第303話 暴走列車
前話第302話あらすじ
杉元は鶴見中尉を倒せばこの戦いが終わると考え、車両の外に出る。
しかし鶴見中尉は車両の天井に上がっていた。
杉元たちのいる客車の前方の車両では、第七師団兵たちが後方のドア付近に集結していた。
後方の車両に向かうドアを兵が開けようとした瞬間、ドアごと客車内に突進する牛山。
十名以上の第七師団兵たちは、牛山の勢いに押されて客車の中央に押し戻されていく。
土方の指示で客車から飛び降りて逃げようとするアシリパ。
しかし汽車と馬で並走している月島軍曹が監視しており、飛び降りることができない。
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鶴見中尉は車両の屋根から月島軍曹に、先頭の車両から回り込んでアシリパを挟み撃ちにして矢筒を奪うと指示を出す。
牛山と土方がいる車両に入る杉元。
土方は杉元に、アシリパと飛び降りて森にでも逃げろと指示する。
しかし、残って出来るだけ追っ手を減らす、とその申し出を断る杉元。
「アシリパさんの権利書を守るにはそれしか無い」
土方に、金塊の分け前なんて忘れてそうだな、と言われた杉元は答える。
「自分のためだけならとっくに辞めてる 親譲りのおせっかいさ」
いや……、と土方。
「いや……武士道だよ 杉元佐一」
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後方の杉元と土方とは別に、先陣を切っていた牛山は多くの第七師団兵相手に孤軍奮闘していた。
客車の窓から次々と兵が投げ捨てられていく。
師団兵を倒しながら前方に向かう牛山の前に立ちふさがったのは、銃剣を携えた月島軍曹。
牛山と月島軍曹は睨み合う。
先頭車両の二人の運転士を射殺し、車両に乗り移る尾形。
「暴走列車地獄行きだぜ」
第302話の感想記事です。
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第303話 暴走列車
牛山VS月島軍曹
鹿の群れが杉元たちを乗せた列車の前を横切っていく。
尾形により運転士を失った列車は速度を増し、ギリギリで線路を渡りきろうとしていた一頭の鹿を跳ねる。
さぁ、何があっても止まらんぞ、と呟く尾形。
六両ある列車の一両目では、第七師団兵が二両目の様子を伺っている。
二両目の第七師団兵たちは銃剣を構え、戦いが行われている三両目の第七師団兵に加勢しようとしていた。
三両目。銃剣を構え、牛山に突撃する月島軍曹。
月島軍曹は牛山に向けて、満身の力を込めて銃剣を投げつける。
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銃剣を左腕で防ぐ牛山。しかし銃剣の先は腕を貫き、さらに牛山の額のはんぺんの左に刺さっていた。
牛山は傍らの第七師団兵の胸倉を掴み、月島軍曹に向かって武器のように横薙ぎに振るう。
月島軍曹はそれをしゃがんでかわすと、すかさず牛山の腹に向けて銃剣を鋭く突き出す。
銃剣をかわし、両手で銃剣を抱え込むようにして掴む牛山。
牛山の力によって銃剣が完全にロックされてしまった月島軍曹は、その力に驚愕していた。
(このオッサン)
「どうだ強いだろ?」
歯を剥く牛山。
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土方VS鯉登少尉
土方は静かに正眼で刀を構える。
相対していた第七師団兵が土方に向けて発砲しようとしたまさにその瞬間、土方は銃身を突いて銃口を逸らす。
発射された銃弾は明後日の方向に向かって飛んでいく。
そして土方は、すかさず剣先で第七師団兵の喉を突くのだった。
後ろに気配を感じ、振り向く土方。車両の入り口に立っていたのは鯉登少尉だった。
鯉登少尉は無言で示現流の構えをとる。
「うわさの薩摩隼人か」
鯉登少尉と相対する土方。
白石は窓の外を確認して、座席の下に身を隠す。
列車から降りても隠れる所が無いため、函館駅まで行って街の中へ逃げた方がマシと隣のアシリパに見解を述べる。
鶴見中尉が明確に自分が持っている権利書を狙っていることに気付いたアシリパは、これだけは絶対に渡さないと決意する。
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尾形VS鶴見中尉
牛山は月島軍曹の胸倉をつかみ、投げ飛ばす。床に思いっきり叩きつけられて車両の入り口まで飛んでいく月島軍曹。
「あれ? 月島軍曹?」
月島軍曹を飛んでかわし、杉元は二両目に向かう。
「牛山のダンナ!!」
牛山の隣を通り過ぎながら一声かける杉元。
「敗けんなよ!?」
牛山は気を失っている第七師団兵を抱えながら答える。
「生き残ってまた金塊を拝もうぜ 杉元」
座席の下から抜け出し、三両目の車両に向かう白石。
「アシリパちゃん 前の車両へ!! 杉元から離れちゃ駄目だ!!」
白石は三両目の前方の出口に立ち、早く早く、とアシリパに行動を促す。
鶴見中尉は三両目の屋根の上から、白石の立つ四両目の出口に向けてピストルを構えていた。
「鶴見中尉殿」
鶴見中尉の背後から声をかけたのは、尾形だった。
「尾形百之助上等兵…」
全速力で走り続ける列車。
その先頭車両に熊の爪が食い込む。
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感想
カオスが極まってきた……!
