第94話 機能美
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「その瓶を渡しなさいッ」
医者と月島軍曹がベットに寝ている二階堂と瓶を取り合っている。
「ヤダーッヤダヤダヤダ」叫ぶ二階堂。
二階堂が子供のようになっている。
ちょっとかわいいかもしれん(笑)。
「鶴見中尉殿!!」
「二階堂がモルヒネを瓶ごと盗み隠れて自分で打ちまくっていたのです!!」
何やらヒソヒソ言う二階堂。
「過剰摂取で死んでもしらないよッ」と医者。
「二階堂ダメだぞ!!お医者さまの言う容量を守らないと…」という月島軍曹に、
「返してッ」と叫ぶ二階堂。
「ダメッ二階堂ダメッ!!」
自らの右手でチョキを作って、自らの左手のチョキを叩きながら言う鶴見中尉。
何か微妙にかわいいぞこの連中。
お医者さまとかダメッとか(笑)。
主人公である杉元らの敵役のはずなのに憎めない奴らだ。
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ヘッドギアに縫い付けられた自らの耳にヒソヒソ囁く二階堂。
「足が無いと杉元を追えないね? 杉元を殺せないね?」
やっぱりますますヤバくなっていた二階堂。
とんでもない化けものになる過程のような気がしてならない。
杉元危うし、だと思う。冗談抜きに。
「ダメだ二階堂ッダメダメッ!!」また自らの手をビシビシやる鶴見。
鶴見中尉かわいすぎ(笑)。
「鶴見中尉殿 家の前に誰かいます」
二階堂から押収したモルヒネの瓶を嗅ぐ鶴見に言う月島軍曹。
「もし…どちら様?」と尋ねる月島軍曹。
(どこかで見た気が……)
「私が何者かとな?」
「私は君が肩に担いでいる小銃をつくった者であるッ」
月島軍曹の銃を指さして言う。
まぁーた濃いキャラがきた。
濃いキャラの出し過ぎで物語そっちのけになってパンクしたりしないかこの漫画(笑)。
ここまでは何の問題もなく物語が構築されてるから心配ないけど。
(アリサカ?)驚く月島軍曹。
(天才的銃器開発者……陸軍中将有坂成蔵!?)
「とあッ」飛び降りる有坂中将。
「失礼いたしました」敬礼する月島軍曹。
「元気だったかね鶴見くんッ」着地に失敗しても平静を装って言う有坂中将。
やっぱ濃いキャラだった。
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「有坂殿は長年の兵器開発で聴力が弱くなっておられるのだ」月島軍曹に言う鶴見中尉。
「いかがでしたか旭川は」鶴見中尉は有坂中将に問う。
「気球部隊を旭川に作ったらしくてね」ガミガミ続ける有坂中将。
「気球に何か兵器を載せたいらしいのだ」
気球は水素で浮かぶから一発撃たれたら終わり、偵察にしか使えないと言う。
「これからは飛行機の時代だよ」
鶴見中尉と有坂中将の様子を見て驚く月島中尉。
(有坂中将がわざわざ鶴見中尉に会いに小樽まで……?)
(全くこのひとは底が知れん)
いち中尉とは思えないほどの交友に驚く月島軍曹は
やはり鶴見中尉とかに比べると常識人の範囲に入るんだなぁ。
「相変わらず頭の傷が痛むのかね」
「そういや鶴見くん寒冷地に適したケシの栽培は軌道に乗ったかね?」
「農地を広げるべく金策に走っております」と答える鶴見中尉。
「アヘンは儲かるよ!いま英国が国際世論に圧されてアヘンから手を引き始めてるからね」
「満州のアヘン需要を一気に英国から奪い取れるよ」笑う有坂中将。
「有坂殿!!ケシの栽培の話はどうか内密にッ」と鶴見中尉。
現代から見たらこの連中はヤバい奴らでしかない(笑)。
ただ、この場合のアヘンの栽培目的は医療用も多分にある。
戦争で傷つく兵士がいる限り、鎮痛薬として重宝され続けるから。
今北海道に自生している大麻は
連中のせいだってことになったら笑える。
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「部下の南部君が設計した三八式機関銃と三八式歩兵銃だ」
「美しい……」うっとりしながら言う鶴見中尉。
「美しさがこの銃の機能美をものがたっている」
「売れますよこの銃は…!!」
そういえば鶴見中尉の野望に武器作って輸出することも入っていた。
野望に近づいたという高揚感が伝わってくる。
【三十年式歩兵銃をベースに開発された三十七式歩兵銃は第一次大戦では大量に輸出される大成功した商品】だという。
おびただしい死者を出した大戦で何人の命を奪ったのか考えると恐ろしいことだなと思う。
「つくづく呪われた仕事だ!!」
「あなたは美しいものが作れてしまうんですから作ったら良いんです」鶴見中尉。
「美と力は一体なのです 機能美を追求した結果強い武器が生まれたのです」
「美しいものは肯定すべきです 有坂中将殿の作られた二十八CM榴弾砲も美しい兵器でした」
「二十八CM榴弾砲の援護射撃が敵味方を問わず若い男たちの身体を引き裂き臓物と血の雨を降らせた」
「私はその血の雨の中を走りました 圧倒的な力が生み出す美しさでした」
有坂中将、一応心を痛めてはいるのか?
