第293話 侵入者
前話第292話あらすじ
鯉登父が率いる艦隊と、マンスールとで砲撃合戦が起こる。
砲撃の威力に築いていてくマンスールたち。
尾形はどこかで一人、銃を持ってじっとしていた。
そして土地の権利書がアシリパが持っているとあたりをつけていた。
南口を制圧した鶴見中尉たち。
五稜郭内に入っていく兵たち。
その内の一人の顔を杉元が銃剣で突き刺す。
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第293話 侵入者
徐々に押し込んでいく第七師団
パルチザンによる銃弾が飛び交う中、五稜郭の南口を第七師団兵が攻めていく。
二階堂は五稜郭内部へ通じる橋を渡らず、堀に飛び込む。
土方、牛山、都丹とパルチザンたちは五稜郭内部に第七師団兵が侵入しているのを発見する。
焦る牛山。
しかし土方にはこの事態は想定の範囲内だった。
土方が恐れていたのは一気に五稜郭内部が第七師団兵で満たされた上での白兵戦であり、現在のように少しずつ突入させることで数の上での優位を保ちつつ戦うことを考えていた。
銃剣で第七師団兵への顔を突く杉元。
しかし第七師団兵は顔を刺突されながらも、銃で杉元を撃とうとしていた。
杉元は冷静に銃口から身を逸らして銃弾をかわすと、銃床で思いっきり殴りつけて止めを刺す。
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別の第七師団兵が杉元を少し離れたところから撃つ。
しかしいち早く身を低くして銃弾を避ける杉元。
パルチザンが、杉元に向けて銃を撃った第七師団兵の肩に銃弾を撃ち込むと、その間に一気に距離を詰めた杉元が兵の顔を銃で思いっきり殴打する。
アシリパは、五稜郭に入って来た兵と杉元が戦いを始めたことにそわそわしていた。
戦いに巻き込まれないよう、その場を去る準備をしていた白石は、アシリパに杉元の手助けはやめとけと釘を刺し、今はアイヌ、そしてキロランケのためにも権利書を守ることだけを考えろと忠告するのだった。
函館の街では突如五稜郭や周辺の海域で始まった戦いにパニック状態になっていた。
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特に軍艦が沈められた砲撃をロシアからのものだと勘違いし、人々はロシアが攻めてきたと慌てて、家財を大八車で運び出すのだった。
マンスールが射手として存分に腕を振るった大砲は、海からの砲撃をくらい破壊されていた。
「生きてるか貧乏人」
門倉がキラウシに話しかける。
門倉は三角巾で右腕を吊り、包帯で右目を覆っている。
キラウシは顔や左腕を負傷していた。
そしてマンスールはその隣に座って、口に包帯の端を咥えて失った右手に包帯を巻いていた。
永倉は3人に十分役目は果たしたとして、ここから急いで立ち去り、もう五稜郭には戻らないようにと告げる。
永倉はどうするという門倉に、土方に助太刀すると答える永倉。
「今度は最後まで付き合いたい」
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狙撃
鶴見中尉は南口からの兵が追い付いてきたという月島軍曹の報告を受けて、東口、西口の稜堡の敵をせん滅し、兵を突っ込ませると意気揚々と命じるのだった。
堀を渡り、五稜郭内部に上陸した二階堂は、力尽きたパルチザンのそばのバッグに入っている手投げ弾に目を止める。
都丹と自分は侵入してきた兵を追うので、牛山たちは稜堡で侵入を食い止めるようにと土方。
土方たちの姿を二階堂は遠くから一方的にとらえていた。
手投げ弾が落ちてきたことをすぐに察知した都丹庵士が叫ぶ。
「手投げ弾だッ」
手投げ弾爆発後の煙の中、土方の姿を見つけた二階堂は、かつて自分の右足を切った因縁の相手である土方を見つけてニヤリと笑う。
「土方歳三~」
そう二階堂が小さく呟いたのを、都丹の耳は聞き逃さなかった。
都丹は土方を突き飛ばし、代わりに銃弾を腹に受ける。
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感想
都丹が撃たれてしまった……。
あの場面で土方を救えたのは、高性能レーダーと呼んでも過言ではない超聴力を持つ都丹だけだった。
都丹は土方に救われ、さらにその後、進む道を示された。つまり都丹にとって土方は恩人と言える。
だからこその今回の都丹の行動ということはわかるんだけど、いざ自分が都丹の立場であったとして、果たして他者を救うために自分の身を盾にできるかと考えたら、とても即決・即反応はできないかな……。
すぐに動けずに、その結果恩人を負傷させてしまって、後悔しそうだ。
都丹は作中でもかなり有用な能力の持ち主と言える。土方陣営にとって都丹の退場は痛い。
撃ち抜かれた部位が腹部で、命が助かるかどうか、実に微妙なところだと思う。
少なくとも、もうまともに戦えないだろうな。
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都丹に救われたが、二階堂による次の狙撃があったらかなり危険だ。
土方のことだから、都丹を撃ち抜いた初弾の弾道で射手がいる方角を把握し、二階堂と決着、となりそう。
しかし土方は今回は都丹に救われたわけだけど、ここで戦死しそうな気配が感じられる……。
史実では函館戦争で命を落としている。つまりとっくの昔に亡くなっているはずなので、今回の戦いで、戦死することでになるんじゃないか。
都丹の負傷が致命傷か否かが印象的だったが、キラウシ、マンスールも砲撃を受けて負傷している。
ここからどんどん登場人物たちがこうやって傷つき、命を落とす者も出るのだと思うと読むのが怖くなってくる。誰がどうなるかわからない緊張感があるというのは、つまりは面白いということなんだけど、終章であることを突きつけられているようで寂しさもある。
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杉元は相変わらず白兵戦でとびぬけた強さを見せているけど、生き残れるのか?
今回、もしパルチザンの支援が無ければ撃たれてたかもしれない。
誰が退場するかわからない。それは主人公である杉元や、アシリパさんにも言えることだと思う。
戦いの度に身体を失っていった二階堂も、ここでついに力尽きることになりそう。
まだ戦いは序盤。ここからの展開を十分に楽しみたいと思う。
以上、ゴールデンカムイ第293話のネタバレを含む感想と考察でした。
第294話に続きます。
第292話の感想記事です。
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第293話
※ヤングジャンプ発売後に更新します。