目次
前話第181話 アムールトラのあらすじ
トラとの戦い
爆破した監獄の壁から上がる黒煙を眺めながら、尾形は、妙だな、と口にする。
爆破して開けたはずの穴から誰も出て来ないことから、何か異変が起きたかもしれないと感じ取っていた。
一か所だけ空いた壁の穴の前には巨大で凶暴なトラが立ち塞がっていた。
壁の穴から逃げようとしていた囚人はトラに捕まり、頭や背中を鋭い爪で切り裂かれる。
その光景を前に、なぜこんなところにトラが? と驚く囚人たち。
「やれやれ…待っていたのはユルバルス違いだよ」
不敵に笑うソフィア。
キロランケの本名ユルバルスとは、タタール語で”トラ”を意味していた。
トラの中でも最大の体長を誇るアムールトラは、ワニはおろか、ヒグマすら襲って食べるという怪物だった。
アムールトラには単独でも何十キロもの距離を追跡できる体力がある。
よって、間宮海峡の流氷を渡って本来生息域ではない樺太へとやってくることがあるのだった。
トラは爪を振り上げて、逃げようとする囚人たちに向けて吠え、威嚇する。
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ダァアン
監視塔に立つ看守が囚人の一人の背中を撃ち抜く。
舌打ちをするソフィア。
トラは相変わらず壁の穴の前に立ち塞がっている。
「このトラなんとかしろ!! 脱獄できねえぞ」
叫ぶ囚人。
すると、トラがソフィアの方に向かってくる。
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親分と子分
「ソフィア危ないッ」
ソフィアの部下の男がトラの攻撃が庇うようにしてソフィアの前に立つ。
男は腕にトラからの爪の一閃を受ける。
その様子を何か言いたげに見つめるソフィア。
「俺たちが引き付けるからソフィアは穴から逃げろッ」
今度はトラに向かって戦闘態勢の数名の男がソフィアを背中に庇うようにして立つ。
「舐めるんじゃないよ」
鎖を両手に持ち、不敵に笑うソフィア。
「子分たちより先に逃げ出す親分がどこにいる」
「がははッ!!」
「やっぱりソフィアだぜッ」
ソフィアの啖呵を聞き、さらに士気を上げる男たち。
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戦闘意欲旺盛な男たちは、一斉にトラに向かって飛び掛かっていく。
見事にトラに組み付くことに成功した男たち。
首に、背中に、足にと抱き着き、トラの動きを制してしまう。
拘束に苦しんだ様子でトラが吠える。
ソフィアはトラが動けずにいる状況を見逃さず、両手に持った鎖をトラの首元に振り下ろすと、首にぐるりと巻きつける。
首に鎖を巻いたままトラの背中に乗るソフィア。
トラはソフィアを背に乗せたまま、全身のバネを使って建物の屋根に飛びあがる。
ソフィアはトラの背中から振り下ろされ、背中から地面に落ちる。
ソフィアたちを見下ろしながら屋根の上を歩くトラを銃撃するようにと男がもう一人の男に指示する。
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「やめときな」
銃撃せよという指示を受け入れ、トラに銃口を向けていた男をソフィアが左手で制する。
「ナーナイ民族ではトラは神様で殺せばその人間の人生は不幸になるという言い伝えがある」
屋根の上に登ったトラに視線を向けるソフィア。
ドドン
別の方角の壁が爆破される。
「あっちも爆破されたぞ」
その隙に、ソフィアたちは近くの壁の穴から脱出する。
その光景を見て、よし! と口にするキロランケ。
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ソフィアは何を知っている?
