第118話 尻拭い
第117話のざっくりとしたあらすじまとめ
杉元、アシリパ、白石、尾形、谷垣、インカラマッ、キロランケ、チカパシが合流。
インカラマッから、キロランケがアシリパの父ウイルクを殺害したことを聞いたアシリパがキロランケを問い詰める。
インカラマッは証拠がある、と競馬場の馬券に残されたキロランケの指紋がウイルク殺害現場に残された凶器に残っていた指紋と合致したことを杉元たちの目の前で言う。
キロランケは否定。
尾形は指紋が鶴見中尉の元にしかないことからインカラマッが鶴見中尉と繋がっていることを指摘。
インカラマッは動じる事無く利用するために鶴見中尉に近づいたと言う。
インカラマッとキロランケのどちらかが嘘をついている疑念が杉元たち一行の中に重苦しい空気を生む中、一行は網走に向かうのだった。
一方、坂本やお銀たちと別れた夏太郎は土方、永倉、家永、牛山らと合流していた。
夏太郎の背後に潜んでいた第七師団の兵が襲い掛かってくるも土方が撃退。
土方は夏太郎が第七師団につけられていたことを察する。
網走監獄では第七師団が新人看守を使ってのっぺら坊を探らせていた。
ベテランの門倉看守部長を使ってそれを防ごうとしているのは網走監獄の典獄である犬童。
金塊を巡る戦いはさらに深化していく。
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第118話
門倉が新入りに木箱を外に運び出せと命令する。
その際、足に引っかかったら転んで豚の糞まみれになってしまうから、と刀をその場に置いておくようにと付け加える。
木箱を取りに豚小屋の奥へと歩を進める新入り。
「木箱はこの奥ですか? 門倉部長」
門倉は少し離れたところから新入りの背後に向けて言う。
「行けばわかるよ」
こんなのあからさまに怪しいだろ(笑)。
驚き、門倉を呼ぼうと新入りが振り向くとそこにもやはり金槌を持ったハゲた囚人。
新入りは門倉を必死で探す。しかし、門倉はさっきまでそこにいたはずなのにどこにもいない。
おまけに門倉の指示通り置いておいた刀が消えている。
「『苦しませるな』と言われてる…大人しくすりゃ一発で仕留める」
モヒカンが静かに新入りに向けて言う。
新入りは素早くモヒカンの金槌を持った手を制し、同時に右肘でモヒカンの顎に肘鉄を食らわせる。
振り向きざまにモヒカンから奪った金槌をハゲの横っ面に叩きつける。
そして、何度もモヒカンの後頭部に金槌を振り下ろす新入り。
隠れて見ていた門倉は囚人二人を難なく撃破するという予想外の出来事に「うえぇ!?」と小さく呻き声を上げる。
何度も金槌を振り下ろし、ふう、と一息つく新入り。
「門倉部長~?」
ビビった門倉は素早く新入りから見えないように隠れる。
(おいおいマジかよ アイツめちゃくちゃ強いじゃねえかッ)
そのまま急いで豚小屋を後にあとにする。
(勝てない喧嘩はしない主義だぜ俺は)
なるほど。門倉は別に強いわけではないのか。
でも決して無理をせず、引き時を知っているから長生きタイプのようにも見える。
それに対して新入りは鬼気迫る強さ。
囚人ふたりへの容赦のなさが怖い。
「まいったなぁ みんなにバレちゃってるのかな?」
監獄に戻った新入りを、どうした? と見張りが迎える。
見張りは、養豚場で転んだから着替えに、と言う新入りに、ドジだなぁと返す。
新入りは、もう交代だから戻ってくる時は自分で説明しろ、と言う見張りに素直にわかりましたと答える。
見張りの持つ銃を見る新入り。
(ロシア製のモシン・ナガン)
(奥にマキシム機関銃も見えたぞ)
(こんな重装備の監獄は網走監獄だけだ)
(監獄の経費で揃えてるはずはない)
(武器の購入資金は一体どこから?)
