ゴールデンカムイ最新第272話イポプテネタバレ含む感想と考察。教会に乗り込み、鶴見中尉と対峙する有古一等卒。

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第272話 イポプテ

前話第271話あらすじ

隙を見てアシリパを救うべく、教会に向かう有古一等卒。

二階堂に呼び止められ、なぜ教会に来たのかと執拗に疑われるが、苦し紛れに吐いた、杉元が教会の裏の方に行ったという嘘を二階堂が真に受けてそちらに向かっていくのだった。

鶴見中尉はアシリパに。キロランケ、ソフィアが作ろうとしていた極東連邦や、ウイルクや土方の蝦夷共和国について、結局は上手くいかず、日本を滅亡の道に追い込むと説明していた。

北海道はあくまで日本に帰属意識がある者によって統治されるべきと結論する。
「日本は結束し続けねば生き残れない まして極東連邦や蝦夷共和国など言語道断である」

そして鶴見中尉は苫小牧で殺し合いの末に亡くなったアイヌたちの遺品から見つかった金貨をアシリパに見せる。
この金貨は自分たちの独立国を夢見て作った通貨の原型であり、それを各々の村で見せることでアイヌの結束を呼びかけようと考えたのだろうと推測を述べ、金貨にあるまだら模様にアシリパの目を注目させる。

それは北海道各地で採れた砂金が金の含有率が違うために混ざり合わなかったことを示していた。
鶴見中尉はそれを指して、互いに結束してひとつになろうとした彼らのようではないかと評するのだった。



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そして鶴見中尉は、アイヌが昔から大切にしてきた宝物の中に黄金を使った宝物が一つもないことを指摘し、黄金とはアイヌの生活にとっては役に立たないものであること、さらには、砂金掘りで川が汚れ、魚が撮れなくなったことでアイヌが飢えてしまったと続ける。

すべてのものにアイヌがいると言ったね、と鶴見中尉。
服、小刀 煙草入れ、食器 家、さらには天災や疱瘡などにもカムイがいる。そして黄金にもカムイがいるとすれば、それはアイヌにとって災厄をもたらす悪い神様なのではないかと鶴見中尉はアシリパに淡々と畳みかける。
「触れる者に無残な死をもたらし どんなカムイよりも醜悪で 凶暴で眩いほどに美しく黄金色に輝くカムイ」

「いわば…ゴールデンカムイか」

さらに鶴見中尉はアシリパに向かって、7人のアイヌ、ウイルク、キロランケ、網走監獄にいた者たちや入れ墨を彫られた囚人たちが金塊を廻って殺し合ったのと同様に、土方たちや 白石由竹、杉元佐一などアシリパの愛する人間はみんな殺されると脅すのだった。
「私の愛するフィーナとオリガのように」

暗号の解き方をすでに知っているのだろう? と迫られるアシリパ。



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ソフィアは必死になってアシリパに口を割らないように呼びかけるが、鶴見中尉にウイルクの皮を被らされ、後ろから引っ張られることで口元に皮で塞がれてしまう。

息が出来ず苦しむソフィアの様子にアシリパは動揺する。

鶴見中尉は頭から汁を漏らしながら、迷っているなら言い訳をあげようと言って、ソフィアを苦しませ続ける。
「教えなさいアシリパ」
鶴見中尉は力を入れて皮を引っ張るあまり、小刻みに震えていた。
それにも関わらずあくまで優しい口調で呼びかける。

アシリパは身体が震え始めていた。
「思い当たることはあるけれど…それはまだ…はっきりとは…」



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「『思い当たる』というのは?」

「私しか知らない アチャのアイヌ語の名前…」

「それは何だアシリパ」
鶴見中尉の額から汁が大量に漏れる。
「教えなさい」

有古一等卒は教会の入り口の扉を開く。

「ホロケウオシコニ」
アシリパはついに震える声で白状するのだった。

第271話の感想記事です。

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第272話 イポプテ

有古一等卒の後悔

菊田特務曹長と有古一等卒は戦地の塹壕で、月を見上げていた。

激しい戦いにより傷ついた二人は、味方たちの数多くの死体と一緒に横たわる。

菊田特務曹長から、何か気分が前向きになる前向きな話をしろと命令された有古一等卒は、マキリを作る練習をしたいと返事をする。

マキリは好きな女に送ることでその生活力を計られるのだという有古一等卒の説明に、好きな女に振られる心配かと菊田特務曹長。

それに対し有古一等卒は、自分用のマキリを作りたいと答える。
「息子に丁寧に教える親もいるかもしれないんですが父は俺が成長した時に自分用のマキリを作れるように作る姿をさり気なく見せていたんです」

「俺はあまり興味がなくて……」

黙って話を聞く菊田特務曹長。

自分がアイヌだと揶揄われたら喧嘩をしたこと、しかし頼まれれば和人であろうが助けに行ったと前置きし、アイヌの未来のために兵士になった人間もいたものの、自分はそこまでではなかったと有古一等卒。
「なんかアイヌとかって面倒くさいなって……」



