ゴールデンカムイ最新第269話ウイルクのやり方ネタバレ含む感想と考察。目的に向かい最短距離を行くウイルクがとった行動とは。

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第269話 ウイルクのやり方

前話第268話あらすじ

アシリパはキロランケからソフィアに宛てた手紙の中でウイルクの自分への想いを知る。

カムイを忘れて、アイヌ文化が消えることを危惧するアシリパに、鶴見中尉は、カムイを守る戦いのためにウイルクたちが辿った悲惨な最後について話し始める。

鶴見中尉達は、金塊の在り処について知る老人キムシプの目撃情報の出どころ”シロマクル”の所在をつきとめ、訪ねていた。

アイヌの男たちは1カ月前にキムシプを捕まえたので、すでに金塊は見つかっているだろうというシロマクルに、鶴見中尉はどうして同行していないのかと問う。

シロマクルはキムシプの孫や弟を使って脅迫し、強引に金塊の在り処を聞きだそうとするウイルクたちのやり方についていけなかったため、別れたのだと答える。

シロマクル以外の6人のアイヌは互いに和人への過激な思想という共通点でのみ一致しているだけのまとまりに欠ける集団だった。
それを豊富な知識で一目置かれているウイルクがまとめていた。



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話の流れで、その男(ウイルク)の素性を知った鶴見中尉は、シロマクルに鶴見中尉は、ウイルクが帝政ロシアと戦っていたゲリラであることを彼が打ち明けていたかどうかを問う。

その後、家を後にした鶴見中尉達は、帰ったと見せかけてシロマクルの家の外で身を潜めていた。
暫くすると、シロマクルが慌てて出かけていく。
シロマクルはウイルクと行動する6人のアイヌたちに、ウイルクがゲリラであることを知らせに山に向かったのだった。

金塊の在り処を知らないことを嘘であることを確信し、シロマクルを追跡する鶴見中尉達。

山中を進む速度が速いシロマクルを見失った鶴見中尉達は、少し離れた場所から三発の銃声を確認する。

その日の明け方、腹部にシロマクルのマキリを刺され、死にかけているアイヌ6人の内の1人であるラッチを発見する。

それはウイルクを庇う者とそうでない者とで殺し合った結果だった。

「自分の過去をシロマクルに暴露した者」に追跡されると気づいたウイルクは生首に自分の顔から剥いだ皮を被せて、自分の死を偽装していた。

第268話の感想記事です。

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第269話 ウイルクのやり方

六つの生首

同士討ちするアイヌたち。

逃げたラッチも、マキリによる腹部の傷によって息絶えてしまう。

ラッチの死体を抱えて、第七師団が向かった先には目をくり抜かれた六人のアイヌの生首が地面に並べられていた。

アイヌが七人だったはずなのに、誰がバラバラにしたのかという疑問を口にしながら宇佐美上等兵は首を持ち上げようと髪を掴む。

顔の皮がベロンとめくれてしまったのを見て、中身を入れ替えてあることに気付く。

鶴見中尉は六個の生首の中の一つは、ウイルクたちが連れまわしていたであろうキムシプであり、ここで殺し合ったと推理していた。
そしてウイルクはキムシプという存在が曖昧な老人の遺体を利用して自分の死を偽装したのだと確信する。
「目をくり抜いたのも…自分の目に特徴があるからだ」

アイヌたちの銃声を聞きつけて砂金掘りや猟師が集まってくる。



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鶴見中尉は宇佐美には応援の要請に向かうように、菊田特務曹長には現場の保存をするようにと指示し、自分はウイルクを追うのだった。

宇佐美上等兵は、シロマルクの皮を被った生首を見つめる菊田特務曹長にどうしたのかあ訊ねる。

菊田特務曹長は有古二等卒に、父親の死に自分たちが関わっていることを知られることを心配し、また心を痛めていた。

自分たちがやったことはウイルクの正体をアイヌに伝えたことのみであり、彼らがただ同士討ちしただけなのだから言う必要はないと宇佐美上等兵。

仲間割れを期待した作戦だった、と菊田特務曹長は宇佐美上等兵の意見に与しない。

一方、車の中にいた杉元と白石は、馬に乗った有古一等卒を発見していた。
「有古イポプテだ!!」



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ウイルクを追跡する鶴見中尉

あの状況でウイルクがアイヌ殺しの犯人にされるのは避けられず、そうなった時に残されたアシリパたちがアイヌ社会からどのような仕打ちをうけるのか、と鶴見中尉はウイルクの行動の理由を推測する。
さらに鶴見中尉は、ウイルクの行為はキロランケに対しても、自分が死んだことにすることで金塊について諦めることを狙ったものではないかと続ける。

