ゴールデンカムイ最新第169話メコオヤシの感想(ネタバレ含む)と考察。山猫出没の噂に尾形を思う杉元たち。亜港監獄に囚われた義賊「金の手」登場。

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前話第168話 灯台守の老夫婦のあらすじ

避難に成功した杉元たち

杉元、谷垣、チカパシは燈台の灯りを頼りに何とか鯉登少尉、月島軍曹らのグループの元に合流する事に成功。
鯉登少尉たちが避難している小屋に入れてもらっていた。

「このスーシュカという菓子パン…お茶うけにとても合う!!」
鯉登少尉が杉元たちを無視するように、テーブルについて優雅にお茶をしている。

その光景を、肩で呼吸をしながら呆然とした表情で見つめる杉元と谷垣。
チカパシは谷垣に小脇に抱えられている。

暖炉の元にいるロシア人の老夫婦が杉元たちを見つめて何か言っている。
月島軍曹が、ペチカの上がこの部屋で元も暖かい、と訳し、杉元らに暖をとるように勧める。

ペチカの上部のスペースにみっちりと詰まる杉元、谷垣、チカパシ。

鯉登少尉はそれを見て、虫みたい、と笑う。

「お前ら命拾いをしたな」
月島軍曹が杉元たちを見ながら声をかける。
杉元たちを救ったあの燈台は、日露戦争以降は使われていなかったのだという。
この人たちがいなかったら今頃カチンコチンだった、と老夫婦に向き直る月島軍曹。
「(ありがとう)」


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翌日。

杉元はエノノカの祖父が自分たちが燃やしてしまった犬橇の代わりの橇を作ってくれるのを手伝っていた。

あっという間に完成した橇に触れながら、感心する杉元。
「ありあわせの材料で作った橇にしては出来過ぎでしょ!! さすがヘンケ(おじいちゃん)だぜ!!」

これで出発できる、と月島軍曹。

谷垣はリュウを見ながら、あの吹雪の中で犬の隊列を乱していたリュウは、実は前を走っていたヘンケの橇について行こうとしていたのだと呟く。

杉元は、疑ってごめんな、とリュウの顎を両手でもみくちゃにするように撫でる。
「やっぱりお前は優秀な犬だぜ 猟犬としてだけじゃなく立派な橇犬にもなれるだろうよ」

ライバル視しているイソホセタに向けて視線から火花を飛ばすリュウ。

月島軍曹を呼ぶ鯉戸少尉。
右手の掌に金槌がくっついているのに驚いてる。


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この気温なのに素手で金属に触ればそうなる、と当然のように答える月島軍曹。

無理矢理剥がすと手の皮が破れます、という月島軍曹の言葉に鯉戸少尉が青ざめる。

「誰か小便かけて融かしてやれ」

「オレ…出るぜ」
月島軍曹の指示に、杉元が真面目な表情で応え、立ち上がる。
「手ぇ出しな」
早速自分のモノをズボンのスリットから出し、杉元は外に逃げた鯉登少尉を追いかける。

チカパシはエノノカと一緒におばさんの手伝いをしている。

炉の炭火の近くに器を置き、何か調理をしているおばさん。
掌から金槌の離れた鯉戸少尉を笑顔で見つめている。

完成した料理が杉元たちの前に並ぶ。


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ロシア料理

なにこの汁物真っ赤じゃん、と楽しそうに呟く杉元。
月島軍曹はこれがボルシチであり、赤いのはビーツというカブの色素だと説明する。

「『美味しい』はロシア語でなんていう?」

チカパシの質問に、月島軍曹は『フクースナ』とだけ答える。

口々に『フクースナ』と呟く杉元たち。

その光景に老夫婦がニコニコしている。

いつもふたりだけなので賑やかな食事はうれしいとさ、と老夫婦の言葉をみんなに伝える月島軍曹。

ご家族は他にいないの? と杉元が問う。

「あの写真は娘か?」
間髪いれずに鯉戸少尉が壁にある写真に指さす。

その写真には一人の若い女性が写っている。

先程までの朗らかな笑顔が嘘のように消え、真剣な表情を浮かべて押し黙る老夫婦。


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待ち続ける夫婦

空気の硬直を感じ、どうしたんだ? と問う杉元。

おじさんが説明するのをじっときく月島軍曹。

月島軍曹はおじさんの話の説明を始める。

夫婦と娘は、日露戦争が勃発する前から燈台守としてここで親子三人で暮らしていた。
しかしある日、彼らの前にロシア軍の脱走兵が現れる。
彼は暫く燈台に居付いていたかと思うと、大切なひとり娘を連れ去っていってしまったのだという。