ソフィアも壁の穴から外に出ていた。
そしてすぐに、そばを歩いているアシリパに注目する。
「ソノ服…樺太アイヌ」
近付いてきた太目でゴツい女に声を掛けられたアシリパは少し困惑した表情で答える。
「樺太アイヌ? 違うぞ?」
「ウイルク見せてクレた… 子供のトキ着タ…『テタラペ』」
そしてソフィアは、ああ、と感嘆の声を上げる。
「ソノ目…ウイルクの目…」
「ソフィアか?」
アシリパはソフィアを見上げながら問いかける。
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ソフィアは、アシリパ……、と彼女を優しい目つきで見つめながら呟くばかり。
白石はその光景を見ながら、ソフィアが、キロランケから聞いて想像していたのとはちがう、と口にする。
「ソフィア?」
キロランケは一瞬不思議そうに呟いた後、ソフィアをじっと見つめる。
しばしソフィアと見つめ合うキロランケ。
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キロランケはソフィアに向けて第一声を放つ。
「めちゃくちゃいい女になったな」
思わずキロランケを見る白石と尾形。
「ユルバルス…」
ソフィアは目を閉じ、噛み締めるように呟いた後、一発キロランケの左頬に平手打ちをする。
「よくもウイルクを………」
鋭い目つきでキロランケを睨みつけるソフィア。
「?」
アシリパ、白石、尾形にはそれが何のことが分かっていなかった。
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第181話 アムールトラの振り返り感想
女傑ソフィア
やはり第180話最後に出てきた虎はアムールトラだった。
google画像検索でアムールトラを調べると、中々毛並みが美しく、風格があってかっこいいんだわ。
しかしトラの中でも最大の大きさで、ワニでもヒグマでも襲って食べるとか……。
つまりそれって地球上でも有数の怪物ってことじゃないの?
その怪物は、囚人たちが脱出するために開けられた穴の前に、彼らを逃がすまいと守護神の如く立ち塞がった。
そんな怪物相手に、囚人たちは苦戦する。
なかなか壁の外に逃げられず、立ち往生していると今度は監視塔から看守の狙撃……!
まさに”前門の虎、後門の狼”のような状況だった。
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前回時点では、ちょっと脱出は難しいかも、なんて思ってた。
でもそんな窮地を打開したのはソフィアとその仲間たちだった。
身を挺してソフィアを守り、逃がそうとする仲間たちもかっこよければ、そんな仲間たちに、子分を置いていく親分がいるか、と啖呵を切って残ったソフィアもかっこよかった。
ここでソフィアが必死の形相になっているでもなく、ましてや恐怖に引き攣っているわけでもなく、ニヤリと不敵な笑みを浮かべているがいいんだよなぁ。
こういう、ぶっきらぼうながら互いを思いやる強い仲間意識は好きだ。かっこいいし憧れる。
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そしてこのシーンが、ソフィアがパルチザンのリーダーとして有能だということを雄弁に物語っているといえるのではないか。
仲間たちが一斉に捨て身でトラに飛び掛かることでその動きを拘束する。
そのスキにソフィアが見事にトラの首に鎖を巻き付けた。
その容姿、佇まいやセリフからひしひしと感じてはいたけど、ソフィアは間違いなく女傑だわ。
そりゃ、こういうリーダーには男女関係なくついていくよ。
かっこいいんだもん。
逃がしたトラへの銃撃を止めさせるのもいい。
恐怖に駆られていただけだったら問答無用で撃たせていただろう。
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トラへの恐怖に支配されず、冷静に言い伝えを思い出し、それを守る余裕がある。
今回のソフィアの行動からはいちいち、リーダーかくあるべし、と感じるものがあった。
容姿がキロランケたちと行動を共にしていた頃よりゴツくなって、キャラとしてお笑い的な要素が強くなったのかと思いきやこのかっこよさ。
トラを退けて壁の穴から脱出する際にアシリパを見つけた時のソフィアの目は、確かにスリムな頃のソフィアと同じだった。
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キロランケ、ソフィアとの再会
ゴツくなったソフィアと再会したキロランケの第一声には吹いたわ。
「めちゃくちゃいい女になったな」
キロランケがあまりにもマジな表情で言ってるのと、白石と尾形が無言でキロランケに視線を投げて突っ込んでる様子のダブルパンチで笑ってしまった。
そういえばキロランケはちょっと太目の女の人が好きだったっけ。
確か嫁さんもちょっと太目だった。
しかし顔は関係無いのかな。
スリムな頃は容姿端麗と言ってよかったと思う。それが随分とゴツくなってるよね……。
体つきがたくましくなっただけならスリムな頃の容姿を彷彿とさせる美しさが残っていていいと思うんだけど……。
現在は、ここまでゴツくなるか、というレベルのゴツさだと思う。そこいらの男なんか目じゃない。
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アシリパは何か思い出すのか?
ウイルクに恋していたソフィア。
おそらく彼女にとって最後の恋のつもりだっただろう。
だからなのか、ソフィアはアシリパと会ってすぐにウイルクの娘だと見抜いた。
アシリパの名前を知っているのは、この脱獄作戦開始の前に行っていたキロランケとの手紙のやり取りの中で知ったのか。
それとも、もっと前に、ウイルクが結婚して、アシリパという娘をもうけたことを知っていたのか。
ここらへんは次号で分かりそうだ。
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いよいよ真相が……?
