ゴールデンカムイ最新第172話阿寒湖のほとりの感想(ネタバレ含む)と考察。土方と牛山を探して阿寒湖にやってきた門倉とキラウシ。二人はそこで新囚人”関谷輪一郎”に出会う。

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前話第171話 樺太アイヌの刑罰のあらすじ

暗号

網走では鶴見中尉がこれまで手に入れてきた計12枚の刺青人皮を床一面に広げ、その模様を確認していた。

「暗号解読の歴史は解読者を『脳病院』送りにしてきた歴史でもある」
宇佐美上等兵を前に語る鶴見中尉。
解読に憑りつかれて日常生活に支障をきたすと言われるので、ある程度刺青人皮が集まるまでは暗号解読を始めるつもりはなかったが、これだけあれば、と刺青をじっと見つめる。

誰か軍からさらってきましょうか? と宇佐美上等兵。

鶴見中尉は、暗号に関して、暗号解読のプロが解かないといけないような複雑なものではなく、娘のアシリパが解読できる程度のものにしているはず、と確信を持っていた。

回想。

アシリパが、杉元とアシリパが2番目に手に入れた刺青人皮の囚人の刺青を写している。
杉元に、囚人の左肩の辺りにある”迂”という漢字を何と読むかとアシリパが問いかける。

「『ウ』だよ 『迂回する』とか…… 書いてあげる」
アシリパの代わりに写しに書き込む杉元。


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アシリパは、父であるウイルクから学校へ行って勉強もしろと言われていたが、アイヌ民族は元々は文字を持たず、漢字など知らなくても生きていけると考え行かなかったと呟く。
「お前もそう思うだろ? 杉元」

樺太アイヌの集落。

樺太アイヌの住居で、杉元は刺青人皮をじっと見つめながら、その時のアシリパとのやりとりを思い出していた。

杉元が岩息の写しをじっと眺めているのに気づいた月島軍曹が、何か気付いたのか、と杉元に声をかける。

「杉元に暗号が解けるわけがない 馬鹿だから」
すかさず鯉戸少尉が口を挟む。

杉元は余裕たっぷりな様子で答える。
「気付いてることがあるけど…お前らには教えてやんねー」


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犯人

谷垣が外が騒がしい事に気付く。

「エノノカ!!」
エノノカの祖父が樺太アイヌに引き止められながら叫ぶ。

大木の下で、エノノカは樺太アイヌの男に首元にマキリを突きつけられていた。
「ハンカアリキカハ! クエチウカラナー!(来るな! 刺すからな!)」
男は興奮しており、その目は血走っている。

二人の樺太アイヌの男たちが男に銃を突きつけている。
しかしそこから膠着状態が続いていた。

「なんだあの男は!!」
外に出てきた鯉登少尉が呟く。
谷垣と月島軍曹もその隣で驚いている。

人を殺して逃げてきた男だと野次馬が説明する。

後ろから回り込むぞ、と鯉登少尉が静かに行動を開始しようとするが、杉元がずかずかと犯人の男に真正面から近付いていく。


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「杉元!!」

杉元は真っ直ぐに犯人を睨みつけながらあっという間に犯人のマキリが届く間合いに入っていた。

犯人の腕を押さえようとする杉元。
しかし犯人はその前にエノノカの首に突きつけていたマキリを杉元の首に押し当て、手首のスナップを利かせて切り裂く。

「やられた」
月島軍曹が呟く。

しかしエノノカが何かに気付く。

「チカパシのマキリの…」

杉元が近付いていく直前に、チカパシが犯人とエノノカの背後の大木に隠れて、エノノカに突きつけられているマキリに自身の持つマキリの鞘を被せていたのだった。

鞘に納められた状態の刃では当然ながら杉元の首をかき切ることは出来ず、犯人は杉元の膝蹴りを無防備に食らう。


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「離れてろアシリパさん!!」
杉元は鬼気迫る表情でエノノカを犯人から引き剥がすと、犯人の後頭部を踏んで地面に押し付け、銃剣を抜き放つ。

