第200話 月寒あんぱんのひと
目次
前話第199話 坂の上のロシア領事館のあらすじ
鯉登中佐の覚悟
これはどこにあった、とロシア語で言って月寒あんぱんを嗅ぐ犯人グループメンバー。
差し出された月寒あんぱんを既に齧っていた鯉登少年はそんなメンバーの様子を不思議そうに見つめている。
「(食べるな! かなり古いものだ)」
棚の中には湯呑と一緒に月寒あんぱんが保管されていた。
鶴見中尉たちはロシア領事館で電話の前でスタンバイしていた。
電話交換室が始まる6時が目前に迫り、作戦をおさらいする鶴見中尉。
まず、犯人グループからの電話で鯉登少年の声を聞き無事を確認したら交換手から相手の番号を聞き出す。
そして近隣で待機している部下に番号を知らせる合図を送ってその場所へと突入させる。
番号を知られたことでアジトを発見されるのを恐れて犯人が移動するかもしれないので、速さが重要な作戦だとまとめる鶴見中尉。
すると直後に電話がかかってくる。
鶴見中尉が電話の受話器に手をかけようとする。
「鶴見中尉どん…」
鯉登中佐が話しかける。
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鯉登中佐は犯人が自分の事を息子可愛さに海軍を裏切って駆逐艦や要塞を破壊すると思われていることを心外だと静かに怒りを見せる。
そして恨まれても仕方がないと前置きする。
「音之進にはオイが直接『国んために死ね』ちゅて聞かせっ」
電話は鳴り続けている。
武人の鑑、と中山大尉は気の毒そうな様子で鯉登中佐に声をかける。
鶴見中尉が電話をとると、交換手が出ていよいよ電話をかけてきた相手に繋がる。
鶴見中尉のそばで受話器に耳をそばだてて息をのむ中山大尉。
「…ヨウサイ…クチクカン」
「(破壊しろ!)」
それは日本語とロシア語が混じった犯人側からの要求だった。
鶴見中尉は、要塞と駆逐艦を破壊しろという要求だと鯉登中佐と中山大尉に伝えると、流暢なロシア語で電話口に鯉登少年を出すように要求する。
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鯉登少年が受話器に耳を当てると、鯉登中佐の声が聞こえる。
「音之進 お前は助けん」
鯉登少年の表情が凍り付く。
「国のために…」
受話器に向けて頭を下げる鯉登少年。
「兄さあのような息子になれず申し訳あいもはん」
悔しそうな表情を見せる。
そんな鯉登少年の背中に犯人グループの一人がそっと手を添えていた。
そのまるで励ますような仕草を、他のメンバーがじっと見つめている。
「オイは生まれてこんかったもんと考えたもんせ」
鯉登中佐は息子の痛々しい言葉を、表情を変えることなく聞いていた。
鯉登少年は、思いっきりのけぞって、自分の背中に手を置いていた犯行メンバーの顔に後頭部を打ち付ける。
犯人グループ側の様子が慌ただしくなったのが受話器を通じて鶴見中尉側に伝わっていた。
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作戦開始
鶴見中尉は急いで電話の交換手に番号を問う。
「144番です!!」
それを受けて、中山大尉は急いで144番の住所をリストの中から探していた。
当初の予想とは全くかけ離れた番号だったため、すぐに探し出すことができない。
しかし鶴見中尉はその番号に憶えがあった。
「144番は…数か月前まで使われていた陸軍の訓練所の番号です!!」
鯉登少年は後ろ手に縛られたまま、必死の形相で犯人たちと格闘する。
鶴見中尉は交換手に144番へ誰も繋げないように指示し、外に出る。
函館市内の陸軍訓練所はロシア領事館から6キロも離れた五稜郭にあった。
五稜郭は当初の想定になく、部下を向かわせるにしてもあまりに遠く、そしてそもそも部下たちは144番が五稜郭のことだと知らないと慌てる鶴見中尉。
