108話 大湿原
第107話までのざっくりとしたあらすじまとめ
賭場荒らしに入った油屋で待ち構えていた第七師団兵達から攻撃を受けてピンチの坂本、お銀、夏太郎たち。
坂本は持ち前の体力を使って一階で第七師団兵たちから逃げる形で二階へ飛び上がり、お銀と夏太郎と合流する。
夏太郎が階段に流した油のおかげで第七師団兵は二階に登ってこれないが、鶴見中尉が炊いた煙が徐々に二階の空間を満たしていく。
坂本とお銀は別れがたい様子で、しかし坂本は第七師団を引きつける役目を負い、お銀と夏太郎は逃げることに。
坂本は煙に紛れて第七師団の前に飛び出し逃げようとする。
その手を見抜いていた鶴見中尉は月島軍曹、鯉登少尉、二階堂らに坂本を迎撃させ、坂本は追い詰めたはずの二階堂の脚の仕込み銃によって手を失う。
その場から急いで逃げ出す坂本を追いかける鯉登少尉。
稲妻強盗の由来となったその韋駄天により、鯉登少尉から見事に逃げ出す坂本。
しかしその坂本の前に馬車に乗り、機関銃を構える鶴見中尉が立ちはだかるのだった。
お銀は坂本の姿を探しに坂本のすぐそばまで来ていた。
坂本と目が合うお銀。
その瞬間、鶴見中尉の機関銃は火を噴き、体中に銃弾を受ける坂本。
鶴見中尉の額のプロテクターの下から脳汁が噴き出し、何発も銃弾を食らった坂本は倒れる。
夏太郎は坂本のそばに行こうとするお銀を止めようとするが、お銀は「幸せなまま終わりにしたい」と倒れた坂本の元に行く。
その姿を見て二人に引導を渡そうとする鶴見中尉。
しかしお銀はその鶴見中尉の不意をついて鶴見中尉の足の甲にかんざしを刺し、背後に回って脳髄にもかんざしを刺そうとする。
その瞬間、追いついてきていた鯉登少尉の剣が一閃し、お銀の首を切り落とす。
落ちた首は鶴見中尉の足に噛みつき、その執念の美しさに鶴見中尉は喜んだ。
刺青人皮を探すため、お銀の背負っていた背嚢を見るとそこには坂本とお銀の間に産まれたと思しき赤ん坊がいた。
赤ん坊を持ち帰った鶴見たちはまともに育てられる人に預けようとフチの家の前に金と一緒に赤ん坊を置いていくことに。
赤ん坊に気づいたフチは周囲を伺うも、村の赤ん坊を育てている女性から乳を分けてもらい、育てることに。
一方、杉元、アシリパたちは不穏な鹿の死骸を目の前にしていた。
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108話 大湿原
「ピンネラウ」
ピンネラウとは若い雄鹿のことだと説明するアシリパ。
続けて、死後数時間の経過と判断する。
「漁師かな?」杉元が、一番考えられる身近な可能性に言及する。
「漁師なら獲物の毛皮をズタズタにして夏なのに肉の処理もせず何時間も離れない」
アシリパが冷静に杉元の指摘を否定する。
「アシリパさん この肉どうする??」
折角の肉を前にして当然の欲求だが、何も言わずに持って行くのではなく、アシリパに白石たちに持って帰るかどうかを相談する杉元。
しかし、嫌な感じがするアシリパはお祈りだけしてその場を去ることを提案。
その場から離れた湿地にあらかじめ仕掛けておいた罠の様子を見ることに。
罠を見て回ろうと杉元に言うアシリパ。
杉元は素直に肯定の返事をする。
杉元は素直だな。
自分勝手に行動せず、プロのアシリパさんの意見を求め、しっかり話を聞いている。
見てて好感が持てる気持ち良い主人公。
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「獲れてるよッ アシリパさん!!」
興奮した様子で、タンチョウヅルがかかってる、でかい、とはしゃぐ杉元。
しかしアシリパは杉元とは逆に全く冷めている。
「サロルンカムイかぁ…」
サロルンカムイは湿原にいる神の意味。
冷めているのは、ナベヅルが美味いのに対して今獲れたタンチョウヅルは美味しくないためだという。
杉元は、折角獲れた獲物だし、白石たちの空腹も極まっているだろうとタンチョウヅルを抱きかかえる。
結構な獲物だと思うけど、アシリパさんが微妙だと言うならそういうことなんだろう。
アシリパさんは一様に獲れた獲物には敬意を払うかと思っていたから意外かも……。
結構珍しいと思う。
おとなしく座って待っている。
おなかすいた、という白石の言葉を尾形は無視する。
気まずい白石。
しかし杉元たちが鶴を抱えて帰って来る。
助かった、と言わんばかりに喜ぶ白石。
オハウ(汁もの)にして、アシリパはよそったものを皆に配る。
「鶴って江戸時代は関東の方にも飛んできてたらしいな」と白石。
「将軍様もこうやって鶴の汁を食べてたって…」
白石の言葉を聞いて、鶴はもう大分減ったらしく、関東では見たことがないと請け負う。
そしてタンチョウヅルのオハウを食べるもなんとも微妙な表情を浮かべる杉元。
肉が硬く、魚臭くて美味しくないだろうと同意を求めるアシリパ。
「なんで丹頂鶴なんか獲ったんだ!」
白石が怒る。
オハウ美味そうだわ~。
しかし、なんで白石が怒る(笑)。
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「言ってねぇだろ」突っ込む杉元。
「俺はそんな目的で北海道を旅してるんじゃないんだよ!」
でもなんだかんだでアシリパさんのおかげで北海道の味を楽しんでいるけどね。
「杉元は…どうして金塊が欲しいんだ?」
まだ言ってなかったか、と言う杉元。
戦争で死んだ幼馴染で親友の嫁をアメリカに連れていき、目の治療を受けさせたいと答える。
杉元の脳裏には白無垢姿の梅子。
「『惚れた女のため』ってのはその未亡人のことか?」
尾形が口を開く。
「え? そうなの?」と白石が軽く驚く。
杉元の答えを聞くアシリパの表情は暗く見える。
俯いた杉元。
アシリパさん切ないなぁ~。
杉元としてはそもそも北海道に来た元々の動機は梅子を救うために砂金を獲るためだもんな~。
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杉元は、そんなアシリパの見慣れない珍しい姿にビクッとする。
珍しいわ。アシリパさんが踊ったのは初めてか?
