第277話 花沢勇作童貞防衛作戦
前話第276話あらすじ
第276話の感想記事です。
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第277話 花沢勇作童貞防衛作戦
アイヌの金塊
鶴見少尉は陸軍第一師団司令部で第一師団長の奥田中将からアイヌの金塊を中央のために見つけ出して欲しいと指示を受けていた。
鶴見少尉は自分の上官を飛び越えて、奥田中将が鶴見中尉に直接指示していることに懸念を見せるが、奥田中将は自分が後ろ盾になると自信を見せる。
「第七師団長の花沢殿には『貸し』がある 今回は少尉は自由に動けるだろう」
鶴見少尉から貸しについて聞かれた奥田中将は、花沢家の醜聞をもみ消したのだと答える。
薩摩と長州の派閥争いに不利に働く醜聞の解決のために、中立の小倉藩出身の奥田中将に助けを求めたのだという。
しかし奥田中将はそれを花沢が見せた弱みだと解釈していたのだった。
奥田中将は鶴見少尉が新潟出身であることを引き合いに出し、薩摩も長州も憎いのであれば、アイヌの金塊で陸軍の藩閥政治を終わらせようと鶴見少尉に訴える。
鶴見少尉はそれには返答せず、質問をする。
「ところでその醜聞とやら…詳しくお聞かせ願いませんか」
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権力闘争にうんざりする尾形
奥田中将と話を追えて、鶴見少尉は尾形、宇佐美上等兵、月島軍曹を伴って外を歩いている。
鶴見少尉はさきほどの奥田中将の話から、奥田中将は中立などではなく、長州派だと見抜いていた。
そして鶴見少尉は、アイヌの金塊が薩摩側の花沢閣下に渡ると、薩摩派が弱くなってしまうことを奥田中将が懸念していることに気付いていた。
そういった藩閥政治に心底うんざりした鶴見少尉。
しかし金塊の情報自体を聞いたことがあり、興味を持っていた鶴見少尉は、ロシアで得ていた金塊の情報の裏がとれたと考えていた。
「北海道へ戻る前に花沢閣下のご令息には会っておく必要があるな 菊田という軍曹にも」
菊田軍曹は杉元に金子花枝子から花沢勇作に帝国ホテルを指定する連絡があったと切り出す。
自分が勇作ではないとバレたらどうなるのかと問う杉元に、菊田は、制服を返してお疲れさんだと答える。
しかし杉元が聞きたいのは、花枝子がどうなるかということだった。
第二の作戦はあるが、ノラ坊が知る必要はないと菊田。
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育成
勇作は陸軍士官学校で電話の交換手の女性から伝言を受けたのかと問われていた。
しかし勇作には全く身に覚えがなかった。
「どういうことか本人に直接聞いてみます」
帝国ホテル。
杉元は女中から服にビーフシチューを零されてしまう。
服をきれいにするという花枝子に風呂場で迫られる杉元。
全裸になった杉元は、花枝子の接近を避けるために風呂場に移動していた。
そこでドア越しに花枝子と会話を続けていた。
「今回の件は他所に触れたら”花沢家にふさわしくないと余分なことを言わないようが良いのかもしれません」
窓際で全裸になっている杉元の姿に焦る菊田。
杉元が籠った部屋に入ろうとしている花枝子。
その現場に鶴見少尉たちが到着する。
花枝子は花沢夫人とどのようなやりとりをしたのかを陸軍にバラすと言って、鶴見少尉は脅そうとする。
しかし鶴見少尉は全く意に介さず、彼女に銃口を向ける。
「お嬢様にとってこれが一世一代の幸せというなら この引き金をひかねばなりまぬ。」
虐殺など許すウの魔物杉元も頃合いを見て
それを部屋の中に手を着けて聞いていた杉元は、公判でからだが強いと思わせたら勝ち。
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感想
杉元はこの頃から菊田特務曹長鶴見中尉や尾形とも面識があったということなのか。
確か戦地ではニアミスしていたような……? ただ、特に互いに存在を認識せず、ましてや会話などしていなかったはず。
それに、そもそも今回の時点では杉元はまだ軍に入っていない。
つまり戦地に行っていないということだから、さらにさかのぼって対面した事実が無い限りは、正真正銘、これが初対面となるわけだ。
ちょっとすれ違った程度ではない、とんでもない初対面だ。特に尾形については、初対面が全裸の男がそれなりに印象に残ってもおかしくないと思う。
しかし1巻の杉元VS尾形の初戦闘の時には特にそんな様子は見られなかった。
尾形の方では色々と丸出しの青年と、不死身の杉元の二つ名を持つ軍人とが結びついていなかったのかもしれない。
そして杉元も、今回の時点では尾形の名を覚えていなかったというだけなのかな。あくまで鶴見中尉の部下として登場したわけで、杉元が尾形の名前を聞く機会がなく、彼のことが印象に残っていなくても不思議ではない。
果たして次はどのような展開になるのかな……。
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結局杉元は花枝子に対して自分が勇作ではないことをバラしてしまっている。少なくとも菊田特務曹長の作戦は失敗の線が濃厚だ。
しかし勇作自身は、自分の知らない所で何かが起こっていることを勘づいてしまった。
結局、菊田特務曹長が受けていた任務自体は成功するということだろう。
鶴見中尉たちという援軍も現れたし、勇作本人も母の企みに気付くようになるので、もうジンクスが破られることはないだろう。
もしかしたら、勇作が母に直接やめてくれと主張するのかもしれない。
事実、その後、勇作は戦地で命を落としている。
尾形の回想で勇作と飲んだ時に女遊びが出来る場所へ誘うような描写があった。しかしその誘いには一切乗らなかったことから、ジンクスは守ったまま旗手として戦地に赴いたのだろう。そして命を散らした。
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戦地で看護婦として働いた過去があるという勇作の母ヒロは、戦地の真実を知っていたために勇作を守ろうという一心で花枝子を差し向けた。
しかし失敗してしまい、その後、勇作はヒロが懸念した通り、戦死してしまうわけだ。
勇作は、尾形の回想では背後から尾形に撃たれたような描かれ方になっている。しかし実際にそれが事実なのかどうかは確定していない。
個人的には、実は尾形が殺していないという落ちであって欲しいところだ。
戦地で勇作を守り切れなくて後悔するあまり、自責の念に駆られて自分が撃ち殺したと思い込んでいる、といった可能性も十分あると思いたい。
ひとまず、鶴見中尉達が乱入して、この後どうなるのか早く続きが読みたい。
以上、ゴールデンカムイ第277話のネタバレを含む感想と考察でした。
第278話に続きます。