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鯉登中佐は電話の前の椅子に黙って座っていた。
自分たちだけで向かうのが一番早いと結論する鶴見中尉。
中山大尉と共にそれぞれ馬に乗って五稜郭の方角へ向かおうとするも、馬は急な坂道を怖がって下ることができない。
「そうだ!! 良いものがあるッ」
領事館に振り返る鶴見中尉。
その瞬間、領事館の門から飛び出してきたのは三輪に乗った鯉登中佐だった。
体を曲がる方向へと思いっきり傾けて見事な走行テクニックを見せる。
「音之進ッ!!」
鶴見中尉は鯉登中佐の元に駆け寄ると、三輪の後ろの車軸に立ち、鯉登中佐の方に手を置く。
勢いよく走りだす三輪は、急な坂道を飛ぶように走行する。
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五稜郭へ
下り坂を思いっきり飛んだあと、二人の乗った三輪は勢いよく着地する。
しかし三輪は決して止まらない。フルスロットルで鯉登少年のいる五稜郭へと向かう。
町中を猛スピードで向かっていると、後ろから馬に乗った覆面の男が追ってくる。
鶴見中尉はそれがロシア領事館の近くで自分たちを見張っていた犯人グループの一員であり、五稜郭に電話が繋がらないため直接五稜郭に向かっているのだと気づいていた。
追手に先に五稜郭に行かれてはまずいと鯉登中佐に急ぐよう促す鶴見中尉。
スピードを維持したまま思いっきり右折する鯉登中佐。
鯉登中佐が体を右に傾ける以上に、鶴見中尉もまた体をほぼ地面と頬が平行になるくらいに体を寝かせる。
「失礼」
そして鶴見中尉は、鯉登中佐を正面から抱くようにして後ろの様子を確認すると銃を取り出す。
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発射した弾は見事に追手を捉える。足止めに成功して安堵する鶴見中尉。
鯉登中佐も一瞬背後に視線を走らせる。
「危ない!!」
三輪はものの見事に馬の引く車両に突っ込んでしまう。
空中に吹っ飛ぶ鯉登中佐と鶴見中尉。
鶴見中尉は空中で何回も回転した末に地面に思いっきり胸から激突してエビ反りになる。
鯉登中佐はハンドルと前輪以外はバラバラになった三輪のハンドルを持ったまま、見事に着地するとそのまま五稜郭に向けてひた走る。
「音之進~!!」
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第199話 坂の上のロシア領事館振り返り感想
子を大事に思わない親はいない
親父……!
やっぱ息子は大事だよな!
鯉登少年が親父に、兄と比較して自分の不出来を謝った時は辛かった。
でもその後、親父が必死に息子の元へと三輪を走らせる様子を見て正直ほっとしたわ。
親父、メッッッチャクチャ息子を愛してるじゃないか!
電話口で鯉登本人に対して直接「助けない」と親父が宣言した時はショックだったけど、それはあくまで軍、ひいては日本を考えてのこと。
すぐにでも助け出してやりたいという自分の本心が、自分の立場とこの状況下で言えるわけがなかった。
やはり犯人グループの狙いは鶴見中尉が喝破していた通り、要塞と駆逐艦の破壊だった。
責任ある立場の軍人として息子に死んでくれというメッセージを発した。
でも親として、息子の命をとらずにはいられなかったわけだ。
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鯉登少年の元へ向かう親父の姿は笑えると同時に感動する。
三輪でのドリフトがかっこよかったなぁ。
でもクソ真面目に鯉登少年を救いに向かっているのになんでこんな面白いんだ。
鶴見中尉とのタンデム走行があまりにも息が合い過ぎている。
ラストのコマはもう完全にギャグになってるし。
親父はなんで空中でありもしないペダル漕いでるんだよ(笑)。
そして鶴見中尉は派手に宙に投げ出された末に地面に胸から着地してるけど、ここでリタイアか?
