ゴールデンカムイ第1話不死身の杉元の感想(ネタバレを含む)と考察。金塊に辿り着く為の「刺青人皮」大争奪戦の華々しい幕開け!

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第1話 不死身の杉元

第1話 不死身の杉元

日露戦争激戦地二〇三高地にて

明治三十七年二〇三高地。

塹壕に身を隠し、突撃のタイミングを計っている日本軍の中で、銃の先に銃剣を装着する顔に傷のある男。

男の人差し指の指先を蟻が一匹伝っている。
それをぱくりと丸ごと食べる男。

男はすっぱい、と一言言って、ぺぺっと吐き出す。

その様子を見てハラ減ったなぁと呟く隣の軍人。

「いざとなったらぶっ殺した露スケの白いケツをかじってでも俺は生き抜いてやる」

顔に傷のある男は、生き抜く意思を目に宿らせて前方から視線を外さない。

「突撃ィ」

指揮をとっている上官の命令で一斉に塹壕から這い出て前方に突進していく軍人の波。

その軍人たちを狙って銃弾が飛んでくる。

銃弾は軍人たちの身体を蜂に巣にしていく。

顔に傷のある男の頸部にも銃弾が貫通する。

一瞬よろめくが、すぐにギロリと目を剥き、咆哮を上げながら突進を再開する。

地を蹴り、ロシア兵の塹壕に飛び込みつつ銃剣を突き出す。

「おりゃああ」

銃剣はロシア兵の喉の中心を貫く。

銃剣を引き抜く。刺されたロシア兵は傷の男を見ながら吹きだす血を止めるように両手で喉を押さえている。

刺したロシア兵から視線をまたすぐ近くのロシア兵に移す。

「オラァ殺してみろぉ」

今度は銃床を別のロシア兵の頬に振り下ろす。

続けて、銃剣を投げてさらに別のロシア兵の顔に突き刺す。

「殺してみろぉ」

銃剣を投げて徒手空拳になった顔に傷のある男は別のロシア兵の横っ面を拳で思いっきり殴りつける。

倒れるロシア兵を飛び越えて、今度はその後ろにいたロシア兵の両目を両手の親指を刺し込んで潰す。

「死ねえええ」

鬼の形相になる顔に傷の男。


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不死身の杉元

「杉元佐一さん」

水面に軍帽を被った顔に傷の男が映っている。

「杉元佐一さん」

自身を呼ぶ声に顔に傷のある男――杉元佐一が軍帽をとって声のする方を見る。

「調子はどうだい」
一升瓶を持って顔を赤くしているひげ面の男が焚火の傍らにあぐらをかく。
「ええぇ?」

「…あんたまた呑んでるのか」

杉元が軍帽を被り直し、横目でひげ面の男を見る。

「は~~…さっぱりだな」

砂金を掬っている杉元は、わざわざ北海道の山奥まで来て、まだ採れると思っていたのにとれないので既に採りつくされているに違いないと愚痴をこぼす。

「一攫千金夢見て東京から移って来たってのに」

手に持っている砂金を掬う道具から手を離す。

「砂金! 金粒! 金塊! どこにもねえ!」

その手にあるのは砂利のみ。

ひげ面の男が焚火に両手をかざす。

「砂金で富を築けた奴なんざほんの一握りだよ」

採れる場所の目利きが大事で、素人が手を出してはいけない、と続ける。

杉元が軍帽の庇を持って位置を直す。

「ああ~…カネが欲しい カネが必要なんだ」

木に立てかけてある杉元の銃を見て、ひげ面の男が毛皮の需要があるから猟師になればいいという。

杉元は砂金を掬う道具にシャベルで砂を入れる作業をしながら、今すぐどかっと稼げないと意味がない、狩りこそ素人には無理と答える。

日露戦争から帰って来たばかりだろう? と杉元に問いかけるひげ面の男は続ける。

「『不死身の杉元』って呼ばれてたんだって?」

「鬼神のような戦いぶりだったそうじゃないか」

瀕死の重症を負っても翌日には走り回り、どんな武器でも杉元を殺せない、それはほんとうか? と杉元に問う。

杉元はその質問に、なかなか死ねないもんさ、と石を捨てながら答える。

ひげ面の男は、戦争でそんな活躍をしていたなら「武功抜群」で勲章モノだろ? と問う。

気に入らない上官を半殺しにしていなければ金鵄勲章をもらって今頃年金暮らしだ、と作業しながら答える杉元。

ひげ面の男は気に入ったよあんた、と笑い、ひとつ、深くため息をつく。

「なあ面白い話してやろうか?」


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24人の脱獄死刑囚と刺青人皮

ひげ面の男は、杉元のことが気に入ったから話す、他言は無用、と断って、砂金にまつわる話をはじめる。

昔、北海道では川で大豆くらいの砂金が1日1匁(112グラム)採れる日が毎日続くゴールドラッシュの時期があったという。

アイヌ民族を迫害する日本人に抵抗する一部のアイヌが軍資金として砂金を貯めていた。
そんなアイヌを皆殺しにして、ひとりの男が20貫(75キロ)8万円(8億円)もの量の金塊を全て奪ってしまった。

