第83話 恋占い
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山の中の川辺を進む杉元、アシリパ、尾形、牛山の4人。
その土地に住む人にとって見慣れない人間の集団は目立ち、
その目撃証言を辿って追跡を受ける可能性があるので
一行は樺戸監獄までは人を避けて進むことに。
アシリパが声を上げる。
「トゥレㇷ゚タチリがいる」「ヤマシギだ」
アイヌの女が山菜を獲りに行く季節にヤマシギが現れるという。
くちばしがアイヌの道具トゥレㇷ゚タニ(オオウバユリの根を掘る道具)に似てるため
ウバユリを掘る鳥と呼ばれている。
アシリパさんはスムーズに説明する。
「美味いの?」
「脳ミソが美味い」
杉元の問いによだれを垂らしながら即答するアシリパさん。
「おい! 尾形、やめておけ」
アシリパさんは素早くヤマシギに銃の照準を合わせる尾形を制した。
1羽仕留めても他に逃げられる。
蛇行して飛ぶヤマシギは尾形の持つ銃で当てるのは難しい。
と説明し、ヤマシギの習性を利用した罠、アイヌの知恵でみんなの分を獲ることを提案する。
「フン…」と渋々引き下がる尾形。
アシリパさんはさすが。
体験知や長年蓄積されたアイヌの知恵に基づいて発言するので言う事に説得力がある。
さすがの尾形もこういった狩りに関してはアシリパさんにかなわないようだ。
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翌日、罠にかかっていたヤマシギは2羽。
たくさん罠を仕掛けたのに2羽しか獲れず若干不機嫌なアシリパさんと一緒に
杉元は獲れたヤマシギの羽をむしる。
その傍らにドサドサヤマシギを落とす尾形。
尾形はヤマシギを3羽も仕留めていた。
「今朝また居なくなっていたと思ったら……」
「散弾じゃないのによく撃ち落としてこれたもんだ」
牛山が言うとふんぞり返って鼻息荒くドヤ顔する尾形。
「腹立つなコイツ」と牛山。
「チッ」
「アシリパさんに無理だって言われたらムキになっちゃってさ…」
「ハンッ」と悔しそうな杉元。
アシリパさんが目を輝かせて追撃する。
「杉元は銃が下手くそだから妬ましいな」
「別に!!」とさらに悔しそうな杉元。
ここの尾形のドヤ顔の威力がすごい。
前日に一本取られていたので
余計にこのドヤ顔中のドヤ顔になったんだろう。
杉元悔しそう。
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調理し終わり、杉元がヤマシギの脳みそを完全に慣れた様子でジュルジュル啜る。
「〇ンポ先生」「ヤマシギの脳ミソです」
「〇ンポ先生脳ミソは嫌い?」
無垢な目を輝かせて、丑山にヤマシギの脳ミソを薦めるアシリパさん。
「食っていいものなのかい?それ……」牛山は若干引き気味。「杉元ぉ?ヒンナだよな?」
「ヒンナヒンナ」浄化されたような目でアシリパさんに答える杉元。
そしてアシリパさんは再び牛山を見つめる。
牛山は観念して匙の脳ミソを人差し指で一掬いして口に入れる。
「いや俺はいらん」
尾形も脳ミソを勧められるも即拒絶。
杉元と牛山、食べなくてもいいの?的な空気を醸し出しツッコミ。
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杉元完全にグロ食材食べ慣れてる。
脳ミソを食す表情が輝いてすら見える。
どこか狂気が滲んでいるようにも見えるけど。
かたや牛山はかつての杉元みたいな表情をしていて笑った。
尾形はクールだなぁ。一筋縄ではいかないね。
ふふ……と微かに笑いつつ、
しょうがねぇなぁという表情で尾形に語り掛けるアシリパさん。
無視して無表情でチタタㇷ゚作業をこなす尾形。
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ヤマシギの残りをチタタㇷ゚にするとアシリパ。
「出~た~っチタタプ!!」と杉元。
「チタタプ?」と牛山。
「チタタㇷ゚っていいながら叩いてください〇ンポ先生」
素直に「チタタプチタタプ」と言いながら叩く牛山。
「そろそろ替われ尾形!チタタㇷ゚は皆で叩くんだ」
「…………」
「アシリパさん、尾形がチタタプって言ってません」
挙手してアシリパに報告する杉元。
