第214話 雷型駆逐艦VS樺太連絡船
目次
前話第213話 樺太脱出のあらすじ
頭巾ちゃん
鶴見中尉達が大泊にやってくる前日、アシリパと白石は宿屋で女将から明日の早い時間に、それまで故障していた北海道と樺太の連絡船が出るのだという話を聞いていた。
流氷が来ている関係で乗り場は街から離れたところに来ているのだという。
しかし白石は自分たち専用の船が迎えに来る、特別待遇だと答えるのだった。
そのことを思い出した白石は、アシリパが連絡船に乗って逃げる気だと直感していた。
谷垣を連れて、杉元とアシリパを探しながら連絡船が停泊している場所を目指し走っていく。
杉元とアシリパは建物の床下に潜んでいた。
アシリパは杉元の血を止めるために千切った布を銃創に詰めていく。
その間、アシリパは船までもうすぐだと杉元を励まし続ける。
そして応急処置が終わり床下を出て船を目指して走り始めたアシリパと杉元の前に、馬に乗ったヴァシリが止まる。
「頭巾ちゃん…」
呟いたアシリパに対して、ヴァシリは馬上から手を差し伸べる。
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別れ
杉元はヴァシリが自分たちの行動をどこかで全て見ていたのだと気づく。
そして、アシリパが第七師団に警護されたなら、ヴァシリの目的である尾形が近づいてこないと考えているのではと、彼が自分たちを助けようとしている理由を推測するのだった。
ヴァシリの駆る馬の後ろに杉元とアシリパは乗っていた。
軽快に馬を走らせるヴァシリを発見した白石と谷垣。
白石が馬を一気に追い付く。
「アシリパちゃん!! やっぱり思ったとおりだぜ」
乗れとアシリパに言われ、馬に飛び乗る白石。
「おい待て」
一人、馬を追いかけて必死に走り続ける谷垣が停まるように促すが、馬と谷垣の距離は徐々に開いていく。
「悪いな谷垣 この馬は四人乗りなんだ」
白石が谷垣に呼びかける。
アシリパも、インカラマッが鶴見中尉のところにいるから自分たちと一緒に来るなと続く。
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それを受けて、鶴見中尉たちがフチのいる村を監視するからもうアシリパは戻れないと忠告する谷垣。
アシリパは少し考えて、安心するかもしれないから、自分がフチに会う夢を見たと伝えるようにと谷垣に呼びかける。
「必ず会いに戻る…そう伝えて!!」
「達者でな!! 谷垣源次郎」
白石が呟く。
必死に走り続けていた谷垣だったが、完全に馬に離されて、ついに足を止める。
そんな谷垣を発見した菊田特務曹長は、谷垣に近づき、一緒にいたはずの白石がどこへ行ったのかと詰め寄る。
谷垣は街を指さすと、アシリパたちと街の方に逃げるのが見えたと証言するのだった。
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連絡船に乗る
「じゃあなんで言わねえんだ!! 走れ谷垣一等卒!!」
街に向かおうとする菊田特務曹長に谷垣が声をかける。
「俺はマタギです」
谷垣は堂々たる態度で繰り返す。
「マタギの谷垣です」
目指していた連絡船に乗り込んだ杉元たち。
もうすぐ出発するらしいと白石。
杉元の傷を見て、弾を取り出さないとと言ったあと、怖れ半分、呆れ半分で口元を歪める。
「しかしこんな酷い傷なのに…お前どうやったら死ぬんだよ」
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「杉元…」
杉元を心配そうに見つめるアシリパ。
杉元ははっきりした意識で、自分は自分の事情で金塊が必要だから戦うのだとアシリパに告げる。
「全部 覚悟の上だろ?」
しゃがんで、柵から乗り場となる流氷の方角を見ていたヴァシリが指を差しながらフンフンと鼻を鳴らす。
「どうした頭巾ちゃん」
白石がヴァシリの指さす方向を見ると、第七師団兵が付近の流氷の上でしゃがんでいる。
それは流氷の上に落ちた杉元の血痕を発見し、調べていたのだった。
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出発
