第245話 再会の街
目次
前話第244話 小樽上陸あらすじ
上陸
ロシアのとある町。
スヴェトラーナと岩息は、ソフィアから日本兵とアイヌの女の子を見なかったかと問われていた。
会ったわ、とスヴェトラーナ。
岩息に、アシリパだっけ、と同意を求める。
ソフィアはアシリパはどこかと片言の日本語で岩息に訊ねる。
「小樽にいるおばあちゃんに会えるのを楽しみにしていましたよ…」
岩息の返答に従い、ソフィアたちは船で北海道に来ていた。
ソフィアが船の積み荷の中に大量の銃(ベテェーリM1881)があることを確認していると、おそらくは脚気で部下が倒れたと報告にやって来る。
壊血病らしき者も何人かいると聞いたソフィアは医者を探しに上陸するのだった。
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メンコ
鯉登少尉と月島軍曹は東郷大将や伊地知少将が描かれたメンコで遊んでいた。
ふと背後に気配を感じた月島軍曹が振り向くと、そこにはソフィアが立っていた。
ソフィアはすぐに踵を返すが、月島軍曹は彼女が放っている殺気を敏感に感じ取っていた。
知り合いか? と鯉登少尉に訊ねられた月島軍曹が答える。
「いいえ でも…かなり危険そうなので気をつけてください」
ソフィアは今にも爆発しそうな感情を必死に圧し殺していた。
彼女は氷原で鯉登少尉と戦っているキロランケに、月島軍曹が銃弾を撃ち込んでいる光景を双眼鏡で目撃していたのだった。
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歯を食いしばってその場を立ち去る。
(今は抑えなくては)
(アシリパの居場所を見つけるために)
月島軍曹はアシリパ捜索を中断して札幌に向かった鶴見中尉から、札幌で待機を命じられたことを鯉登少尉に報告する。
鯉登少尉は暫しの間無言で月島軍曹を見ていたが、ヤガテニヤリと笑って鶴見中尉が描かれたメンコを見せつけるのだった。
「欲しけりゃ自分で作るんだな」
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悪魔
虚無僧の格好をした牛山と都丹庵士は札幌に来ていた。
都丹庵士はその優れた聴覚で、聞き覚えのある声を聴いていた。
誰の? という牛山に上エ地と答える都丹庵士。
「ああ……あいつか あの悪魔」
少年が”タロー”と何度も呼びながら、ペットを探していた。
その少年に上エ地がいかにもそのペットについて知っているような風を装って話しかける。
「さっきあっちで見たよ」
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少年を誘導していく上エ地。
上エ地は少年が探しているペットが猫だと口走るが、それを聞いた少年は犬だと指摘する。
少年の疑いの目を感じた上エ地は、ウソだと笑って誤魔化そうとする。
少年は上エ地の顔の刺青を指さし、自分で描いたのかと問う。
「刺青だよ 自分で針を刺して入れたんだよ」
痛くないのかと少年に聞かれた上エ地は、痛みを我慢したら強くなれたと思えるようになると答える。
「自分が塗りつぶされて強い人間に変身できる この世界はね いつだってがっかりすることばかりだから」
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海賊房太郎の苦い思い出
海賊房太郎は、かつて網走監獄に収監されていた頃に上エ地が初めて話しかけてきた時のことを杉元たちに話していた。
海賊房太郎は上エ地から、監獄の外での作業中に房太郎の叔母を名乗る、山口なまりの女性に話しかけられたと聞いていた。
叔母がいたことを知らなかった海賊房太郎に、上エ地は、房太郎に面会に行きたいが、夫が政府関係者なので親族であることが広まったら困ると言っていたと上エ地から伝えられていた。
それ以来上エ地は海賊房太郎に度々、叔母について何年にも渡って話をしていた。
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それを信じた海賊房太郎は、何年もの間、唯一の血縁となる叔母が面会に来るのを待っていた。しかし自分が凶悪犯だから来れないのかと考えていたのだった。
ある日、外役の時に上エ地と鎖で繋がれた経験があるという牛山辰馬と同じ房になった際、海賊房太郎は牛山から房太郎の叔母らしき女性の姿などみたことがないと聞いたのをきっかけに、上エ地を問い詰める。
上エ地はその際、海賊房太郎の顔を指さし、笑い転げたのだという。
「アイツはがっかりした人間の顔が大好きなのさ」
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対決
上エ地に誘導された少年は、首の無い犬の死体が転がっている事に気付き青ざめていた。
「ほいっ」
少年に、持っていた箱の中身を見せる上エ地。その箱の中には犬の首が入っていた。
「タロー……」
犬の名を呼ぶ少年の様子を観察する上エ地。
「う~ん 違うな ちょっと怖すぎたか」
上エ地は少年を地面に押し倒し、首を絞める。
「苦しい? もうやめようか 死にたくないよね? お家に帰ろう…」
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「嘘だよ」
