第129話 五翼放射状平屋舎房
第128話のあらすじ
門倉はのっぺらぼうが看守によって別の房に連れていかれるのをじっと見ていた。
門倉が予想していた通りの房へと再び収監されるのっぺらぼう。
そんな門倉に、第七師団がのっぺらぼうを狙って攻め込んできた際には皆殺しにされると囚人が話しかける。
それに、武器を渡すからお前らも戦えと返す門倉。
監獄内では確実に何かの兆候を感じ取っていた。
作戦を話し合う杉元達、そして新たに加わった門倉。
囚人による集団脱獄があって以来、網走監獄内の看守は一新されたが、門倉は、昼行燈を演じることで監獄内では古株の看守となっていた。
この作戦で失敗しても仕事に未練はないという門倉は土方に同行するという。
また、土方は姿を現さず聞き耳を立てていた尾形の金塊を求める動機について疑問を呈する。
土方の言葉を、父を超えるためかと解釈した尾形は、土方の言葉を馬鹿らしいと一蹴する。
インカラマッの占いはそれまではのっぺらぼうがウイルクではないという結果を示していたが、ここにきて急にウイルクであるという結果が追いつき始めたという。
ついには500対500の均衡を迎えた占い。
白石はもう一度占って欲しいとインカラマッに頼むも、結果が出る前に占い器具を手で掴む。
確かめに行くだけだと覚悟を見せる白石。
そして、何もかも闇に覆い隠すような新月の夜。
コタンで待機するのがインカラマッ、チカパシ、永倉、家永。
狙撃で潜入組を支援するのは尾形
網走監獄近くを流れる川の岸で丸木舟で待機する谷垣、夏太郎。
宿舎で待機するのはキロランケ、牛山、土方。
そして、アシリパ、白石、杉元、そして都丹庵士が囚人の舎房へと潜入する。
それぞれの役割を確認し、いよいよ杉元たちは作戦を開始する。
宿舎を出た潜入組、杉元、アシリパ、白石、都丹庵士は、いきなり灯りを手にした二人の見回り看守に遭遇してしまう。
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第129話
のっぺらぼうの房を目指し、監獄の敷地へと侵入した杉元たち。
杉元は素早い反応で見張りに対して拳骨で先制攻撃をかます。
杉元たちを先導していた都丹庵士もまたもう一人の見張りを背後から制する。
宿舎で待機しながら杉元たちの様子を見ていたキロランケは、いきなり見つかってんじゃねーか、と突っ込む。
「都丹てめえ耳糞つまってんのか!?」
白石が都丹庵士に毒づく。
「聞き逃してんじゃねえよバカ野郎」
うるせぇ!! と都丹庵士。
「テメェらこそランプの灯りを見逃してんじゃねえか!!」
アシリパは、しぃ~!! と静かにするようにジェスチャーする。
ここはいいから行け、とキロランケが杉元たちを送り出す。
「これで門倉部長は明日から無職のお尋ね者だな」と牛山。
キロランケは、幸先が悪い、とこぼす。
都丹庵士を先頭に杉元達は敷地を進み、監獄へと向かう。
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のっぺらぼうの房への侵入経路
700人以上の囚人を収監できるキャパを持っている五翼放射状平屋舎房。
5つの舎房が放射状に広がり、その中央には全体を見渡せる中央見張り場が設けられている。
回想。
監獄に侵入するための話し合い。
「舎房の夜勤は三人…」
門倉が説明する。
「作戦決行の夜は俺も三人の内のひとりとして当直に入るよう仕組んでおく」
勤務表を決める管理職だから出来ること、と付け加える門倉。
杉元は、門倉が当直ならば舎房の入口の鍵を開けておくことや合鍵を作っておくことはどうかと提案する。
しかし門倉は杉元の提案を、無理だ、と即却下する。
「入口は見張り所の真ん前だ」
そこから忍び込むのは危険だと続ける。
杉元は自分達が押し入り看守を制圧すると言う。
抵抗を受け、仮に一発でも銃声が響けば作戦は失敗だという門倉。
それを受けて杉元は門倉があらかじめ看守達の銃に細工をしておくことを発案する。
しかし門倉は杉元の案を再度却下する。
「常に凶悪犯に囲まれてる看守たちがお守りみたいに持っている銃だ」
「『出来ねえ』じゃねえよ」
杉元が有無を言わせぬ様子で凄む。
「やるんだよ」
「ああ?」
門倉も杉元の剣幕に負けていない。
「門倉には今後もここに残って情報を流してもらいたい」
土方が割り込む。
「内通者であるのがバレる方法は避けよう」
「俺はよ…」