しかしそのような計算が出来たところで、常人ならばいくら悩んでも実行できないであろう、自分の顔を剥がすことをウイルクは最短距離で決断し、行動したと鶴見中尉。
「ただ大きな誤算は追跡者が私だったということだ」

鶴見中尉は顔面を包帯でグルグルに巻いて、アイヌの衣装を着た人物を発見し、その目の色から即座にウイルクを想起していた。

包帯を巻いた人物が微かに呟く。
「ハセガワ…さん」

逃げるウイルクを追う鶴見中尉。

ウイルクは支笏湖まで逃げて、小舟で湖を渡る。



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鶴見中尉に肩を狙撃されたウイルクは湖に落ちる。
湖の底に沈んでいく持ち物の中には、キムシプの顔の皮があった。

鶴見中尉は急いでウイルクを追う。
しかしウイルクは、労働のために違法に網走監獄から駆り出された囚人を閉じ込めておく監獄部屋に逃げ込んでいた。

全裸で現れた顔面の皮が剥がれた男の姿に言葉を失う囚人たち。

「お前たちの長は?」

ウイルクの問いかけに囚人たちを管理している刑務官が犬童だと答える。

ウイルクは犬童典獄に、約20キロ先でアイヌが7人殺されていること、そして彼らの金塊の隠し場所を知っている男がここにいることを伝えるようにと呼びかけるのだった。

第七師団と監獄は犬猿の仲だった。
それを知っていたウイルクは第七師団の追跡から逃れるべく、犬童典獄の指示によって監獄へと極秘に移送され、網走監獄ののっぺら坊として匿われることとなったのだった。



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弱くなった狼

息を呑んで鶴見中尉の話を聞いていたアシリパは、ソフィアにキロランケからの手紙には何と書いてあったのかと話を促す。

キロランケはウイルクを追うためにキムシプを探していた。
そして七人のアイヌの死体が発見されたと聞き、現場に向かった彼が目にしたのは、ウイルクの生首だった。

それが中身が入れ替えられたものだと知らないキロランケはウイルクが死んだものだと落胆する。

その後、キロランケはウイルクのことが理解できることを期待して家族を持っていた。

そして日露戦争から帰還して、ある時、殺された七人のアイヌの中にキムシプが含まれていたと証言するアイヌが出て来たことを知る。

キロランケはキムシプはただ単に話を聞いただけに過ぎず、一緒に行動してはいないと思い込んでいた。

しかしキムシプもいるのであれば、どこかの誰かがアイヌを殺したわけではないと確信するキロランケ。



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土方がアシリパを探しに来たこと。網走環濠ののっぺら坊の噂、白石の体に彫ってある入れ墨の暗号といったピースがキロランケの頭の中で一つの希望を形作る。
(のっぺら坊はウイルクではないのか?)

キロランケは家族を作ったものの、ウイルクを同じ答えには到達しなかった。

金塊は極東連邦の為に使われるのが北海道アイヌを守るためになること。そしてアシリパを含めた北海道アイヌの未来を案じれば、やはりウイルクのような引きこもって守るという弱腰の戦いでは帝政ロシアにも明治政府にも勝てないとキロランケはソフィアへの手紙に書き綴っていた。

ソフィアの話を聞きながら、うんうんと頷く鶴見中尉。

(やはりアイツが変わってしまったのだ)

網走監獄。キロランケは尾形に手で指示を出し、ウイルクの頭を撃ち抜かせる。

(ウイルクは群れの中の弱くなった狼だ)

(かつてのウイルクが憧れていたはずの狼のやり方で彼を殺してあげた)