少年の目が虚ろになっていく。
「ああ…その顔だよ圭二」
唐突な尺八の音に振り向く上エ地。
そこには柔道着姿の牛山とその後ろで尺八を吹いている虚無僧姿の都丹庵士がいる。
「そんじゃあ背骨が折られた時の顔を見せてもらおうか」
尺八を折る牛山。
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第244話 小樽上陸の振り返り感想
予想外の戦い
まさか牛山と上エ地という対戦になるとは……。
正々堂々と、小細工なしに真正面からぶつかるタイプの牛山。
それにたいして不気味な上エ地。
少なくとも杉元vs牛山のバトルとは全く違うだろう。
杉元と牛山の戦いは両者の力比べであり、戦いとして噛み合っていた。
上エ地はおそらく牛山や杉元とは全く異なる、トリッキーな戦術を繰り出しそうだ。
特に目立つ武器も見当たらないし、攻撃方法が全く読めない。
以前杉元たちから逃げ切ったことから、身軽なのかなと思う。
牛山だけではなく、同じ場所に都丹庵士もいる。
数的優位はあるんだけど、何か不気味なんだよな……。嫌な感じがする。
牛山に背骨を折ってフィニッシュしてもらいたい。
![](https://i2.wp.com/xn--eckn0a6e5frcxcvd.jp/wp-content/uploads/2018/06/sugimoto_ashiripa15.png?resize=87%2C96&ssl=1)
244話の感想記事はこちら。
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第245話 再会の街
逃げる上エ地
牛山の登場に気付いた上エ地は子供の首を絞めるのをやめて立ち上がる。
「うわぁ あの女の人お乳がデカすぎて引きずってるッ」
上エ地の指さす方向に気をとられる牛山。
その隙に脱兎の如く逃げ出そうとする上エ地だが、牛山は上エ地の結った髪を素早く掴むと、そのまま振り回して上エ地を顔から地面に叩きつける。
牛山はもう一度同じように叩きつけようとするが、髪が千切れてしまい上エ地は背中から落ちるのだった。
必死に牛山から逃げようとする上エ地。
埋蔵金に関わるすごいものを見せるからと牛山に戦いをやめるよう説得を試みる。
しかし牛山は上エ地の足を掴み、家の壁に叩きつける。
壁を破壊して家の中に投げ出された上エ地は、お前だけじゃつまんねえよ、と捨て台詞を吐いて牛山から逃げようとする。
牛山は家の扉ごと壁をぶち抜いて上エ地を追いかける。
戸を開けて、入り口をくぐってから戸を閉めると、再び上エ地を追う。
土方と門倉はそんな牛山の姿を目撃していた。
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即バトル
杉元たちはレストラン水風亭でカレーを食べていた。
落としたスプーンを拾おうと杉元がテーブルの下に手を伸ばす。
その瞬間、牛山の体当たりで吹っ飛ばされた上エ地がレストランの壁を破る。
上エ地はそのままレストランの入り口から外へと吹っ飛んでいく。
何が起こったか分からず戸惑う杉元と白石。
海賊はカレーを食べる手を止めない。
「お嬢! また会ったな」
「チ〇ポ先生~ッ」
アシリパは牛山に会えて歓喜していた。
唐突に登場した人物が牛山だと気付き、驚いていた杉元は、破壊された壁の穴に誰かが立っている事に気付く。
それは右手を刀に手をかけ、左手にライフルを持った臨戦態勢の土方だった。
何も言わず、杉元にライフルの銃口を向ける土方。
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杉元は素早く傍らの椅子をライフルの銃身に叩きつける。その瞬間飛び出す銃弾。
銃撃を回避した杉元は、今度は反撃の為に素早く抜き放った銃剣を土方に突き出す。
それを左上腕部で受ける土方。
左上腕部に銃剣が貫通したまま、土方は右手で刀を抜いて杉元を斬りつける。
しかし杉元は土方の方から素早く抜いた銃剣で、その斬撃を防御する。
土方は杉元の腹を蹴り、距離をとりながらライフルのレバーを引いて排莢する。
土方に蹴られて吹っ飛んだ杉元はテーブルにぶつかり床に倒れる。
倒れたテーブルが土方の第二射の銃弾を防いでいた。
杉元は素早く銃に着剣すると、土方に向けてテーブルを投げつつ、銃剣を構えて突進する。
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銃剣をかわした土方の顔を銃床で殴りつける杉元。
土方は殴られながらも、レバーを引いて排莢して次の弾を発射できるようにしていた。
「もうやめろッ ふたりとも死ぬには惜しい」
牛山は仲裁のために杉元に背後から抱き着く。
牛山の提案に同意する白石とアシリパ。
睨み合う杉元と土方。
ううう、と唸ったかと思うと、杉元は牛山を背負い投げで投げ飛ばす。
「おるああッ」
頭頂から落下するものの、牛山は平気な顔で起き上がると杉元のコートを掴み、おかえしとばかりにぶん投げるのだった。
「どるあッ」
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第245話再会の街感想
なぜ即バトルになったのか
食事中のヴァシリが下顎を晒している! もっとカメラ近くに寄って!
