第65話 不死身の赤毛
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「山の神様か何かの」
「不死身のヒグマはこの牧場を潰しにきたんだ」
「ダンさんもいつかこう言ってた」
「『ストリキニーネの毒餌で私は沢山のオオカミを駆除した』」
「『結果的にオオカミの絶滅に加担したわけだ』」
「『ヒグマは雑食だから毒餌では駆除できず絶滅を免れた』」
「『馬は土地の開墾に必要不可欠だ』」
「『我々は知恵を絞って対策をうつのみ』」
「『呪いたければ呪うがいい』」
「『北海道開拓の歴史は大自然と人間の戦いの歴史である』」
「『自然とねじ伏せて生きねば我々開拓民に明日はないのだ』」
「……フン!」不満顔で鼻を鳴らすアシリパ。
自然と大事にするアイヌの伝統を守るアシリパさんからしたらアメリカ、というか西洋的な考えは彼女の価値観に合わないのだろう。
だけど、ダンの言うことも決して全てが間違っているわけではない。
「俺がもう一度あのアメリカ人と話し合うぜ」
「無理やり奪い返せば大叔母に迷惑がかかる」
「円満に解決するにはヒグマを退治するしかない」
アイヌの衣装を取り返せるかどうかだからそれが出来れば無理してヒグマと相対する必要はない。
ダンに銃口を突きつけて無理やり奪うことも出来るが、それをやるとフチの村が反撃を受けるかもしれないから穏便に解決するには依頼を完了するか、交渉するしかない。
土饅頭にされたダンの牧場の馬を見て杉元が言う。
「土饅頭のまわりにも赤毛が落ちてる」
「先週襲われたダンさんの馬に間違いねぇ」
土饅頭の上に乗るアシリパ。
「何すんの?」
「土饅頭に乗ってる私が見えたら持ち主は怒ってすっ飛んで来るはずだ」
背中の矢筒から矢を一本取るアシリパ。
馬の巨体がちぎれて、土饅頭となっている。
ヒグマの恐ろしさを物語るオブジェ。
それを迷いなく利用するアシリパさんかっこいいね。
「白石ゆっくり動け 絶対走るなよ」
片手で白石を制しながら言うキロランケ。
キロランケを無視して近くになった民家に走る白石。
「このタコ坊主ッ」キレるキロランケ。
追いかけるヒグマ。
「ウヒイッ」
必死に逃げる白石。
「ウヒーッ」
追いかけるヒグマ。
白石何やってるんだよ(笑)。
キロランケの言うことまるで無視して全力疾走とか。
ヒグマの習性上、早く動く対象を追いかけるんだよね。
キロランケはそれを良く分かっていて白石に忠告したのに。
白石に向かって叫ぶキロランケ。
「ウヒッウヒッ」ベルトを大急ぎで外す白石。
「ウヒィッ」
目の前に投げられたベルトに怯えるヒグマ。
こんなに効くのか?
熊に襲われたら手段の一つとして試してみよう。
「待ってぇ」足首までずり落ちたズボンを直さず、お尻をプリプリさせながら家に向かう白石。
白石は何をしてるのかな(笑)?