作業を止めて、じっと聞いている杉元。

警察に追われた男は金塊を北海道のどこかに隠し、隠し場所を誰にも伝えることなく網走監獄に収監される。

外にいる仲間に金塊のありかを伝えようとするが、誰もが財宝のありかを探っていたため、看守の目を恐れて手紙は書けない。

出所する人間に持たせるのも、看守がお尻の穴までキッチリ調べるのでダメ。

金塊を奪った男の口を割らせようと看守はあらゆることを行ったが誰も金塊のありかを聞き出すことはできず、男の脱獄を防ぐために片足の筋を切られることになる。

「あんたならどぉ~するね?」

ここまで話して、ひげ面の男が杉元に、どうやって日本一厳重な監獄から外の人間に伝える? と問いかける。

杉元は、どうやったんだ? 早くいえよ、と先を促す。

「入れ墨を彫ったのさ 同房になった死刑囚たちの体に埋蔵金のありかをしるした暗号をな」

囚人の労働に炭焼きがあったため、入れ墨に必要な炭は手に入ったので、それを唾液に混ぜ、針でコツコツと外の仲間にしか分からない暗号を彫ったのだという。

金塊強奪犯の男は暗号を彫った囚人に「ここから脱出しろ 成功した奴には金塊を半分やる」と言い放った。

そこまで聞いた杉元は、脱獄させる奴に暗号の手紙を持たせれば良い、入れ墨なんて目立つまねをせずに、と呟く。

それに同意するひげ面の男。しかし、意図がわかるのはそのあと、と一升瓶を傾けながら続ける。

囚人たちの入れ墨は全員でひとつの暗号になっている。

入れ墨の噂を聞きつけて金塊を狙う警察や軍を出し抜こうとはみ出し者の屯田兵が死刑囚の移送を行う。

ところが、それを読んでいた死刑囚は、移送を脱走の好機として活かし、入れ墨を彫られた死刑囚達は屯田兵たちを皆殺しにして見事に脱獄に成功する。

そこまで聞いた杉元は、脱獄犯や金塊はどうなった? と先を促すが、それっきり、脱獄犯も金塊がどうなったかも誰もわからない、と寝こけてしまう。

「あんたその話だれから聞いた? ずいぶん詳しいけど…」

杉元の問いに、ひげ面の男は既に寝入ってしまっていて答えない。

絶滅したエゾオオカミが生き残ってると言っていたし、またいつものホラ話だろ、と杉元は作業を終えて、コートを着て焚火のそばに座る。

焚火を見ながら、過去を思い出す杉元。


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杉元佐一の過去と金が必要な理由

――戦争が終わったら佐一よぉお前も一緒に付いて来い。

塹壕の中で会話する二人。

男は、俺は学がないから貧乏から脱出するためにも子供を大学へ行かせたい。そして目の病にかかっている妻の梅子をアメリカの医者に診せるための費用二百円(二百万)以上を稼ぐために、まだ砂金の採れる北海道で一発当てたいと杉元に言う。