キロランケがウイルクを”殺した”というのは一体どういうことなのか?
これに関しては常に不思議に思っていた。
インカラマッはキロランケがウイルクを殺した犯人だと言っていた。
その根拠は、凶器にキロランケの指紋が残っている、というかなり確度の高いもの。
もしそうなら、網走監獄で尾形が頭を撃ち抜いたあののっぺら坊はウイルクじゃないのかな?
これは138話からずっと考えていた。
ここらへんの謎に関して、次号でようやく答えが出そうだから期待している。
ソフィアもキロランケが関与している”ウイルクの死”ついて何か知っているようだ。
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事前に網走監獄でウイルクが尾形に殺されたことを手紙のやり取りで伝えていたとしたら、なぜキロランケに怒りをぶつけるのか。
確かにキロランケは尾形と組んでいた。尾形に協力していたならキロランケもまたウイルク射殺に手を貸したといってもよいだろう。
でも、それならなぜキロランケがそんなことをわざわざ手紙でソフィアに伝えるのか、ということになる。
つまり、ここでソフィアが言った、よくもウイルクを、というセリフは少なくとも網走監獄のことではない?
キロランケがウイルクを殺したというのは、物理的にとは限らないということなのかな?
一口に”死”と言ってもその在り様は様々だと思う。
組織の中での没落だったり、社会的な死なんかもソフィアが言及している内容の候補になるのかもしれない。
果たしてソフィアが一体何を指して、よくもウイルクを、と口走ったのか。
次号が楽しみだ。
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181話の感想記事は上記リンクをクリックしてくださいね。
前話第182話 私の知らない父のこと
脱獄成功
キロランケを平手打ちをしたソフィアはそのまま彼を真っ直ぐ見据えていた。
それに対し、キロランケは冷たい視線を受けたまま沈黙を返す。
しかしすぐにソフィアは振り返って、何事もなかったように一同を監獄の外へと先導する。
監獄の敷地内では囚人たちが脱走しようと必死に走っていた。
そんな囚人たちに向けて見張りが撃っているらしき銃撃音が何発も響いている。
銃を持った看守は、爆弾で破られた塀の穴を見つけていた。
そこから脱走したであろう囚人たちを追うためにほかの看守を集める。
そして、看守たちは流氷の上の人影に銃口を向けていた。
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しかし流氷の上にいる人影がニヴフの猟師だと気付いたことで、看守は発砲することできない。
見渡す限り広がる流氷の上では、そこかしこでニヴフの猟師が仕事をしているのだった。
キロランケたちはそんな中を歩いて、亜港監獄から遠く離れていた。
上手くいった! と白石は笑う。
キロランケたちは脱獄の決行時刻をニヴフの猟師が多くなる時間帯である明け方に設定していた。
明け方に流氷の上で働く彼らに紛れて看守から逃げ切るという作戦が成功したのだった。
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アシリパ、ソフィアからウイルクの話を聞く
亜港監獄から離れるべく、流氷の上を歩いていくキロランケたち。
その道中、アシリパはソフィアに”ソフィアしか知らないウイルクのこと”を教えて欲しいと訊ねる。
アシリパの言葉をキロランケが訳してソフィアに伝える。
受けた質問の意味を理解し、ソフィアはニッコリと笑って語り始める。
「彼は純粋で美しかった」
ウイルクを出会う以前、ソフィアは貴族として何不自由ない生活をしていた。
ソフィアはそれを、都会のお嬢様だった、と振り返る。
革命運動の最中にウイルクとキロランケに会ったソフィアは、ウイルクから様々な知らないことを教えてもらったと言い、彼から教わったことを思いつく限り挙げていく。
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「コケモモの塩漬け」
「樺太アイヌの犬ぞり」
「前髪に結んだホホチリ」
「ウイルタのトナカイの骨占い」
「ニヴフのアザラシや魚の皮で作った服」
「極東に住む少数民族たちの生活」
キロランケが訳していく。
「我々が話す独自の言葉」
「信じている神様」
森の中で、ソフィアとウイルクは小さな川を挟み腰を下ろしていた。
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「戦って守らないとすべて消えてしまう」
