ゴールデンカムイ最新第259話故郷を作るネタバレ含む感想と考察。海賊房太郎が国を作りたい動機。

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第259話 故郷を作る

前話第258話 あらすじ

土方は都丹、夏太郎と共に、オルトログの死体を台車に載せて運んでいる牛山と現場から逃げていた。

後ろから付いてくる白石から、杉元たちを見失ったと聞いた牛山は、杉元を目撃した建物を教える。
その建物からは煙が出ていた。

杉元、アシリパ、門倉は建物から脱出しようとしていたが、煙に邪魔されすぐに動けなくなってしまう。

外から聞こえる白石の声に杉元は応えるものの、誰も何の手立ても講じられずにいた。

そこに現れたのは海賊房太郎だった。

海賊は杉元たちを救い出すことに絶対の自信を滲ませて、潜水の要領で空気を肺に取り込み、建物内へと救出に向かう。

その頃、杉元たちとは別の建物の中を探索していた菊田特務曹長は、前から来た人物に銃口を向ける。

その人物が尾形であることを確認した菊田は、尾形と互いに何事もなかったかのようにすれ違うのだった。

煙から逃げ続けていた杉元たちは、行き止まりで戻ろうかどうかとやりとりをしていた。



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そこに海賊が現れる。
海賊は朦朧とした状態のアシリパを抱えると、近くに置いてあったスコップでいきなり杉元の頭を殴りつける。

スコップの柄が折れるほどの杉元が強打された瞬間を目撃した門倉は、瞬時に状況を判断し、折れたスコップを拾って海賊を背後から殴る。

しかし海賊はすぐさま門倉に蹴りで反撃し、門倉を吹っ飛ばしていた。
衝撃で門倉が持っていた刺青人皮が散らばる。

杉元が銃剣を海賊に向けて突く。

海賊の右肩に銃剣が刺さり、同時に杉元が発射した銃弾も右肩に傷を負わせる。
さらに海賊の顔に向けて突きだした銃剣は、海賊の右耳を根元から切り裂いていた。

しかし海賊は一切全く動じる様子を見せることなく、杉元の腹に前蹴りを放つ。

海賊は刺青人皮を拾い集めると、煙を吸い込んで立ち上がれない杉元を置いて、アシリパを脇に抱えたまま白石がいる出口とは別の場所から脱出するのだった。

扉の取っ手を掴み、海賊の足を止めるアシリパに、海賊は「『アイヌのため』なんて重荷は下ろしちまえよ」冷徹な視線を向ける。
「金塊なんて俺が全部奪ってやるよ」

「村へ帰ってふたりで幸せに暮らせばいい」

第258話の感想記事です。

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第259話故郷を作る

故郷への渇望

網走監獄。

懲罰房から帰って来た海賊房太郎に、二瓶と一緒にいた白石が話しかける。
「誰か半殺しにしたんだって?」

上エ地って野郎さ、と海賊。

海賊は、岩息が来なければ殺していたと言って、上エ地をリンチした理由を述べる。
それは上エ地が、『俺の叔母が外で待ってる』と海賊に告げたことに端を発していた。
叔母などいない海賊には上エ地の冗談が許せず、半殺しにしてしまったのだった。

海賊は、外で待っている人がいるかどうか白石に訊ねる。

「いねぇよ 俺は寺に捨てられていたんだ」

なら少しは自分の気持ちもわかるだろう、と海賊。



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白石は網走から逃げて寺に帰るのかという海賊からの質問に答える、
ガキの頃逃げたきりだし、今も残っているかどうかと白石。

「俺は王様になる」
海賊はその理由を話し始める。

海賊にはかつて14人ほどいたが、疱瘡で自分以外が全滅していた。

その経験がある海賊は死にきれないくらいに多くの家族が欲しいと海賊。

そんな海賊に、白石はすごい寂しがりだと指摘する。



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海賊は答える。
「自分の国を作るってのはさ 家族を作るってことだ 誰も俺と俺の家族を疎まない『帰って来れられる場所』だ」

回想から戻って、建物のドア付近にいる

アシリパを脇に抱える海賊。

アシリパはドアノブに手をかけて、逃げようとしていた海賊を必死に建物に留めようとする。

そんなアシリパに海賊が声をかける。
「金塊なんて忘れて故郷で杉元と家族になっちまえ」



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白石

杉元は煙の充満する工場内で床にうつ伏せのまま身動きがとれずにいた。

またもやアシリパを失いかけていることを許した自分を責める杉元。

そんな杉元を口元を布で覆った白石が杉元を引き起こす。
「杉元!!!! 立てるか!?」

海賊は背後に気配を感じて振り返る。
するとそこには示現流の構えをした鯉登少尉が立っている。
「誰だ貴様は その子はアシリパだな?」
そう言って海賊ににじり寄る鯉登少尉に海賊が即座に動く。