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しかし代々伝わるマキリの文様に関して、父はこれを自分に伝えておきたかったであろうこと、そして兵隊に行った自分のためにマキリを作ってくれていたと有古一等卒。
有古一等卒は、それは父が自分に対して、実物があればいつか真似して作れるようになるという意図で残そうとしたという解釈で話し続ける。

「でも俺のマキリを作ってる途中で死んだそうです 親父のマキリも行方不明で……」
月を見上げている有古一等卒の目に涙が光る。
「もっとしっかり見ておけば良かったなって…」

「……菊田特務曹長殿生きてますか?」
反応がないので確認する有古一等卒。
「生きてるなら返事」
すまん、と謝ってきた菊田特務曹長に有古一等卒は、生きてるなら相槌を打って下さいと答える。

有古一等卒の方に左手を置く菊田特務曹長。
「すまん有古……」



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脱出

有古一等卒が教会に入ろうとしていたまさにその瞬間、アシリパは鶴見中尉に「ホロケウオシコニ」と伝えていた。

それを聞くやいなや、持っていた刺青人皮を床にぶちまける鶴見中尉。
そして目をギョロギョロと高速で動かして、早速、金塊の暗号を解こうとするのだった。

「鶴見中尉殿」
教会に入った有古一等卒が声をかける。
「土方歳三のアジトを伝えに来ました 今なら一網打尽にして向こうの刺青人皮を奪えます」
そう言いながら、後ろ手に回させていたアシリパの手首のロープをマキリで切断しようとする。

「有古力松…… お前の選ぶ道はそれでいいんだな。」
刺青人皮の解読のために有古一等卒に背を向けていた鶴見中尉が確認する。

「その刺青人皮を全部…こっちへ!!」
拳銃を突きつける有古一等卒。その表情には一切の余裕がなかった。

扉越しに鶴見中尉達の話を聞いていた月島軍曹と鯉登少尉が飛び出す。

突如開始した銃撃戦の最中、アシリパはソフィアの腕のロープを切る。



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アシリパに早く逃げろと命令する有古一等卒。

銃撃音を聞いて、杉元が白石と共にビールの宣伝車で現場に現れる。

拘束を解かれ、自由になったソフィアはウイルクの皮をマスクにしたまま鶴見中尉に向けてベンチを投げつける。

壁に叩きつけられ、勢いを失ったベンチが鶴見中尉の頭を直撃しても尚、鶴見中尉は暗号の解読を続けていた。

アシリパとソフィアが教会を出たタイミングで杉元が運転するビール宣伝カーがやってくる。

白石は必死に車に追い付こうとするアシリパに向けて手を伸ばす。

ギリギリで追いつけないアシリパを、有古一等卒は彼女の服を掴んで白石に差し出す。

ダァン

銃弾は有古一等卒の左足を捉える。

その弾は月島軍曹、鯉登少尉が放ったものだった。



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躊躇なく

有古一等卒は、月島軍曹たちにむけて拳銃で応戦する。

「イポプテ!!」
そう叫んだアシリパに、有古一等卒が大声で返す。

「止まるな!! 行け!!」

「アシリパ行け!!」

左に曲がっていくビール宣伝カーを見つめていた菊田特務曹長は、運転席の杉元と目が合う。
「やっぱノラ坊だ…」

(やっぱり菊田さんだ)
杉元も菊田特務曹長と同様の反応をする。

菊田特務曹長は車が来た方向の道に有古一等卒が倒れていることに気付く。
「有古か!? なんでここに!?」



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身動きがとれずにいる有古も、菊田特務曹長に気付いていた。
「菊田特務曹長殿…」

ドン

やってきた月島軍曹が有古一等卒の左胸に銃口を近づけて、何の躊躇もなく発砲する。

その瞬間を目撃し、硬直する菊田特務曹長。

「………!!」
現場から遠ざかっていくアシリパもまた有古一等卒の身に何かが起きたと察していた。
「イポプテ!!」

立ち尽くしている菊田特務曹長の隣を、月島軍曹が小走りに通り過ぎていく。

月島軍曹は特に何事もなかったかのように宣伝カーの去った方向へ向かう。

有古一等卒は血だまりの中で倒れたまま動かない。



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感想

鶴見中尉の集中力

ホロケウオシコニというキーワードを聞き出した鶴見中尉は、周りの環境などほぼ無視で暗号解読のために頭脳をフル回転させていた。

ギョロギョロ刺青人皮を見回すその姿からは、金塊奪取への強い執念を感じる。

でも刺青から視線を外さなくても、有古一等卒がこっそりアシリパさんを拘束するロープを切ろうとしていることに気付くとは……。

鶴見中尉はあらゆる自分の周りの情報を一瞬で処理して、有古一等卒がアシリパさんを救いに来たと見破った。とにかく隙がなさすぎる。
背を向けている鶴見中尉に銃を向ける有古一等卒という構図は、当然ながら有古一等卒が圧倒的に優位な立場にある。

