ゴールデンカムイ 109話 カムイノミ
第108話までのざっくりとしたあらすじまとめ
杉元、アシリパは不穏な鹿の死骸を目の前にしていた。
折角の獲物だから回収していくかとアシリパに聞く杉元。
しかし嫌な感じがしたアシリパはお祈りして他の獲物をとりに、あらかじめ仕掛けておいた罠の様子を見に湿地へ。
湿地に仕掛けておいた罠にかかっていたのはタンチョウヅル。
杉元は、あまり美味しくないので気乗りのしないアシリパを折角獲れたんだからと説得し、白石、尾形の待つ場所へ持ち帰る。
オハウ(汁もの)にされたツルを食す一同。
微妙な味に白石が怒る。
話の流れでなぜ杉元が金塊が欲しいのか質問するアシリパ。
杉元は幼馴染で親友の嫁をアメリカの医者に見せるために金が必要だと答える。
尾形に惚れた女というのはその人のことかと聞かれる。
アシリパはそれを聞いて表情が暗くなり、杉元も俯く。
そんな気持ちを吹き飛ばすためなのか、突如踊り出すアシリパ。
その気配を感じ、遠くから走って来るチカパシとインカラマッ。
チカパシとアシリパは喜ぶが、すぐにチカパシが慌てる。
家畜が惨殺されていたりするのを起こった地元のアイヌから谷垣が犯人と誤解されて追われているという。
鹿の不審な遺体を思い出す杉元は誤解を解くために犯人を捕まえることを決意する。
スポンサードリンク
前回108話の詳細な話。
ゴールデンカムイ 109話 カムイノミ ネタバレ 感想
【ゴールデンカムイ】
四日前に谷垣、チカパシ、インカラマッは地元のアイヌの漁師たちと出会った。
「その村田銃…」アイヌの男が続ける。
「二瓶鉄造のものではないか?」
「どうしてそれを?」と問い返した谷垣に漁師は10年前に一緒にヒグマを狩ったと答える。
あまりに二瓶の腕が良く、ヒグマが土地から一掃してしまうかと思ったという。
谷垣の持つ銃の銃床には小さな七本の傷があった。
それは二瓶鉄造の銃に刻まれていたもの、と続ける漁師。
「二瓶は……山で死んだ」谷垣は答える。
「この村田銃は俺が引き取った」
そういえば回収してたな。二瓶強かったなぁ。
「あの出来事がその後まさかあんな事態になるとは…」
インカラマッが一端会話を引きで終わらす。
アシリパ「ハンッ!! 占い師のクセにぇ?」
顔芸全開で皮肉を言うアシリパ。
そんなにインカラマッが気に入らないのか(笑)。
またとんでもない顔芸だな。
「ふう……」
カチャカチャとベルトをはめて悟りを開いたような表情にはならず、再度前回最後のように豹変する変態男。
「なんて汚らわしいッ」
「こんな木は存在してはいけないッ」
「切り倒して燃やさなくては」
手持ちの小ぶりなナイフを大木に突き立てる。
「ニシパ(旦那)」チカパシが素直な疑問から問う。
「何してる?」
チカパシ話しかけたらいかんって。子供が見たらダメな奴だ。
鉈でその木を切り倒すのは大変だと思うが、と問う谷垣に変態男は妙な言い訳をする。
「違うのです これは…」
クマゲラが餌をとった穴を見ていたのであり、硬い木によくキレイな楕円形の穴を掘れるな、と思って真似したのだと答える。
「チプタチカプ…『舟掘る鳥』だよね?」純粋なチカパシが問う。
「そう!よく知ってるね」変態男がチカパシをごまかすために話に乗ってその場を切り抜けようとする。
「この楕円形の穴は『舟堀型』というんだ」
「君たちアイヌはこれを真似して丸木舟を作ったというね」
チカパシが再び変態男に問う。
「くわしいな ニシパ 生き物好きなの?」
「うん…好きで好きでたまらないんだ!!」話を合わせる変態男。
変態男はインカラマッに自分は学者で北海道の動植物を調査している姉畑支遁(アネハタ シトン)であると名のったという。
チカパシは仲が良過ぎ。
学者風の変態男の正体は姉畑支遁。元ネタが思い当たらない……。今回はいないパターンか?
