第82話 二階堂
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中にいるのが2~3人と正確な読みを見せ、「杉元佐一がいた場合は絶対に殺すなよ!!」
「俺のだ!!」と他の兵士に激しく釘を刺す。
鶴見中尉の手下が江渡貝の館を消しに来た→月島が生きている、と瞬時に論理的に考えた土方。
尾形はそれを肯定。
窓に鉄格子があるので外の兵士が乗り込んでくるのは
玄関だと予測して、玄関にまで追い込むために高所から外の敵を銃で狙う。
さすが土方。頭の回転が速い。
尾形もすぐに自らのおかれた状況と相手の動きを考えて対策を練り、即行動する。
そこへ玄関のドア越しの銃撃。
二階堂の軍帽を弾き飛ばす。
二階堂ヤバイ。
皮のヘッドギアに縫い付けられた形で
自分の耳が常時口元にあるのはやはり異常な光景だ。
江渡貝のデザインセンスは天才なのだろう。
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土方が続けてドア越しに兵士を狙ってライフルを撃ちこむ。
2階から狙う尾形と、その尾形を狙って発砲する兵士。
「チッ」
窓際から改めて別方向を伺う尾形は他にも兵士を発見する。
二階堂は館への突入に成功していた。
2階の狙撃兵を倒せと他の兵士に激を飛ばす。
部屋に入った二階堂に、土方が和泉守兼定を振り降ろそうとしていた。
二階堂は引くことなく間合いを詰めて土方の胴を抱きこむ形でタックルする。
二階堂は決してヘタレじゃないんだよなぁ。
ここの立ち回りは見事だと思う。
逆に土方はライフルを捨ててでも両手で振り下ろすことは出来なかったのか。
剣速が上がって先に二階堂を真っ二つに出来ていたかもしれない。
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兵士も負けず銃床で尾形の右頬を痛打する。
尾形も万能ではなく普通の人間だと分かる描写イイネ。
無敵のキャラがいてもいいけど、
やはりリアルに描くなら名無しのキャラ相手に苦戦もしないと。
「逃げられない」
煙が広がり館の中は行動範囲が狭まり、外には銃を持った兵士が何人いるか分からない状況で窓際で家永は必死に事態の打開する方法を探っていた。
ベキャッ
傍らの窓の鉄格子が外から牛山の怪力によって事もなく外された。
「牛山様ッ」
「どいてろ家永」
牛山なんの力も込めていないように見えて怖い。
どんだけ力があるんだと思う。
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銃を携えて潜入した杉元は2階の戦闘の気配に気づく。
「死ねッ!!コウモリ野郎が」
仰向けの尾形の上に兵士が位置し、銃床で連続して殴りつける。
尾形の形勢は不利。
突如兵士の頭が前に跳ねる。
杉元が後頭部を銃床で痛打し尾形の窮地を救ったのだった。
「なんだよ お礼を言って欲しいのか?」
杉元を見る尾形。
「お前が好きで助けたわけじゃねぇよ コウモリ野郎」
それを聞いた尾形は、杉元から視線を反らさず血を吐き捨てる。
ここ。尾形は何を思ったのか。
敵からも、暫定的とはいえ味方からもコウモリ野郎呼ばわり。
昔から裏切り者は信じるなと言われるけど尾形は今後どうなっていくのか。
多分、少なくとも月形監獄までは杉元と共闘すると思う。
その後の展開によっては再び対立しても全くおかしくない。
元々の味方ではないから。
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左手で土方の和泉守兼定を制し、右手で自らの銃剣をまさに土方の胸に突き立てようとしていた。
そこへ、「土方どこだ?」杉元の声が聞こえる。
気づいた二階堂は声のした方向を見てマウントポジションを解き、狂気を孕んだ表情で叫びながら立ち上がる。
「杉元佐一ッ」
次の瞬間土方の和泉守兼定が横一文字に走り、
二階堂の右足は膝下から切り離された。
「ええ?」
何が起こったか分からない様子で
二階堂は右足の切断面から床に着地していた。
二階堂はミスった。杉元は憎き敵かもしれないが、今、優勢に戦いを進めていた相手は土方。
とどめを刺すべきだった。
それが、目の前の強敵から意識を完全に外してしまうとかどんだけ杉元の事が憎いんだよ。
なんとなく無限の住人の尸良(シラ)を思い出す。
徐々に膨らむ常軌を逸した狂気。
今後どんな風に変貌していくか、たまらなくわくわくする。
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「つま先でも出せばそこを撃たれるぞ」
外の兵士を味方を装って館に発砲させないようにした尾形。
その間に杉元、アシリパ、牛山、家永、土方は館から脱出し、
尾形もすぐその後を追う。脱出に成功。
大勢で連れ立って逃げると目立つので
樺戸監獄で待ち合わせて、ふた手に分かれて逃げることを杉元が提案する。
「ニセ物の判別方法が見つけられなければ」
「直接のっぺらぼうに会いに行くしかない無いな」と杉元。
「娘にならすべてを話すだろう」
「あの子は奴にとってのすべての希望だ」と土方。
「知ってたのか…アシリパさんがのっぺらぼうの娘だって」
「俺にとっては…のっぺらぼうの目的もあんたらの目的もどうでもいいことだが…」
「アシリパさんはアイヌを立派に生きている」
「あの子を育てた男がアイヌのための金塊を奪ったとは思えない」
杉元の内に新たな疑問が産まれるのだった。
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土方、思わせぶりな話ぶりが気になる。知ってること話してほしい。
これで益々のっぺらぼうがアシリパさんの父であることが真実味を増したわけだ。
元々ほぼ確定だったといえばそうなんだけど……。
「アシリパさんはアイヌを立派に生きている」
これは本当にその通り。
誇りを持って積極的に伝統を継承している姿に
現代の日本人の若い世代は考えさせられるものがあるとさえ思う。
「あの子を育てた男がアイヌのための金塊を奪ったとは思えない」
これも新たな謎になった。まだ他に黒幕がいて、
異なる真相が表出する可能性は十分ある。
「こいつらと?」と丑山。
「なんの話だ?」と尾形。
牛山の背中?肩?に乗るアシリパさんがかわいい。
なんか子供っぽくなったように思う。
杉元と初めて会ってからやたら狩りなどの経験豊富で
伝統に関してもきちんと説明できる物知りさんだったから
ついつい忘れがちだが、アシリパさんはまだ子供なんだよなぁ。
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今後この憎しみの芽はどう成長し、どんな果実をつけるのか。
二階堂の変貌に期待。
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