方々を探したが結局娘は見つからず、軍や政府にも捜索を依頼したが何一つ動いてくれない。

日露戦争が起こり、日本軍が樺太に上陸するとおじさんはロシア政府からあらかじめ、日本軍に燈台を利用されないよう事前に破壊しておくよう爆薬を渡されていた。

しかし娘を探してくれなかったロシア政府に起こっていた夫婦は素直に日本軍に燈台を明け渡したのだった。

暫く後、日本軍にとってはさらに前線となる北の地に新たに燈台が建設され、現在地の燈台は不要となったのだという。


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「でもこのご夫婦は娘の帰りをこの燈台でずっと待っているそうだ」

さめざめと泣くおばさんをおじさんが抱き寄せる。

その光景に食事をする手を止め、押し黙る杉元、谷垣、鯉戸少尉。
エノノカは泣いている。

月島軍曹も黙っている。

杉元は、老夫婦が娘を待つために燈台が残り、おかげで自分たちが命を救われた、と呟きながら娘の写真を見つめる。そして振り返り、老夫婦に訊ねる。
「この娘さんの写真 一枚借りていってもいいか?」


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恩返し

「(色々とありがとう)」
出発を前に、老夫婦に挨拶をする月島軍曹。

「(お願いします 娘を見つけてください)」
杉元の手を取り、目に涙を浮かべるおばさん。

オイ杉元、と呟き、杉元にもの言いたげな表情で視線を送る月島軍曹。

「分かってるよ!」
杉元は、行く先々で聞いて回ることくらいは大した負担にはならないだろ? と月島軍曹を説得する。
「本来の目的が最優先だが何も恩返しせずにサヨナラはできねえよ」

おばさんに、娘の写真を抜いて空っぽになった額に自分の写真を入れておいた、と言う杉元。
アシリパの写真を見せ、もしこの燈台にこのアイヌの女の子が立ち寄ったら、『杉元佐一が生きてる』と伝えてくれと笑顔で頼む。

犬橇に乗り出発する杉元。杉元の後ろにはチカパシ、谷垣が座る。
「よし行け!! トホトホトォー!!」

娘の写真の代わりに額に残された杉元の写真は変な表情を浮かべ、怪しげな手つきで見るものに得も言われぬ感慨を抱かせるものだった。

それを見て無言で呆然とする老夫婦。


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第168話 灯台守の老夫婦の振り返り感想

リュウが可愛すぎる

谷垣や杉元に実は優れていると評価されて良かったなぁ。

166話で、杉元に犬の隊列を乱すなと言われていて可哀想だった。

さすがに谷垣はリュウの行動に何か理由があると勘付いてはいたけど、結局は杉元の、リュウは猟犬であり、橇を引くのには適任ではないという言葉を否定できず、遭難する羽目になった。

リュウの行動を信じることができなかったという点では杉元と一緒だったと言える。
でも今回、きちんとリュウの行動に正当な評価をしてリュウの名誉回復を行ったから良し(笑)。

