶴見中尉の写真があるのに気付く。
ロープから写真が離れていくのを見て、鯉登少尉は猿のような叫び声をあげつつ写真に向かってロープから宙に飛び上がる。
着地したのは、長吉が演目を行っている梯子の上だった。
長吉が梯子の上でバランスをとる崩梯子上乗芸(くずれはしごうわのりのげい)を行っていたが、鯉登少尉が乱入したことでバランスが危うくなっていく。
その様子をハラハラしながら見つめる観客たち。
崩れた梯子の内、長い竹につかまる長吉。
鯉戸少尉はもう一本の竹に頭だけを乗せて絶妙なバランスを保っている。
鯉戸少尉は演目に集中せず、キエエエッ、と叫びながら写真を掴もうとブンブン手を回す。
「キエエッ」
鯉登少尉は写真を追いながら次々と演目をこなしていく。
写真をキャッチしようと飛び上がっては演目をジャックする繰り返しで、今度は空中ブランコ(「ロシア式飛び」)を行う。
猿のように叫びながら、キャッチする側の演者の手を見事に掴む。
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杉元の仕業かと疑う鯉登少尉
鯉登少尉はブランコの勢いを利用して空中に舞い上がり、格好良くポーズを決めて着地する。
地面に置いた手には鶴見中尉の写真。
観客たちは一瞬静まり返り、爆発したかのように歓声を上げる
「軽業の神様は本当におわした…」
山田座長は舞台袖から涙を流しながら鯉戸少尉を見つめる。
鯉戸少尉に感動している山田座長の姿にショックを受ける杉元。
舞台袖に戻った鯉登少尉は、杉元が演目を妨害したと思い、表情に怒りを漲らせる。
「なんと卑劣な男だッ 許せん…!!」
その後も少女団の舞踊を、少女たちと動きを合わせてこなしていく谷垣と月島軍曹。
「かわいい」
観客の女性達から声援が上がる。
エノノカも笑顔で谷垣たちを見つめている。
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演目を終えて舞台袖に引っ込む谷垣を待っていたのは……
演目を終え観客の歓声を背に舞台袖に引き返す少女団。
谷垣は出番をこなせて安堵の表情を浮かべる。
「源次郎ッ!!」
谷垣はビクつきながらフミエ先生に振り返る。
フミエ先生は煙草を一吸いし、谷垣を見つめる。
「よかったわよ」
フミエ先生に褒められて表情を輝かせる谷垣。
その様子を月島軍曹は冷静に見つめている。
少女たちは谷垣に両手でタッチを求める。
演目はいよいよ大トリの不死身の杉元ハラキリショーになる。
杉元は両手を上げて観客に、そしてアシリパに自身の生存をアピールする。
(アシリパさんに届け……!!)
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ハラキリショーの仕掛けに細工
舞台袖で鯉戸少尉は鶴見中尉の写真を二枚を見比べる。
よく見ると違うことに気付き、杉元がこんな写真を持っているはずがないと呟く。
犯人は自分だと名乗り出たのは月島軍曹。
月島軍曹は鯉登少尉の演目を邪魔したのは鯉戸少尉の活躍によって杉元の存在が霞み、樺太公演に出た意味がなくなってしまうことを恐れてのことだった。
鯉登少尉に杉元を煽らせ、意地になった杉元がハラキリショーを頑張るという流れを狙っていたのだが、それが裏目に出てしまったのだと言う。
それを聞いた鯉戸少尉は、まずいと狼狽する。
写真を仕掛けた仕返しに、杉元がハラキリショーで使う、切れないようになっている手品の刀の刀身を、自分の軍刀のそれとすり替えたのだと言う。
「ハアァ 冷たいッ 冷たい冷たいッ」
ハラキリショーの演目を開始していた杉元は、チカパシから右腕に水をかけられながらその冷たさを観客にアピールしていた。
「水が冷たいってくだりもういいからッ」
山田座長が舞台袖からツッこむ。
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第157話 樺太島大サーカスの感想
鯉登少尉、驚異の軽業
やはり鯉登少尉は軽業の申し子、山田座長の言う通り「軽業の神様」だった。
鶴見中尉の写真を追い続け、結果的にはとんでもない演目をこなしてしまう。
他の団員たちは面白くないと思ってるかもしれないけど、でも鯉登少尉のすごさに口を噤むレベルなのかもしれない。
長年サーカスの最前線に立ってきた山田座長をして「軽業の神様」を言わしめるほどなのだから、同じ団員たちが感銘を受けないわけがない。
嫉妬もあるだろうけど、それ以上に見惚れるだろうな。
鯉登少尉の転職先が決まったかな。
金塊について一段落したら除隊してサーカスの道に、とか普通にあり得ると思う。
ゴールデンカムイ完結の際には鯉戸少尉がヤマダ曲馬団に合流していたりするかも……。
自分の才能を見いだし、それを活かせる場所があって、しかもそれで食えるなんて最高だよ。
でも今はまだ心酔している鶴見中尉の金塊奪取に協力するのだろう。
鯉登少尉にこれだけのことをさせるカリスマ性。
鯉登少尉の健気さと鶴見中尉の恐ろしさを感じた。
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ハラキリショーの顛末は?
自身の邪魔をしたのを杉元だと信じて疑っていなかった鯉登少尉は、なんと杉元がハラキリショーで使う切れない刀身をこっそり軍刀のそれと交換していた。
やばい。ショーの成功どころか杉元の命が危うい。
そりゃあ、まず切るのは腕だから腹を掻っ捌くことはないだろう。
でも切るのは腕の内側だしそこを切ったら出血がやばいような……。
そんな緊急事態を杉元は露とも知らず、相変わらず山田座長に注意されていた水の冷たさを観客に伝える無駄な行為を行っている。
果たして杉元は演技ではなく本当に自分の腕を斬ってしまうのか。
多分、普通に鯉登少尉や月島軍曹が止めるんだろうけどね。
じゃないと下手したら死ぬ。
この展開はコミカルなのにスリリングだ。
シリアスな展開じゃなくてもスリルって演出出来るんだな。
続きは今回が合併号だから2週間後。にもかかわらずこの引きの強さは辛い……。
最近は毎週載ってたから慣れてたけど、前は結構休載が多かったからなー。
3週間待つこともあったし。
まぁそれを思えば2週間くらい待てるか……。
158話の感想記事は上記リンクをクリックしてくださいね。