第217話 北海道にて
目次
前話第216話 謎の白い熊のあらすじ
「いくらくらい？」
白石の頭を齧った白い熊、ホッキョクグマと対峙する杉元たち。
アシリパは時期的に巣穴から出てくるのはまだ早く、穴ごもり出来なかったマタカリプかもしれないと冷静に分析する。
そして、矢を一本でも残しておけば、と空の矢筒を恨めしそうに見るのだった。
杉元は、自分がクマと戦うと言って、アシリパの前に出る。
「それにしてもこんな綺麗な白い毛のキムンカムイは初めて見る」
呟くアシリパ。
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杉元はアシリパの目の前のシロクマを見る目が座っていることに気付く。
「この毛皮…ものすごく高く売れるんだろうなぁ…」
アシリパの言葉に、いくらくらい？ と反応する白石。
杉元はそんな白石を、銃を当てにくくなるからクマを興奮させるなと諫める。
「…で おいくらくらい？」
杉元もまた、興奮を抑えながらもアシリパに白石と同じ質問をするのだった。
普通のヒグマの毛皮が1枚4円で、その何十倍にもなるかもしれないと強張った表情でアシリパが答える。
4円というお金は、米一俵を買える大金だった。
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皮算用
ヴァシリが銃で熊との臨戦態勢に入る。
その気配を受けて興奮したシロクマ。流氷から足を滑らせて海に落ちる。
この状態で倒したらシロクマが海中に沈んでしまうと言って、杉元はヴァシリに撃たないように命じる。
うんうんと杉元の指示に頷くヴァシリだったが、すぐにシロクマに照準を合わせる。
「バーンしたらブクブクだ バーンでブクブクだ わかるか？」
あのシロクマの毛皮が獲れたらしばらく路銀に困らないんだ、と一生懸命ヴァシリに言い聞かせようとする杉元。
しかしシロクマに向けて銃を構えるヴァシリに、業を煮やす杉元。
アシリパは杉元に、毛皮を傷つけないように、出来るだけ一発で仕留めるように声をかける。
傷がなければ高く売れるのかという杉元の質問に、こんな白い皮はめったにないから、と肯定するアシリパ。
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それを聞いて、杉元は再び問いかける。
「じゃあ『一つも弾キズのない毛皮』なら？」
そんなこと出来るはずがない、と生唾を飲み込むアシリパ。
価値は高くなるのかという杉元の確認に、アシリパは答える。
「そんな毛皮…とんでもない値段で売れるぞ」
そんなの不可能だと白石が叫ぶ。
「ましてや射撃の下手な杉元なんかに…不可能に決まってる！！」
杉元は目や鼻から脳を撃ち抜く方法をアシリパに提示するが、アシリパはいずれも傷が返って目立つと却下する。
特に鼻に関しては毛皮の価値が半分以下になると説明するのだった。
口を開けた時に脳か心臓を狙うしかないのか、と言う杉元に、後頭部や胸を突き破るに決まっているとアシリパ。
「一か八かやるしか無い」
海に浮かぶシロクマに銃口を向ける杉元。
「さっさと上がって来いシロクマ！！」
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杉元の記憶にあったクマの斃し方
シロクマが杉元の乗っている流氷に手をかけて上がろうとする。
その瞬間、シロクマの重量を受けて杉元ごと流氷が勢いよく持ち上がっていく。
「うおわッ」
杉元は流氷に放り投げられるようにしてシロクマを飛び越え、対面にあった流氷に転がる。
すぐさま起き上がった杉元の視界に飛び込んできたのは、アシリパたちに向かって歩こうとしているシロクマの後ろ姿だった。
シロクマの接近を受け、白石はヴァシリに撃つように指示する。
杉元の視線はシロクマの尻尾のあたりを見ていた。
次の瞬間、杉元の脳裏にはヒグマの肛門に長ドスを突き立てて見事に倒した若山親分、そしてヒグマ相手に思いを遂げた姉畑先生の姿が思い浮かんでいた。
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狙いを定め、気合とともにシロクマに突っ込む杉元。