新入りは門倉がまだ自分の正体に気付いていないことに安堵する。
続けて、もっと調べることがあったのに、門倉を見くびっていた、と反省する。
「鶴見中尉に叱られてしまう。」
ハア~、とため息をつく。
この新入りも一癖ありそうな感じがある。
鶴見を崇拝する兵士は皆変態ばかりだから期待して良いんじゃないだろうか(笑)。
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門倉が、新人はブタに食わせた、と報告している。
囚人も新人もそれぞれ瀕死のところ、私がきっちりカタをつけた、と虚偽報告を行う。
「新入りは『行方不明』 囚人ふたりは『喧嘩の末の同士討ち』で処理しました」
門倉がここに来て7年、〇玉の伸びきった腑抜けタヌキ、「役立たず」辞書で引くと「門倉」が出て来る、と思っていたが、今日、ほんの少し評価を改めよう、と犬童が門倉に告げる。
表情を変えない門倉。
「そりゃどうも では記念日ですね」
「チ〇ポだかデベソだかわからん短小男だと7年間思っていたが…きさまはそうでもなさそうだ」
顎を上げる門倉。
「うちに帰って赤飯炊きます」
門倉図太いというか、なんというか。
どうしてすぐにバレる嘘をつくのか……。
犬童が「役立たず」だと評する理由が良く分かる(笑)。
「もし 郵便局員の方でしょうか?」
入り口のカギを開けている眼鏡の男に話しかける軍人。
なにか? と答える郵便局員に、急ぎで電報を送りたくて昨日の夜から待っていた、という軍人。
軍人は、ふと郵便局の物陰に潜んでいたものに気づく。
「…どうしておまえがここに」
夏太郎が軍人にピストルを連射する。
倒れた軍人をその場に残し、夏太郎は馬に乗って走り去っていく。
「あの反応… 間違いなく俺を小樽からつけていた兵士の残りのひとりだ」
「『報告のために一番近くの郵便局へ駆け込むはず』という予想が大当たりだ」
「自分の尻拭いはしっかりやったぜ 土方さん褒めてくれるかな」
夏太郎大丈夫か?
なんか死亡フラグを感じるんだけど……。
「それで…私にどのようなご用向きでしょうか?」
新聞記者と相対して座っている土方と永倉。
活きの良い遊軍記者を探していて、小樽の新聞社で良い文章を書く若者――あなたの噂を聞いたと永倉が説明する。
遊軍記者=状況に応じ、臨機応変に動き回る何でも屋の記者のこと。
「日露戦争を境に…日本の新聞は大きく変わった」
土方が話し始める。
「今の時代 刀で脅しても国民は動かん そうだろう?」
「石川啄木さん」
明治初期、「一握の砂」で有名な石川啄木は北海道内の新聞社を転々と勤務。
まさかの石川啄木。
どうやって話に絡んでくるのか。
土方と永倉はマスコミの力を使いたいようだけど、何をするつもりなのか。
楽しみが増えたなぁ。
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「ペカンペ 『水の上にあるもの』という意味で菱の実のことだ」
湖面の小舟の上で杉元に説明しているアシリパ。
「この湖はペカンペが沢山採れることで有名だ」
「ペカンペがあるから湖の周りにはアイヌの村がいくつも出来た」
「村同士で争いが起きたほど貴重な食べ物なんだ」
棒状の櫂を使って操舵しているのはアイヌの男。
アシリパが説明を続ける。
「秋になって実が熟したらどっさり採って冬の保存食にする」
実をつまんでじっと見つめる杉元。
「すげえトゲ 乾かしてカチカチになったのを昔の忍者はマキビシに使ったんだよな」
にんじゃ? と不思議そうなアシリパ。
さすがにアイヌにまでは忍者なんて存在は伝わってなかったか。
というか、杉元の言っていることは本当のことなのか?
「乾かして保存しているペカンペは皮を剥ぎ中の白い実をひいて団子や餅にする」
「採れたてのものは塩ゆでにしてご飯に混ぜて食べる」
「栗みたいでホクホクして美味しいんだ」
「へえ 美味しそうだね」と食事を食べながら相槌を打つ杉元。
アイヌの男――フチの二番目の姉の息子が静かに語り出す。
「もうすぐペカンペの収穫時期だが採っても『奴ら』に全部奪われるかもしれない」
「みんな不安に思っている」
「『奴ら』って他のコタンの人たち?」
問いかける杉元に、最近この周辺に現れる盗賊だと答えるアシリパの叔父。
「真っ暗闇の中を松明も灯さず 森を抜けて襲ってくる」
「なにもんだ? そいつら忍者か?」
白石がビビりながら問いかける。
「奴らは全員目が見えない 盲目の盗賊たちなのだ」
アシリパの叔父が続ける。
「襲われた時にラッチャコの灯りで姿を見た者がいる」
「そいつら盗賊をまとめている頭目の身体には奇妙な刺青がある」
アシリパ、尾形、インカラマッ、谷垣、白石に微かに緊張が走る。
チカパシは寝ている。
(来た…!!)
帽子の鍔を直す杉元。
その下の目はギラついた光を放っている。
シトンに続く刺青人皮を持つ囚人が登場。
今度の囚人は盗賊団の頭目、と結構、骨が折れそうな感じがする。
誰かが負傷して暫く戦線離脱、みたいになってもおかしくない。
杉元一行のなかにキロランケがいなかった。
さすがに行動を共にすることはできなかったのか。
重要人物なんだから、さすがに描いていなかっただけ、なんてことはないと思うけど……
途中で出てきた夏太郎は結構危ない気がする。
亀蔵と同程度のポジションなんだからそろそろやられても全然おかしくない。
今話がフラグにならなければいいんだが……。
ゴールデンカムイ 118話 尻拭いへのネタバレ感想でした。
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