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感想

のっぺらぼう誕生。
第1話で後藤が杉元に金塊について語った際の、アイヌ殺人犯を語るくだりで出て来た描写が、犯人がウイルク、被害者がアイヌたちになって登場した。

色々と繋がってきたな……。感慨深い。

まぁ、いまだに、もしかしたらのっぺらぼうがウイルクではないのでは……? 鶴見中尉の語りが一部嘘で、現在語られている話を真に受けてはいけないのでは……などと、どこかで思っている自分もいるんだけど……。

前回も感想の中で書いたけど、自分の皮を剥ぐなんて、どんな理由があっても実行は出来ないという考えは変わらない。

しかしだからこそ、合理的な思考と実行力、そして何より帝政ロシアから大切な民族を守ろうという大義の為に生きる”覚悟”の持ち主であるウイルクであれば、それが必要だと判断したら、死ぬような思いをする事でも即座に実行できるわけか。

なるほど。確かにウイルクであればこそ可能とも言えるのかもしれない。

その後、鶴見中尉に追われたウイルクは、支笏湖のほとりの網走監獄の囚人を違法で労働させる際の監禁所に駆け込んだ。
それは第七師団と犬猿の仲にある犬童典獄の城である網走監獄へ、金塊の情報を知っているからということで監獄の中で自分を守らせるように仕向けたということらしい。



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のっぺらぼうが網走監獄に収容されたのは、てっきり警察が捕まえたからだと思っていた。

しかし実際はウイルクが自分の身を守るための手段として監獄を利用していたのか……。

監獄と第七師団の関係性を知っていたウイルクの情報網のすごさ、そしてその情報を活用しての切り抜け方が半端じゃない。

やはり頭が良い+即断即決の実行力は最強だなと思った。
何より、そこに覚悟が上乗せされているからこその芸当だわ。

多分、社会で第一線で活躍しているのは多かれ少なかれこういう資質を持った人間なんだろうな。

同士討ちの描写の中にキムシプがいなかった。
しかし鶴見中尉が推測した通り、キムシプも同士討ちに巻き込まれていたということなのか……。



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結局、ウイルクは死んだアイヌたちの首を切り落とし、目をくり抜いて、皮を剥いでシャッフルして被せるという攪乱行為以外はしていないということなのか?

今回の話の冒頭でのアイヌ同士討ちの描写の中では、確かに森の中で第七師団に虫の息の状態で発見されたラッチ以外は致命傷を受けているようだった。

まぁ、アイヌたちに一切手をかけなかったとしても、その後、息絶えたアイヌたちの顔の皮を剥いだりするというのも中々残酷なことをするなと思う……。これも合理性と覚悟の為せる業なのだろう。

そしてキロランケ……。

ウイルクが好き過ぎだろ。

ウイルクの顔の皮を被らされた生首を見て、ウイルクが死んだと信じ込んで大いに悲しみ、落胆している様子から改めてそう感じた。

しかしウイルクのことが好きというのは、かつての攻撃的だったウイルクのことだったのか……。

憧れていたウイルクの姿が失われているのを感じて、これ以上情けない姿を晒さないで欲しいと思ったのかな……。
ウイルクの心の変化を知りたいがために家族を作ってみたりと、かなりウイルクのことを信奉し、一種の行動規範にしていたのを感じる。



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キロランケは真面目だった。真面目過ぎた。

そんな彼にとって、ウイルクの方針転換は日和ったようにしか見えていなかった。

ウイルクは最終的に目的を達成できるなら、計画していた当初の手段には拘らない合理性を持っていた。

キロランケにはそれがなかった。つまりそういうことなのかなと思った。

ソフィアの話を聞きながら、鶴見中尉はうんうんと頷いて話を聞いていた。

ウイルクのような、ともすれば弱腰に思えるようなやり方では大切なものは守れないというキロランケに共感を示しているのか。
それともキロランケならそう考えるだろうという納得している様子なのか。

ラストのページのアオリが何とも悲しい。

ラストのコマにぴったりの曲だわ……。泣きそう。

次回はどんなことが明かさるのか。期待したい。

正直、ここまでのことは鶴見中尉の話を全て信じれば、ということが前提になる。

もしかしたら何か別の真相が隠れているのかもしれない。今はアシリパさんにとってはただただ辛い話になっているが、実際は違うという展開を期待したい。

以上、ゴールデンカムイ270話のネタバレを含む感想と考察でした。

第271話に続きます。

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