……と、思っていたら唐突に始まる杉元VS土方の緊張感あふれるバトル!
今回の話のはスピード感がすごいわ。
目まぐるしく展開し過ぎ……。
杉元と土方が顔を合わせたのは網走監獄以来か。
言葉を交わすこともなく、いきなり命の取り合いが始まった。
網走監獄に乗り込むまでは互いに協力していたけど、何故なのか。
尾形に頭を撃たれた時点で、杉元は土方一派が自分たちを裏切ったと見做していたのではないか。
そして土方も、杉元を敵に回したことを自覚していた。
おそらく次に杉元と顔を合わせる時は戦う時だと覚悟を決めていたのではないか。
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だから互いに姿を見た瞬間にぶつかり合う結果となったのだと思う。
正確には、戦いの口火は杉元ではなく土方が切っている。
杉元を見て土方はすぐに銃口を杉元に向けた。
それに気づいた杉元が銃身に椅子を叩きつけて銃口を床に押し付ける所からバトルが始まる。
杉元が先に土方の姿を発見していたら果たしてどうだっただろうか。
杉元が受けた仕打ちを考えれば、杉元から仕掛けたいところだっただろうけど、実は杉元から問答無用で土方に戦いを吹っ掛けるイメージがあまりないんだよな……。
やはり、土方が先手を打ったから杉元が反撃したというのが真相じゃないかな。
そもそも、やられる前にやる、というのはかつての新選組副長としての在り方だったということかもしれない。
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牛山が強い
牛山の仲裁により杉元VS土方は一旦収まるものの、ヒートアップした杉元による牛山への見事な背負い投げで、今度は杉元VS牛山が開始と、実に展開がめまぐるしい。
杉元と土方の命が惜しい、と仲裁に入った牛山が肩車気味の背負い投できっちり杉元を投げ返している……!
これは完全に背中から落ちるコースだ。
柔道の試合であれば一本はほぼ間違いない見事な投げと言って良いだろう。
杉元の背負い投げは牛山を頭頂部から床に落としているので柔道では一本にはならない。
そのかわりダメージは強烈なはずだ。
しかし投げられた当人である牛山にはダメージを受けた様子がない。
逆に間髪入れずに杉元を投げ返すあたり、やはり牛山は強い!
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みんな武器を使っている中で、己の肉体のみで戦うってかっこよすぎだろ……。
何かしら刃物や銃を携帯しても良いと思うんだけど、あえてそれをしないのは美学なのか。
それともそれらの武器を持った瞬間戦い方が単調になるという漫画「刃牙」の中で唱えられるような理論に基づいてだろうか。
熊を投げ飛ばせるのだから、投げられない人間は存在しないだろう。
やはり超接近戦では牛山が最強クラスと言って良いのではないか。。
当然のことながら敵と距離があると銃で体を撃ち抜かれてしまい、負けてしまうだろう。
しかし額に飛んできた銃弾は、トレードマークであるはんぺんでガードできたりするのかもしれない。
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逃げられた
思わぬ形で土方・牛山が杉元たちと再会したことで、上エ地には逃げられてしまった……。
牛山との戦いを見る限り、どうやら上エ地は戦闘能力はさほど高くはない、小悪党だったようだ。
牛山のパワーに圧倒されて、とても戦うどころではなかった。
もしかしたら何かとんでもない隠し玉を持っていて、牛山が敗れるのではないかと思っていたけど杞憂だったか。
もし上エ地がどうしても戦わなければならない状況に追い込まれたら、不意打ちとか罠にかけるといった卑怯な手法を選ぶのではないか。人を落胆させたい欲望を持っている上エ地のゲスな性格にはぴったりだ。
それなら牛山との接近戦で上エ地に何か出来るわけもない。
牛山の追跡を逃れたということは、今回は上エ地に運があった。
次に登場するときには何か恐るべき方法により牛山を苦しめるかもしれないと思う。
上エ地がこのままで終わると思えない。
杉元VS牛山の第二ラウンドの行方や、土方と再び戦いが始まるのかどうかなど、来週も見逃せない。
以上、ゴールデンカムイ第245話のネタバレを含む感想と考察でした。
第246話に続きます。
![](https://i2.wp.com/xn--eckn0a6e5frcxcvd.jp/wp-content/uploads/2018/06/sugimoto_ashiripa15.png?resize=87%2C96&ssl=1)