ゴールデンカムイ最新第267話断絶ネタバレ含む感想と考察。キロランケの手紙に綴られていたのは……。

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第267話 断絶

前話第266話あらすじ

1897年、鶴見中尉と月島軍曹はウラジオストクに来ていた。

現地の老人から、ハセガワという6年前に行方不明になった男の行方を問われる月島軍曹。

「妻と娘の遺体が……」
老人が話を続ける中、月島軍曹は鶴見中尉が姿を消している事に気付く。

鶴見中尉は全焼した屋敷の前に立っていた。
その建物の看板にはハセガワ写真館と表記されている。

月島軍曹は、鶴見中尉殿の母君の旧姓もハセガワでは? と鶴見中尉に問いかける。

記憶力が良いな、と鶴見中尉。
「新潟にはよくある名字だ」



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月島軍曹はドアの隙間から部屋の中を覗きながら、あのハセガワは鶴見中尉のことだったのか、と思い至っていた。

アイヌたちが帝政ロシアの海軍大佐から軍艦や武器弾薬を横流しさせて、幕府に対して蜂起を計画していたこと、しかし取引寸前にロシア側の取引をする軍艦が客船と衝突して取引相手全員が海に没する1867年「ロシア軍艦カバレラ事故」によって取引がなくなり、アイヌが支払いのために用意していた金塊が宙に浮いていた。

その金塊の行方を追って、ウイルクは北海道に来たことが今回の事件の始まりだ、と鶴見中尉。

ソフィアは俯き、微かに震えていた。

鶴見中尉はソフィアの目の前に来て、右手で小さな骨を弄びながら問いかける。
「あの日……秘密警察の目的は私だけだった だが妻が手配書を拾わなければ戻って来なかった」

「もっと言えばあなた達が私の写真館を選んでいなければ妻と娘はウラジオストクで殺されずに済んだかもしれない」

月島軍曹は鶴見中尉の話を聞きながら、そもそも自分たちの目的は『日本繁栄のため極東への領土拡大』は『戦友たちが眠る土地を日本にする』ことだったはずだが、実は鶴見中尉の本当の目的は『妻と娘の眠るウラジオストクを日本にする』という個人的な弔いであった可能性に至る。



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そしてえ鶴見中尉はソフィアに、妻と娘のこの世での役目は何だったのか、フィーナ、オリガの犠牲の上にソフィア達が何を得たのかを教えてくれないかとソフィアに問う。

ソフィアは涙を流して答える。
「ユルバルスの手紙…『ウイルク 変わってしまった アシリパ生まれたから』」

杉元と白石は鶴見中尉たちが潜伏する教会をつきとめていた。

しかし武装も人員も心もとないことから、土方たちを増援として呼ぶことを提案する杉元。

救出を急ごうとする白石だが、杉元が必死に自分を抑えている様子を見て、白石も増援を呼ぶ事に賛成し、二人は土方たちの元に向かうべく車を指導させる。

ドンッ

柱にぶつかり、白石と杉元が車から飛び出す。

第266話の感想記事です。

ゴールデンカムイ最新第266話小指の骨ネタバレ含む感想と考察。鶴見中尉の個人的目...
第266話※第265話のみ。第266話はヤングジャンプ発売後に更新予定です。前話第265話 あらすじソフィアが持っていた写真を見た鶴見中尉の反応が気になっていた鯉登少尉は、鶴見中尉が向かったソフィアとアシリパを閉じ込めている部屋に向かう。その部屋のドアの前には...



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第267話 断絶

キムシプ

ソフィアは鶴見中尉とアシリパにキロランケからもらった手紙の内容を話し始める。

その手紙はキロランケがアシリパを連れて樺太に来てから書かれた内容で、北海道に渡った以降のことが書かれていた。

北海道でウイルクと別れて、二人でそれぞれの場所でアイヌたちの生活に溶け込み、金塊の情報を集める。

ウイルクはよりアイヌに馴染むべく、アイヌの女性と結婚してアシリパを産んでいた。

キロランケはソフィアに、アシリパを抱くウイルクは見たことがないほど優しい顔だったと伝えていた。

それから数年経て、何年も前に疱瘡で死んだと思われていた老人が、山の中で独りで暮らしているのが発見される。

キムシプという老人だね? という鶴見中尉の言葉にソフィアは沈黙で肯定する。

キムシプは約50年前に砂金を集めてロシアから武器を買おうとしたアイヌの一人で、埋蔵金の在り処を知る人物という情報を鶴見中尉達は明治35年(1902年)には手に入れていた。