銃口がシロクマの肛門に突き刺さる。
「クチはクチでも下のクチだッッ！！」
その状態で放った銃弾は、シロクマの心臓を撃ち抜く。
うつ伏せに倒れるシロクマ。
杉元は見事にシロクマを毛皮に傷一つ負わせることなく仕留めることに成功するのだった。
「やった！！ 杉元の野郎やってのけやがった！！」
興奮した様子で叫ぶ白石。
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元々全身に無数の弾傷を負っていた杉元は、体中の傷から血を出し、力尽きてその場に倒れる。
「へへ…やったぜアシリパさん」
アシリパはそんな杉元の背中を支えながら呟く。
「ムチャしやがって お前のほうが穴だらけなのに……」
白石は、シロクマが乗っている流氷が徐々に自分達から離れていることに気付く。
どんどん流されていくシロクマを、杉元たちはただ見ていることしかできなかった。
フンフンとヴァシリが鼻を鳴らしていることに気付く杉元たち。
ヴァシリが示した先には、人が小舟に乗っていた。
乗っているアイヌらしき人物はこちらに手を振っていたのだった。
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北海道へ
杉元たちはアイヌのおじさんが操船する小舟に乗っていた。
おじさんは杉元たちが真っ白なキムンカムイ（クマ）を仕留めたと聞いて、戻って探しに行くかとアシリパに問いかける。
しかしアシリパは杉元の容態を鑑み、シロクマは諦めてどこかで杉元を休ませたいと答える。
アイヌのおじさんは何十年か前に自分たちの村の男たちが白い毛の子熊を見つけた時の話をする。
白い毛の熊を特別なカムイだと喜んで熊祭りで送ろうとしたが、噂を聞いた役人が白い毛の熊を連れて行ってしまったのだという。
「一緒にいた子熊の兄弟は黒い毛だったので白い毛で生まれたヒグマだった」
おじさんの話を聞いていた杉元が呟く。
「白いヒグマが偶然『マタカリプ』になってなぜか流氷の上をうろついていたのか」
「はるばる北極圏から流れ着いたホッキョクグマなのか……どっちだったんだろうな…」
アシリパは笑顔で、遠くに見えてきた陸地に向けて指を差す。
「みんな…！！ 北海道にもどってきたぞ」
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生存
数日後、鯉登少尉は父、鯉登少将が指揮する船に乗せられ樺太を出港していた。
「情けんなか…」
ハンモックにぐったりと身体を横たえた鯉登少尉が力無く呟く。
そばに立っていた鯉登少将は周囲を見回し、誰もいないことを確認して息子に声をかける。
「生きちょりゃよか」
月島軍曹は甲板に立ち、海を見つめていた。
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第216話 謎の白い熊の振り返り感想
緊迫感とコミカルさが同居したクマとの対決
クマに襲われるって本来はとんでもないピンチのはずなのに、杉元たちにとっては獲物でしかないんだな（笑）。
アシリパさんの「高く売れるんだろうな」という熊の毛皮の値踏みから、白石と杉元の顔色が一気に変わる流れは笑った。
余裕あり過ぎだろ。
杉元たちが興奮する中、銃を構えるヴァシリが頼もしい。
「撃つな」と言われても、それが思うように理解できていなくて杉元に怒られていたけどそれはご愛敬。
結局は撃たなかったし、杉元とのコント面白すぎ。
ヴァシリのキャラ付けをこういう形で行うのかと思った。
そして何より、アシリパさんからクマの毛皮を傷つけずに仕留めれば値が上がると聞いた杉元が思いついた策にも笑った。
ヒグマの肛門に長ドスを突き立てた親分はともかく、姉畑先生まで思い出すのか……。
というか、親分は見事に仕留めたけど、姉畑先生はその後死んだだろ（笑）。
なぜ関連付けているのか。
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クマを毛皮に傷をつけることなく倒す方法を思いついた瞬間の杉元がかっこいいんだけど、その脳裏で親分はともかく、姉畑先生まで思い出してるのは、対比として面白すぎる。