やれやれといった感じで鼻から深く息を吐くアシリパさん。
「尾形ぁ~」
「……どうした?」
〇ンポ先生ってやめてくれないかな(笑)。
見る度に笑うんだけど。
まぁ「男選ぶなら〇ンポで選べ」とか
アシリパ相手に大演説かました牛山の自業自得なんだけどさ。
牛山完全に〇ンポ先生呼び受け入れてるし。
あと尾形対アシリパさん面白すぎ。
今のところその軍配は、言う事聞かない尾形に上がっているか?(笑)
アシリパさんの変顔やっぱ面白い。
「尾形ぁ~」「……どうした?」の間も最高。
そのうち尾形も脳ミソとか内臓のグロ食材食わされたり
素直にチタタㇷ゚って言ったりするかもしれない。楽しみ。
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チタタㇷ゚を煮込んだオハウ(鍋)が完成し、美味そうに食べる杉元と牛山。
おもむろにアシリパさんが話だす。「アイヌの神謡にはヤマシギのカムイが出てくる話がある」
「クマゲラとカムイとの恋のお話」「題して【ヤマシギの恋占い】だ」トゥクン…と胸の高鳴らせて、ときめかせながら「恋のお話?聞かせて…」と杉元。
杉元その表情やめてくれ(笑)。
メルヘン趣味あったのかよ。
小さな私の恋人に会いたくて山に行きました
大きなギョウジャニンニクの畑があったのでノーノチキ
私の好きな人に逢えるのなら
皮が剥けずに根もついたまま引き抜けるはずノーノチキ
そう言って私が引き抜いたなら
千切れて新しい葉っぱしか抜けなかった
腹がたったので空高く放り投げてまた山に向かいましたノーノチキ
今度はオオウバユリの畑があったので
小さな私の恋人に逢えるならちぎれないで引き抜けるはずと
そう言いながら引き抜くと上手く抜けましたノーノチキ
私は嬉しくなっていると
山で船を彫っていた小さな私の恋人が微笑みを浮かべながら
私を見つめていたので手に手を取って出かけました。
ここまで聞いて、「なんてカワイイお話…」と杉元は牛山と目を合わせてお互いに頷く。
実際カワイイ話。
どこの地域にもその土地独特の民話がある。
これもその一つなんだな。
人間の想像力って面白い。
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その様子を見ているキロランケ。「千切れちゃった」
「まわりを掘り起こさないと無理だって言ったのに」キロランケはオオウバユリの鱗形を白石に見せる。
樺戸監獄を目指し、森の中を進んでいた。
永倉と家永の乗る馬の手綱を引いて歩くキロランケが口火を切る。
「どうやって月形樺戸に収監されてる熊岸長庵と接触する?」「面会はできても看守がそばに付いています」
「看守の前で入れ墨広げて見せるわけにはいきませんね」と家永。「網走監獄の予行演習として白石を忍び込ませるか?」とキロランケ。
「白石は樺戸も脱獄した事があるんだっけ」
白石堂々と自信ありげに「全国津々浦々の監獄へ入ったけどよ…」
「俺に脱獄できねぇ監獄なんて…無かったぜ」
「必要ない」土方。
「永倉は樺戸監獄にゆかりがある」
永倉は昔樺戸で看守の剣術師範としており、
その後も講習会を開くなど縁は途絶えていなかった。
看守の監視なしで接触できるよう頼めるかもしれないという。
「そうかい」と白石。
「熊岸にあったら俺がよろしく言っていたと伝えてくれ」
「白石も熊岸長庵と面識が?」
永倉の問いに白石が答える。
「俺に脱獄王という異名がついたのは熊岸のせいだ」
「そして熊岸にかかわらなければ俺は……」
「あんな恋などせずに済んだのに」
場面は過去、樺戸監獄の懲罰房「闇堂」に閉じ込められていた白石が
雑居房に戻されようとしているところに切り替わる。
「ひと月も一緒に生活してきたカナチョロ君に逃げられた…」と半泣きの白石。
「さっさと出ろ」と看守。
過去に白石と熊岸は会っていた。どうも浅からぬ因縁があるようだ。
しっぽだけ持っている様子からカナチョロ君はカナヘビかな?
孤独な監獄では気を紛らわせるために小さな生き物を飼ったりするらしいね。
白石の忘れられない恋と、熊岸長庵にどういう接点があるというのか。
気になる引きを残して83話終了。
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