「佐一…梅子を頼んだぞ 目の悪いコブ付きの女なんて誰も貰ってくれねえ」
涙を流し始める男。
「幼なじみで親友の頼みだ」

「ああ? 寅次てめえ何言ってやがる…」

杉元が寅次と呼んだその男の方を見ると、寅次は両腕を失い、腹からは内臓が零れ落ちている。両足も膝から先がない。

「俺は日本に帰れない」

「あ…おい待て行くな! 梅子を未亡人にする気か! 寅次っ おいッ」

血の海に沈んでいく寅次。離れていく杉元は涙を流しながら寅次に手を伸ばす。

いつの間にか寝ていた杉元が目を覚ます。

杉元の背後でガチャガチャと音がする。

「……くそっ」

ひげ面の男が杉元の銃を杉元の背中に突きつけている。

真実味を帯びる「与太話」

「しゃべりすぎた」

「……」
杉元はひげ面の男の構える銃の先端を掴み、自らの心臓に突きつける。
「試してみるかい 俺が不死身かどうか」

銃を突き付けてもまるで動じない杉元の様子に思わず生唾を飲む男。

杉元は手元にあった石を掴んで男の横っ面を殴りつけ、銃を奪い返す。

後ろに倒れる男。

杉元は銃の安全装置を外し、レバーを引く。

「ほら、これでいつでも撃てるぞ」

冷静に言い放つ杉元から一目散に逃げるひげ面の男。

「酔った勢いでしゃべりすぎて急に怖くなってきたってことか?」

杉元は、道具を入れるポーチのついたベルトを装着して、さっきの与太話が真実味を帯びてきた、あいつは何か知ってるのか? と男を追う。


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ヒグマの気配

森の中。

杉元は銃を持ち、周囲を見回す。

(やられる前にやるしか…)

杉元は、傍らで、カラスがけたたましく鳴いているのに気づく。

顔の上半分と両手、両足だけ出してあとは全て雪の中に埋まっているひげ面の男の姿がそこにあった。

男の目はじっと一点を見ている。

なんだこりゃ、と杉元が驚く。

「なんであんた埋まってるんだ?」
男の体の周りの雪を掘り出す杉元。
「待ってろいま引っ張り出してやる」

背中から男の両脇に手を回して後ろに男の体を雪から引っこ抜くと男の腹に大きな穴が開いていることに気づく。

「はらわたが無くなっている」

よく地面を見ると、雪の上に大きな獣の足跡が付いている。

(ヒグマだ)

食い残しを埋めたんだ、と理解する杉元は男の様子を見る。

首が折れていることから悲鳴も上げられずに殺されたのかと考えていると、何かに気づく。

「オイオイ どういうことなんだ? こりゃあ……」

男の着物を脱がすと、背中には一面に入れ墨が彫られている。

「あんたがさっき話してた囚人のひとりってことか?」

ホラ話じゃなかった、どうりで詳しいわけだ、と興奮し始める杉元。

「マジかよ これが金塊の在り処をしるした入れ墨だってのか!!」

キョロキョロと慌てて周囲を見回す杉元。

杉元は、ヒグマが戻ってきて埋蔵金の手がかりをしるした入れ墨を持つ男をヒグマが食う前に他の場所に移さないと、と男の死体を背負って歩き始める。


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杉元をヒグマから救った少女

バリッという男が樹上から聞こえて、杉元がそちらを見ると子熊がいる。

なんだ、と安心するも、子熊がいるということは、と思い直す杉元。

フオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛

すぐ近くで、ヒグマが杉元に向けて吠えている。

杉元は銃を構えようとするが、背中に背負った男の足に、銃を背負うためのベルトが引っかかってしまい、ヒグマを見た状態のまま立ち尽くす。

猛スピードで近づいてきたヒグマは杉元に前足を振り上げる。

「おおっ」

杉元は滑って背後の斜面から転がり落ち、倒木にぶつかって止まる。

「畜生ッ」
ヒグマを見上げる杉元。
「速すぎるだろ」
倒木を乗り越える。

ヒグマが杉元のすぐ後ろを追跡する。

(食われる…)