馬に乗った追手を見事に銃で撃退するという冷静さは、猪突猛進状態の親父を見事に補っていたと思う。
しかしもしそんな鶴見中尉がリタイアとなると、果たして息子を救わんとする想いが全身に漲っているとは言え、親父だけで鯉登少年を救い出せるのだろうか……?
この後の展開が待ち遠しいわー。
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鯉登少年の背に手を置いていたのは誰?
電話口で親父に向かって兄と比較しての自分の不出来を謝罪する鯉登少年。
その背中に、まるで鯉登少年を励ますように優しく添えられた手は一体なんなんだ?
いくら人質とはいえ、あまりにも鯉登少年を大切にいたわり過ぎているような……?
これ誰なんだろう? マジで月島軍曹だったりする?
でも鶴見中尉が鯉登少年に鹿児島で振る舞った月寒あんぱんが犯人グループの元にあったのかという謎は解けた。
それは犯人グループがアジトにしていたのが陸軍の訓練所であり、棚に保存されていたからだった。
個人的には、一応それで納得はいったんだけど、でもわざわざ鯉登少年に振る舞うのが良くわからん。
犯人グループのメンバーは古いものだから食べるな、と指示を出していたけど、でも既に食べていた鯉登少年は特に味に異常を感じていないようだ。
ひょっとしてこれって新しいものだったりするのかな?
これを用意したのは月島軍曹? というか鶴見中尉なのか?
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やはり鶴見中尉が鯉登中佐と懇意になるために仕掛けたのではないかと思ってしまう……。
鯉登少年の背に手を置いていたメンバーの異様さは、他のメンバーがその行為を若干不審がっていたことからも明らかだった。
彼(それとも彼女?)は、犯人グループのなかでまるで鯉登少年の味方のような振る舞いを見せていて明らかに異質だが、でも思いっきり鯉登少年による後頭部でのヘッドバットを食らっていた(笑)。
この鯉登少年の一か八かの行動は、どういう結末に繋がっていくのか。
これは回想なので、少なくとも鯉登少年、親父、鶴見中尉は死んだりすることなくこの件が解決することはわかっている。
けど、この後の鯉登少年の処遇はどうなるのだろう。
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交渉相手である鶴見中尉や親父が犯人グループの要求に対して姿勢を表明する前に、鯉登少年が反撃したからまだ交渉のテーブルは保たれていると考えるべきなのか。
三輪が壊れてしまったので、親父はまるで子供のようにハンドルを持ちながら足で走って犯人グループのアジトとなっている訓練所のある五稜郭へと向かっている。
親父が到着するまでに場所を移動したりしないのかな……?
犯人グループの元に親父が助けに向かったという情報がいっていないとしても、電話が通じなくなったことを怪しんで場所を変える判断をしてもおかしくない。
果たして鶴見中尉や親父は鯉登少年をどうやって助けるのか?
そして、この誘拐事件の真相は?