ヴァシリの双眼鏡でその様子を確認した白石は第七師団兵が間近に迫っている事態に焦る。
「やばい ひとりこっちに来るッ」
「おーいその船!!」
遠くから手を上げて出港を止めようとする第七師団兵。
焦った白石はヴァシリに、今なら他に仲間の兵士もいないので、あの第七師団兵を撃つようにと指示する。
足を狙えと言って、アシリパはヴァシリの左足を叩く。
ヴァシリの撃った銃弾は見事に第七師団兵の眉間を貫く。
足に当てたか? とヴァシリに確認するアシリパ。
「よくやった」
ヴァシリの肩を軽く叩く白石。
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甲板に出ていた他の乗客は、ヴァシリの銃声を聞いても、また船が故障したのではないかと実際に起こっていることには気づかない。
しかし鶴見中尉は敏感にヴァシリの銃声を聞いていた。
「海の方だ」
宇佐美上等兵が駆けだす。
その間にも連絡船は大泊を出港する。
「やった!! 樺太脱出だ!!」
第七師団から逃れ、樺太が遠くなっていくのを喜ぶ白石。
「奴らから逃げ切ったぞッ」
杉元とアシリパは、遠くなっていく樺太半島を感慨深い様子で眺めていた。
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追手
鶴見中尉はヴァシリが撃ち殺して流氷の上で倒れている第七師団兵を見つけていた。
そして、そのそばには乗り手を失い、付近を所在なく歩いている馬がいるのを確認する。
白石は北海道最北端の稚内に到着するまであと3時間と、乗船客か乗組員から聞いた話を報告する。
そして、よりによって杉元とアシリパがあの場面で逃げようと決めたことに呆れていた。
それに対して杉元は、鶴見中尉達に引き渡されてしまえば厳重に監視されて逃げる隙も無くなっていたかもしれないと答える。
白石は、アシリパを囚人狩りに連れまわす必要がない以上、杉元と離れた場所に監禁されたかもしれなかったと杉元の意見に同意する。
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杉元は自分たちだけで金塊を見つければ使い道を自分たちだけで決められるとし、アシリパの人を殺したくない信念が絶対に変わらないことがわかったと続ける。
「アシリパさんなら自分の信じるやり方でアイヌを守る道を探してくれると俺は信じることにした」
アシリパは、そう言った杉元を、笑顔で見つめ続けていた。
「それはいいけどどうやって俺らだけで金塊を見つけんのよ?」
白石が問いかける。
その直後、連絡船のすぐそばの海が弾けたように水しぶきを上げていた。
それは追跡してきた船からの一撃だった。
「うわぁ 追っかけて来た!!」
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第213話 樺太脱出の振り返り感想
追跡
樺太を出発した。
鶴見中尉と多くの第七師団兵を一気に敵に回すというあの危険な状況から、何とか北海道との連絡船に乗り込めた杉元たちだったが、しかし鶴見中尉率いる第七師団は、彼らの逃走をそのまま簡単に許すほど甘くはなかった。
追跡するだけではなく、まさか連絡船に向かって砲撃するとは……。
これは無茶苦茶だ。
軍人が無防備な民間船に向かって攻撃とかあり得ん。クレイジーの一言。
しかし、手段を選ばず必死になるのもわかる。
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鶴見中尉がここで杉元たちを逃がしたら、杉元たちの一員に暗号の鍵を握るアシリパさんがいるのがかなり手痛いことだろう。
下手すれば次に会う時は杉元たちが金塊を手に入れてしまったあとでもおかしくはない。
そして、だからこそ、ここでアシリパさんを確保できれば逆に金塊にぐっと近づく。
鶴見中尉も必死になるだろう。
それに杉元とアシリパには目の前で堂々と逃げられたのはコケにされたも同然だ。そこも杉元たちを追跡する執念を燃やす源泉の一つになっているのかもしれない。
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谷垣離脱