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キムシプが目撃され、ウイルクやウイルクと共に行動しているアイヌが動き始めていた。

ウイルクと6人のアイヌ(シロマクル、メシラ、スクタ、イレンカ、ラッチ、オッケポロ)は、小屋に集まって今後の方針について話し合っていた。

その老人に出会って、金塊の在り処は聞けなかったんだなと確認するウイルク。

シロマクルは、キムシプは話そうとしなかったと答える。

説得して聞き出そうと提案するメシラ。

スクタは、今、集まっている7人以外にキムシプについて知っている人はいるのかと全員に質問する。

何人にかに話したが、どこにいたかまでは言っていないとシロマクル。

これまで深いの山の中で誰にも知られることなく生きてきたから簡単には見つからないとラッチ。

俺達で行ってすぐに見つけられるのかというオッケポロの問いに、シロマクルは、キムシプが設置した仕掛け弓の場所を知っているから待っていれば会えると答える。

話し合いは、誰かに先を越される前にキムシプを探すことで一致するのだった。



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道を違えるウイルクとキロランケ

小屋から出てきたウイルクにキロランケが問う。
「なぜ俺を呼ばないんだ?」

ウイルクは6人のアイヌを先に行かせて、キロランケと対話の機会を設ける。

当初の計画の変更を提案するウイルク。
少数民族だけで極東連邦をロシアから守るには広すぎるので、海に囲まれた北海道だけを独立させて守りを固める方が良いと自身の考えを説明する。

「何を今更……!!」
怒りを剥き出しにするキロランケ。

鶴見中尉はアシリパに、わかるかね? と確認する。
アムール川流域の少数民族がすむ極東ロシアと、樺太、北海道をロシア、日本から独立させ、極東連邦という一つの国を作ろうとしているのがキロランケ、ソフィアであり、ウイルクは北海道のみに力を集中させようとしている違いだと説明する鶴見中尉。



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鶴見中尉は、極東連邦だと、アムール川流域が大陸と地続きになり、侵略を防ぐのが難しいのに対して、北海道のみであれば船を使って攻めるしかないため、守りやすいというウイルクの言い分は理解できると続ける。

キロランケは樺太やロシアに住む他の民族たちはどうでもいいのか? 裏切るのかとウイルクに問いかける。

希望者には移住してもらうと答えるウイルク。
「移民を募り北海道でそれぞれの民族が自分たちの神や文化を守って暮らせばいい」

何を言っているんだウイルク、とキロランケは頭を抱える。
そして、ウイルクの生まれた村が消えたのは住み慣れた土地を捨てて他の土地に移ったからだろうと指摘する。

ウイルクは、樺太アイヌの移住失敗の原因は分かっているので次は間違えなければいいと平然と答える。

北海道では温かすぎてトナカイが飼えないウイルタ民族はどうするのだとキロランケは食い下がる。
「彼らにどうやって北海道で自分たちの文化を守って行けと言うつもりだ!?」

あくまで遺民は希望制だ、とウイルク。



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キロランケは、少数民族のことなどどうでもよく、北海道アイヌとして生きる娘の未来を守りたいだけじゃないのかと指摘する。

「現実的な方法を選ぶだけだ」

淡々と答えるウイルクとは逆に、キロランケは声を荒げる。
「そもそも北海道は俺たちには関係なかったのにお前は北海道で愛する家族ができて ここが故郷になってしまったんだ」

アシリパはただ黙って話を聞いていた。

「民族の生き残りをかけた戦いか 愛する者への想いか 建前と本音の違いだけでどちらも嘘ではない」

月島軍曹は、そう呟く鶴見中尉の様子を、微動だにせずドアノブの鍵穴からじっと覗いている。

「ソフィアは!! いまもロシアで俺たちを待っているのにッ」
激高してウイルクに殴りかかるキロランケ。

ウイルクも応戦し、殴り合いが始まる。



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アシリパが口を開く。
「キロランケニシパだってそこまで怒ったのはロシアの少数民族のこともあるけど ソフィアのことが好きだったから」
そう言ってソフィアを見る。

アシリパはキロランケが今際の際にソフィアの名を呼んだことを思い出していた。
「アチャはそれがよく分かっていた だからこそキロランケニシパを遠ざけたんじゃないかな」