しかしそれにも関わらず、有古一等卒は鶴見中尉に呑まれ、明らかに恐怖していた。

ここまでくるとやはり鶴見中尉は怪物と言って良いのかもしれない……。

そして月島軍曹と鯉登少尉の登場で銃撃戦が始まっても、ソフィアが投げたベンチが鶴見中尉の頭に当たろうとも、鶴見中尉は決してそれらに気をとられることなく、刺青人皮を読み解くことに集中し続けていた。
鶴見中尉の武器は、知能、人心掌握の技術など色々とある。それらは、この集中力があって獲得できたものなのかもしれない。



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ホロケウオシコニを聞き出したことで鶴見中尉からしたらアシリパさんに拘泥する理由は無くなった。
部下たちに対処を任せて、自分は一刻も早く金塊争奪戦で優位に立とうとする。これが出来るリーダーは中々いないように思う。

それに鶴見中尉は有古一等卒と銃撃戦を演じた月島軍曹と鯉登少尉の存在について、あらかじめ知っていたように見える。
彼らが聞き耳を立てていたことに気付いていたことも考慮した上で、アシリパさんとソフィアに色々と話をしていたすれば、鶴見中尉がオリガとフィーナについて、日本繁栄という大目標に向かう道のりの途中にある小さな弔いだと言っていたことが本心かどうか疑うべきだろう。

鶴見中尉が鯉登少尉や月島軍曹が聞いていることに気付いた上で、二人から再び信頼を得るための試みという意図あったとして、鯉登少尉よりも、月島軍曹に特に効果てきめんだったように思う。

月島軍曹の、一切の曇りが晴れたかのような輝く目はもちろん怖い。
しかしそれよりも、ひょっとしたら鶴見中尉が月島軍曹をそのように仕立て上げるべく、罠を仕掛けたのかもしれない。

杉元はこんな怪物を相手に出来るのか?



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有古一等卒……。

有古一等卒ここで力尽きるか……。また一人魅力的なキャラが逝ってしまったようだ。残念過ぎる。
父、シロマクルと同じく、金塊を廻る争いで命を落としてしまった。

足を撃たれた時点でかなり危ないと思ったけど、まさかこんな形でやられてしまうとは。

情報を聞き出すために有古一等卒を生かしたまま捕える可能性に期待していたのに、有古一等卒は心臓に月島軍曹からの銃撃を食らってしまった。
この時代に防弾チョッキ的なものがあって、命を拾った、などという展開はまずないだろう。

戦地で菊田特務曹長に語った、父からマキリを直接教わらなかったことに関する後悔。
アイヌのことを深く考えているアシリパさんに比べて自分を卑下するようなことを言っていたけど、その心境に至るにはこんな過去があったんだな……。

有古一等卒の初登場時は、きっと幼い頃からアイヌというアイデンティティに揺るぎない誇りを抱いて生きて来たんだろうなと思っていたから、実はアイヌやアイヌ文化に対して嫌悪とまでは決していかないものの、一歩引いた態度をとっていたことをとても意外に感じた。



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子供が、親を始めとした身近な人間が自分に何かを伝えようとしていることを察知し、それになんとなく興味を示さなかったり、あるいは反発する。
有古一等卒の場合は何となく興味を示さなかったパターンで、これは有古一等卒に限らず、リアルでもしばしばみられる事象だと思う。
自我が育ってくると子供は多かれ少なかれそうなりがちではないだろうか。自分も身に覚えがあるからすごく分かる。

シロマクルはそれとなくマキリを彫る姿を有古一等卒に見せていた。
そして有古一等卒もまた、後から父が自分に対してそうしてくれていたことを理解した。
こういう形で、今は亡き大切な人からの想いに気付くエピソードって、なんかジーンと来るんだよなー。

シロマクルの死によって、代々伝わるマキリの文様を自分が直接受け継ぐことが出来なかったという後悔があったからこそ、有古一等卒は自分の失ったものについて自覚し、アイヌが失われることを阻止しようとしているアシリパさんを救うことを選んだ。

アイヌの未来を託すにふさわしいアシリパさんを救うことで、父に顔向け出来るという想いもあったのか……。

見事にアシリパさんを救出に成功した有古一等卒は、果たして死の間際何を思ったのだろう。

実は有古一等卒は即死はしておらず、駆けつけた菊田特務曹長に何かしらの言葉を遺す展開を期待したい。

以上、ゴールデンカムイ第272話のネタバレを含む感想と考察でした。

第273話に続きます。

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第273話 鶴見劇場前話第272話あらすじ菊田特務曹長と有古一等卒は戦地の塹壕で、月を見上げていた。菊田特務曹長から、気分が前向きになる前向きな話をしろと命令された有古一等卒は、マキリを作る練習をしたいと返事をする。それは、アイヌについて特別な興味を持っ...

その後悔が

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