第121話 暗中
第120話のざっくりとしたあらすじまとめ
アシリパの叔父から、盗賊団は日中には決して襲ってこない、月の光さえも無い新月の夜に襲撃してくると聞いた杉元一行。
村で都丹庵士が率いる盗賊団の襲撃を待つよりも、自分から盗賊団を探すことを選択する。
杉元たちは、アシリパの叔父が近隣の温泉旅館を経営している和人が何か知っているかもしれない、と助言を受け、そこを目指す。
温泉旅館に着くと、くつろぎ始める一同。
時間はあるからゆっくりしていこうと気分を緩める。
杉元は按摩からマッサージを受ける。
按摩は杉元の筋肉の柔らかさや、通常なら死んでいるレベルで多くの傷を負っても生きているを杉元の肉体に感心する。
温泉に入る男たち。
按摩が帰り際、ゲタのような、舌を打ち鳴らす音がしたら盲目の盗賊が出没するから気をつけろという。
どんな音だ? と問うアシリパにカン、と手本を見せる按摩。
温泉にまでカンカンと響くゲタのような舌を打ち鳴らす音。
いつの間にか周囲を武器を持った男たちに囲まれた一同。
都丹庵士ら盗賊が灯りを破壊し、一帯は闇に溶ける。
杉元たちは何も見えないという圧倒的不利の状況下で、都丹庵士たち盲目の盗賊たちと戦うことになるのだった。
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第121話
「暗くて何も見えねぇ…」その声は白石だな、と都丹庵士。
鉱山業者に雇われたか? と白石に問いかける。
白石は、そっちとは無関係だ、と語気を強める。
入れ墨を写させてくれたら分け前をやる、と取引を持ちかける。
すぐに撃ってこないことから取引の余地を感じとった白石。
「ガキに当てたくないだけだ」
都丹庵士が続ける。
「さっさと風呂から出さなきゃ撃ちまくるぜ」
「言っとくがあくまで出来れば殺したくねぇだけだ」
子供を殺すことに抵抗があるんだな。
都丹庵士は、子供も構わず殺すような根っからの悪人ではないようだ。
即座に着ているベストを脱いで、腕に巻き付ける。「ガルルッ」
「リュウの声だッ」とチカパシ。
駆けつけてきたリュウが都丹庵士に飛び掛かる。
事前にベストでガードしていた腕に噛みつかせる。
聴覚からの情報を最大限活かしているなぁと感じる。
犬の接近に気付いて即座に犬に噛みつかせるための防具を用意するのは機転が利くということ。
リュウに助けられて散開する杉元たち
リュウと格闘して都丹庵士に隙が生じた瞬間、杉元たちは一斉に温泉から逃げる。
尾形は事前に岩陰に隠しておいた銃を手探りの末に何とか掴む。
尾形はさすが。
というか、他のメンバーが警戒心が足りないだけかもしれない。
暗闇の中、あちこちから水音だけが響く。
「ふ~む…ごちゃごちゃでわからんな」と都丹庵士。
都丹庵士と格闘していたリュウは他の盗賊に捕まる。
リュウは見事に大仕事を果たした。
その場から逃げられなかったら都丹庵士に狙い撃ちにされただろう。
しかしすぐに目の前の枝で顔面を強打した白石は、その場に倒れてしまう。
こんな時に何してるんだ(笑)。
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苦戦する杉元
杉元は盗賊に先端にいくつかの鈎がついた槍のような武器で右胸を刺されている。
「………」
じっと耐える杉元。
盗賊が、捕えた、と気色ばむ。
別の盗賊も杉元に攻撃を加える。刺又で首を固定される杉元。
杉元は胸に刺されている槍を無理やり引っこ抜き、盗賊を引っ張る。
盗賊は杉元に引き寄せられる。
すかさず上段蹴りを見舞う杉元。
「こんな傷じゃ俺は殺せねえぞぉ!!」
吠える杉元。
不死身の杉元の面目躍如といったところか。
ぶらぶら振り回してるけどかっこいい。
しかし傷は着実に杉元の生命を削っていく。
全裸での戦闘はやはりきついな。
丸腰の谷垣
谷垣は光の無い真っ暗闇の中を探っていると、左手で柔らかいものに触れる。
「はッ!!」
チカパシだと直感した谷垣。
「チカパシか?」
「逃げるぞ走れっ」
谷垣が「何か」を掴んでを引っ張る。
「痛い痛いッ!!」