しかし杉元は、親分と姉畑先生からヒントを得て、見事に肛門から突っ込んだ銃身から放った銃弾で心臓を撃ち抜いた。
毛皮に傷一つつけずに仕留めることに成功したわけだけど、その後、シロクマを乗せた流氷が流れていってしまって結局毛皮を取り損なったのは残念。
シロクマと戦ったのは単に襲われて逃げきれないから撃退しようとしただけではなく、今後の旅の資金を稼ぐためでもあった。
お金は足りているのかな？ と思ったけど、おそらく杉元たちの様子から、旅の資金に関してはそんなに差し迫った問題ではなかったのかな。
そしてアイヌのおじさんの小舟に拾われて、ようやく北海道に到着。
しかし北海道の北の沿岸部には、すでに第七師団が杉元たちを捜索するために網を張っている。
いきなり第七師団との戦いになってもおかしくない。
これから第七師団との激しい戦いの傍ら、残りの囚人の刺青人皮収集と暗号解読か。
楽しみだ。
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鯉登少尉と月島軍曹の今後
予想はしていたけど、やはり鯉登少尉は生きていた。
やっぱ月島軍曹は頼れるなぁ。
鯉登少尉が杉元に刺された後、迅速に医者に処置をお願いできたということだろう。
普通に死んでいてもおかしくないやられ方だったから処置が遅れていたら危なかったと思う。
そもそも、あの流れであっさり死んでいたらそれはそれで驚きだったけど、まさかそんな雑な扱い方はしないだろうと思っていたから生きていて良かった。
周りに人がいないことを確認して、初めて親としての言葉を息子にかける鯉登少将。
素晴らしいやりとりだと思った。
わずか1ページ。4コマでジーンときたわ……。
このわずかなやりとりで、二人の親子の絆が垣間見えた。
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今回の一連の経験を経て、鯉登少尉は鶴見中尉への忠誠を持ち続けられるのだろうか？
刺された直後、鯉登少尉は鶴見中尉の自身への態度を見ていたのであれば、それだけで鶴見中尉から離れてもおかしくない。
そして何より、鶴見中尉は鯉登少尉だけではなく、自分に優しい言葉をかけてくれる父までも騙していた。
おそらく鯉登少尉は、自分だけならともかく、大切な父を利用されることに特に怒りを感じるタイプなのではないだろうか。
鯉登少尉が鶴見中尉に敵対心を抱いてもおかしくない状況が整ったと思う。
あと月島軍曹も、刺された鯉登少尉を鶴見中尉が無視した瞬間を目撃して、おそらく敵対心を胸に抱いているっぽい。
正確には、以前から胸の内にあったそれが育ってきたとでもいうのか……。
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これまで鶴見中尉を崇拝し、忠誠を尽くしてきた鯉登少尉が刺されても、それを全く歯牙にもかけない態度を月島軍曹に見せてしまったのは鶴見中尉にとっては失策だったのではないか。
人心掌握に長けている鶴見中尉らしからぬミスだと思う。
あの時はアシリパさんと杉元を追うのに必死だったからなのか？
そんなことはないと思うんだけど……。
とにかく、鯉登少尉と月島軍曹が鶴見中尉に対して従い続けることに疑問を持ち、以前ほどは忠誠心を抱けなくなってきているのは間違いないと思う。
果たして鯉登少尉と月島軍曹は自分たちの行動をどう選択していくのだろう。
今後の二人の動きには注目したい。
ゴールデンカムイ最新第216話謎の白い熊ネタバレ含む感想と考察。第215話あらすじ...216話の感想記事は上記リンクをクリックしてくださいね。
第217話 北海道にて
追跡
尾形はアシリパたちが泊まっていた旅館の女将から話を聞いていた。
女の子が乗った連絡船は砲撃されたらしいという女将に、尾形は女の子が捕まったかどうかを確認する。
女将から、女の子は北海道の近海で船から流氷に下りて逃げたと聞いた尾形はニヤリと笑みを浮かべる。
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尾形は船賃がないにもかかわらず、連絡船に乗船していた。