199話の感想記事は上記リンクをクリックしてくださいね。
第200話 月寒あんぱんのひと
五稜郭へ
鯉登少年の元へガムシャラに走っていた鯉登中佐と鶴見中尉は、ついに五稜郭へと辿り着いていた。
床にうつ伏せに組み伏せられていた鯉登少年に対して、彼から頭突きを食らっていた犯人がロシア語で命令する。
「(暴れるな)」
鶴見中尉は鯉登中佐に対して、自分が裏に回って突入するので、表から注意を引くようにと指示する。
「殺せ…!」
鯉登少年は涙を流しながら呟く。
「戦うて死んだとわかれば父上も少しはオイを見直すじゃろう」
犯人たちは皆、黙って鯉登少年の言葉を聞いていた。
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ドガンッ
鯉登中佐が扉を蹴破る。
「音之進~!!」
マイクパフォーマンスをするかの如く、バイクのハンドルを口元に持ってきて叫び、そしてポーズを決める。
「まさか…父上!?」
驚く鯉登少年。
チッ
舌打ちしたのは、鯉登少年から頭突きを食らっていた犯人だった。
もう一人の犯人が声のした方に向かう。
頭突きを受けた犯人は、床にうつ伏せの鯉登少年の頭に銃口を押し付ける。
「(ボンボンが)」
鯉登中佐は完全に虚を突かれた形で、背後から顎を拳で思いっきり打ち抜かれ、昏倒する。
。
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鯉登少年は柱に後ろ手に縛られていた。
鯉登少年から頭突きを食らった犯人は部屋を後にする。
そして響く、何発も銃撃音。
「父上!!」
鯉登少年が叫ぶ。
銃撃音が止み、部屋に入って来たのは疲労した様子の鶴見中尉だった。
鯉登少年にとっては、鶴見中尉にまるで後光が指しているかのように輝いて見えていた。
「あなたは…」
「やっぱりまた会えたね」
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誘拐事件、解決
鯉登少年は、気を失っている父を傍らで心配そうに見つめていた。
やがて父が意識を取り戻したことに鯉登少年はホッとする。
「無事やったか音之進…よう戦うたな…誇らしかぞ」
鯉登中佐は微笑みながら息子を褒める。
それを聞いた鯉登少年の目からは涙が溢れていた。
鶴見中尉は室内で射殺した二人の犯人と、五稜郭に来るまでに撃ち殺したもう一人の身元は調べるが、彼らとロシア政府と結びつくことは期待できないだろうと呟く。
そして死体の顔を覆っている布を取り外した。
鯉登少年は横目で、彼らがロシア人だと確認する。
そしてこの男たちが自分に食べさせたものが、かつて鶴見中尉に鹿児島で食べさせてもらった『月寒あんぱん』であったと報告する。
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鶴見中尉は、月寒あんぱんは歩兵第25連隊だけで配られており、最近まで陸軍が使っていたこの施設に誰かが忘れていったのだろう、と言って、腹を壊さなかったかどうかと問う。
「まさかあん時の『月寒あんぱんのひと』がオイを助けに現れるとは…運命でごわすね」
鯉登少年は、鶴見中尉をじっと尊敬の眼差しで見つめる。
「月寒あんぱんが私達を引き合わせたのかな?」
鯉登中佐のサスペンダーを引っ張り、それを乳首に打ち付ける鶴見中尉。
「もすっ」
朗らかに笑い合う三人。
そんな鶴見中尉の背後では彼の部下によってロシア人の死体の運搬が行われようとしていた。
その面々は月島、菊田、そして尾形。
尾形の鼻には、何かを打ち付けたような傷がある。
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鯉登音之進、陸軍へ
旭川第七師団。
鯉登大佐は息子の陸軍士官学校行きを鶴見中尉に報告していた。
そして、息子をよろしくと挨拶をする。
「鯉登大佐殿のご令息は仲の悪い海軍と陸軍の橋渡しをしてくれる貴重な人物にいずれなるでしょう」
「〇×△〇△×☆〇」
緊張した面持ちの鯉登少年は、頭を下げつつ言葉にならない返答をするばかり。
「はあ…やっぱ格好良かった」
部屋を後にした鯉登少年は、階段を下りながら呟いていた。
もす、と一緒に歩いていた父が相槌を打つ。
その時、階段を上っていく人物がいた。
鯉登少年が見上げると、その人物と目が合う。
まるで睨むような視線を鯉登少年に向けていたのは尾形だった。
鯉登少年はその視線に何かを感じ、キッと睨み返すのだった。
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尾形、逃走