ソフィアは悲しみを堪えた表情で俯いていた。

ウイルクとキロランケの殴り合いはウイルクが制していた。

昔の合理的だった頃のウイルクであれば将来、必ず自分の目的の障害になる人間は殺していた。
それにもかかわらずキロランケは木を背中で抱くようにしてぐるりと後ろ手に回され、縛り付けられるのみ。

キロランケは自分が愛していた頃のウイルクでは無くなったと確信するのだった。



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感想

今回、殺害されたアイヌたちが登場した。
眉の形から、最初に登場したシロマクルが有古一等卒の父っぽい。
果たして、このアイヌたちの中でどういう役割を果たすのか。

今回の話のラストのコマは、ウイルクへの敬愛が憎悪に変わりつつあるキロランケのアップだった。

この流れだと、ウイルクを含むアイヌたちを殺害した犯人のように見える。
たがこれは明らかなミスリードを誘っているだけだろう。いくらなんでもそんな真相はないと思う……。

もしキロランケが、自分がアイヌやウイルクを殺したと手紙で知らせようものなら、いくらソフィアが強い女だからといって、こんな話を冷静に出来るはずがない。だからもし仮にキロランケが犯人だったとして、それをソフィアが知っているということはない。

ソフィアが語っている、キロランケからの手紙の内容はまだ来週以降も続くようだ。
あくまでキロランケ自身が書いているのですべてを信用できないが、その中でキロランケの潔白が明らかだと言えるような内容があると良いなと思う。



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大儀のみで多くの人を先導して目的達成を目指せるのは超人だけ。

ウイルクは北海道で現地のアイヌと結婚し、かけがえのない家族を得たことで変わった。

それを嘆くキロランケは、そもそも自分もまた、極東連邦構想の実現を目指す理由の中に愛する人であるソフィアへの想いがあった。

そして鶴見中尉もまた、妻と娘への想いが……。

自分としては、彼らのように大儀の中に自分の都合が紛れ込んでいるというか、むしろそれが原動力であった方が人間として共感できる。
でもそれは彼らの行動を見守るだけの読者という立場だから。実際に彼らについていって、血を流す立場だったなら感じ方は違ってくるのは間違いない。

私情があることを大儀のため、目的達成のために巻き込む人たちが事前に知らないと、キロランケや月島軍曹、鯉登少尉のように、いざそれを知ってしまった時に裏切られた気持ちになるのは当然だ。ウイルクや鶴見中尉に協力するというのは命がけというのが前提だし……。

鶴見中尉もウイルクも、目的達成に向けての行動動機に私情が多分に含まれているなどと口にした瞬間、求心力が低下して目的達成が遠のくことがわかっている。というか、そんな思いを告白することは全く考えしなかっただろう。
共感して残ってくれる兵もいるだろうけど、作戦から降りる兵は確実に出る。

結局、彼らには、多くの人間を先導する立場として私情を見せることは出来なかった。



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合理的なところだけに留まらず、家族構成や、愛する家族と一緒に暮らせなかった運命なども含めて、鶴見中尉とウイルクはとても良く似ている。
鶴見中尉はウイルクの思考の変遷や、行動をきちんと理解しているように見える。

アシリパに妙に優しいのも、ただ単に金塊奪取に向けての重要な鍵だからというだけではなく、亡き娘に接しているような気持ちがあるのではないか。

ウイルクが極東の少数民族の希望者に北海道へ移住させて、北海道で各々の文化を守れば良いと持ち前の合理性をふんだんに発揮しているが、実際それは難しい……。

キロランケが言っていたように、例えば気温が異なるから北海道ではトナカイを飼えないという風に、住む場所が変われば生活様式は変えざるを得ない。

それに仮に守ろうと行動した場合、それが現地の民族との対立の種になる場合もある。



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文化・伝統とは、あらゆる環境要因を受けて生まれ、その土地に住む土着の人間によって守り伝えられ、あるいは環境変化によって滅びていくということを感じさせる。

というかウイルクは、少数民族をこれまで目指していた方法で救済することは無理だと宣言してしまっているに等しい。
キロランケが起こるのも無理はない。

しかし、いよいよ物語が終盤に差し掛かろうとしているのを感じる。
もちろんまだ完結は先だけど、ストーリーは折り返したとみて間違いないと思う。

驚きの真相が待っていると期待している。続きが楽しみだ。

以上、ゴールデンカムイ第267話のネタバレを含む感想と考察でした。

第268話に続きます。

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