ズボンを上げて、上げながら歩いたらいいのに。
「うおお!? なんだなんだ」
玄関に馬と一緒に走りこんでくるキロランケと白石に驚く若山。
「ヒグマが外にいる!!」キロランケが若山に声をかける。
「あんた銃は」
「銃なんてこの家には置いとらんぞ」
動じずに言う若山。
ヒグマをひき連れてやってきたキロランケと白石の存在は若山にとっては災難と言える。
「警戒して入ってこない」とキロランケ。
「今のうちに戸を塞ごう 白石手を貸せ! そのデカイのを運ぶぞ」
バリケードにするためにキロランケと白石がデカイ脱穀機のようなものを運ぶ。
「キロちゃんさぁ あの馬は大切な愛馬でも何でもないよねぇ?」と白石。
「頼むから外に追い出して食わせちまってくれよッ!!」
「どっちにしろあの赤毛を倒さなゃなんねえんだ」とキロランケ。
「この家に引きつけときゃ日が暮れる前に銃を持った杉元たちが来る」
「それまでなんとか持ちこたえりゃいいだろ!」
「いでで」馬に頭をかじられる白石。
「馬の愛情表現だ 気に入られたな」と白石に言うキロランケ。
「血が出たけど」頭から出血している白石。
白石は動物に好かれそうなイメージがある(笑)。
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「縁側も塞ぐぞ」キロランケが指示を出す。
「畳をひっぺがせ! 間に挟んで補強する」
「何をやってるんですか?」山高帽の男が唐突に話しかけてくる。
びっくり。唐突過ぎ。
ゴールデンカムイって結構こういうびっくりさせるページ割が多い。
面白い。
「あんた今入ってきたのか? どこから入ってきた?」
「奥の勝手口ですけど」部屋に奥に向け指さす男。
「やべえそっちも塞がねえと!!」
白石が焦る。
「あんたひとりか?」
「……はい」山高帽の男が答える。
「どうして土間に馬が?」
「おもてにヒグマがいるんだよ!!」叫ぶように答える白石。
「え? ヒグマ?」
「ちょっと待て ここはあんたの家なのか?」とキロランケ。
「ええ……まあはい………」
「あれ?」若山を見るキロランケ。
「じゃああのオッサンだれだ?」
怪しい2人のおっさん。
何かがおかしい。
ヒグマも怖いがこの2人も怖い。
「この土饅頭の馬は食われてる」土饅頭の上に立つアシリパ。
「でもさっき見た止め糞はこの土饅頭より新しかった」
「あれ?ヒグマは止め糞が出ないと肉は食えないんじゃ?」
杉元、アシリパさんに教わったことをきちんと覚えていてエライ。
「この矢毒は銃と違って急所じゃなくても当たれば即死する」とアシリパ。
「不死身でもただじゃ済まないぞ」
ヒグマが走ってくる。
「ヒッ」と従業員のおっさん。
「来たッホントに来たッ」と杉元。
「片目が無い」
弓を引き絞るアシリパ。
「うわあッ」
別方向でもヒグマが従業員を襲っている。
「なに!?」驚く杉元。
(もう一頭!?)
一気に2頭が襲ってくるという非常事態。
リアルにあったら絶望。
「折れたッ!? なんで…」
白石に圧し掛かられた時のことを思い出すアシリパ。
(あの役立たず…!!)
白石何やってんだよ(笑)。
矢が矢筒から全て零れ落ちる。
ヒグマに向けて銃を撃つ杉元。
当たらず逃げるヒグマ。
「一度に2頭相手は無理だ 一旦退くぞッ」叫ぶ杉元。
「うおおおっ」叫びながら銃を構える従業員。
ヒグマの両腕に銃身を横に倒されて、銃弾は横に飛んでいく。
銃声に怯え従業員から離れるヒグマ。
「オイ立てるか? 逃げるぞッ」と杉元。
「アイツ指が一本無かった」と従業員。
「去年の秋 指を銃で吹き飛ばされた奴だ」
「何のことはねえ」
「赤毛のヒグマは不死身なんかじゃなくて……2頭いたんだ」と杉元。
「いや…あのアメリカ人の言ってることが正しいなら目も指も全部ある赤毛がいるはずだ」
「赤毛は……3頭いる」ようやく相手の戦力を理解したアシリパ。
襲ってくる赤毛のヒグマは2頭ではなく3頭。
さらに恐ろしい事実が判明。
「オイこれ……いつからここに?」キロランケが驚く。
そこには階段に置かれた2つの生首。
いずれも額には六と刻まれている。
キロランケは、競馬場で会っていた男たちだったことを思い出す。
外にヒグマ、家の中にはサイコパス!?
キロランケと白石は大丈夫なのか?
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