倒木に両手をかけたヒグマの胸の中心にどこからか飛んできた矢が刺さる。

ヒグマがギ゛ャア゛と悲鳴を上げる。

杉元が矢の飛んできた方向を見るとそこにはアイヌの衣装に身を包み、次の矢を弓につがえている女の子がいる。

「アイヌ…」
杉元が少女を見つめながら呟く。

ヒグマは弓を胸に受け、呻いている。

「離れろ」
少女が杉元に向けて言う。
「トリカブトの根やアカエイの毒針を混ぜた即効性の毒矢だが…ヒグマなら10歩は動ける」

「死んだのか?」

アイヌの強力な毒の前に倒れたヒグマ。

そのすぐそばに近寄っていた杉元と少女。

「逆立っていた体毛がねている 死んだ」

倒れた羆の爪を見て、なんて爪をしてやがるんだ、と驚く杉元。
少女が何かやっているのに気づき、何やってんだ、と問いかける。

「毒矢が刺さったまわりの肉を取り除く」
少女はナイフの刃をヒグマの矢のあたりに刺し込んでいる。
「そうしないと毒が強いから肉も毛もダメになる」


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「弱い奴は食われる」

その男は死んでるのか、とアシリパ。
杉元は、そこの母熊にハラワタを全て食われて埋められたと答える。

母熊? とオウム返しするアシリパに、杉元は子熊が木に登って、その下の穴から母熊が出てきたのだと説明する。

それは変だ、と怪訝な顔をするアシリパ。

冬ごもりの穴から出てきたばかりの熊は胃が縮んでいるので何も食べない。
そして、子どもを守るために近づいた人間を襲ったとしても肉までは食べないのだという。

アシリパは熊の胃を切り開き、からっぽなのを確認する。

オッサンを食ったのが別の熊だと理解した杉元に対し、まずいことになったぞ、とアシリパが呟く。

この時期に肉を食う熊をマタカリプ(冬に徘徊するもの)と呼び、冬ごもりをし損なって気を荒くしている危険な個体なのだという。

男の死骸は食べかけであり、マタカリプは一度手に入れた獲物にはとことん執着する。
その為、それを奪われた場合そこまでも追跡して取り戻そうとするのだという。

「凶暴なヒグマを村まで案内する気か? 置いていけ」

杉元は、それは出来ん、と拒否する。

絶対ここに置いていけないと必死の形相の杉元にアシリパはその男が家族か、もしくは友人なのかと不思議そうな顔で問いかける。

そういうわけでは、とトーンを落とす杉元。

「じゃあお前がマタカリプを撃てばいい 兵士なら戦え」
さらっと答えるアシリパ。

「……」
言葉を失う杉元。
(俺が戦場で戦ったのはロシア人でこんな化け物みたいなヒグマじゃねえぞ)

じき夜になるが、月が出ずに真っ暗になるにも関わらずヒグマには確りと見えているため、熊の夜討ちは危険だというアシリパ。
覚悟が無いなら早く立ち去ったほうがいい、と逃げる事を勧める。
「弱い奴は食われる」

杉元はアシリパを見つめ暫し沈黙した後、オッサンの服をずり上げてその背中の刺青を見せる。
「おもしろい話があるんだ」


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共闘

子熊の下半身を食べるヒグマ。

粗方食べ終わったあと、鼻を空に突き上げるようにして、しきりに鼻を利かせている。

杉元は、自分もまだ半信半疑ではあるが、金塊の話が本当ならば死体をヒグマに食べられてしまうわけにはいかないのでヒグマ猟に慣れてるあんたに力を貸してほしい、とアシリパに頼み込む。

幼なじみの戦友の最後の頼みである梅子の笑顔を脳裏に思い描く杉元。
「どうしてもカネが必要なんだ」

アシリパはただ黙って杉元を見つめる。

疑われていると感じた杉元だったが、信じる、と一言答えたアシリパに驚く。
「ほんとか?」

アシリパはその理由を、殺されたアイヌたちの中に自分の父親もいたからだと答える。
そして、なんだって? と問い返す杉元に、急いで薪を集めろと指示を始める。

薪を円錐状に立てて燃やす。

焚火を前に杉元は、火があれば近づかないのか、と尋ねる。

ヒグマは火など恐れない、と否定するアシリパ。
このかがり火は明かりでヒグマを撃つ為のものだと答える。
そして、死体を囮にして待ち伏せにするのだと作戦を説明する。

遺体を明かりに近づけておくか、と死体を引きずる杉元。

それを見ていたアシリパは目を丸くし、なんて冷酷なことを、とオッサンの背中の刺青を見ながら呟く。
刺青の文様から、これを入れた人間には金塊を山分けするつもりなど無かったのだと看破するアシリパ。

杉元への説明の為に刺青が胸、腕にも廻り込むように彫られており、そのすべてが正中線で途切れているのを指摘する。

これは熊や鹿を解体して毛皮を剥ぐ際に切り込みを入れる線と同じなのだという。

杉元はアシリパの説明で、殺して皮を剥ぐことが前提で彫られた刺青なのだと理解する。

刺青を彫った男は何者なのか。
ここまでして金塊を託す執念に驚く杉元。

ヒグマに嗅ぎ付けられる前に皮を剥げば良いのでは? と提案する杉元に、ヒグマは獲物からあまり離れない位置に必ずいるのでまずは薪を集めるのが最優先だと答える。

「俺たちでヒグマを斃すしかねえってことか」
銃をいつでも打てるように持つ杉元。
(いきなり舞い込んできた一獲千金の糸口……食われてたまるか!!)

