第282話 一刻
前話第281話あらすじ
函館に到着した杉元たちは五稜郭に向かう。
五稜郭は、囲む堀が一周で1.8キロ、五稜郭を横一直線に横切る場合は約550メートルだと土方。
アシリパからの、五稜郭とは何なのか? という疑問に永倉は、既に壊されてしまったが、元々は函館奉行所で、ロシアからの防衛や欧米との外交、そして蝦夷における政治を担う場所だと説明する。
「城を守るために土で持った防護壁だけが今も残されている」
われわれ幕臣が官軍と戦った最後の地 函館戦争の大舞台だと土方。
「兵どもが夢の跡 五稜郭で我々の夢は終わり そしてまた五稜郭から新しい夢が始まる」
明治30年(1897年)まで陸軍の練兵場として使われていた五稜郭は、今や無人だと牛山。
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「灯台下暗しと言うべきか とにかく大胆不敵だぜ」
感心する杉元。
都丹庵士は一つの疑問を述べる。
「そもそも金塊はどこにあった?」
その質問にすぐに答えたのは白石だった。
「海賊房太郎がアイヌの爺さんから得た話によればここから南西へ7キロ」
白石は海賊房太郎の最期の言葉をみんなに伝えていた。
「函館山のロシア領事館だ」
過去、金塊の位置を知る老人キムシプを伴い、ウイルクたちはロシア領事館の前に来ていた。
アイヌは金塊でロシアから軍艦カレバラを購入しようとしていた。
しかしウラジオストク沖にて、取引相手のロシア将校ごと軍艦は沈没してしまう。
その後、日本との関係悪化もあって代わりの領事が来ることはなくロシア領事館は閉鎖されていたのだった。
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ウイルクたちは図書室の壁を壊した先の地下へと続く階段へ降りていく。
夜が明けて、鯉登父、鶴見がは二人乗りでロシア領事館の元へ急ぐのを確認すると、地下へ降りていったウイルク一行は、保管された”それ”を目の当たりにするのだった。
ウェンカムイにみんな殺されたとキムシプが呟く。
ウイルクたちは松明の光で照らされた”それ”をぽかんと眺めていた。
「……?」
ウイルクが何かに気付く。
「これは…おいキムシプ…! これはどういう事なんだ?」
早く金塊を探そうとする永倉に、白石は「さっきから焦り過ぎだ」と諫めようとする。
房太郎のおかげで鶴見中尉たちを出し抜けた 自信たっぷりの白石。
「鶴見中尉は暗号を何日も解けないかもよ?」
ふと気配を感じたのか、白井は振り返る。
「おや?」
そこには複数の兵士がいた。
第281話の感想記事です。
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第282話 一刻
3人組の兵士たちと遭遇した杉元たち。
パパパァン
兵士たちに先制攻撃したのはを都丹庵士だった。
杉元は塀によじ登り、塀に隠れて様子を伺っていた別の兵士の脳天に銃剣を突き刺す。
その杉元を銃で狙った兵を始末したのは土方だった。
兵士たちを撃退した杉元たち。しかし杉元は、兵士の持ち物から鶴見中尉からの電報が含まれていることに気付く。
『大至急五稜郭へ』と書かれたその電報は、札幌の鶴見中尉から1時間前に送信されていた。
鶴見中尉は1日かけて函館にやってくると予想する永倉だが、杉元は汽車を乗っ取ってでも一直線に、最速でやってくる可能性があると呟く。
早く金塊を探し出そうと慌てる白石。
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土方は金塊は函館戦争が起こる前からあるという机と椅子に気付く。
土方はウイルクたちが来る前から建っていた建物に財産があると推理し、優先してそれらの建物を探すべきと方針を示す。
しかし杉元は、五稜郭の堀に沈めた方が良いのではないかと呟く。
金塊を持ってどこへ逃げるのかと問うアシリパ。
重い金塊を鶴見中尉達が来るまでにどこかへ運び出すこともできない以上、杉元は五稜郭で籠城戦をやることを提案する。
杉元は土方が何か手を打っていると確信し、それが何かを質問する。
午後の汽車で函館に向かっているはずだと土方が言ったそれは、ソフィア率いるロシア軍と戦ってきたパルチザンだった。
さらに土方は、自分たちにもう一つ大きな強みがあると自信に満ちた笑みを浮かべる。
「この土方歳三が五稜郭で戦うのは二回目だ ここでの戦い方をよく知っている。」
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感想
何この展開……。熱すぎ!
杉元+土方にソフィアが率いるゲリラが加わった混成軍で第七師団を五稜郭で迎え撃つのか……。
かつて五稜郭で戦った経験がある土方が、ソフィアたちゲリラを使ってどういう策で応戦するのか今からすごく楽しみ。
五稜郭に籠城する戦いになるわけだから、攻めて来る敵を待ち構えるということは、戦力が少なくてもある程度は戦えるとは思う。
しかしそれもあまりにも戦力差が大きければ、遅かれ早かれ小さいほうは吞み込まれるだけだ。
鶴見中尉がどのくらい兵を動員するはかわからない以上、楽観は全くできない。
鶴見中尉は暗号が解けて間もなく、少なくとも函館付近の兵には電報でいち早く五稜郭に集結するよう打電している。
まさかその電報を受け取ったのは今回杉元たちが撃退した兵たちだけということはあるまい。
鶴見中尉が函館はおろか、その周辺の街の兵にまでも招集をかけていたとしたら、戦力差は絶望的なまでに圧倒的な差となってしまう可能性がある。
杉元たちが100人、第七師団が数千人とかだったらもう話にならない。
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そもそも函館の兵のみで、すでに杉元たちよりも物量は上になるだろう。
おそらくは圧倒的な物量差での、絶望的な戦いになるのではないか。
土方がかつて五稜郭で新政府軍と戦った経験が活かせるのは好材料だ。
地の利を活かした戦略になるんだろうけど、でもそれが数の暴力の前を跳ね返すほどの影響力があるとは思えない。
しかしだからこそ楽しみなんだよな~。
状況が絶望的であればあるほど、どう頭を使って切り抜けるか?
あるいはどういう犠牲を払い、それをどう切り抜けるか、そして目的達成のためにどういう犠牲を払うか?
次回以降の展開に期待。
以上、ゴールデンカムイ第282話の感想と考察でした。
第283話の感想記事に続きます。