第285話 最終決戦
前話第284話あらすじ
土方は函館戦争当時、五稜郭の城郭が完全で、小規模要塞の堡塁の数が十分にあったら、函館戦争の流れは変わっていたと呟く。
杉元たちは刺青が示している部分を掘り進めていた。
午前3時30分、アシリパは気の箱を掘り当てる。
土方たちも箱の周囲に集まると、白石が箱の蓋を開ける。
箱の中には珪藻土を砕いた粘土がぎっしりと詰められており、その粘土には乾燥させた動物の胃袋がある。
それに包まれていたのは一冊の冊子だった。
それは土地の権利書だった。
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かつて、この土地の権利書を見つけていたウイルクは、すばらしい、と契約の存在をほめたたえていた。
「アイヌとして生きる娘にこれ以上無いものを託せる」
アシリパもまた、アイヌを救うには、金塊をアイヌの森がある土地を買い占めることだと思い至っていた。
ちょっと待て、と土方。
「半分しか使われていない」
白石は目をぎらつかせる。
「一万貫の金塊はまだ残ってるってこと?」
その時突然、五稜郭が砲撃を受ける。
「おはようございます!!」
攻撃は、すでに到着していた鶴見中尉によるものだった。
第284話の感想記事です。
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第285話 最終決戦
杉元たちは鶴見中尉の講じた一手である駆逐艦による艦砲射撃に晒されていた。
鶴見中尉は暗号をを解く前に、杉元たちが金塊の埋まっている場所へ先に向かわれた場合を見越していた。
暗号が解け次第、すぐに目的地に向かえるよう、あらかじめ鯉登閣下に目的地まで最短でいけるようにしていたのだった。
自分たちが一方的に砲撃を受け続ける事態を認めた永倉は、単身、鶴見中尉の元へ交渉に向かう。
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金塊はなかったと鶴見中尉に事実を伝える永倉。
全く信じていない様子を受け、永倉は五稜郭でアイヌによる北海道各地の土地利用を認めた見つけた権利書について話す。
そしてついには土下座までして、権利書と引き換えに自分以外の皆の命を保証して欲しいと説得を試みるのだった。
しかし鶴見中尉は永倉が権利書を渡すことと引き換えに艦砲射撃を止めさせて、永倉は土方たちと合流し、第七師団と戦うという魂胆であったことを読んでいた。
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感想
永倉のポテンシャル
ジジイ最高。
確かに、若い頃より体力は落ちたかもしれない。
戦闘能力は確実に衰えただろう。
でも老獪さは比較にならない。
じいさんが土下座するという絵でより一層同情や憐みを誘いつつ、しかし虎視眈々と強大な敵を罠にかけようとする。今あるものを最大限活かす戦法がとれるとか最高にかっこいいと思った。
誠実さを前面に押し出しながら、土下座で伏せた顔に浮かべた表情はド汚い(笑)。
こんなの面白過ぎるだろ。
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しかし老いても尚、ここまで好戦的とは…。死に場所を求めるという感覚は現代人には失われた感覚だろう。老いてもそれを維持し続ける永倉恐るべし。新選組隊士という生き方がそうさせた側面はもちろんあるんだろうけど、それ以上にガムシンと呼ばれた彼の生来から育んできた特質が最も影響しているのだろう。
場時からの永倉の役回りはツッコミ役が多かいという印象がある。だから、それが知らず知らずの内に、読者に永倉は真面目で縁の下の力持ちのポジションにいる人物だと見誤らせる原因となり得るわけだ。
だからこそ今回の永倉の決死の鶴見中尉への説得という行動に説得力が生まれるし、真剣みも伝わってくる。
永倉が鶴見中尉を出し抜き、この策を成功させていたなら、杉元たちは大助かりだ。一人の犠牲者も出さずにこの場を切り抜けて、その後、金塊を見事に探し出せたなら、かなりのファインプレイだと思う。
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永倉が、ボケてしまうより何倍も生き生きとした人生を送っているのは間違いない。
こんな風に殺し合いを求めるような人生は御免だけど、年老いてもこのくらい意欲的に生きていたいと思った。
しかし今回のラストの状況から、永倉は生還できるのか?
鶴見中尉に向けて土下座した状態で、目論見が看破された。
鶴見中尉はそんな状況から永倉の生還を許すような男ではないだろう。
なんなら永倉が土下座した瞬間に、永倉の後頭部に鶴見中尉が銃弾を撃ち込むんじゃないかとヒヤヒヤしていた。
次回どうなるのか注目したい。
しかしいよいよ最終章か……。
この長い物語に決着の時が近づいているというのは、考えるだけで何とも言えない寂しさがある。
最後まで付き合っていきたい。
以上、ゴールデンカムイ大285話のネタバレを含く感想と考察でした。
第286話に続きます。