「待ってくれ」
犯人を追い詰めていた二人の樺太アイヌの男が杉元に背後から抱き着くようにして制止する。
「あんたは殺さなくていい」

解放されたエノノカは祖父とひしと抱き合う。

「よくやったぞチカパシ」
谷垣がチカパシの頭を撫でる。

ボッキした、とチカパシが晴れやかな表情で呟く。

そうか、と谷垣。


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刑罰

樺太アイヌの男は杉元に、すまなかった、と謝り、犯人の男は東にある自分達の村の者であり、人を殺して逃げた、と説明を始める。
捜索の末に見つけたはいいが、村に連れ戻る途中で逃がしてしまったのだという。
「あの男は我々の村で処罰する」

たしかアイヌには死刑が無かったろ? と杉元は男に向かって問いかける。
「止めてくれなくても俺がやったのに……あんたら手ぶらで帰れたぜ」

「樺太では我々のやり方がある」

そう答えた樺太アイヌの男に、どんな? と鯉登少尉が興味深そうに答えを促す。

「眼に針を刺し 底のない棺をかぶせて生き埋めにする」

それは、樺太アイヌの間で行われている『イトイウリ』と呼ばれる刑罰だった。
加害者を生きたまま閉じ込めた棺の上に被害者の遺体の入った棺を重ねて埋葬するため、二人の樺太アイヌの男は犯人を生きたまま自分たちの村に連れ帰る必要があった。


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生き埋め刑か、と鯉戸少尉。
たとえ刑罰であっても直接的な殺人を避けたいのだろう、と続ける。

「それだけ彼らにとって殺人は不浄で忌み嫌うものなんでしょう」
月島軍曹が鯉登少尉の言葉を補足するように呟く。

(人を殺した熊は悪い神様となって地獄に送られる 私も人を殺したくない)

杉元はアシリパの言葉を思い出していた。


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行方不明の土方と牛山

北海道の阿寒湖。

湖面には”霜の花”が浮いている。

旅館の一室で不安げな様子で座っている永倉。
永倉は、牛山と土方が連絡無しに二日間も姿を消しているが、何かあったに違いない、と口にする。

それを聞いていた門倉が、いい女でも見つけたのかも、と返す。
「何かあったとしてもあの最強の二人ですよ?」
永倉の不安を大袈裟だと言わんばかりの門倉。

しかしそれでも不安そうな表情を見せる永倉を見て、門倉が、ここで待っていてください、と声をかける。
「いくぜキラウシ」
門倉は出稼ぎ中のキラウシを伴って、土方と牛山の捜索に出る。

その頃土方は暗所で体を仰向けに横たえていた。
目を開き、じっと天井を見つめる。

そこは棺の中だった。

土方の右の手元には蚕の繭がある。


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第171話 樺太アイヌの刑罰の振り返り感想

刺青人皮の暗号

ついに暗号解読に関して触れられるようになってきた。
杉元陣営も鶴見陣営もお互いに半分くらい集まったし、暗号の解き方、答えに関してそろそろ気になるところだよなぁ。

鶴見中尉が読んでいた通り、刺青がアシリパに解ける程度の暗号なのだとしたら、今回杉元が刺青の模様を観察して得た気付きは解読への第一歩となるのだろうか。

月島軍曹や鯉戸少尉は鶴見中尉側の人間なんだから、本来、杉元はこの二人に対して刺青に関して何かに気付いたことすら伝えるべきではないと思うんだけど、そこはこの樺太の旅で出来た絆がそうさせたのか……。

杉元も鶴見中尉も、そして土方も皆、暗号が足りない”虫食い状態”で暗号の解読に臨むわけで、仮に全て集まった状態だとアシリパでも解ける難易度ということならば、足りない状態ではそう簡単には解けないだろうなと思った。