ウイルクはソフィアに語り掛ける。
「生まれてくる子どもたちは言葉も神様も忘れてしまうだろう」
アシリパは、ソフィアの話をキロランケの訳を通じてじっと聞いていた。
ウイルクはアメリカの先住民族が白人に負けた理由を”各部族が対立し合っていた協力できなかったため”と分析していた。
そして日本の北海道にも樺太アイヌと似たような文化を持つ民族がいるなら、たとえ少数民族であっても各民族で連携、協力し合うことでロシアに対抗できると”ある構想”を口にする。
「樺太・北海道を含めた極東連邦国家を作ればいい」
ソフィアの話を聞いていた白石は、でっかいな、と呟く。
ウイルクのスケールに圧倒されていた。
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あと少しで追いつく
杉元たちは亜港監獄に到着していた。
谷垣は塀に空いている穴を見て、キロランケが爆破して囚人を逃がしたと推測する。
月島軍曹はキロランケたちに近づいている実感を得ていた。
一歩遅かったが奴らは近い、と呟く。
杉元はアシリパの行く先のヒントを得るために、彼女から預かっていたマキリの匂いをリュウに嗅がせていた。
嗅ぎ終わったリュウは、流氷の方を向いて何やらソワソワしている。
その様子から、キロランケたちが流氷の上を逃げたとでもいうのか? と鯉登少尉。
確信を持った様子で主張する杉元。
「リュウがあっちと言うなら俺は信じるぜ」
そう言いながらリュウの頭を撫でる。
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「ワーッ」
突然叫ぶチカパシとエノノカ。
どうしたんだ? と谷垣が二人に問いかける。
「うわうッ」
谷垣は塀の穴から姿を現したアムールトラに驚くのだった。
コートのボタンが弾け飛ぶ。
トラの存在に杉元や鯉登少尉も気づく。
犬ぞり用の犬たちは一斉に逃げる。
月島軍曹、谷垣はトラに向けて発砲していた。
しかし塀の中に逃げたことでトラに弾は命中しない。
カーン
カーン
ガーン…
聞こえてきた銃声に、尾形はふと亜港監獄の方を振り向く。
「……」
(古い銃で使われるような黒色火薬の間延びした銃声……)
「まさかな」
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第182話 私の知らない父のことの感想
ウイルクには壮大なビジョンがあった
受け継がれてきた少数民族の文化を途絶えさせたくない。
そんな想いがウイルクを動かしていた。
きちんと実現する為にはどうしたらいいかを真剣に考えているのと同時に行動に移しているところがウイルクが傑物である証拠だと思う。
本当に真剣に少数民族の未来を守りたいと思って行動していたからこそ、なぜアメリカで先住民族が白人に負けたのかという分析をしていたはず。
当時はそういう情報を得るためには現代よりも何倍も苦労したはずだ。
そしてそうした少数民族・部族が負ける事例を知った上で、”少数民族は協力し合わないと負ける”という教訓から極東の少数民族による連邦国家を建設しようと発想するのは非凡ではないか。
白石の”でっかいな”という呟きは、読者の呟きでもあるだろう。少なくとも自分はそうだった。
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さらに、その構想はソフィアに”実現するかもしれない”という想いを抱かせたはずだ。
そうじゃないとこんな風には振り返らないだろう。
この構想に関して唱える人が違えば”単なるホラ吹き”として描写されてもおかしくないはずだ。
ウイルクはそんなどでかい構想を口にしても一笑に付されない人間性を備えていたということではないか。
「生まれてくる子どもたちは言葉も神様も忘れてしまうだろう」
ウイルクは伝統を後世に伝えて行きたいという想いが特に強いようだ。
どの巻だったか、アシリパの回想で、幼いアシリパにウイルクが優しく語り掛けていた描写があった。
なぜかそのイメージとピッタリ重なったなー。
アシリパもまた、ウイルクのイメージがガラッと変わった、というより自分の覚えていたウイルクの一端を知ったという感じじゃないかな。おそらくアシリパとしてはソフィアから聞いているウイルクの話に違和感はなさそうに思える。
ウイルクは国を先導するリーダーとしてふさわしい器を備えていると思うけど、でも現実としては政府から追われる身だ。
対立している国の体制を完全に崩壊させない変えない限りは、あくまで”国家元首を殺した最悪の犯罪者”でしかない。