谷垣が杉元一行から離脱となった。
だがもはや谷垣は主人公級のキャラになったから、杉元たちとは別サイドの動きとして彼の行動が描かれるのかもしれない。
それに、杉元たちとの再会は意外と早く来るんじゃないかな。
二瓶、フチ、そしてチカパシと、色々な影響を受けた谷垣はもう自分を完全に取り戻したようだ。
そしてもちろん杉元、アシリパ、白石らとの関わりも谷垣に強く影響を与えている。
菊田特務曹長から谷垣一等卒と呼ばれたあとの一言。そしてそれを言った際の堂々たる表情は良かったな~。
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樺太に来てさらにデカくなった。
筋肉だけではなく、その人としての在り方が。
あと、杉元たちの谷垣への思いやりも目立っていた。
鶴見中尉のところで治療を受けているインカラマッのことを考えて、谷垣を第七師団の元に残すという判断を一瞬で行った杉元、アシリパさん、白石。
そしてその判断を受け入れて、足を止めた谷垣。
ヴァシリが杉元たちを走らせていた馬を、谷垣がダッシュで追うその一瞬の間にそれらのことが行われるとか、お互いのことを本当に大切な仲間だと思っている証拠だと思う。
早いところ、また杉元たちのパーティーに加わって欲しい。
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ヴァシリ、本格的に杉元一行に加わる
谷垣と入れ替わる形で、今度はヴァシリが杉元一行に加入した。
これまで杉元たちとつかず離れず状態で、一定の距離を置いて監視していたヴァシリが、いよいよ正式に(?)杉元たちの仲間として同行することになったようだ。
(まぁ、映画撮影には積極的に参加したりしてたけど……(笑))
何と言ってもヴァシリの特徴は尾形にも劣らない長距離狙撃技術!
今回、早速発揮されたその実力はさすがの一言だ。
船の上から離れたところにいた第七師団兵を一発で斃した。
しかし月島軍曹のようにロシア語の通訳できるキャラがパーティー内に不在の今、ヴァシリと言葉が通じないのはちょっと心配かな。
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足を狙えというアシリパさんの指示も全く無視で眉間に見事なヘッドショット。
これは確かに、追手の追跡を食い止めるという最低限の目的は達している。だけど、このままヴァシリと言語での意思疎通が不自由なままだといつか、肝心な時に思わぬミスが起こりそうな気がする。
しかしまぁ、良いキャラだし杉元たちと同行する展開は大歓迎だな。
前述の通り、狙撃技術がとても頼りになるキャラだし、”頭巾ちゃん”という愛称が出来たことで杉元たちも今後彼に対してどんどん親しみが湧くであろうことは間違いない。
頭巾ちゃんという容姿に加えて、さらに性格や行動から新しいキャラ付けがされていくことも期待できる。
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色々楽しみなヴァシリの同行だが、何より、尾形を仕留めるために杉元たちと行動を伴にするという、彼の動機がシンプルでかっこいい。
そのために、かつて狙ったアシリパや白石と同行しようというその発想が大胆だと思う。というより目的に対してストレートなのかな。
純粋な奴なんだと思う。
ただ、そんな純粋な人間だけに、今のままでは尾形と再戦したところで、彼の底知れぬ不気味さに容易に飲み込まれそうな感じもする。
実際ヴァシリが尾形に負けた時の戦いでは、尾形の方が完全に一枚上手だった。
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それに尾形はまだそのキャラクター性も、実力も、底を見せていない。1巻から出ているのに未知の部分が多く残るミステリアスなキャラクターという地位を守り続けている。
メタ的な視点から考えると、下手すれば鶴見中尉以上の敵、大ボスになり得るキャラだと思う。だからヴァシリには荷が重いかもしれない。
色々妄想が過ぎたが、今後の展開がさらに楽しみになった。
次回、杉元たちを乗せた連絡船は第七師団から逃げられるのか?