足りない部分は類推して補うしかないわけだけど、そうなるとやはりアシリパを手元に置いている陣営が有利になるのかな。


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アシリパなら虫食い状態の情報でも、ある程度の情報があれば何かを閃く可能性はありそうだ。

しかし現状ではアシリパはキロランケと行動を共にしており、刺青を集めている陣営にはいない。

そうなるとキレ者の情報将校である鶴見中尉が暗号解読競争では強い気がする。

鶴見中尉の元にあるのは24枚中の12枚。果たして鶴見中尉はここから何か気付きに至るのか。

当然ながら、杉元は鶴見中尉の持っている刺青人皮とは別の刺青人皮を持っている。
今回、岩息の刺青の写しを見て何かの気付きを得たようだけど、それが何なのか近々読者に知らされるのだろうか。
正直気になってしょうがない……。


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まだ刺青の模様の全てを読者は確認出来ていない。
今後解読に関して話が展開していく際に披露されるのだと思われる。

刺青の模様を早く見たいな。勘の良い人なら解けるのかも。

野田先生の事だから、暗号は本当に暗号として作り込まれているだろうな~。
早く暗号が出て来ないかなと期待している。

ちなみに自分はこういうのを考えるのニガテなので解ける自信はないかな(笑)。

ネット上では情報が足りなくても解いちゃう強者がいるんだろうな……。
それもあって、刺青の模様を全て公開してないのかも。

公開するタイミングは話が佳境に入ってきたらだとしたら、まだまだ物語は続くのだと良い意味で捉えられる。

実際まだ囚人は残ってるわけだし、今後の展開に期待。


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チカパシの手柄

チカパシが実にいい仕事をした。

これ、自分で考えて動いた結果だろうから相当すごいと思う。

谷垣も鯉戸少尉も月島軍曹も犯人の男を見て驚いているだけだし、チカパシに指示をする暇はない。
この逼迫した状況でわざわざチカパシに指示するよりも自身で動くんじゃないだろうか。

そう考えると、やはりチカパシが自身で考えて実行したと考えて良いだろう。

そもそも仮に谷垣とか月島軍曹に指示されて動いていたとしても、犯人のマキリの無力化を成功させること自体がすごいのに、チカパシが自分で思いついて成功させたあたり、彼が将来、相当出来る人間に育っていくという片鱗を見た思いだ。

杉元が犯人に真っ直ぐ向かって行く時点では犯人のマキリは刃を見せている。


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しかし杉元の迫力に押されて、杉元に注意を惹きつけられた犯人の隙をチカパシが突いた形になるのだろう。

一瞬の隙で犯人のマキリに自身の鞘をそっと被せるとかファインプレイ過ぎる。

エノノカが犯人に拘束される直前まで、チカパシはエノノカと遊んでいた。

だから恐らくはエノノカが犯人に捕らえられる所を目撃していたわけで、そこからエノノカに突きつけられているマキリを無力化する機会をじっと窺っていたのか。
杉元がズカズカと犯人に向かって行ったことで犯人に生じた一瞬の隙を突くその集中力は大人顔負けだと思う。

チカパシはこれまでも随所で良い仕事をしてきたけど、ここにきてかなり頼れる男になってきた。

それも谷垣たちと同行し、彼らの背中を見ているおかげと思う。
彼らの行動から、その背中から、チカパシは日々学んでいるわけだ。


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杉元の速攻

杉元は、谷垣、鯉戸少尉、月島軍曹と同じタイミングで住居の外に出たと思われる。

谷垣たちはエノノカを人質にとっている犯人を目撃して驚いていたが、杉元は即座に犯人に向かって直行する。

直情にも程がある。まるで火が出るような行動だ。まさに主人公!
少年漫画の主人公と違って殺しも辞さないので読んでて気持ち良いわ。

杉元が、チカパシが木の陰から犯人のマキリに鞘を被せるタイミングを窺っていたのを知っていたからこの行動に出たとは思えない。
ただただ怒りのままに動いたというのが正解だと思う。