白石が話し始める。
「監獄に入れられると『どうやって脱獄できるか』考える癖があるんだ」
建物の弱点がどこにあるのかを観察する、と説明し、網走監獄の場合はそれが官舎内で唯一鉄格子のない窓だと続ける。
「天窓さ」
光を取り込みたいから鉄格子をつけてないのだろうと推測する。
回想終了。
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忍び込み
アシリパがロープを投げる。
杉元達はロープで屋根に上がる。
杉元が毛布を要求する。
杉元に、枠ごと外せそうか? とアシリパが問いかける。
「『脱獄』は手に入る道具が釘一本しか無い時もある」
白石が語り出す。
「それに比べりゃノコギリでも何でも持ち込めるんだからこんな楽なことはない」
ノコギリが音を立てている。
(音が漏れてるぞ)
見張り場で冷や冷やする門倉。
メキメキ、と音が響く。
「……」
門倉の傍らの看守は異音に気付かない。
「今夜はほんとに風が強いですねぇ」
門倉は、ああ、と返す。
「おっと」
湯呑みを落とす門倉。
「あちゃ~俺の湯呑みが」
指を傷つけ、痛っ、と声を上げる。
「指切っちゃいました?」
看守が門倉の容態を心配する。
「大丈夫ですか?」
「いいですよ門倉部長…片付けますから」
ごめん、と門倉。
見張りが門倉以外にいなくなったのを確認し、杉元達が天窓から舎房に忍び込む。
第四舎第六十六房の鍵を開ける白石。
杉元とアシリパに緊張が走る。
アシリパは幼少時のウイルクとの一時を回想していた。
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謎だらけ
キロランケが牛山に問いかける。
「土方歳三はどこへ行った?」
いないのか? と問い返す牛山。
その頃、土方は舎房内の暗がりを歩いていた。
「あやしいぜ あのジジイ」
キロランケは声にして土方を怪しむ。
アシリパと杉元は房の扉を開けてその内に入った。
中にはのっぺらぼうが座っている。
「……」
アシリパがのっぺらぼうに向かった恐る恐る尋ねる。
「……アチャ?」
アシリパは自分がアシリパだと言い、小樽から会いに来たとのっぺらぼうに告げる。
杉元は白石にマッチで火を点けるように頼む。
マッチをつける白石。
マッチの灯りに照らされるのっぺらぼう。
「ア…アシ…」
のっぺらぼうの発する言葉が奇声に変わっていく。
「あああああああ」
ビビる杉元達。
「違う」
アシリパは恐怖を貼り付けた表情を浮かべて続ける。
「アチャじゃない」
その時、唐突に門倉が銃を放つ。
「侵入者だ」
「門倉ぁ」
門倉の裏切り行為に気付き、杉元が呻きのように声を漏らす。
感想
案外あっさりとのっぺらぼうに会えた。
しかしアシリパはのっぺらぼうの事を父のウイルクだとは判断しなかった。
では一体何者なのか。
そもそものっぺらぼうとウイルクとの関係は?
囚人に刺青を彫ったのはコイツだから関係ないということは無いはず。
とりあえずアシリパはほっとしたんじゃないか。
ウイルクがアイヌを殺害して金塊を奪ったと確定せずに済んだ。
しかし疑惑が晴れたわけではないと思う。
のっぺらぼうとウイルクが共謀して犯行及び金塊隠しを行った可能性がある。
とすれば、ウイルクはどこかに潜伏している?
この129話でまた謎が生じた。
そして、門倉は裏切ったのか?
これは作戦なのか?
杉元の反応を見る限りは作戦とはとても思えないけど、演技の可能性もないわけではない。
杉元たちと敵対するのか……。
門倉は結構好きなキャラだから死んで欲しくないんだけど……。
まぁ尾形や都丹庵士みたいに敵対しても死なないキャラもいるけどね。
多分、一人で監獄に侵入した土方と門倉が組んでいるんじゃないか。
土方が何をしようとしているかはわからないけど、門倉は土方の行動を助けようとしているように感じた。
芯から杉元や土方を裏切ったとは思えない。
門倉は単に杉元達を土方の侵入及び目的達成の為の陽動に使った可能性がある。
門倉に杉元達を何としても捕縛しようという意欲が無かったとしても、杉元達の窮地は変わらない。
果たして杉元達は難攻不落の網走監獄から逃げることが出来るのか。
次の展開が楽しみ過ぎる。
以上、ゴールデンカムイ第129話のネタバレ感想と考察でした。
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