うつ伏せになった鯉登少尉は、尾形によって頭にピストルの銃口をつきつけられていた。
二人が睨み合っていると、すぐ外で白石の声が聞こえる。
「これ尾形の足跡じゃない?」
お前の足跡だ、と答えるのは谷垣だった。
尾形は鯉登少尉の頬を蹴り飛ばすと、傍らで見ていた医師と看護師に向けて、し~、とジェスチャーする。
アシリパは何かの気配に気づく。
すぐに馬を走らせる尾形の姿を見つけていた。
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「杉元ッ 尾形が逃げる!!」
すぐに駆け付けた杉元に、撃つのか? と問うアシリパ。
「馬を狙う!!」
杉元は尾形に向けて銃の照準を合わせる。
チラと杉元に視線を走らせる尾形。
杉元の放った銃弾は尾形に当たらない。
尾形はそれをまるで知っていたかのように不気味な笑みを浮かべ、両手を広げる。
「ははっ」
杉元とアシリパは逃げていく尾形を見送っていた。
(元気になって戻ってこい ぶっ殺してやるから)
杉元は口元に笑みを浮かべていた。
しかし目は全く笑っていない。
その視線で、ただただ逃げていく尾形の背中をじっと見つめていた。
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第200話 月寒あんぱんのひとの感想
やはり自作自演だった
この誘拐事件は、やはり鶴見中尉が仕組んだものだった。
鯉登少年に対してどこか親切な態度だった犯人の一人が、どうも怪しいなと思っていたけど、まさかその正体が尾形とは……。
「ボンボンが」の一言で、「あっ」と声を出してしまった。
てっきり月島軍曹だと思ってた……。
尾形だとは思ってなかったな……。
尾形がここまで鶴見中尉に協力するか? と思っていたからというのもある。
犯人グループは全員鶴見中尉の部下だったのかな?
月島、菊田、尾形でちょうど鯉登少年を拘束及び監視していた犯人の数になる。確か三人だったはずだ。
ロシア人の死体があったけど、あれはおそらく事前に捕まえていたロシア人を射殺したのではないか。
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鶴見中尉が言う通り、ロシア政府とは何の関わりもないのだろう。
ロシア領事館からの道中、鶴見中尉が射殺した犯人は、撃たれたフリをした部下なのか。
もしくは事前に金で雇っていたロシア人かな?
何にせよ、これが鶴見中尉が画策した誘拐劇だったことはほぼ間違いない。
その目的は、この件で鯉登父から絶大な信頼を得て、彼を味方につけること。
実際それが成功していたからこそ、網走監獄で鯉登少将に協力してもらえた。
鶴見中尉の人心操作の手口が鮮やかすぎる。
しかしこの一部始終を知っている月島軍曹は、一体どういう想いで鶴見中尉に協力していたのだろう?
自分も騙されているのではないかと疑心暗鬼になりそうなものだけど……。
いや、おそらく月島軍曹は既に「いご草ちゃん」の件の真相には薄々気づいているんだろな。
でもそれを怖くて認められないだけなのかも……。
あと、鶴見中尉に騙された鯉登少尉に対して同情的な面があるから、忠実な部下として従っているとか?
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尾形の複雑な想い
尾形は鯉登少尉と父の関係に対して心がざわついている。
当初は地位の高い父に死ねと言われた鯉登少年の境遇に共感すら覚えていたと思われる。
だから鯉登少年をまるで励ますように、優しく触れていた。
しかし、実際は鯉登中佐は一人の親として、立派な振る舞いを見せた。
溢れんばかりの親の愛を目の当たりにした尾形は、それが妬ましかったのではないか。
自分には決して手に入れようがない父の愛。
そのいたたまれない想いから、ボンボンが、と吐き捨てても無理はない。
だから鯉登少年の頭に銃を突きつけたのかもしれない。
演技でこんなことをする必要はないからだ。
尾形のこの行動は、自然に出てしまった行動だと思う。
撃ちはしなかったが、きっと撃ちたかったことだろう。
見事に杉元たちから逃げおおせた尾形。
彼はスナイパーの命、目を失った。
しかし次に杉元たちの前に姿を現すとき、新しい武器を携えているのだろう。
その時が今から楽しみだ。
以上、ゴールデンカムイ第200話のネタバレを含む感想と考察でした。
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