杉元をわしゃわしゃ撫でられるリュウが可愛すぎる。

そして犬橇のリーダー犬であるイソホセタに引き続きライバル意識を燃やすリュウ。

イソホセタはリュウの事を特に眼中に入れてなくて、それがまた面白い。
リュウが勝手に対抗意識を燃やしているだけという(笑)。

イソホセタがつけている頭のオブジェが欲しいのかな。以前、イソホセタを見て感銘を受けたような表情を浮かべていたような……(笑)。

いつか被れるといいな(笑)。


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「オレ…出るぜ」

掌にハンマーがくっついて焦っている鯉戸少尉に、小便かけて融かせと指示する月島軍曹。

それに応える形で杉元が、オレ…出るぜ、と真剣な表情で言いながら股間に手をやる。

この表情と行動の合わせ技が何ともいえない。今回の話で一番好きなコマだわ。

その後、結局鯉登少尉の手から、手の皮膚が傷つくことなくハンマーが離れるわけだけど、これは杉元の小便を浴びたのだろうか(笑)。

鯉戸少尉の様子を見ると、多分小便を手に受けてはいないんじゃないかなと思う。
普通のお湯で剥がしたのではないか。

月島軍曹もイジワルだな。小便じゃなくてお湯でいいじゃん。火はあるし、外から雪を持ってくれば水だって潤沢にある。
不用意に金属を手に貼り付けていた鯉登少尉への懲罰的な指示だったのだろう。しかしそれにしてもひどい。

でもおかげで杉元の、オレ…出るぜ、のコマが生まれたからOK(笑)。


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ロシア料理

ベリヤニ美味そう。

餃子みたいな料理か~。食べてみたい。

ゴールデンカムイのグルメ紀行はやっぱりいいなぁ。

そしてロシア料理といったらボルシチ。
「ビーツ ボルシチ」で画像検索してみたら本当に赤い!
ビーツ ボルシチ

ふんだんにトマトを使ってますって感じのビジュアル。

ビーツって栄養満点らしい。食べたいんだけどスーパーに売ってないんだよなぁ。

確か長野とか、あとは徳島あたりで獲れるとか。


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娘の捜索

新しいクエストが増えた。

杉元は、あくまでアシリパの追跡が最優先であり、老夫婦の娘の捜索はついでだとしつつも、でも何だかんだ娘を探すのに結構労力を割きそうな気がする(笑)。

でも杉元を責められんわな。実際杉元の言う通り、老夫婦が管理していた燈台が機能したおかげで命拾いしたことは確かだ。
何より娘がいなくなった経緯も、その後の軍や政府の対応も哀し過ぎる。

ここで立ち上がってこそ男だわ。ただただ娘の帰還を燈台の元で待っていただけの老夫婦にとっては、杉元たちが協力してくれるようになったことで以前よりは希望が見いだせるようになったのではないか?

たとえ見つからなくても希望は大事。この話では是非見つかって欲しいし、多分見つかるんだろうけど。
一体どういう形で見つけるのかな。
予想では、多分娘を見つける事で結果的に次の道が開けるんじゃないかと思う。

情けは人の為ならず、という言葉があるけど、良い意味でその言葉通りの結果になって欲しいところだ。


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しかしラストページの、杉元の写真を呆然と見つめる老夫婦の何とも言えない表情には笑った。
何て味わいのある表情なんだろう。
え? これ残してく? って感じの表情。

杉元の嫌~な感じの表情と、ワキワキさせている手が相俟って最低の仕上がりとなっている(笑)。
何でよりにもよって杉元は何故これを残していったのか。こんなのを田本に撮らせてたのかよ。

笑わせて元気づけようと思っていたのかな……。
結果は老夫婦に疑念を与えただけのような気がする。この絶妙な空回り感も杉元らしいわ。

娘が戻ってくるまで、この写真が娘の写真の代わりにここにあり続けると思うと笑える。

月島軍曹は老夫婦の娘と、『いご草ちゃん』とを重ねていたっぽいな。

月島軍曹も故郷に帰還してからずっとえご草ちゃんを探し続け、一時は死んだと聞かされた。しかし鶴見中尉から東京で生活していると言われ、ひとまず安心し、鶴見中尉に忠誠を尽くすようになった。


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でも結局、戦後になって月島軍曹は実際に彼女と顔を合わせてはいないから、月島軍曹は実はまだ、彼女が死んだという可能性を心の中から完全には払拭し切れていないと思う。
死んでいて欲しくないという願いと、鶴見中尉から示された、東京に嫁ぎ暮らしているという言葉を信じたい気持ちがごっちゃになって真実と向き合えずにいるんじゃないかな……。
実は死んでました、という事態に直面する覚悟は案外あると思う。