ヒグマが雪上をひた走る。


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感想

珠玉の第1話

この漫画はこういう話で、主人公の目的はこうだよ、としっかりと読者に教えてくれて、なおかつ次回以降の話に期待を持たせてくれる。

本当に良い第1話だと思う。

ゴールデンカムイは、ここから第2話以降、テンションを保ったまま人気作への道を邁進する。

第1話では、ゴールデンカムイの人気を構成する要素の一つであるグルメ要素はまだ出てきていないんだなぁ。

この時点ではもっと殺伐とした話になっていてもおかしくなかった。しかしそうはならなかったのは適度に挟まるコミカルなシーンのおかげだろう。
コミカルなシーンで垣間見えるキャラたちの魅力もまた作品の重要な魅力の一つと言える。
(面白い漫画は往々にしてそうだったりするわけだけど)

いきなり脱線した。

話を第1話の素晴らしさに戻すと、第1話では、杉元が日露の激戦を生き残った元軍人であること、黄金の場所を記した刺青が24人の脱獄囚の体に施されていること、杉元の相棒となるアイヌの少女アシリパとの出会いなどが巧く詰め込まれている。

仮にこれらの要素を1話ずつ取り上げて描いていったら、この作品も持つスピード感は悉く失われ、今日の様な人気作にはなり得なかったのではないか。

打ち切りになってしまうような作品は、第1話で何かしら欠けているような気がする。
大体が、主人公の”目的”だったりするかな。

物語の構造上、主人公の目的が第1話では描けないということもあるだろう。

しかし、主人公の目的が話の核として重要だと思う。
明快で切実で主人公がどうしても求めずにはいられないような目的を示した方が物語の吸引力は、特に物語の最初期においてはより強くなるのではないか。

打ち切りになってしまうような漫画は、第1話がキャラ紹介で終わる事が多い気がする。
ページ数の関係もあるけど、最初から読者の目を引く意味で、物語の中で主人公が達成したい目的を示す方が先が気になって次の話を読みたくなると自分は思う。

ゴールデンカムイは話の組み立てが巧いのだ。

物語全体ももちろん、1話単位での組み立ても巧い。


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明治の軍人

いそうでいなかった主人公だと思う。

軍人が主人公の作品は、第二次大戦が描かれる事がダントツで多い。

日清・日露と外国との戦争に勝ち続けてきた時代の軍人というのは個人的にはかなり新鮮に感じた。

杉元は初戦で尾形と戦う。

尾形はかっちりとした軍人の制服を着ている。

学生の頃、教科書に載っている明治期の軍人の戦場での写真を見ると、窮屈で動きづらそうに感じていた。
敵と戦う邪魔にならないのかな、というのが素直な感想だった。

杉元対尾形の戦いでは、尾形の制服が派手なアクションの邪魔になるのではないかと思ったが、しかし実際はそんなことはなかった。

制服で戦っているのが自然に思えた。多分、その戦闘描写がかなりリアルに感じられたからだと思う。

ベルトにつけている銃の弾をストックしておく皮の入れ物等を見るに、野田先生はきちんとこの時代の軍人の格好や持ち物、道具の使い方等に関してきちんと調べたのだろう。

ジョジョの奇妙な冒険の岸辺露伴は「マンガの面白さはリアリティにある」と言った。

自分はこの時代について(というか歴史全般において)特別詳しくはない。
なので間違っているかもしれないが、この作品は時代考証がしっかりしているのだと思う。

教科書で教わらないような、当時の日本人の日常が漫画の中で描写されていると感じている。


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アイヌ

アイヌに関しても同じだ。

ゴールデンカムイを読むまで、アイヌのイメージはせいぜいサムライスピリッツのナコルルとか、あとは無限の住人の吉乃瞳阿(といっても、wikiを見たら元は内地の人間らしいが)くらいしかイメージが無かった。
(あとは差別が云々という話くらいか)

しかし、杉元が出会ったアイヌの少女アシリパから、杉元と同様にアイヌの生活や慣習、豊かな文化を知り、アイヌに関してリアリティを感じた。

寒い土地であっても色々工夫して越冬し、知恵を受け継いで連綿と生活して来たんだな。

別に自分はアイヌに関して詳しいわけではないので漫画内におけるアイヌ描写の正誤を判断できないし、余程疑問に思わない限りは自分で調べる事も無いだろう。

ただ、北海道にはアイヌがいて、こういう風習があり、こういう考え方で知恵を使って生活してきたと知るだけで面白いと思う。

刺青

刺青を入れた脱獄囚の皮膚を収集して、それが金塊の在り処を読み解く鍵になるとか中々思いつかない設定だ。

今後、今回死んだ後藤以外に23人の脱獄囚人が登場するが、果たしてどんなヤバイ奴らなのか。

以上、ゴールデンカムイ第1話のネタバレを含む感想と考察でした。

2話に続きます。

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