砲撃を受けたことにより、即座に停船しそうな気もするけど……。
213話の感想記事は上記リンクをクリックしてくださいね。
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前話第214話 雷型駆逐艦VS樺太連絡船
駆逐艦による追跡
連絡船の乗客たちは爆発音に驚き、甲板に出ていた。
駆逐艦を指揮していたのは鯉登少将だった。
その背には鶴見中尉が不敵な笑みを浮かべて張り付くように立っている。
駆逐艦から発光信号で『直チニ期間ヲ停止セヨ』というメッセージを受け取った連絡船の船長は、ただただ戸惑っていた。
「止めるな」
杉元が現れ、船長に銃を突きつける。
杉元は駆逐艦で追ってきている奴らの目的がアシリパなので撃沈されることはないと言い、全力で進むよう指示するのだった。
いやいや、と船長。
距離こそ駆逐艦と5000メートルと離れてはいるものの、駆逐艦の方が遥かに船速が早いのですぐに追いつかれるという船長の主張に対し、杉元は流氷を突っ切って越えた海に出ることで時間を稼ぐよう促すのだった。
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砕氷船ではない以上、流氷に突っ込んだら沈没してしまうという船長に、流氷の薄いところを行けと食い下がる杉元。
しかし船長は、流氷はどこも幅100メートルはあり、さらにこの時期は稚内まで流氷の帯が伸びているので無理だと譲らない。
杉元は双眼鏡で流氷を観察すると、やがて、速度を落として船首を流氷の帯に向けるよう指示する。
連絡船は杉元の言う通りに動き始める。
駆逐艦から見て、連絡船は東へ逃げようとしていた。駆逐艦で先回りして行く手を阻むよう命令する鯉登少将。
連絡船の行く先に、駆逐艦の艦砲射撃が行われる。
艦砲射撃を受けた海から、大きな水柱が上がる。
しかし射撃は、連絡船の行く手を阻んでいた流氷にヒットしていた。
流氷の帯が破壊されて、途切れている。
「やったッ 読み通り!!」
喜ぶ杉元。
「逃げた鼻っ面めがけて脅しで撃ちまくると思ったぜッ」
さすが杉元、脅し行為に造詣が深い、と白石。
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アシリパの妙案
流氷の途切れたところへ向けて連絡船が進んでいく。
しかしその船速に、駆逐艦は全く問題なくついていくのだった。
鯉登少将はアシリパの存在のせいで艦砲射撃を撃ちこまれないと舐められているので、急いで連絡船を追い抜いて、駆逐艦の船体でその行く手を阻もうと考えていた。
しかし駆逐艦の目の前には流氷の帯がある。
連絡船は流氷を越えて向こう側を航行していた。
連絡船がどうやって流氷を越えたのか、連絡船ではそんな戸惑いが広がっていた。
駆逐艦が何とか流氷の切れ目を探そうとしている間にも、連絡船は距離を離していく。
流氷が動いて割れ目が塞がったのではないか? と杉元が笑う。
「よしよしいいぞ 逃げ切れるッ」
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「さきほどの艦砲射撃が逃げ道を作ったのでは?」
鶴見中尉が鯉登少将に囁く。
それを受けて、鯉登少将は目の前の流氷に一斉に射撃を開始するのだった。
流氷が艦砲射撃で砕かれていく。
その水柱は、遠く離れた連絡船からも分かるくらいに高く吹き上がっていた。
杉元と白石は、駆逐艦に追いつかれるのも時間の問題と焦り始める。
「………よしッ」
何かを決めた様子のアシリパ。
白石を伴い、客室に降りていく。
「白い布を集めるぞ」
各客室から布団を集めていくアシリパたち。
白石は、白旗でも上げるのかと困惑しながらもアシリパを手伝う。
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逃走
連絡船は一旦航行を停止したあと、回頭して駆逐艦に向かっていく。
その行動を見て、流氷で行き止まりだったので観念したのかと解釈する鯉登少将。
連絡船が駆逐艦の横にピタリとつけて停泊する。
「出てこい杉元佐一ッ」
連絡船に銃を向ける菊田特務曹長。
「さっき降りたぞ」
両手を上げて、船室から姿を現す船長。
「降りた?」
宇佐美上等兵も鶴見中尉の隣で、船長に銃を構えていた。
鶴見中尉はすぐに双眼鏡で連絡船を隅々まで確認する。
「嘘こいてんじゃねえッ」
叫ぶ菊田特務曹長。
「短艇が全部あるじゃねえか!!」
第七師団兵が連絡船に乗り込んでいく。