膝蹴りを食らわせた後、エノノカを犯人から引き剥がした際の”離れてろアシリパさん”というセリフから、樺太を旅する杉元がアシリパをどれだけ想っているのか、その心の内が伝わってくる。

エノノカを自然にアシリパに重ねて見てしまうくらいに強い想いが、もっと言えば狂気が杉元を突き動かしている。

エノノカを救った後、アイヌが殺人を嫌い、避けていると鯉登少尉と月島軍曹が会話しているのを杉元が聞きながら、アシリパも”人を殺したくない”と言っていたのを杉元が思い出している。

しかしその後の杉元の迷いの無い表情の横顔から、アシリパを救う為なら例えアシリパが望まなくとも必要であればいくらでも殺人を行うという揺るがぬ意思を感じた。


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恐ろしい刑罰

眼を潰された上で、生き埋めか……。

もし自分がそんな目にあったら、窒息する以前に恐怖で狂い死ぬだろうな……。

アイヌが直接殺すことを忌み嫌うとしても、少なくとも樺太アイヌには死刑に相当する刑罰はあるということか。

まぁ、人殺しをするような凶悪犯を生かしておくのは合理的な判断ではないよなー。
少なくとも現代と違って、この時代にこういった凶悪な犯人を生かす余裕も理由もないと思われる。

樺太アイヌの生き埋め刑は行ってみれば未必の故意による死刑だ。

直接的には殺さないけど”こうすれば多分死んじゃうよね”という方法で実質的な死刑を達成する。
死刑反対派には野蛮だと非難を受けそうな刑だけど、自分はこういった刑を考え、実行する事に理解を示したい。
結局、殺人という犯罪のけじめをとるには、犯人が自らの命を差し出すより他にない。
これも一つの知恵なのだと思う。

北海道のアイヌはどうなんだろう。樺太アイヌのこの刑罰とは別の、しかし死刑に相当するような罰があってもおかしくないと思うんだけど……。
ひょっとしてラストで土方が目を潰されずに棺に横たわっていたけど、北海道アイヌバージョンの刑罰なのか?


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土方が今いるところ

これ、素直に考えれば棺の中……だよなぁ。

樺太で、樺太アイヌにとっての死刑に該当するような刑を受けている?

でも眼を針を潰されていないし、樺太アイヌの刑罰とは違うか。

土方の手元にあった蚕の繭がヒントになるのだろうか。

ちょっと調べてみたけど、旭川で明治末期から大正初期にかけて養蚕業が盛んだったという情報を見つけた。

ひょっとしたら土方は今、旭川にいる?

でも何でこんな状況になっているのか分からない。


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少なくとも先に書いた通り、樺太アイヌの刑罰を受けているということはないだろう。
でも先に書いた通り、北海道でアイヌの刑罰を受けているとか?

いや、刑を受けているわけではなく、何か情報を得る為に、もしくは何者かから身を隠す為に、棺にじっと身を潜めている?

牛山も同じようにしているのだろうか。
永倉曰く、土方と同様に牛山からの連絡も途絶えてるということだから、行動は共にしている可能性は高いと思う。

果たして二人はピンチの状況にあるのだろうか。


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ゴールデンカムイ最新第171話樺太アイヌの刑罰の感想の感想(ネタバレ含む)と考察...
前話第170話 亜港監獄の女囚のあらすじ猟尾形がシロイルカの頭部を撃ち抜く。 やったな尾形、と尾形を褒めるアシリパ。 尾形はロシア帽を被ったまま、いつものように頭を撫でつけるポーズでドヤ顔をする。 アシリパたちは漁猟を生活の中心としている...