そんな尾形の処遇に困り果てていた船員は、船長の元に尾形を連れて行き、判断を仰ぐ。
尾形はおもむろに、日露戦争の樺太作戦で負傷してから今まで寝た切りだったと語り出す。
そして、年老いた両親の待つ北海道へ帰りたいが船賃がないと言って、船賃の代わりと言ってはなんですが、と頭を下げる。
尾形が両手で差し出したのは魚の干物だった。
「棒鱈です」
船長は尾形に同情して涙を流していた。
「……乗りなさい」
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ある男の死
森の中。
男はクマから逃げていた。
クマに気をとられて前方不注意だったため、額に枝を引っかけて横一文字の引っかき傷ができていた。
懸命に逃げていた男だったが、クマを振り切ることができず、ついにクマに捕まってまう。
雪の上に押し倒されクマに食われる男。
クマはくちゃくちゃと男の肉を咀嚼する。
男の腰にはクマがデザインされた入れ物下げられている。
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熊を狩る
杉元たちはアイヌと森の中を進む。
アイヌの猟犬は雪上にクマの巣が近くにあることを示す黄色のシミを見つけていた。
アイヌはヒグマの巣穴周辺の雪を取り除くと、3本の木の棒を使って三角形を作り、穴に設置する。
アシリパはその意図を説明し始める。
熊は抱き込む動作を行う。
その習性を利用して、穴から出てきた熊に、穴の入り口に設置した木の棒を引き込ませて穴の中に閉じ込めて、その隙にクマを狩るという狩猟法だった。
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見事にクマを獲ったアイヌは、しかしクマの巨体を自分たちだけでは持ち帰ることはできないとして、翌日人を連れて取りに来ると一本の木の棒を付近に立てる。
「ネウサラカムイ」と呼ばれるその棒は、クマが寂しくないように、一晩中の話し相手になってもらうための神だった。
その説明にほっこりする杉元。
「やさしい…」
アイヌは、クマは山奥の神であり、心の良い人の猟犬に自分から捕まったり、あるいは自ら矢に当たりに来ると考えられているとして、クマを獲ったら丁重に扱うと説明する。
「そうすればその人のところにクマの毛皮を着たカムイがどっさり肉を持って何度でも遊びに来る」
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金策
杉元たちはアイヌのコタンに戻っていた。
コタンの家々を眺めながら、北海道って感じがする、と杉元。
「戻ってこれたな 北海道に……」
アシリパが杉元に続く。
杉元たちはアイヌの家の中で寛いでいた。
スルクオプという毒を調合する器具で作った矢毒を矢尻に仕込むアシリパ。
これは本当に死ぬから次はしっかり避けろよ、とアシリパに言われて白石の顔色が曇る。
「もうやめてぇ～？」
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白石は、これからどうするんだ？ と切り出す。
「俺たちだけで金塊を見つける『策』はあんのかい？」
白石の問いかけに、鶴見陣営と土方陣営の刺青人皮を奪うしかないのでは？ とアシリパが答える。
「なんとかそいつらをぶつけて…かすめ取る！」
『漁夫の利』ってあるだろ？ と続ける杉元。
「言うのは簡単だぜ」
白石はそう言って、仰向けに寝転がる。
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白石は仰向けに寝転がったまま、猟で捕まえた子熊に自らの乳をあげているアイヌの女性をじーっと見つめている。
「10日間かけてヒグマ2頭と子熊…」
路銀は必要だが、それを稼ぐのが目的の毎日では良くないと言って、さきほど狩りについて行ったアイヌに、金儲けの話はないかと質問する。
南のコタンからウェンカムイ（人を殺したクマ）退治を頼まれているとアイヌ。
白石は、他にはないのかと問いかける。