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どこかに隠したのかと問われ、船員は、彼らに対してそんな義理は無いと必死で答える。
そして、停泊した際に、勝手に降りて行ったのだと続ける。
「流氷の上を歩いて逃げてったんだよ!!」
その頃、杉元たちはアシリパと白石が集めたシーツなどの白い布に身を包み、流氷の上を徒歩で進んでいた。
しかし駆逐艦からは、白い布で流氷と一体化した杉元たちの姿を捉えることは出来ない。
降りたのは嘘かもしれないから船内を探すようにと指示を出す菊田特務曹長。
鯉登少将は鶴見中尉に、流氷の動きが思いの外早く、駆逐艦が囲まれたら閉じ込められてしまう可能性がるので、すぐにここを離れなくてはならないと告げる。
「はい…」
鶴見中尉はそれを受け入れざるを得なかった。
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気落ちする鶴見中尉に、宇佐美上等兵が杉元たちを追いかけると進言する。
しかし鶴見中尉はそれを断る。
連絡船が大泊を出発した付近に第七師団兵が倒れていたのを発見していた鶴見中尉は、それが長距離狙撃によるものだと見ていた。
そして月島軍曹から聞いた情報から狙撃の得意なロシアの脱走兵がいるらしいと報告を受けていた。
これらの情報から、仮に流氷原を第七師団が追跡した場合、狙撃手による良い的になってしまうことを怖れていたのだった。
その後、陸兵は全て駆逐艦から連絡船に移って稚内へと向かう。
そして陸兵たちは稚内に着いたなら南下を開始して、オホーツク沿岸の集落を捜索するようにと鶴見中尉から指示を受ける。
「ゆっくり話したいことがあったんだがな…」
ぽつりと呟く鶴見中尉。
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獣
一方、流氷の上を歩いていた杉元たちは駆逐艦が去っていくのを確認し、とりあえず逃げ切れたことを喜んでいた。
杉元は、この時期は流氷が北海道の海岸まで続いているらしいと呟く。
連絡船に乗っていたなら2時間の道のりなので、徒歩でも辿り着けるだろうと白石。
「なんかホッとしたらお腹がすいたね」
トッカリ(アザラシ)なら氷の上で寝てるかも、と杉元にも探すようにアシリパが促す。
魚で良いんだけどな、としゃがみこんだ白石は、海水の中に生き物を見つける。
「なんかカワイイ!!」
「クリオネだ!! 雑誌で見たことある!!」
笑顔でクリオネを観察する杉元。
「”流氷の天使”って書かれてた ハダカカメガイっていう貝殻のない貝の仲間だって」
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じゃあナメクジの仲間じゃん、と白石。
クリオネを食べる方法はないのか、という質問にアシリパは、ない、と即答する。
「私達はこの生き物を食べないからアイヌ語の名前もない」
食べない生き物は名前もつけてもらえないのね、と杉元。
そして杉元たちは、まるで筏の要領で流氷に乗って、楽しみながら稚内へ向かう。
流氷原にフンフンと鼻を鳴らす巨大な獣がいた。
巨大な獣――シロクマは杉元たちの臭いを感じ取っていたのだった。
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第214話 雷型駆逐艦VS樺太連絡船の感想
さらに危険な敵
駆逐艦から何とか逃げたが、今度はシロクマ!?
人間は戦いを避けることが出来る。降参も相手によっては通用する。
しかし獰猛な動物の前で、人間は何も出来ない。
人間が一番恐ろしいとはよく言われるし、その通りだとおもうけど、でもどこにも逃げ場がない流氷原でシロクマというのはかなりの脅威なのではないか>
シロクマとの戦いは死闘になるのかな……?
杉元はさすがに不死身を自称しているだけに、弾を無数に受けたにも関わらず、かなり体調を持ち直しているように見える。
しかし本調子には遠いだろう。
白石はほぼ無力だし、杉元の他に戦力になるのは狩りの経験豊富で対動物では特に頼れるアシリパと、狙撃能力は尾形にもひけをとらないであろうヴァシリか……。
結構バランスの良いパーティだと思うけど、シロクマを仕留められるかというとどうなんだろう?
鍵はアシリパの狩りの知識だろうな。
毒で倒すのかな?
次号はシロクマとの死闘かな。
楽しみだ。
以上、ゴールデンカムイ第214話のネタバレを含む感想と考察でした。
第215話はこちらです。