谷垣が掴んだ「何か」の持ち主はキロランケだった。
まぁ暗いからしょうがない。
キロランケ受難だな(笑)。
谷垣の握力じゃたまらんだろう。
戦闘
「うおおッ」
股間もブルブル振り回す。
全裸だししょうがない(笑)。
丸腰で武装した敵に囲まれるという、絶体絶命の状況でシリアスな場面のはずなんだけど……。
突如、都丹庵士がカァァァンと舌打ちをする。
杉元は、唐突な異音に驚く。
既に何人かの盗賊を打ち倒していた杉元は股間をブラつかせて音のした方向を振り向く。
都丹庵士がすかさず発射した銃の音が周囲に響く。
「銃声だ」
一人宿にいるアシリパが異変に気付く。
谷垣とキロランケは森に逃げ込んでいた。
谷垣が冷静に状況を分析する。
・同士討ちを出来るだけ避けるためか、銃を持っているのは都丹庵士のみ
・灯りのある方へ逃がさないために旅館を背に接近してきた
あいつら盲目での戦いに慣れてる、と谷垣に応じるキロランケ。
「用心深く銃を近くに隠してたのは尾形だけだ」
谷垣は、また嫌味を言われる、と呟く。
「盗賊たちは尾形が銃を持っていることにまだ気づいていないはずだ」
完全に油断してたなぁ。
姉畑に銃をパクられたことをネタに、尾形にあれだけなじられたのに学ばないな(笑)。
その点、尾形はさすが。ファインプレイ。
尾形の銃撃
暗闇で銃を構える尾形。
戦闘状態になった際は一発目を撃つとき必ずボルトを操作して薬室に弾を送り込む必要がある
尾形の銃は暴発しないように薬室を空の状態にしてあった。
最初の一発目を打つため、ゆっくりとボルトを引いて薬室に弾を送り込む。
都丹庵士は、カ…、キン、とゆっくりと静かに鳴る、微かな金属音を捉える。
「………」
スンスンと鼻を鳴らす。
やはり暗闇で視覚が利かない状況では都丹庵士が有利。
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松明を手に森の中を進むアシリパ。
パキッ
「杉元?」
アシリパの前に姿を現したのは槍を持つ盗賊だった。
「灯りを消せ」
状況が分かっていないから松明の灯りで目立ってしまったアシリパさん。
しょうがないね。
「たいまつに近づくなッ 銃を持ってる奴がいるぞッ」
尾形のボルトの金属音に気づいた都丹庵士が事態を察して叫ぶ。
銃を撃つ尾形。
尾形の放った銃弾は盗賊の頭に命中する。血が飛び散る。
その血がアシリパの持つ松明の火が消す。
都丹庵士は銃声の方向を確認し、森にいる尾形を目がけて銃を乱射していく。
「おおおおおおお」
乱れ飛ぶ銃弾から身を隠し、尾形は冷静沈着に銃を構え直す。
アシリパの持っていた松明が消えて、辺りには完全なる闇が広がっている。
「……」
じっと機を窺う尾形。
(何も見えん)
(あと四発だ 無駄打ちは出来ない)
尾形かっこいい。
この冷静さは尾形の一番の武器。
杉元とアシリパに迫る都丹庵士
都丹庵士が小銃へ弾を装填しつつ、耳では森の奥の足音を捉える。
森の中を走るアシリパ。
何者かがアシリパの身体を捕える。
「離…」
(アシリパさん俺だ……)
杉元が囁く。
杉元に掴まれたアシリパの手にべっとりと血がついている。
「!?」
ショックを受けるアシリパ。
「これは血か? 杉元のか? ケガしたのか?」
左脇あたりの銃弾を受けた跡から血が流れている。
「平気だ」
杉元が何でもないように言う。
「暗くなきゃあんな奴ら俺の相手じゃねぇんだが……」
「コタンコロカムイをひどく怒らせちまったみたいだな…」
杉元は暗闇に包まれた森を見る。
明け方まで逃げ切ったら反撃開始だ、心中で自らに言い聞かせる。
そんな杉元の背後に都丹庵士が迫っていた。
「血の匂いがプンプンする」
しきりに鼻を利かせる。
かなりの出血。
人間、血を流し過ぎたら死ぬという当たり前の事実があるが、杉元は何とかしそうな気がしてしまう。
次回、都丹庵士との決着となるのか。杉元とのバトルが楽しみ。
以上、ゴールデンカムイ第121話暗中のネタバレ感想と考察でした。
次回、122話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。