171話の感想記事は上記リンクをクリックしてくださいね。

第172話 阿寒湖のほとり

門倉とキラウシは、永倉の不安な様子を正視することが出来ず、土方と牛山を探すべく旅館を出発する。

キラウシは、二人が阿寒湖周辺に潜伏している囚人を追い、返り討ちにあった可能性を指摘するのだった。

門倉も、その囚人は戦闘力こそ乏しいものの、狡猾な男だったと振り返る。

それを聞き、キラウシは門倉にその囚人について問うのだった。

門倉は自分が元看守部長であると答えて、両手で何かを広げる真似をする。
「あいつのことは顔より肛門のシワのほうがよく知ってるくらいだ」

肛門のシワ? と少し引いた表情を見せるキラウシに、門倉はその囚人に関する説明を始める。

囚人”関谷輪一郎(セキヤ ワイチロウ)”は、元々は北海道の各地の牧場で家畜獣医として仕事をしていた。

監獄に収監されたのは、毒による殺人によって捕まったためだった。


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エゾオオカミ駆除に使われたストリキニーネ、青酸カリ、ヒ素といったあらゆる毒を使いこなし、関谷本人曰く30人は殺したのだという。

ある日、門倉は関谷の監房で囚人が泡を吹いた状態で倒れているのを目の当たりにする。

関谷は驚いている門倉ともう一人の看守に、苦みは味噌で誤魔化せる、と唐突に説明を始める。

「試しに3つある味噌汁の一つに『毒』を入れてみたんですよ」

「トリカブトは苦いんですけどね 『変な味がする』と言いながらも食べましたよこいつ…」


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関谷の傍らには毒入りの味噌汁に当たった囚人が泡を吹き、目を開いたまま仰向けに倒れている。
関谷はといえば、自分がやったことの重大性に全く頓着が無い様子で言葉を続けているのだった。
その光景を前に門倉はただただ引いていた。

「馬鹿野郎ッ ふざけるなてめえ!!」
同室で、関谷と犠牲になった囚人と共に卓を囲んでいた若山親分が、関谷に対して語気を荒げる。

「やっぱあんたはヤクザの親分さんだけあって『引き』が強いね」
関谷は若山親分の怯え混じりの怒りに何の痛痒も感じた様子も見せず答える。
「俺は運を見るのが好きなんだ 運の悪いやつを殺してきたのさ」

関谷は、外での作業の際にこっそりトリカブトを抜いて監房に持ち帰っていた。
それを知った門倉は以来、外作業である外役から戻る度、関谷の尻の穴まで調べることを日課としていたのだった。

「『スルク』を尻の穴に入れたら毒で大変なことになる そんなとこに隠すわけ無いだろ あんた馬鹿だな」
それまで話をじっと話を聞いていたキラウシが門倉に突っ込む。
「無駄に尻の穴を見たな」

門倉は暫し無言でキラウシをじっと見つめてから呟く。
「無駄に尻の穴を見ちまったぜ」


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阿寒湖で聞き込み開始

阿寒湖にやってきた門倉とキラウシ。

その湖面は完全に凍結している。
湖面にはところどころに人が点在し、氷上に小さな穴を空け、魚釣りをしていた。

キラウシが魚釣りをしている内の一人、アイヌの男に話しかける。
「ノイポロ トコムシ ポロ オッカイ ネワ オトピ タンネ ワ レタラ シサム エヌカラ ソモ キ ヤ?(おでこにコブのある大男と長い白髪の和人を見なかったか?)」

アイヌの男は、ウワ(知らない)とだけ言って首を横に振る。

門倉は別の、やはり釣りをしている男に、連れてる? と声をかけていた。

釣り人は、ぼちぼちだね、と答える。

釣り人の足元には何匹もワカサギを釣り上げられていた。
門倉はそれを見て、天ぷらで食いたいな、と呟く。

キラウシに近付いていく門倉。
「キラウシ! ずっと向こうにもアイヌがいるから聞いてこいよ」

キラウシはムッとした表情で答える。
「命令するな! 尻の穴のぞき野郎のくせに」

俺はお前の雇い主の部下なんだぜ、と門倉。
「いつだって管理職だな俺は…」


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スケート少年の目撃証言

「そこのポッチャリ少年 ちょっと止まりなさい」
門倉は、氷上をスケート靴で軽やかにスケーティングしている少年を呼び止めていた。
そして、白髪をなびかせた妖怪のようなおじいちゃんを見なかったか、と問いかける。

