第297話 五稜郭脱出
前話第297話あらすじ
網走監獄の房で、のっぺらぼうは土方の身体に刺青を彫っていた。
自分にだけ金塊の隠し場所を教えたらどうかという土方に、のっぺらぼうは、あんたが本当に土方歳三か 証明できるかと返す。
土方は、お前さんこそ本当にアイヌかね、とのっぺらぼうに問う。
自分の目が青いのは、父が樺太に流刑にされたポーランド人だからと答えるのっぺらぼう。
土方は、のっぺらぼうがポーランドが帝政ロシアと戦うための軍資金として北海道の金塊を得ようとしているのではないかと指摘する。
そしてのっぺらぼうと自分には、ロシアの南下を食い止めるために北海道を多民族国家にして独立国にするという共通認識があるとして、のっぺらぼうが脱獄できない以上、自分が誰であれ託すしかないのではと指摘する。
アイヌのためにに動いてくれるか確信が持てないと言うのっぺらぼうに、土方は自分の在り方、武士道について話し、自分が守るものの中にアイヌも含まれていると答える。
土方の答えに心動かされたのっぺらぼうは、『コチョウベアスコ』という娘に会え、と切り出す。
脱獄後、土方はアシリパの村を訪ねて、彼女と実際に顔を合わせるのだった。
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再び戦場と化した五稜郭で、土方は第七師団兵を相手に刀やライフルで応戦していた。
しかし物量に押され、孤軍奮闘していた土方は死角からの第七師団兵による攻撃で窮地に立たされる。
あわやというところを救ったのは、いつの間にか土方の元に駆けつけていた杉元だった。
それ以降、杉元と土方は互いに背を預け合い、敵兵と戦う。
第七師団兵の方が強く、状況はかなり厳しいと自分の見解を述べた杉元に、土方は鶴見中尉を探し出して倒せば勢いは消えると答える。
死角からの攻撃で負傷し、傷ついていく杉元と土方。
その頃、戦場を観察していた白石は、南口、東口が陥落した今、北口が落ちたら敵の全勢力が一気に自分たちに襲い掛かるとして、アシリパに権利書を持って一緒にこの場から逃げることを提案していた。
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感想
※ヤングジャンプ発売後更新します。
第296話の感想記事です。
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第297話 五稜郭脱出
合図
五稜郭北口。第七師団がパルチザンに襲い掛かっていく。
ソフィアは塹壕のパルチザンたちに交じって第七師団兵に向けて銃を撃ち、接近してきた第七師団兵の頭を銃の持ち手で殴りつける。
奮戦するソフィアに向けて、別の第七師団兵が手投げ弾を投擲する。
それに気づいたパルチザンたちが一瞬でソフィアを守るべく手投げ弾の前に身を晒し、別のパルチザンはソフィアを手投げ弾から庇う。
手投げ弾が派手に爆発する。
血と肉片に塗れながら、ソフィアは立ち上がるとすぐさま第七師団に向けて銃を撃ち始める、
五稜郭の周辺住民は、五稜郭から離れた林から激しい戦闘の様子を窺っていた。
その後、何者かが住民たちを馬で猛然と追い越していく。
五稜郭北側にあった馬小屋が炎上する。
第七師団、パルチザン、ともに気を取られていた。
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「白石が言ってた『合図』だ」
杉元が叫ぶ。
「ここを脱出すると判断したんだ」
そして杉元は、自分たちもここから一旦退いて、立て直すことを土方に提案する。
鯉登少尉は第七師団兵に杉元たちを追うべく、東口へ向かえと命令する
「権利書があるから外堀は渡らないはず」
月島軍曹はから馬小屋を調べるかどうかを鶴見中尉に問う。
馬で駆ける第七師団兵。
鯉登少尉はそれが第七師団の軍服を着た白石だと看破し、兵たちに白石を止めるよう命令する。
「袋は撃つなッ 権利書と子供だッ」
銃声を背に、白石を乗せた馬は五稜郭の外につながる橋に差し掛かる。
しかし行く手から第七師団兵が四名やってきてしまう。
「うえっ 何で今ごろ橋の向こうから……!!」
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作戦失敗
追いついた鯉登少尉が白石の背負った袋の紐を切る。
橋の欄干に落ちる袋。
その時、白石の行く手を塞いでいた第七師団兵の背後から永倉が現れ、三人をあっと言う間に切りふせる。
橋の欄干に乗った袋が川に落ちようとしていた。
「やべぇッ……」
実は、袋の中身はアシリパではなく縄だった。
アシリパは実際は塀の縁で待機していた。
権利書を入れた矢筒を珪藻土と胃袋で包むことで完全防水対策を行い、堀を越えた白石がアシリパに向けて縄を投げて、アシリパが掴んだ縄を馬で引っ張って堀を渡るはずだった。
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しかし作戦は完全に頓挫してしまったため、アシリパは一人で五稜郭から逃げることになるのだった。
塀の縁で白石が縄を投げるのを待っていたアシリパだったが、一向に白石が来る気配がなく、双眼鏡で様子を窺っていた。
「あっ…!!」
双眼鏡の先に都丹庵士の遺体を発見するアシリパ。
双眼鏡を下ろすと、アシリパは数十メートル先に誰かが立っていることに気付く。
猛スピードでアシリパに向かって駆けていく人物は鶴見中尉だった。
(見つかった!!)
「かかってこいや薩摩の芋侍がぁ!!」
叫ぶ永倉。
橋の上では永倉と鯉登少尉の戦いが始まろうとしていた。
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感想
ああ、戦況がどんどんパルチザンが劣勢になっていく……。
ソフィアたちパルチザンは決死の覚悟で戦っているが、じりじりと第七師団に制圧されつつある。
パルチザンの戦いに臨む姿はまさに勇敢そのものだ。
手投げ弾からソフィアを自らの体を呈して守ったパルチザンたちもさることながら、爆発でばらばらになったパルチザンの血と肉片を被りながらも、全く冷静なまま第七師団に銃弾を撃ち込んでいくソフィアの鋼の覚悟も見るものを圧倒する迫力に満ちている。
しかし、どうやら前回杉元が指摘した通り、兵隊の数はもちろん、練度も第七師団に分があったということらしい。
パルチザンたちが負けてしまうのも時間の問題だ。
杉元たちは早くこの五稜郭から脱出しなければ、命の危険がある。
事前に脱出の合図を決めていた白石たちだったが、果たして五稜郭から脱出できるのか…。
特に鶴見中尉に見つかったアシリパさんが一番危ない。
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アシリパさんを発見して猛然とダッシュしてくる鶴見中尉の姿は、さながらターミネーターのようだ。
これは、さすがのアシリパさんでも容易には逃げられないことだろう。
アシリパさんは果たして上手く脱出できるのか。
杉元が駆けつけて、鶴見中尉とタイマンになったら燃えるな~。
そして鯉登少尉と永倉の戦いか……。こちらも勝負の行方が気になる。
この勝負、どちらにも命を失って欲しくないな……。どちらも良いキャラだけに、お互いにこの戦いを生き残って欲しいところだが……。
来週は鯉登少尉と永倉の戦いの行方と、アシリパさんが鶴見中尉とどう相対するか。
次回も見逃せない。
以上、第297話のネタバレを含む感想と考察でした。
第298話に続きます。