「このイタドリの葉を見てごらん」
「なあに?」支遁に呼ばれるチカパシ。
「コテングコウモリがお休み中だよ」
支遁に教えられたコウモリを興味深く見るチカパシ。
インカラマッは、チカパシが支遁に懐いていたから谷垣と一緒に油断したのだという。
その夜は姉畑支遁と野宿をすることになったが、翌朝支遁と共に谷垣の銃と弾が無くなっていた。
なんてこった。よりにもよってとんでもない奴に心を許したもんだ。
スポンサードリンク
尾形がチッ、と舌打ちする。
「銃から離れるなとあれほど…」
尾形らしいセリフ。クールだね。
「あちこちで家畜を殺し回って牧場主に見つかって大怪我させて捕まったとか」
杉元「鈴川聖弘から聞いた情報と一致するぜ」
支遁が刺青人皮を持つ脱獄囚24人の内の一人だと断定する杉元。
「とにかく犯人は二瓶の銃を持っている 手分けして探そう」
アシリパ「さっきの鹿の死骸が一番新しい犯人の跡だ」
「行くぞ杉元!」
刺青人皮を持つ変態。といっても、他の囚人も変態なんだけどな。
引いている牡鹿に儀礼的な魔除けのようなものを結び、何やら儀式のようなものを行っている。
「(火の翁神よ 火の媼神よ)」
「(この若き雄鹿が地上に下した神のもとに)」
「(まっすぐに帰れるよう)」
「(このタバコを捧げて)」
「(お祈りいたします)」
厳かな儀式。牡鹿を送ってあげているわけか。
アシリパたちがが住んでいる西では鹿をカムイとは見なさない。
しかし東では昔からあまり獲物が狩れなかっので鹿を大切に扱い、手厚く送ってやる儀式を行う。
そもそも、アイヌにおいては人間も含めて世にある遍く生きる者はカムイと呼んでいる。
しかし常にカムイ扱い出来る者は限られているという。
人間には叶わないこと、 役立ったり逆に災厄を齎すものをカムイと呼んでいる。
例えば刃物は素手では決して切ることの出来ないもの物でもとても綺麗に切れる。
なのでカムイが宿っているとするのだという。
火もアイヌの生活には欠かせないし、木も山に座ってるカムイであり、天候、そして疫病はおよそ人知の及ばない自然現象だからカムイとされる。
割と神道に近いものがある。
アイヌの考え方が知れて勉強になるわ。
これ結構すごいことだと思う。
狩猟は人間が狩るのではなく、カムイの方から矢に当たりに来てくれているのだと考えられてきた。
獲物とされるカムイは人間に招待されて肉や毛皮を与える。
その代わりにカムイは人間にしか作ることができない酒、煙草、イナウ(木弊)といった製造品が欲しい。
そしてアイヌはカムイ達を丁重、手厚くあの世へと送りかえして「人間の世界はいいところだ」と他のカムイにも伝えて貰わなくてはいけないという。
カムイにひどい扱いをすれば、そのカムイは人の前に、この世に下りてきてくれなくなる。
これって結構合理的な考え方だなと思う。
ひどい扱いをすれば警戒するし、頭数も減るから当然姿を現さなくなる。
昔からの知恵というか、伝統などは意外と合理的な理由に基づいていたりするよね。
「その弓…遊びで持ってるものじゃなさそうだな」
「いまどきそんなもので狩りをしてるのか?」
「銃は私の身体ではまだ重すぎる」とアシリパ。
「銃は便利だが急所を外せば獲物を苦しませる」
「私の毒矢なら急所じゃなくてもすぐ死ぬ」
すごい強力な毒。
ナレーションによると、アイヌの毒矢は北海道北部天塩町で昭和7年に至るまで密かに熊狩りに使用されていた記録があるという。
これには驚き。意外と最近まで使用されていたんだなぁ。
スポンサードリンク
「犯人を追ってるのはあんたの仲間か?」杉元が問う。
「もう捕まえたか?」
「わからない…でも時間の問題だろう」猟師は慎重に答える。
「我々は犯人を知っている」
「四日前に会った男だ」
それ谷垣のことなんだよなぁ。違うのに……。
「その男が鹿を惨殺するのを見たのか?」とアシリパ。
猟師曰く、二日前に銃声のした方へひとりで向かうとメス鹿が死んでいたという。
そして猟師は二瓶の銃に気付くが背後からの棒のようなものによって殴打されて、気を失う。
つまり犯行と顔は見てないということか。
頭に血がのぼっていたとはいえ、谷垣がかわいそうだな。
すると若い牡鹿同様に犯されていたのだという。
「谷垣はそんなことをする男じゃない」と杉元。
「知り合いか?」問うアイヌの猟師。
「どうしてだ?杉元……」アシリパが疑問を杉元にぶつける。
「どうしてこんなことを?」
「人間が鹿とウコチャヌプコロしても」
「子供なんか出来ないのに…」
「ましてやオスの鹿とウコチャヌプコロする意味がわからない」
「オスはメスとしかウコチャヌプコロしないはずなのに」
「オスとウコチャヌプコロするなんて どうしてだ? 杉元……」
「ウコチャヌプコロ……」アシリパの連呼する単語を口にする杉元。
あまり変な言葉を連呼しないでくれ(笑)。
杉元も学習したらいかん。
アイヌの男達が声を掛け合う。
「(そっちへ逃げた)」
「(そっちへ逃げた)!!」
一帯に響く銃声。
「!!」
川を泳いで逃げようとしていた谷垣。しかし、進退窮まり観念したように岸で止まる。
スキを一切見せず、猟師たちが谷垣に向けて銃を構える。
「(両手を上げろ)」アイヌの猟師たちが叫ぶ。
「(撃つぞッ)!」
「!!」
谷垣は手前にいた猟師の銃身を高速で掴む。
そしてすかさず投げ飛ばす。
だがアイヌの猟師に向けてすぐさま反撃をすることなく、奪った銃を傍らに捨てて谷垣は両手を上げる。
「俺はやってない!」無罪を主張する谷垣。
「濡れ衣だッ」
しかしそんな谷垣の必死の主張もむなしく、別のアイヌの猟師が谷垣を銃身で殴る。
「(殺してやる)!」
さすが谷垣。しかしすぐさま銃を捨てて優位を手放してまで無実を主張するとは。
しかし怒れるアイヌの猟師に谷垣の誠実さが伝わらないか……。
支遁の行為はただ変態なだけではなく、アイヌ的に相当禁忌にあたる行為なんだな。
その場の一同が振り返る。
そこには尾形がいた。
「久しぶりだな谷垣一等卒」
おおーー!
俺の個人的に好きなキャラ1位と2位がやっと再開。
精強な男たちが並ぶと嬉しいわ。
「必ず私たちで捕まえてやる!!」
「ウコチャヌプコロ…」アイヌ語の下品な言葉を自分に言い聞かせるように復唱する杉元。
アシリパさんも杉元もやめなさい。
メディアミックスがどんどん遠のきますよ(笑)。
以上、ゴールデンカムイ第109話のネタバレを含む感想と考察でした。
第110話の感想記事は上記リンクをクリックしてくださいね。