だから月島軍曹は、老夫婦の娘が実は命を落としているという可能性も脳裏に思い浮かべていたのかもしれない……というのはさすがに考え過ぎだな。

老夫婦との別れ際、おばさんに手を掴まれ娘を見つけるよう頼まれた時に月島軍曹が杉元に言った『オイ杉元…』というセリフの背景に、そこまで深いものは感じられない。
ただ、老夫婦の娘の話を聞いていた時の表情は間違いなく自分と『いご草ちゃん』の境遇に重ねている部分があった。

だからこそ、言ってみれば杉元の独断専横により決まった娘の捜索という仕事に月島軍曹は若干難色を示しつつも、しかしそれを最終的には受け入れたという事なのだろう。

早く娘が見つかるといいが……。


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前話第167話 白くらみのあらすじマタギの知恵雪上に吹き荒れる大風を受け、立ち往生するばかりの杉元たち。 必死に地面を掘って雪と風を少しでも避けようとするが、度重なる雪によって固まった地面を掘ることが出来ない。 結局、杉元たちはほんの少し掘っ...

168話の感想記事は上記リンクをクリックしてくださいね。

第169話 メコオヤシ

新問

ロシアとの国境まで約140キロの地点、新問(にいとい)付近の樺太アイヌの集落に滞在し、杉元は聞き込みを行っていた。

樺太アイヌの子供たちにアシリパの写真を見せ、アシリパ、と繰り返す。

しかし子供は、クワンテカハンキー(知らない)と即答する。

じゃあこっちは? と杉元は今度は燈台守の夫婦の娘の写真を子供達に見せる。
「名前は えーと…何だっけ」

杉元はその名前を忘れてしまうも、月島軍曹が口にした名前を口にする。
「スヴェトラーナ」

先程と変わらず、クワンテカハンキー(知らない)、と子供たち。


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樺太アイヌの家の中。

エノノカがチカパシにこの村でこの間メコオヤシが出たんだって、と楽しそうに話しかける。

それが何なのか怖がっているチカパシ。

「プー(食料庫)のまわりに足跡いっぱいあったって」

エノノカはメコオヤシを樺太アイヌの昔話に出てくる猫の化け物だと説明する。
浜で仕事をしていた人がメコオヤシに追いかけられ、荷物を放り出して逃げた。
その人がさらに舟に乗り逃げていると、今度は浜いっぱいに現れるメコオヤシ。

オオヤマネコだな、と月島軍曹が呟く。


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山猫

「ふん…尾形百之助じゃないのか?」
鯉登少尉が続ける。
「いよいよ奴らに追いついたか」

谷垣は何か思い当たりつつも、口にするのを避けている。

「『山猫の子供は山猫』…」
鯉登少尉が呟く。

そこに、どういう意味だ? と問いかける杉元。

月島軍曹は、山猫は「芸者」を指す隠語で、師団の一部の人間が口にしていた軽口だと説明する。

「本当にくだらねえな…」
目を伏せる杉元。

「あの性格だ 嫌ってる人間も少なくない 私も大嫌いだ」
鯉登少尉はそう言って、「山猫」という言葉は”いんちき”、”人を化かす”などの意味合いの隠語であるとも説明する。
そして、それらが”くだらない軽口”でありつつも、しかし案の定ではないか、違うか? 杉元、と同意を求める。

ただただ仏頂面で黙る杉元。


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チカパシはエノノカにメコオヤシに遭遇した人がその後どうなったのかと問う。

エノノカはメコオヤシから逃げた人が後から、さっき逃げる時に放り出していた荷物を取りに行くと、そこには足跡だけが無数に残り、荷物の全てが無くなってしまったのだという。

「その変な話に教訓があるとすれば……『泥棒猫は撃ち殺せ』だ」
鯉登少尉が呟く。

杉元はそれを黙って聞きながら眼光を鋭く光らせていた。

亜港

アシリパは雪上に大きな足跡を発見していた。
「メコに似てるけど大きすぎる!!」

キロランケは、その足跡はオオヤマネコだ、と呟く。

アシリパは、もしかしてこれがメコオヤシ? と問いかける。
そして、それこそがウイルクが昔自分に話してくれた「ネコの化け物」だったのだと知り、メコオヤシとはこれのことだったのかとテンションを上げる。