少年は質問には答えない。
ただ気持ちよさそうに踊りながら得意気な顔で門倉に問い返す。
「どう? これ」

なにが? と門倉。

少年は、かつて函館で異人の踊りを見たことがあると切り出す。
「スケートをしながら踊ったら素敵だと思わない? すごい発明でしょ?」

あそ、と門倉は素っ気なく少年に背を向ける。

「ぼく見たよそのおジイちゃん」
少年が遠ざかる門倉の背に向かって呟く。
「昨日ちょうどそのへんに立ってたよ 遠かったから何してるかわからなかったけど」

このへんに? と聞き返す門倉。
そして、自分の足元に白いものがある事に気付く。
「これは…」


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狡猾

土方の足元に、シダを下敷きにした八つの蚕の繭が置かれている。

土方は阿寒湖の氷上で関谷と駆け引きを行っていた。

関谷は、土方の足元の繭の中それぞれに丸薬があり、その内四つにはそれぞれフグ毒、ヒ素、トリカブト、ストリキニーネが一つずつ入っていると説明する。
「半分は毒が入っていない『当たり』だ どれか飲めば牛山を解放する」

土方は関谷の言葉に一切動揺せず、遊びに付き合う気はない、と抵抗の意思を見せる。
「いまから貴様をどこまでも追いかけて生きたまま皮を剥ぐ」

少し離れた森の中で、関谷は木の幹に隠れて土方と会話を続ける。
「あんた土方歳三なんだってな? あんたのような男が金塊集めて何をしようとしているのか…興味はあるぜ」

土方は無言で関谷の言葉を聞いている。
しかし土方は関谷の声が聞こえてくるあたりから合わせて馬の気配も感じとっていた。
そして、このまま追いかけても逃げられてしまうと判断する。

関谷は、牛山に関して、現在少量のフグ毒で体の自由を奪った上でチョウセンアサガオで意識を混濁させて棺桶に入れて埋めたと説明する。
「空気穴は開いてるが水も飲めない 俺と追いかけっこをしている時間はないはずだ」


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牛山の刺青は写してある、と全く動揺することなく答える土方。

そんな土方に対し、関谷は『土方歳三をさらって埋めた』と嘘を言ったら牛山は毒を飲んだ、と呟く。
「あんたの進む道が正しければ良い運にも恵まれる 『運を呼び込む』ということだ」

「ハズレを引けばその道は正しくない 試してみろよ自分の運を」

関谷の言葉を聞いていた土方は、口元に薄く笑みを浮かべる。

繭が氷上に転がる。

毒に当たったのか、氷上に俯せに倒れる土方。
そこに関谷が近付いていく。
「毒は全部致死量だったのに…すごいぞ まだ生きている」

関谷は土方の症状を観察し、土方がフグ毒のテトロドトキシンを飲んだと判断していた。
そして土方の体を抱えて、移動を始める。

関谷は土方のためにその仲間が刺青人皮を差し出すと考えていた。
よって、土方の生死はどうでもいいが、見つかってしまうは避けるために、土方を安全な場所へ隠そうと移動を開始するのだった。