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まだソフィアの知っているウイルクの話はまだ続くっぽい。
自分が今、一番気になっているのはウイルクとキロランケの間に一体何があったのかということだ。
そして、ソフィアはそれを知っている。
ソフィアはキロランケに問答無用で平手打ちをした。
おそらくソフィアが愛してやまなかったウイルクを窮地に陥れるような、ひょっとしたら裏切り行為を何か行ったのかもしれない。
でも正直、キロランケがウイルクを裏切るとはあまり思えない。
だから多分、ウイルクの近くにいながら彼を守り切れなかったからなのかな……。
それって考えてみれば理不尽なんだけどね……。
どうしようもないことってあるわけじゃない。
でもウイルクのことが本当に好きなソフィアからしたら、彼の近くにいて守るチャンスがあったのにそれができなかったことはどうしても許せないのかもしれない。
女性の好きという力はとんでもなく強いというイメージがある。理屈なんか簡単に越えるんじゃないかな。
実際、ソフィアの穏やかな語り口からウイルクのことが本当に好きなことが伝わってくるようだ。
そして、だからこそ、キロランケへの平手打ちとそれとともに言った”よくもウイルクを……”というセリフが、ウイルクの身に起った不吉なできごとを想像させる。
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あと一歩
杉元たちがキロランケたちに追いつくまであと一歩と言えるだろう。
そしてすぐに追いつきそうな気配がある。
リュウが流氷の方角を気にしているのを杉元は信じた。
リュウの示す方角に向かわず、結果的に谷垣とともに凍死しかけた一件以来、杉元はリュウにかなりの信頼を置くようになったようだ。
リュウがあっちというなら俺は信じるぜ、と言い切った杉元はかっこよかった。
しかしそんなかっこいい杉元に対し、トラの姿を発見した際の谷垣は面白かった。
ちょっとのけ反っただけ、あるいは大胸筋に力が入っただけでボタンが弾け飛んでるってことでしょ。
どうやらこれは完全に谷垣の芸になったようだ(笑)。
コメディ要員として、最近は鯉戸少尉が割と頭角を現してきていると思う。
でもまだまだ谷垣の天下だわ(笑)。
でも真面目だし、やるときはやる。
彼の面白い面は彼の魅力を引き立てているんだよなぁ。
なんだかんだで、今回も月島軍曹と一緒にトラを撃退していた。
さて、そんな杉元たちは、リュウの先導でキロランケたちに追いつくことができるのだろうか。
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もうすぐに追いつく?
杉元たちはあと数キロでキロランケたちに追いつく?
キロランケたちは徒歩で移動しているからリュウの探知能力なら次号で追いついてもおかしくない。
聞こえてきた銃声から”杉元たちが来ているのでは?”とうっすらと予期しているっぽい尾形の感覚の鋭さはさすがだわ。
杉元たちがキロランケたちに追いつくとすると、おそらく流氷の上になる?
流氷の上でバトルになったりするのだろうか。
杉元はアシリパを連れて帰ることができれば戦うつもりはないのかもしれない。
でもキロランケたちはアシリパを行かせたりはしないだろうから、やはり戦いになるのではないか。
自分は彼らが全員好きだから、死傷者とか勘弁してほしいわ。
今のところフラグは……実は尾形がちょっと危ないんじゃないかなと思ってたりする……。
ウイルタ式の占いで「誰か死ぬ」と結果が出ていたのと、樺太に来てからの尾形がどうも危うく感じる。
弟の勇作とアシリパを重ねてみているようなところが見受けられるんだよなー。
アシリパを守る、もしくは逆に殺そうとする、尾形の行動はどっちもあり得る気がする。
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杉元たちとキロランケたちとで最悪、流氷の上で死闘が繰り広げられる可能性もある。
みんな良いキャラばかりだし簡単に死ぬことはないと思いたいけど、やはりあの占いの結果が気になるんだよね。
ひょっとしたら犠牲者はソフィアかな?
アシリパがソフィアからウイルクに関する何か決定的な証言を聞き出そうとしたまさにその瞬間、に杉元たちの弾に当たってしまうとか。
そんな悲劇的な展開は十分あり得るのではないか。
果たして杉元たちとキロランケたちの間でどう話がつくのだろうか。
次号で急転直下の展開になってもおかしくない。
以上、ゴールデンカムイ第182話のネタバレを含む感想と考察でした。
第183話に続きます。