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キロランケは、一度だけウイルクとオオヤマネコを獲り、その時得た毛皮が高く売れたと振り返ってみせる。

真剣な表情でその味を問うアシリパに、キロランケは、アクが多くて参った、と答える。
「お前の親父はマズそうな顔してた」

そうか ネコお化け美味しくなかったか、とちょっとっほおを緩ませるアシリパ。
「それも初めて聞くアチャの話だ…」

キロランケはアシリパに、もっと知りたいか? と問いかける。
「昔のウイルクをよく知っているひとがいる 会いたくないか? アシリパ」

「……」
アシリパはキロランケを見つめて問う。
「どこにいるんだ?」

キロランケは、その人はアレクサンドロフスクサハリンスキー、通称「亜港(あこう)」の亜港監獄に収監されていると答える。


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義賊

亜港監獄の一室。

小さな台上半身裸で俯せに伏せている巨体の人物の背中に、看守が鞭の様に細い棒を叩き付ける。

「ハラショー!!」
打たれた人物が叫んだかと思うと、今度は台から身を起こしてまるで看守を威嚇するように言う。
「(もう おしまいかい?)」

証拠が一切ないので処刑ができず、しかし密かに亜港監獄に幽閉され続けている、とキロランケ。
「俺たちが実行した皇帝暗殺の首謀者だ」

「(あんまり優しく撫でるから…寝ちまったよ!!)」
拷問を受けていた巨体の人物は女性だった。

ソフィア・ゴールデンハンド、とキロランケは亜港監獄に捕まっている女性の名を口にする。
そして、彼女が義賊であり、法廷でついた「金の手」という愛称で呼ばれているのだと続ける。

ソフィアはさっきまで拷問されていたとは思えないほど明るく豪快に笑いながら自室へ帰っていく。く。


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山猫の視線

リーダーが女だった事が意外そうな様子の白石。

キロランケは、彼女なら俺も知らないウイルクを知っているはずだ、と続ける。

アシリパは、そんなキロランケを驚いたような表情で見つめる。

キロランケやアシリパたちより離れた場所で、尾形はどこかをずっと黙って見つめていた。
そして尾形が何かに気付く。
尾形の視線の先には、オオヤマネコが雪上に鎮座しており、尾形を見つめ返していた。

尾形とオオヤマネコの視線が交錯する。

突然、尾形、とアシリパが尾形に話しかける。

尾形はそれまでずっと肩に背負っていた銃を下ろす動作に入る。
ゆっくりと銃を手にしながら、アシリパを見つめる。

「行くぞ… 亜港へ向かう」

アシリパに視線を向けた一瞬の間の後、オオヤマネコに視線を戻す尾形。
そこから既にオオヤマネコは姿を消していた。

尾形が何かを探している様子に、アシリパが不意に、なにかいるのか? と尾形に問いかける。

何も言わない尾形。
既に歩き始めていたアシリパたちを追う。

尾形は雪上に残るオオヤマネコの足跡と別の方向に向かう。


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第169話 メコオヤシの感想

山猫

尾形を揶揄する意味で第七師団で用いられていたという山猫という呼称。

芸者、いんちき、人を化かすなど、杉元、谷垣、月島軍曹、鯉登少尉らは大っぴらには口にせずとも、山猫という呼び名には尾形を評すには正鵠を射てる部分もあると感じているようだ。

谷垣は口を閉ざし、月島軍曹は第七師団で”山猫”を口にする連中の軽口をくだらないと一蹴する。

鯉登少尉は月島軍曹の意見に同意しつつも、尾形にそう言わせるだけの原因があると尾形を突き放す姿勢を見せる。

メンバーが尾形に対して様々なスタンスを見せる中で、杉元だけは尾形をバカにするような呼び名に対し、明らかに不快感を抱き、それを隠さない。

素晴らしい。



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杉元が尾形に派手に裏切られたにも関わらず、尾形をバカにする連中の”山猫”という軽口を不快に思うのは、尾形の実力を認めているのと、きっと北海道の旅で少しは彼のことを理解できたという自負があったからじゃないだろうか。