二人から少し離れたところでは少年が踊っていた。


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門倉の推理

「……これなんだ?」
門倉は氷上に転がっていた繭を拾い上げる。

そして、さきほど話を聞いたぽっちゃり少年の目撃情報や、自分が今手に持っている謎の白い殻を推理のピースとして考えをまとめていく。

「ふむふむ なるほど…」

そして、門倉は一つの結論に達する。
「この事件は迷宮入りだ!!」


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運命の選択

「よお アンタ」
聞き込みを続けるキラウシに、先ほど門倉が聞き込みをしていた男が近付いていく。
「ヒメマス狙ってたんだけどワカサギしか釣れなくてよ そんなに食わねぇからもってくかい?」

男はキラウシに、天ぷらにしてみんなで食べな、と言いながらワカサギを渡す。

キラウシは男に気を許した表情で、ヒメマスが動き回るのは明け方の暗い内だからこの時間はあまり釣れないと説明する。
「あんた地元の人じゃないね?」

「……ああ」
男は関谷輪一郎だった。

キラウシは門倉の元へ行きながらワカサギを貰った事を嬉しそうに報告する。
「門倉~ チカいっぱい貰った~」

「おお! デカイのいっぱい貰ったじゃん 旅館でこれ食いながらふたりの帰りを待とうぜ」


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もう帰るのか? と門倉に問いかけるキラウシ。

関谷は、その光景を遠くからじっと眺めていた。

実は関谷は、キラウシに渡した無数のワカサギの内の一匹の喉の奥に、致死量となるテトロドトキシンを詰めていたのだった。

テトロドトキシン――フグ毒は煮ても焼いても無毒化することはない。

「祝福を受けるか 裁きを受けるか 俺は貴様らに運命の選択を与えてやる」

その時、門倉が派手に仰向けに転ぶ。
そして、持っていたワカサギを全て中空に撒いてしまう。

勢いよく吹っ飛んでいったワカサギは氷上に着地すると勢いを落とすことなく滑っていく。
そして、全てのワカサギが釣りのために空けてあった穴に吸い込まれるように阿寒湖に沈んでいくのだった。

「…え? …あ? うそ…」
キラウシは、目の前で起こったミラクルな光景に呆然としていた。


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門倉は肩についた氷を払いつつ、立ち上がる。
「うんうん! すまんすまんキラウシ せっかく貰ったのにな」
その表情は、諦めを通り越して悟りの境地に入っていた。

いやそうじゃなくて、とキラウシ。

「うんうんいいんだ 分かってる 俺はそうなんだ」
門倉は慣れた様子で状況を受け入れていた。その理由を話し始める。
過去、門倉は野焼きで自分の家だけ全焼したり、中学生の時に四十人程度の人数で歩いている中で自分だけ雪で隠れていた肥溜めに落ちるといった経験をしていたのだった。
「俺はいっつもそうなんだ 俺はそういう星の下に生まれたんだ」

その頃、薄暗い建物の中で、まるで地面が爆発したように土が空を舞う。

地中から突き出された手は、牛山のものだった。

「だう~」
牛山は正気を失った様子で穴から這い出る。
そして、両手を前に突き出し、ふらふらと歩きながら建物の外に出ていくのだった。
「う~だ~」

第172話 阿寒湖のほとりの感想

関谷輪一郎

久々に知能犯キャラが登場。

ここ最近は岩息、人斬り用一郎と戦闘型が多かったからそろそろ変化球が来るかと思っていた。
全然ユーモアが無い、嫌な感じのキャラだ。

荒事は得意ではないけど、狡猾に型にはめて相手を殺害するって感じか……。

土方との駆け引きも手慣れたものだった。
最も、土方に関しては本当に関谷の毒を完全に飲んでいたのかという疑問はあるけど、恐らく牛山に対してはわけもなく手玉にとったんだろうなということを感じさせる。

そのやりかたは、土方をさらって埋めたのを助けたければ、と持ちかけて毒を飲ませるという、本当に卑怯極まりない方法だった。


そういうクズが運に見放されて死ぬというのはクズの末路にふさわしいと思う。


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土方は当初は牛山の刺青は既に写したと言って牛山の価値を認めないことで駆け引きしていたが、牛山が土方を人質にしたやり方でやられたのと、”運を試してみろ”という関谷の言葉に煽られたかのような形で毒を飲んでしまった。

