第294話 静寂
前話第293話あらすじ
五稜郭は徐々に第七師団兵の侵入を許してしまっていた。
しかし土方はこの事態は想定していた。
少しずつ五稜郭に突入させ、数的優位を保って戦うことを考えていたのだった。
その頃、函館の街では砲撃がロシアからのものだと勘違いし、ロシアが攻めてきたと慌てて、家財を大八車で運び出そうとしていた。
負傷したキラウシ、マンスール、門倉に、永倉は、土方に助太刀すると答える。
「今度は最後まで付き合いたい」
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鶴見中尉は徐々に兵が集まってくるようになっていた、
都丹と自分は侵入してきた兵を追うので、牛山たちは稜堡で侵入を食い止めるようにと土方。
手投げ弾が落ちてきたことをすぐに察知した都丹庵士が叫ぶ。
「手投げ弾だッ」
手投げ弾爆発後の煙の中、土方の姿を見つけた二階堂は、かつて自分の右足を切った因縁の相手である土方を見つけてニヤリと笑う。
「土方歳三~」二階堂が小さく呟いたのを聞き逃さなかった都丹は土方を突き飛ばし、代わりに銃弾を腹に受ける。
第293話の感想記事です。
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第294話 静寂
都丹は腹を撃たれてもなお、ピストルを撃ち続ける。
都丹の銃に足止めされた二階堂は手投げ弾で反撃する。
土方はギリギリで仲間たちと一緒に、近くの塹壕へと飛び込み、爆風を回避する。
二階堂は抵抗が激しい土方たちを無視して、本来の目的であるの元へと駆け出すのだった
まさかお前がかばうとは、と土方に言われた都丹は、自分は土方がいなければすでに何度となく死んでいた、そして弾を補充しながら、土方に命を救われてから、自分の人生はいわばおまけの人生だと返す。
「少しでもあんたの寿命の足しになれば……」
都丹は土方たちの背中を守ると宣言し、土方たちをこの場から離脱させようとしていた。
二階堂は、杉元に不意打ちする。
二階堂から、顔面にドロップキックを食らう杉元。
その直後、二階堂は足の仕込み銃の散弾を発動。杉元の顔を撃ち抜く。
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感想
やはり都丹庵士が退場してしまった……。
戦場のど真ん中で、あの傷を負ってしまっては、さすがに生存は無理だと都丹は瞬時に悟ったに違いない。そして、命を賭して土方たちの背を守る役目を買って出たのだろう。
それに、そもそも都丹は、土方に救われて生き延びてきた命だから、自分は土方のために死ぬと心のどこかで覚悟していたように見える。確かに土方に命を救われているとはいえ、だからといって本当に自分を投げ出して他者を守るというのはなかなかできることではない。それだけ、都丹にとって土方という男は守る価値がある人物だったということだろう。
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死に際、都丹に静寂が訪れる。目が見えず、その分、鋭敏になった聴力で戦ってきた都丹にとって、この静寂は、これまで激しく戦ってきた彼にとっての安息を意味しているのだろう。
目が見えないというのは戦いにおいて不利なはずだった。しかし目が見えない分を聴力で補うことで、時には目が見えないからこその活躍を見せる時もあった。特殊な能力でとても面白いキャラだったが、ここで力尽きてしまうのは残念だ。土方陣営にとって仲間として、そして戦力としても痛手だ。戦いはまだまだ続く。果たして都丹が命を懸けて救った土方はこの戦いを生き延びることができるのだろうか。
杉元は大丈夫なのか? いくら不死身という異名を持っているとはいえ、二階堂による不意打ちはあまりにも痛い。よりによって、顔を仕込み散弾で撃ち抜かれるとか、常人なら戦意を失ってもおかしくない。まだ杉元の反応はあくまで不意を突かれただけという感じだが、しかし顔に散弾を受けてもなお、杉元には何の恐怖も怯えもなく、変わらぬ戦意が燃え続けているように見える。この物語の最初の頃、第七師団に捕まって、鶴見中尉の尋問を受けていた時、突然頬に団子の竹串を刺されても、杉元が全く動じなかったことを鶴見中尉に感心されていたことを思い出した。
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日露戦争では頸部を撃たれてもなお前線での戦いを最後まで戦い抜いている。これは杉元が度胸が据わっているというのはもちろんだけど、それ以上に負傷に対して鈍感というか、強すぎる。ケガをしてもそれはそれと任務を遂行する。それは敵側からしたらとてつもなく怖い。負傷など意に介さず、僅かの戦意の低下も見られない。そりたってオタいもされるよ……。
果たしてこの戦いはどう推移していくのか。
以上、ゴールデンカムイ第294話のネタバレを含む感想と考察でした。
第295話に続きます。