鶴の舞(サロルンリムセ) と言い、釧路に伝わる踊りと説明するアシリパ。
そんなアシリパの踊る様子に白石も若干の驚きを隠さない。
アシリパは着物の裾を踊りの最中にバサバサさせる行為をホパラタと言うのだと説明する。
ヒグマと仲が悪いことで知られている鶴はヒグマに会うと羽をバサバサして喧嘩する。
それが、ヒグマにあったら「ホパラタする」と言う語源だという
どうして急に踊ったの? と聞く杉元。
アシリパは息を切らしながら目をそらすばかり。
「別に…鶴食べたから」と歯切れの悪いアシリパ。
尾形はアシリパのそんな様子を見て「ふ…」と笑う。
尾形は渋いねぇ。そして鋭い。
多分この場でアシリパの杉元への気持ちをなんとなく察しているのは尾形だけだな。
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「こっちに誰か来るぞ」
それは、走って来るチカパシと、その後ろを追いかけるインカラマッだった。
「ほら見て インカラマッ」嬉しそうに言うチカパシ。
「やっぱり アシリパだッ」
「ですね」同じく、嬉しそうに答えるインカラマッ。
「チロンヌプ(狐)と…チカパシだ」
「なんでこんなところに!?」
ついに、やっと合流! 良かったね。けど谷垣は……?
確かに方角的には合流する流れかもしれないけど、偶然過ぎる。
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チカパシは、アシリパの踊っている姿を遠くから確認して走ってきたという。
やっと見つけた、というチカパシに私を探していたのか? と問うアシリパ。
「谷垣ニシパと小樽から探しに来た!!」と答えるチカパシ。
「谷垣?」白石が言う。
尾形は沈黙している。
しかしチカパシは喜ぶばかりではなく、谷垣が大変だと慌てながら言う。
杉本が何があったとチカパシに問う。
インカラマッは、昨日から、家畜や野生の鹿を残酷な殺し方をして粗雑に扱う容疑者として谷垣が地元のアイヌから追われていて、インカラマッやチカパシたちを巻き込みたくないから別れたのだと説明する。
『カムイを穢す人間がいる』として、谷垣が犯人だと誤解しているとのこと。
なんてこった。谷垣がそんなことするはずないのに……。
マタギとして獲物への敬意を持っている谷垣なのにその全く真逆の人物と誤解を受けてしまうなんて……。
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「近くにいるぞ」とアイヌの声が怒号が森に響く。
谷垣キター。
しかし結構なピンチだ。
誤解だから下手に反撃するわけにはいかないし……。
不穏な鹿の死骸を思い出した杉元。
杉元は、さっきのオス鹿…とアシリパに向けて言う。
繋がった。
「エゾシロチョウの集団吸水…」
「黄金のキノコ…タモギタケだ」
まるで詩のように森の中の自然物を口にする怪しげな中年男。
鹿を発見し、やはり詩のような感想を言う。
そして鹿の尻の穴で遊ぶ男。
唐突に自らを貶めるような発言を連発すると、今度はいきなり豹変して狂ったように何度も鹿を刺す。
おーい。やばすぎ。
猛烈な変態が出てきちゃったよ。
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杉元は、家畜を粗雑に扱うのは鈴川聖弘が言っていた囚人かもしれないと思い出す。
「俺達で真犯人をとっ捕まえて 阿仁マタギを助けに行こう」とアシリパに提案する杉元。
またまた変態登場。
久々にごっついのがきた。
いくら変態をたくさん登場させるといっても、限度があるでしょうに(笑)。
獣姦とかヤバくないのかな。
アニメ化、映画化なんて全く考えてないストーリー展開でワロタ。
映像化なんてクソくらえ! な野田サトル先生にサムズアップ。
次回は杉元たちVS変態のマッチメイクが見られるのか。
たのしみ。
以上、ゴールデンカムイ第108話のネタバレを含む感想と考察でした。
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