その際の口元の笑みが意味ありげだった。
多分土方は何かしら関谷の言うことに反発していると思うんだけど、全然思いつかない。

丸薬を半分捨てて、半分だけ飲んだとかかな?
それだと何の捻りもないな……。
でも結局土方は棺の中で目を覚ますわけだし……。

どんなからくりだったのか答えが楽しみだ。


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現実として、土方は棺に入れられた上で、土中に埋められてしまった。

土方、牛山という作中でも屈指の実力者を戦闘不能に追い込んだというのは、やはり相当な実力と見て良いのだろうか……。

何でもありの戦いでは、こういう絡め手のやり方もアリなんだよな。ルールなんて無いんだし。

とはいえ、美学はあって欲しい。悪役なら悪役なりの美学が……。

関谷に関しては今のところ、そういう部分は感じられない。

よって、牛山も土方もこんな奴にやられてしまうとは無いはず……。

そういうクズが運に見放されて死ぬというのはクズの末路にふさわしいと思う。


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必ず土方サイドから反撃を食らうはずだけど、その際、関谷も運を試されそう。

毒入りの丸薬の他に、本当に何も毒が入っていない普通の丸薬が選択肢として提示されているにも関わらず、毒を引いてしまって決着、という展開を期待したい。

こういう奴は他人の運命を翻弄するのが好きなだけで、自分が試される立場にはなりたくはないというふざけた奴に決まってる。

そういうクズが運に見放されて死ぬというのはクズの末路にふさわしいと思う。


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牛山が……

その作中でも随一と思われるフィジカルを発揮した。

熊はブン投げるし、巨大な瓦礫は持ち上げてしまうし……。この猛獣に常識は通用しないな(笑)。

土方も、毒をまともに飲んでいなかったからこそ棺の中で目を覚ましたわけだけど、でも牛山のように土中から出てくる膂力は持っていないから牛山の様に自力で脱出した上での戦線復帰は期待できない。
やはり関谷相手に戦うのは門倉、キラウシ、そして牛山か。

そしてその内の門倉とキラウシに関しては、今のところ関谷を犯人と疑う理由がない。
門倉は自信を持って迷宮入りを宣言していたし、キラウシも男が地元ではないことは分かったけど、それだけで怪しいと睨んでいる様子もなかった。

となると、やはりこの後はリビングデッドと化した牛山が頑張るしかないと思う。


そういうクズが運に見放されて死ぬというのはクズの末路にふさわしいと思う。


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多分、牛山が正気を失ったような様子でただただ呻き声を上げているのは、チョウセンアサガオの効果がまだ切れていないということかな?

それも牛山の体ならば、少量のテトロドトキシンに奪われていた体の自由をすぐに取り戻したのと同じく、間もなく回復すると思う。

それが予想外だと驚愕する関谷に期待したい。

以上、ゴールデンカムイ第172話のネタバレを含む感想と考察でした。

第173話に続きます。

ゴールデンカムイ最新第173話僕の怪人の感想(ネタバレ含む)と考察。少年と、土中...
前話第172話 阿寒湖のほとりでのあらすじ関谷輪一郎土方と牛山を探す為に旅館を出た門倉とキラウシ。 キラウシはいなくなった二人が阿寒湖周辺に潜伏している囚人を追う内に返り討ちにあった可能性を指摘する。 それを聞いた門倉は、その囚人には戦闘力は...

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ゴールデンカムイのアニメが放送された2018年4月。10月からは2期が始まります。こんなサイトを運営しているからには当然アニメもチェックするわけですが、しかし、実は自分の住んでいるところでは悲しい事にテレビでの放送が無いんですよね。 東京や大阪、北海...

自分はゴールデンカムイのアニメをこの方法で観てます。

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