鶴見中尉は……やっぱヤバいね。
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「鶴見くん頭がどうかしておる」と笑う有坂中将。
「前頭葉が吹き飛んでおりますッ」笑う鶴見中尉。
無表情でその様子を見る月島軍曹。
いちばんの笑いどころ(笑)。
それと日本の高品質な武器の製造のために鶴見中尉はアイヌの金塊を
それらの原資としたい。
(戦争が道民の仕事を生む)
(戦争が起き続けなければいられなくなる)
(まさに戦争中毒)
ばばばばと口で言いながら撃つ真似をする鶴見中尉と有坂中将。
これは恐ろしいことになってきた。
鶴見中尉と有坂中将の無邪気な様が面白くもあり、それ以上に恐ろしい。
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「ヒグマ?」問い返す有坂中将。
「ヒグマに襲われた部下がいますがこういいました」
「美しい生き物だったと」
「面白い部下だ」と有坂中将。
「有坂殿!彼は今酷く落ち込んでおります 無理を承知でお願いしたい!人肌脱いでいただけないでしょうか」と鶴見中尉。
またモルヒネを手にしていた二階堂から取り返そうとしている。
「二階堂!!」
叫ぶ鶴見中尉。
「貴様に素敵なお客様がお見えだッ」
兵器開発者と足を失った男。
やばいにおいがしてきた。
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「どうぞお入りください」と入り口に手を向ける鶴見中尉。
出てきたのは全く見知らぬ怪我をした人。
「誰? この人」当然の質問をする二階堂。
同様の質問を心の中でしているような月島軍曹。
「誰?」「ねえ…!!」「誰なの?怖いよおッ!!」
「誰だお前!!あっちへ行けっ」と追い払う鶴見中尉。
本当に誰だよ(笑)!!
ここでクッション入れてくる野田サトル先生。
鶴見のツッコミで笑った。
「わああッ」「誰?」二階堂、当然の疑問。
「キミに贈り物を渡しに来たよ!!」
「贈り物?なあに?」
「気に入ってくれると嬉しいんだが!!」
「キミの新しい足だよ!」
「なんだ義足かぁ」ため息をつく二階堂。
「ただの義足ではないッ」義足の足裏から銃弾をぶっ放す有坂中将。
やっぱり兵器だった。
弾がドアに大穴を開けるとは。
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「散弾が2発入る」続ける有坂中将。
「小銃の実包ならもっと装弾数が多くなっただろうが仕込み銃なのでどのみち不意打ちの接近戦以外では使えないだろう」
「近距離で確実に相手の動きを止めるなら散弾の方が有効だ」
「ありがとう 知らないオジサン!!」喜ぶ二階堂。
「お前ら病院で何やってんだーッ」ドアを開けて叫ぶ医者。
アッハッハと笑う鶴見中尉と有坂中将。
やっぱ極悪兵器だった。これはヤバイ。
二階堂!!
この最後のいちページのシュールさは読まないと分からない。
今回は復讐の鬼がまたグレードアップした話だった。
今後の二階堂の出現が楽しみ。
以上、ゴールデンカムイ第94話のネタバレを含む感想と考察でした。
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