第278話 花枝子お嬢様とふりちんノラ坊
第277話の感想記事。
第278話 花枝子お嬢様とふりちんノラ坊
全裸での戦い
「そのお嬢さんに手を出すなッ」
鶴見中尉のピストルを蹴り落とす全裸の杉元。
そしてピストルを拾おうとする杉元に宇佐美がタックルする。
床にぺたんと座ってしまっていた花枝子の鼻先に、押されないよう足を広げて踏ん張っている杉元の股間が迫る。
叫ぶ花枝子に、〇〇見てないで逃げて下さいとハマ子。
月島は止めに入ることなく笑って見ている尾形に、笑ってないで止めろと言って杉元に向かっていく。
菊田は部屋のドアの前で様子を伺っていた。
鶴見たちが何を目的として来ているのかわからず困惑している。
宇佐美、月島に囲まれながらも暴れまくる杉元の様子から、鶴見は、勇作ではないと呟く。
誰だお前、と言って宇佐美が杉元を殴りつける。
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尾形の表情からは直前までの笑みが消えていた。
月島が杉元の腹を蹴る。
それに対し、杉元はすぐそばの花瓶を手に取り月島の脳天に叩きつける。
そして今後は椅子を高く振り上げて、背後の宇佐美に振り下ろそうとしていた。
月島はピストルを杉元に向けて撃つ。
次の瞬間、杉元を助けるために部屋に乱入し、杉元を突き飛ばした菊田の左肩に当たる。
「逃げろノラ坊ッ!!」
ハマ子は、ここは食い止める、とボーッと事の成り行きを見ている尾形に体当たりする。
花枝子と逃げる杉元。
菊田も後に続く。
追跡しようとする月島を鶴見が制止する。
「状況が読めた 菊田軍曹はちゃんと仕事をしていた」
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杉元たちの前に勇作が現れる。
「花沢勇作…!」
杉元の呟きを花枝子は聞いていた。
勇作は、どうして裸なのかと戸惑いながら杉元に訊ねる。
花枝子は、今手をつないでいる男が勇作ではないと理解したが、そのまま杉元の手を手を引いて勇作の横を通り抜けていく。
その後に続く菊田。
「あ……菊田軍曹殿?」
勇作の問いかけに、違いマース、とだけ答えて菊田は走り去る。
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別れ
街中まで逃げてきた三人は道の真ん中でようやく立ち止まる。
あれが誰なのかと問う杉元。菊田は、わからんと答えながらも、自分以外にも花沢閣下の部下が動いていたということかもしれないと答える。
花沢夫人の口止めに花枝子が追われる可能性を指摘する杉元。
しかし花枝子は、口止めは必要ないと答えて笑顔になる。
「私はあなたと結婚したいです」
杉元は一瞬呆気にとられながらも、自分は親も家も金もない、何も持っていない男がだと答える。
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私の家はお金がある、と花枝子。
しかし杉元は住んできた世界が違うとkと会える。
杉元は、今日から私と暮らせばいい、と言う花枝子に答える。
「陸軍にでも入ります。白いご飯だけは食べられるらしいいんで」
ハマ子は花枝子の血痕発言に、結婚は家と家の話でもあると花枝子を窘める。
そして花枝子が相手の男性の容姿に拘るのは、中退していった学友を見返しからではないかと指摘し、行き遅れなどという価値観はクソくらえだと主張する。
そんな飾り物の彼氏などいなくても、自分で優秀さを証明できるはずだと花枝子を励ますハマ子。
去ろうとする花枝子に杉元は頭を下げる。
騙したことへの謝罪と、華やかな世界を一瞬でも見れたことに対する礼だった。
「さようなら 男前な兵隊さんになってくださいまし」
そう言って、杉元たちに頭を下げる。
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廊下ですれ違う尾形と勇作。
尾形は、ピシッと自分に対して、
睨みつけるような視線をぶつける。
杉元は、なぜ自分を庇って撃たれたのかと菊田に訊ねる。
それに対して、私がお前を巻き込んだからだと答える。
「俺は地獄行きの特急席だ」
菊田は杉元にこれまでのことは忘れるよう呼びかける。
「お疲れさん、その軍帽返してくれ」
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感想
花枝子さんかわいい
見所がたくさんある話だった。
まず、花枝子さんが思ったよりかわいくて、そして良い女だった。
前回まではなんとか勇作(杉元)をものにしようとする肉食なところばかりが目立っているように感じていたが、そんなことしなくても十分にモテるだろ……。
特に杉元との別れ際が見事だった。
杉元に守られたばかりとはいえ、元々は勇作だと偽り自分を騙していたわけだから憎まれ口の一つも言って良かったが、一切そんな素振りすら見せなかった。
確かに直前までの大立ち回りで自分を守ってくれた杉元に魅了されても無理ないんだけど、それでも、杉元を全く咎めることをしなかった花枝子さんは人として器が大きいと思った。
後に渋沢栄一らしき人物と付き合ってるあたり、順調に良い女として成長していったであろうことを伺わせる。
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もし杉元が花枝子さんと結婚していたら、家柄のことがあるから決して平坦な道ではないとはいえ、幸せな人生になっていただろう。
確かに花枝子さんはハマ子が指摘した通り、先に退学していった同級生を見返そうという意図もあったかもしれない。
でも杉元の容姿だけではなく、人柄にも惹かれていた。
杉元と月島軍曹たちから逃げる時、本物の勇作を目の前にして、花枝子さんは一切の迷いなく偽物の杉元と逃げることを選んだもんな……。
そして、そんな花枝子さんを支えるハマ子。
ズドンです、とか下品極まる発言で読者の心を鷲掴みことにしておきながら(笑)、今回は、杉元と結婚するという花枝子さんをやさしく包み込むように、しかしきっちりと窘めつつ、彼女を間近で見てきたからこその的確な助言を添える。彼女の深い人生経験を感じた。
もう花枝子さんとハマ子は出てこないのかな。もし出て来るとしたらいご草ちゃんの話か?
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勇作を観察する尾形
勇作が偽物だと判明する前と後の尾形の表情が違い過ぎる……。
暴れる勇作を見てただただ笑う尾形。
何が品行方正だよ、俺と大して変わらないだろ、とでも思ったのか。
しかし鶴見中尉が、目の前で暴れている男が勇作ではないと見破って以降、尾形は一気にスン……って表情になってる。
その後、自分に対してぴしっと敬礼する勇作とすれ違った尾形の勇作を観察する視線。
憎悪と羨望が絡み合った視線とでも言おうか。これが後に殺意に発展するのか……。
個人期には、実は尾形は勇作を射殺していないという可能性を信じているんだけど、今回の尾形を見ると、やはりやったのかなと思ってしまうな……。
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この花枝子さんとのことがあってから、杉元は陸軍入りを決めたのか。
菊田とはここで別れて、次の会うのが札幌、ということになるのかな。
杉元をかばって撃たれる菊田。自分の身を呈して守るとかかっこよすぎる。
菊田の地獄行きの特等席発言は、現時点では、それを言うようになったきっかけは明らかにならず。
杉元が、地獄行きの特等席、と言うのは、菊田を慕っているから真似ただけなのか。
今回のエピソードで菊田と杉元の関係性を知ることができた。
これが一端に過ぎないのか、それともこれが全てなのか。
以上、ゴールデンカムイ第278話のネタバレを含む感想と考察でした。
第279話に続きます。