主要人物を乗せた暴走列車に、まさかの熊参戦。
これぞゴールデンカムイだな。これから展開がどうなるか、いよいよ全く読めなくなった。
牛山の頭に月島軍曹が投げた銃剣が刺さったが、大丈夫なのか?
剣先が脳に達しているように見えたんだよな……。その後の変わらぬ獅子奮迅の戦いぶりを見るに、特に問題なかったということなのか。
杉元ととのやりとりがとにかく熱かった。
また杉元と一緒に金塊を拝むまでは死なないで欲しい。
牛山に限らないけど、列車に乗っている面々は皆、ここまで激戦続きの中で生き残ったわけだから最後まで退場せずに大団円を迎えて欲しいところだ。
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土方VS鯉登少尉も熱い戦いが期待できそうだ。
天然理心流の土方と示現流の鯉登少尉の戦い……。戦いの展開が想像できるくらい流派に関する知識があるわけじゃないから極めて浅い予想になるが、示現流の初撃を何とか防ぐなり回避するなりできれば、土方に分があるのかな……。ただ土方はここまで負傷している。それも加味すると、やはり予想がつかない。どんな戦いになるか今から楽しみだ。
そして列車の屋根で尾形と鶴見中尉が対峙した!
この二人、どのくらいぶりの対面だっけ……? この二人の会話の中で、特に尾形が何を考えているのか、この金塊争奪戦にどのような目的を持って臨んでいるのかが明らかになるのではないかと期待している。そして、鶴見中尉の考えについては、ここまでの過去の描写などでいくらか明らかになりつつあるように感じているが、この尾形との対決でより鮮明になるのかもしれない。
この話の流れ的に、尾形VS鶴見中尉の勝者が杉元と戦うのか……?
鶴見中尉VS杉元、尾形VS杉元だと、後者の方が個人的には意外性を感じられて面白そうかなと思う。
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いや、尾形と鶴見中尉が一時的に手を結んで、杉元たちと戦うというのも予想を裏切る展開で面白いかもしれない。
いやいや、尾形と鶴見中尉の戦いの最中、まさかの、実は生存していたヴァシリによる狙いすました一撃が尾形、あるいは鶴見中尉を貫く、なんてカオス感フルスロットルの展開になったりして……。
マジで妄想が止まらない(笑)。
しかしこれまで色々と妄想してきたいくつもの戦いを、熊が一体でぶっ壊す可能性もある。というか、むしろそのくらいムチャクチャな展開を見たいな。
実際、熊が出て来たら人間同士で争っている場合じゃない。
月島軍曹と牛山の戦いぶりや、これから戦いが始まる土方と鯉登少尉を見ると、誰も死なずに大団円とはいかない可能性が高いように思っていたが、熊のおかげで何とかなりそうな気もしてきた。
果たしてこの先の展開がどうなるのか。次号が楽しみ。
以上、ゴールデンカムイ第303話のネタバレを含む感想と考察でした。
第304話に続きます。