髪を振り乱し、髪にパンチする要領で鯉登少尉の顔を殴りつける海賊。

腰の銃を抜いて鯉登少尉に向けようとする海賊に、月島軍曹が銃を向ける。
「離れてくださいッ」
そう言って海賊の逃げた方角に向かう。



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さらわれた鯉登少尉

海賊はアシリパを連れて建物の奥へ奥へと向かっていた。

「金塊が奪われたら私達はどうやって故郷を守ればいい?」

アシリパの訴えに僅かに動揺する海賊。

その隙を突いて、鯉登少尉は海賊の左肩に深く刃を入れるのだった。

二撃目を入れようとするが、海賊は床一面に広がったビールの海の中を潜水してこの場を去る。
「アシリパを確保したぞ月島!」

しかし月島軍曹が来たころには、その場に取り残されているのはアシリパのみ。

鯉登少尉はサーベルをその場に残し、海賊にさらわれていたのだった。



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感想

海賊

海賊にも彼なりの譲れないものがあった。

自分や家族の存在が疎まれない、帰って来られる場所「故郷」を作る……。

幸い自分は普段は全く意識しないけど、人間の根本にある欲望の一つだよなー、と思った。

14人いた家族が疱瘡で全滅という過去は、かなり壮絶だわ……。
海賊は語っていないが、周囲の人からは相当避けられ、強烈な迫害と呼べるような悲惨な目に遭ったのではないか。

人間観察の眼力に優れた白石が喝破してみせた海賊の「寂しさ」。



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それを解消する手段として、海賊は死にきれないほどの多くの家族を持つという目的を持った。
そんな単純明快さから、海賊の純粋さ、真っ直ぐさ、そしてそれを諦めることなく求め続けられる彼の意思の強さを感じる。

海賊が求める者は明確だ。それだけに、単なる物欲よりもその渇望は強いのだろう。
その渇望が、海賊のハングリーさに直結しているように思った。

結果、大量殺人犯として網走監獄に放り込まれる人生を歩んでいるいうのは何とも悲しいことだが……。

海賊は悪い奴だが、クズではない。
アシリパさんに、故郷で杉元と家族になれと言ったのは間違いなく海賊の思いやりだ。



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だがアシリパさんもまた海賊と同様に故郷に強い想いを持っていた。
アイヌ文化が文明の波にのまれて消滅するかもしれない、大切な故郷を失うかもしれないという危機感がある。アイヌがアイヌのために残した金塊があれば、その滅びを食い止める助けになるとアシリパさんは考えているのではないか。

鯉登少尉のおかげで何とか海賊に連れ去られずに済んだものの、金塊を求める強い動機を持ったアシリパさんには今後も激しい戦いが待ち構えている。

まずは杉元陣営として、海賊との戦いを制さなければならない。



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しかし白石の心の強さは何なのだろう。

海賊に勝るとも劣らない、寂しかったであろう過去があるにも関わらず、白石は「寂しさ」を無理に埋めようとしていない。

白石は既に杉元、アシリパさんという友を得て、それが彼にとっての故郷と化しているからかもしれない。

杉元とアシリパさんを守るためなら、土壇場で力を発揮できているように見える。

アシリパさんを再度さらわれ、打ちひしがれているという最高のタイミングで、煙の充満する危険な建物内に飛び込んで杉元を助けた白石に改めて惚れたわ。



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鯉登少尉は大丈夫なのか?

鯉登少尉は大丈夫なのか?

海賊VS鯉登とは……。相変わらず予想を裏切るマッチメイク。

故郷に恋い焦がれる男、海賊に対するは、鯉登少将という立派な父を持つ名家の出の鯉登少尉。

ある意味、鯉登少尉は海賊の目的からは最も遠いところにいる人物なのかなと思った。

鯉登少尉の戦闘は詰めが甘いような気がする。
海賊との戦いに限らず、劣勢に立たされる局面がしばしば見受けられる。
ハングリーさとは程遠い産まれ、環境に置かれていることが関係しているのかな……。

そんなこと指摘しようものなら、本人は激怒するのだろうけど、どうしても生き死にの懸かった戦闘においては他の猛者に比べると一歩、いや半歩ほど劣る部分があるように思う。



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鯉登少尉の使っている剣法は示現流だ。
最初の一撃で敵を仕留める、次の一撃は考慮しないという思想の元に生まれたと認識している。

そんな豪剣で海賊を不意打ちしたにも関わらず、肩に深めに刃を埋める留まったのはあまりにも痛い。
切断して欲しかったな……。海賊越しにアシリパに刃が届かないことを考えての一撃だったのだろうか。その一撃の後、即座に海賊を追撃しなかったことから、殺すことよりも撃退が目的だったのか。
もし仮にそうだったとしたら、自分が鯉登少尉に感じた半歩遅れている部分の正体とはそれのことなのかもしれない。
気合は感じても殺気が今一歩足りていない感じ。

その後、まずは頼れる部下である月島軍曹を呼ぶ鯉登少尉。
示現流の一撃で致命傷を負わせることが出来なかったというミスに、さらに海賊が大量のビールを泳いで離れたと思い込み、視線を外してしまうという二つ目のミスを立て続けに重ねてしまった。
それにより海賊に水の中というフィールドに引きずり込まれてしまったわけだ。



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なんだかんだでこれまで死に直結しかねない窮地から脱してきた鯉登少尉だが、今回ばかりは心配だな……。
大量に殺人を犯してきた前科を持つ海賊なら、難なく鯉登少尉の命を奪うのではないか。
海賊に首を絞められながらビールで溺死させられそう。

海賊が肩に負った刀傷も決して軽傷ではないんだけど、即座に死に繋がるとは言い難い。
地の利がある海賊が優位だと思う。

この場で鯉登少尉を救えるのは、月島軍曹しかいない。

果たして鯉登少尉はこの窮地を切り抜けられるのか。

以上、ゴールデンカムイ第259話のネタバレを含む感想と考察でした。

第260話に続きます。

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