不愛想だったものの、アシリパとの微笑ましいやりとりはあったし、決して気難しいだけという印象ではなかった。

しかしそれにしたって頭を撃ち抜かれて一時は意識不明だったわけで、そんな目に遭わされても尾形の為に怒れる杉元の人間性が好き。

ただ、こんな評価をしておいて、いざ尾形に再会したら即効で怒りで我を忘れたら笑うわ。
杉元はそうなってもおかしくないから面白いんだよね。

杉元は良い男だが、あくまで”良い男”で留めておくべきだ。
”人格者”まで行ってしまうと流石に物語の動きが悪くなってかなりつまらないと思う。

再会したらまず溢れる怒りを表現してみせて欲しい。


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キロランケの誘導

そもそもキロランケはアシリパの記憶を刺激し、金塊にまつわる記憶を呼び覚ます為に樺太にやって来たという。

どうやってアシリパの記憶を呼び覚まそうとするのかと思ってここまで読みすすめていたけど、やはり人と会うのが一番なのかあ。

ソフィアから話を聞くことで、きっとアシリパは幼少期にウイルクから聞いた何かを思い出すとか、もしくはウイルクが日々、事あるごとに言っていた何かよくわからなかった言葉や言い回しの意味に気付くとか……。

色々なパターンはあるけど、アシリパの内に既に金塊の鍵となる情報はあるのは間違いないだろう。

それが何なのか気になって仕方なかった。
そして、アシリパがソフィアと会えればその謎が解けるかもしれないという期待感がある。

山猫の話からアシリパがウイルクの事に言及したのを見逃さず、これ以上ないタイミングで放った一言、「もっと知りたいか?」「昔のウイルクをよく知っているひとがいる 会いたくないか?」。

これはアシリパにとっては相当な誘惑だよなあ。

こんなの聞かれたらそりゃ着いていっちゃうって。やり手のキロランケ。

ウイルクの貴重な情報を知っていると思われる豪傑ソフィアは亜港監獄に収監されている。

この状況で一体どうやってソフィアから情報を得ようとするのだろう。

次号が楽しみだ。

以上、ゴールデンカムイ第169話のネタバレを含む感想と考察でした。

第170話に続きます。

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前話第169話 メコオヤシのあらすじ新問杉元たちはロシアとの国境まで140キロの地点にある新問(にいとい)付近の樺太アイヌの集落に滞在していた。 杉元は樺太アイヌの子供たちにアシリパの写真を見せて、アシリパ、と繰り返す。 「クワンテカハンキー(知...

ゴールデンカムイのアニメ動画配信を快適に観る方法。
ゴールデンカムイのアニメが放送された2018年4月。10月からは2期が始まります。こんなサイトを運営しているからには当然アニメもチェックするわけですが、しかし、実は自分の住んでいるところでは悲しい事にテレビでの放送が無いんですよね。 東京や大阪、北海...

自分はゴールデンカムイのアニメをこの方法で観てます。

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コメント

  1. 淡水魚 より:

    黄金の手のソーニャ
    https://jp.rbth.com/history/79983-roshia-no-dorobo-no-joo
    美貌と演技力で何度も警察の手から逃れた伝説的窃盗犯
    つまらん男に引っ掛かったのと写真が普及して面が割れやすくなったのが運の尽き
    最後はサハリンに収監された

    ビーツの缶詰は輸入食材店で買ったことがあります。
    ボルシチの他に、細切りにして酢が効いたドレッシングでサラダにしたり、
    角切りにしてジャガ芋やゆで卵、塩漬けのニシンとマヨネーズサラダにしたり、
    スメタナと言われるサワークリームで和えたり、というのがロシア料理本に
    出ています。

    • ゴン より:

      コメントありがとうございます!
      返信が遅れてしまい申し訳ありません……。

      おお! 元ネタがあったんですね~!
      すぐ調べてみるべきでした。

      記事化しようかと思います。ありがとうございます!