第301話 第二陣
前話第300話あらすじ
第299話の感想記事です。
月島軍曹と鶴見中尉、そして鯉登少尉は杉元たちを馬で追う。
尾形は木の中腹で双眼鏡が反射している光を見つけていた。
それをヴァシリの双眼鏡だと確信した尾形は、銃を構えて光を狙う。
しかしその光が意図的なものだと気づいた尾形。
光を放っている双眼鏡。それを持つ腕一本分下の位置を撃つ。
その直後に、足に被弾する尾形。
しかし尾形は勝利を確信する。
「もしお前が無事なら今の一発…足で済んでるはずがない」
尾形が狙撃した木から銃が落下し、地面に突き刺さる。その銃を血が濡らしていくのだった。
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杉元たちは鶴見中尉たちの執拗な追跡に焦っていた。
必死に逃げ続けて、函館に向かって走っている汽車を発見する。
函館から逃げている自分たちが、あえて函館行きの汽車に乗ることで鶴見中尉達の裏をかき、さらに海へ着いたら乗せてもらえる船を探すという方針を固めた杉元たちは、走っている汽車に乗り移る。
杉元がふと呟く。
「あれ? そういえば函館行きって夕方の一本だけじゃなかった?」
牛山が客車の扉を開けると、乗客は全て師団兵だった。
第300話の感想記事です。
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第301話 第二陣
追跡
この汽車は追加の第二陣だと叫ぶ白石。
客室の師団兵たちが杉元たちを不審に思い始める。
しかし次の瞬間、牛山が師団兵を片手で振り回し、他の師団兵にぶつけていくのだった。
牛山の猛攻を受け、師団兵の一人が気付く。
「牛山! 不敗の牛山だ!!」
兵たちは、投げ飛ばされた師団兵の直撃を受ける。
牛山の後を抜刀した土方が追う。
杉元は白石にアシリパを連れて汽車を降りるように指示する。
それを受けてアシリパは、まだ客車の外に出ている谷垣に、汽車から降りるようにと伝える。
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パァン
谷垣の腹を撃ち抜く銃弾。
谷垣は汽車の進行方向の左側を睨みながら、右手で客車の扉を閉める。
アシリパその様子を呆然と、ドアのガラス越しに見ていた。
次の瞬間、谷垣は何者からか蹴りを食らい、汽車から落とされるのだった。
異変に気付いた白石は扉に駆け寄り、開かないようノブを手で押さえる。
扉を開けようとしていた鶴見中尉の姿がガラス越しに見え、戦慄するアシリパ。
鶴見中尉はガラスを頭突きで割り、出来た穴から、権利書が入ったアシリパの矢筒の紐を掴む。
その手を銃剣で突き刺す杉元。
鶴見中尉が客車内に撃ち込んだ銃弾は、杉元の左肩と胸の上部に当たる。
アシリパはこれ以上杉元に向けて弾が飛ばないよう、鶴見中尉の持つ銃の銃身を掴み銃口を杉元から逸らそうとする。
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本気の牛山
銃剣で扉に固定された手を引いて、手の傷を大きくしながらも、手の自由を取り戻す鶴見中尉。
白石は権利書を奪われまいと矢筒の紐を掴む。
杉元は、扉の割れたガラス越しに客車の外の鶴見中尉の顔面を突く軌道で銃剣を突き出す。
身体を逸らし、ギリギリのところで銃剣をかわす鶴見中尉。
杉元から下がるよう指示されたアシリパは、座席の下に腹這いになるようにして潜り込む。
鶴見中尉は、馬で汽車と並走している月島軍曹に、アシリパが座席の下を移動していると伝える。
「はい」
そう返事した瞬間、汽車の窓が割れ、師団兵が飛び出して来る。
それは牛山の怪力で、師団兵が汽車の外に勢いよく放られていたのだった。
師団兵は牛山により、次々に外に投げ捨てられていく。
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まだ五稜郭近くにいた鯉登少尉や尾形は、遠くから聞こえる銃声を聞いていた。
座席の下を這い、客車の前方に進むアシリパ。
すぐ後に続く白石に、前の出口から外に出ると伝える。
(谷垣ニシパ……)
谷垣を案じるアシリパ。
アシリパは、ちょうど牛山の真横に差し掛かっていた。
「お嬢!! 見てろ」
師団兵の一人の胸倉を右手で掴んで引きずりながら、ずんずんと客車の前方に歩を進めていく。
「この牛山辰馬と神話に加えなよ 百年後のアイヌにだって大ウケするぜ」
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感想
今回も情報量が多過ぎる。
まず、谷垣は大丈夫なのか? 今回の一番の衝撃は、やはり谷垣が受けた、下手すれば死亡するレベルの負傷だろう。
馬で汽車に追い付いてきた鶴見中尉により、正面から腹部を撃たれた。
客車内のアシリパに気をとられていたために鶴見中尉に不意を突かれた形になったようだ。
久々に登場したのに、もう戦うことは難しいだろう。残念だ。
谷垣からすれば鶴見中尉の銃撃は防ぎようがなかった。しかし撃たれてもすぐに慌てたり倒れたりすることなく、鶴見中尉を睨みつけながら客車のドアを閉める精神力がすごい。
ドアを閉めたおかげで鶴見中尉の不意打ちが杉元たちに及ぶことはなかった。もしドアが閉まっていなければ、前方の師団兵に集中していた杉元たちの背後から撃たれて、誰かやられていたかもしれない。
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腹部に重傷を負い、さらに鶴見中尉によって、走っている汽車から蹴り落とされてしまった。普通の人間なら生存は難しい状況だが、生きていることを祈るのみだ。
谷垣の現在地を占ったインカラマッが救助に向かうというのが、ひとつ考えられる生存の可能性か。
そして久々に出た。不敗の牛山。
師団兵を片手で勢いよくぶん回して凶器として使い、他の師団兵を戦闘不能にしていく。まさに鬼神の如き戦いぶりだ。何しろ熊を素手で退ける男だから、近接格闘戦では無敵。銃で撃たれればさすがに倒れるのだろうが、今回の話では負ける姿が想像できなかった。
ただ、逆に言えば、谷垣が一瞬でやられてしまったように、銃による一撃で一瞬で形勢が変わってしまう。ひとまず先制攻撃に成功し、今は師団兵を圧倒できているが、師団兵が態勢を立て直して銃を使ってきたらまずい。牛山には死んで欲しくないな……。不敗の牛山の名の通り、無敵の男であって欲しい。
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そして鶴見中尉の正確な追跡が怖すぎる。鶴見中尉たちが、杉元たちが鶴見中尉たちの裏をかくために乗った五稜郭方面の港へ向かう汽車に追い付いたということは、鶴見中尉の裏をかくことは出来なかったということ。
鶴見中尉は迷いなく権利書が入ったアシリパさんの矢筒を狙いにいっていた。アシリパさんを殺すつもりなら、谷垣を撃った銃でアシリパさんの不意を突く形で先制攻撃が出来ていただろう。鶴見中尉の優先順位はあくまで権利書で、アシリパさんではなさそうなのでひとまずほっとした。
以上、ゴールデンカムイ第301話のネタバレを含む考察と感想でした。
第302話に続きます。