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アイヌは、ウェンカムイは全く捕まえることができておらず、去年から5人、いずれも川で砂金を採っていた者たちばかり殺されていると答える。
「砂金？」
杉元が反応する。
アイヌは、みんな砂金をとりたいのにウェンカムイがいるため怖くて川に近づけないと答える。
「まだ砂金が採れる川があるのか？ 俺は全然採れなかったけどなぁ」
杉元の言葉に応えるアイヌ。
アイヌはここから南にある雨竜川で、最近砂金を掘って大儲けしている男がいるそうだと噂を口にする。
金が欲しいならウェンカムイに見つからないように砂金を採ったら良いとカムイは続ける。
「そいつは一日50円稼いだとか…」
（ごじゅうえんも！？）
真顔になる杉元、白石、そしてヴァシリ。
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『平太』
男は両手に薪を抱えて、森の斜面を歩く。
しかし足を踏み出した先が雪のみでバランスを崩した男は斜面を転がっていく。
崖に投げ出される前に、ギリギリで木の根っこを掴み踏み止まる男。
「誰か！！ 助けてくれッ 誰かあああ！！」
川にいた男たちは、男の切羽詰まった悲鳴にすぐに気付く。
「平太！！」
今にも落ちかかっている平太を救いに駆けだす。
しかし平太は落ちかけていた。
両手で掴んでいた木の根が、自重でじりじりと手の中から抜けていく。
「ダメだ！！ 落ちるッ もうダメだ…」
「間に合った…」
平太の手をがしっと掴んだのは杉元とアシリパだった。
平太の額には横一文字のひっかき傷。
平太はクマに襲われ、食われたはずの男だった。
その腰にはクマのデザインの小物入れがある。
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第217話 北海道にての感想
刺青人皮の持ち主か？
平太はまだ確定ではないけど、なんだかそんな雰囲気があるような……。
囚人には皆それぞれ特徴があった。
平太には、杉元のお株を奪う不死身という能力があるということなのか？
いや、杉元だってクマに食われたら死ぬだろう。
平太の額には横一文字の傷、そしてクマのデザインの入れ物がある。
それらは冒頭でクマに食い殺された男と同一人物である可能性が極めて高いことを示している。
つまりクマに食われて絶命したはずの男が生きていたと言うことなのか、それともそもそも冒頭の人物と平太は別の人間なのか？
今のところは前者だと考えた方が良いのかな？
他人の空似、もしくは双子かと思ったけど、クマのデザインの入れ物はともかくとして、額の傷まで同じと言うのはおかしいし……。
今のところ謎だらけ。
新展開と言う感じがして楽しい。
何だか不気味な感じがするけど……。
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アシリパさんを追う
尾形の追跡開始。
どうやら尾形はアシリパさんに執着しているようだ。
やはり尾形は不気味だな……。
何が不気味って、その目的が見えてこない事だよな～。
目は死んでるけど、ビジュアルも戦闘スタイルもかっこいいし……。
尾形の目的ははっきりとしていない。
しかし間違いなく尾形から追跡されているアシリパさんに危険が迫っていることはわかる。
そもそも右目を奪ったのはアシリパさんなんだよな……。
しかし尾形がアシリパさんを探すのには、もっと別の目的があると思う。
その有力かなと思われる説は、尾形が自身の腹違いの弟である勇作とアシリパさんを重ねているからなのか？
自分の燻ぶった鬱屈した想いを何かにぶつけたいのかな。
まだまだその詳細が明かされるのは先になるだろう。
次回は、とりあえず平太が何者なのかが掘り下げられるだろう。
一体どういうカラクリでクマに襲われた男が平然と生きていたのか？
次回に期待。
以上、ゴールデンカムイ第217話のネタバレを含む感想と考察でした。
218話の感想記事はこちらです。
ゴールデンカムイ最新第218話砂金堀り師たちネタバレ含む感想と考察。第217話あら...