第70話 アムール川から来た男
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ひも付きの下駄のような遊具で遊ぶオソマの様子を見ている谷垣。
「オソマは最近そればっかりだな 飽きないのか?」
オソマ超かわいい。出てくる度になごむ。
「谷垣二ㇱパ」オソマは息を切らせながらセイピラッカを谷垣に渡す。
「指ではさんで? 馬だ馬だって言いながら遊ぶ? わかったじゃあ行くぞ」
貝殻が谷垣の重さを支えきれず粉々に崩壊し、谷垣の足に突き刺さる。
「お婆ちゃん呼んできてくれッ」
谷垣せっかく怪我が治ってきたのにまた怪我してしまうとは。
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牛山が家永にご飯を食べさせながら、自分、家永、土方、辺見(コピー)、白石(コピー)、尾形が持ってきた一枚の合計六枚が手持ちの刺青だと尾形に説明している。
それをじっと聞いていた尾形は一度頭を撫でつける。
「変人とジジイとチンピラ集めて蝦夷共和国の夢をもう一度か?」
「一発は不意打ちでブン殴れるかもしれんが政府相手に戦い続けられる見通しはあるのかい?」
「一矢報いるだけが目的じゃあアンタについていく人間が可哀想じゃないか?」縁側で新聞を読む土方を見る尾形。
「のっぺらぼうはアイヌなんだろ?」と尾形。
「鶴見中尉はそこまで掴んでいたか」と永倉。
ついにのっぺらぼうの正体に近づいた一行。
とはいえまだまだ謎は残る。
アイヌの葬式では副葬品に傷をつけ、この世での役目を終わらせる。
その行為によるものと思われる傷が殺された七名の持ち物についていた。
死体をバラバラにしながらも丁寧にその行為を行っていることから尾形は懺悔のようなものを感じたという。
懺悔。せめて出来るだけアイヌ式に、忠実に送ってやりたいということか。
アイヌではなくても、アイヌの風習に詳しい人間だというとはうかがえる。
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「殺された七人は各地の村の代表者で和人と戦う武器を買うため金塊に手を付けた」
「のっぺらぼうの目的がアイヌによる北海道独立ならばどうして仲間割れした?」
「殺された7人が金塊欲しさに裏切ったのか?」
「おそらくのっぺらぼうはアイヌになりすました極東ロシアのパルチザンだ」土方があとを引き継ぐように話はじめる。
「なに?それ…」牛山が疑問を口にする。
土方が説明する。
ロシアは一枚岩ではなく、主に三つの勢力に分かれて覇を争っている。
白系ロシア人が支配する帝政ロシア、レーニン率いるユダヤ系の共産党、そして極東に住む少数民族などで構成されたパルチザンである。
「つまりのっぺらぼうは極東ロシアの独立戦争に使うためアイヌの金塊を樺太経由で持ち出そうとして失敗したのが今回の発端なわけか」
尾形が推理を進める。
「ジイさんあんたこれっぽっちものっぺらぼうを信用してなかったんだな」と牛山。
「ということは監獄の外にいるのっぺらぼうの仲間も…」
土方答える。「アイヌに成りすましたパルチザンの可能性が高い」
描かれる煙草をふかすキロランケの後ろ姿。
まさかキロランケが裏切り者になるのか?
のっぺらぼうの娘アシリパと面識があるわけだし、現状怪しいのはキロランケになってしまう。
キロランケはかっこいいから味方であって欲しいところ。
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壁にかかっている弓を見て良い物だと感想を言うアシリパ。
ダンは実際にとても良いものだと説明する。
続けて、杉元に、弓をあげる代わりに若山親分の刺青について聞かせてくれという。
忠告として刺青に関わると命を失うと言う杉元。
それに答えず、杉元ら一行に一冊の本を見せるダン。
本の表紙には人の顔の部分の皮が貼られていた。
キロランケやっぱいいやつだと思ってしまう。
裏切るなんて思いたくない。
本は不気味そのもの。ただ質は良さそう。何年も風化せずに遺っていきそうな本だと思う。
実際にあったら本当に怖い。
ここにあるまでの来歴としては色々な人間の元を渡り歩いてきて最終的に泥棒が民家から盗んだということだが、結局詳しい出どころはわからない。
そしてもうひとつ本にまつわる話があり、泥棒が侵入した家にはヤクザの刺青とは違う奇妙な刺青の皮があったという。
外に出た杉元はいったん手持ちの刺青人皮について整理する。
後藤、ザコ、二瓶鉄造、辺見和雄、若山親分、白石の六人分。
鶴見中尉が少なくとも一枚もっている。
さきほどの話を思い出し、本に皮を貼った人物がいるとされる夕張に思いを巡らせる。
全24枚中杉元6枚、土方グループ6枚だけど白石と辺見の皮情報は被るからこの2グループで実質10枚。
鶴見中尉は少なくとも1枚もっているからまだせいぜい半分の刺青人皮がゲームの俎上に乗っているだけであって、まだまだ刺青集めは中盤戦であるということだ。
まだまだゴールデンカムイという話の終わりが見えないのが嬉しい。
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身寄りが無く、ガードが緩いため炭鉱夫の死体がたびたび掘り返される墓地で鶴見中尉たちは何かを待っている。
自身のとれた左耳を鶴見中尉の耳と比べる二階堂。
「どうした二階堂」
「洋平の耳 やっぱり鶴見中尉にそっくりです」
「鶴見中尉の左耳いただけませんか? かたっぽじゃ可哀想です」本気の二階堂。
「わかったわかった私が死んだらくれてやる」諭すように言う鶴見中尉。
二階堂いい感じに頭が壊れてきている。鶴見中尉もさすがの余裕を持った返答。
問題の墓には人影がひとつ。
「ホントですか? 鶴見中尉」二階堂は、立とうとした瞬間足の下の木の枝を踏んでパキッと鳴らしてしまう。
人影に気づかれ、走って逃げられる。
「追え」月島軍曹に命じる鶴見中尉。
「殺すなよ二階堂ッ」月島軍曹が二階堂に命じる。
「落とし物だ」人影の立っていたあたりに落ちていた手袋を拾って言う鶴見。
その手袋には指紋まで再現されている。
まるで人間の手の皮そのままを手袋として再構成している物にみえる。
「届けてやろう」鶴見は手袋をはめながら言った。
この手袋はまさに手袋だ。こんな狂ったものを作った人間。
どんな頭のヤバい人間によるものなのか楽しみ。
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