ゴールデンカムイ最新第143話スチェンカの感想(ネタバレ含む)と考察。ロシア伝統のチームでの殴り合いに参戦する杉元達。それを見つめる脱獄囚の熱視線。

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第143話 スチェンカ

第142話のあらすじ

徒歩を嫌い、犬橇での捜索を望む鯉登少尉は、エノノカとの交渉の末にお爺さんを雇うことに成功する。

そして一同は情報収集の為に村唯一の酒場に立ち寄る。

キロランケの写真を見せて、マスターや客に見なかったかと問いかけるもまともに答えるどころか帰れと吐き捨てるロシア人達。

杉元は威圧しに近づいてきた一人のロシア人の男を殴り倒す。

ゴールデンカムイ142話 杉元

一行が酒場を出るとエノノカが慌てた様子で杉元達に駆け寄ってくる。

近付いてきたおしゃべりなロシア人との会話が終わり、男がいなくなったあと、犬橇の犬のリーダー犬が忽然と消えていたというエノノカ。

手口から盗まれてしまったのだと指摘する月島軍曹。

しかし、おしゃべりなロシア人は杉元達のすぐそばにいた。

おしゃべりなロシア人は杉元達を杉元達が先ほど訪れた酒場に誘導する。

そこにはマスターと杉元に殴り倒された男がいる。

犬を返して欲しければスチェンカに出ろと要求するマスター。

ロシア伝統競技スチェンカで大金の賭けの対象にしていた男を杉元が負傷させてしまっていたため、代わりに参加を促されるのだった。

杉元と鯉登少尉がその要求をつっぱねるも、マスターは慌てることなく言葉を続ける。

唯一ロシア語が分かる月島はマスターからキロランケたちは「北海道から樺太に来た刺青の男――脱獄囚を探していた」ことを知る。

スチェンカには刺青の男が来るかもしれないというマスターの言葉も後押しと一行は会場となっているログハウスに向かう。

マスターが扉を開けると漏れ出て来る熱気に杉元がのけ反る。

ゴールデンカムイ142話 杉元

横一列に並び、並んだままお互いに向かい合った上半身裸の男たちが互いに殴り合っている。

「スチェンカやるしかねえのか…」
杉元はその光景を見て呟く。

俺たち? と突っ込む月島軍曹。

ゴールデンカムイ最新第142話在留ロシア人の村の感想(ネタバレ含む)と考察。樺太...
第142話 在留ロシア人の村第141話のあらすじヒグマの背中を襲っていた小型の動物、クズリが杉元達の前に立ちはだかる。その外見から油断している鯉登少尉の背後に素早く回り込み、牙を突き立てるクズリ。月島軍曹はクズリを蹴り上げて銃撃するが木の幹に当たる。ク...

142話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。


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第143話

スチェンカに賭けの要素を持ち込んだのは日本人

月島軍曹は、密室での男同士の殴り合いスチェンカが生まれた経緯をロシア人から聞き出す。

元々はロシアでの村対抗での祭りの余興だったものが、ある男がやってきて賭けの対象に変えたのだという。

その男が、刺青人皮の脱獄囚らしき日本人だ、と薄ら禿のロシア人の言葉を通訳する月島軍曹。

ゴールデンカムイ143話 月島軍曹

建物内を見回しながら、日本人の客も結構いる、と呟く鯉登少尉。

月島軍曹は、大泊、豊原からも金持ちが賭けに来るとロシア人の説明を翻訳する。

「例の囚人はいまこのなかにいるのか?」
殴り合いから視線を外す事無く、杉元が薄ら禿のロシア人に訊ねる。

月島軍曹が杉元の質問を翻訳すると、薄ら禿は首を左右に振る。

「彼は強い男としか戦わない」

「興味のある相手がいないとスチェンカに出ない日もある…だそうだ」

「スチェンカに勝ってそいつを舞台に引っ張り出すしか無いってことか」
杉元は冷静に呟く。
そして、上半身裸で殴り合うため、そこにおびき出せば刺青人皮を確認できると杉元が続ける。

キロランケたちは諦めて先に進んだのだろうか、と鯉登少尉。

仲間と合流して戻ってくるつもりかも…、と谷垣。

スチェンカを賭けの対象にしてしまったその囚人はわざわざ樺太くんだりまで流れて来て殴り合っている野郎だ、と杉元が呟く。
二瓶鉄造、辺見和雄のように金塊に興味が無いであろうこの囚人は、逃がせば面倒だと続ける。

「とにかく俺たちがスチェンカで勝つからすぐに犬は返さんと頭の毛を全部毟ると伝えろ月島軍曹」
杉元は薄ら禿を指さす。


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簡単に挑発に乗る日本軍人

「なんで『俺たち』なんだ?」
月島軍曹が杉元に質問する。

「出るのは杉元だけで充分じゃないか」
鯉登少尉も続く。

「そもそもお前が殴ったのが悪いんだぞ」
谷垣も鯉登少尉と同じトーンで杉元を責める。

「あ? 連帯責任だろ」
悪びれずに返す杉元。

「(戦うのはその男だけだ)」
薄ら禿が杉元を見る。
「(その男が強いのは知っている)」

「『ひとり抜けた穴を埋めればいい』と言ってるぞ」
3人のロシア人スチェンカ要因をバックに月島が翻訳する。

薄ら禿がやれやれ、といった風に薄ら笑いを浮かべながら首を左右に振る。

「『お前ら日本人だけではロシア人には勝てない』…だと?」
月島軍曹は翻訳しながら、ピク、と反応する。

「この薄らハゲ…」
顔に血管を浮き上がらせる鯉登少尉。

ゴールデンカムイ143話 谷垣と鯉登少尉

「もう日露戦争を忘れたか」
谷垣も鯉登少尉同様に表情に血管を走らせる。


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初スチェンカ前の熱気

颯爽と舞台に上がる杉元たち。
上半身裸で、手にはバンテージを巻いている。

ゴールデンカムイ143話 月島軍曹と鯉登少尉

「やっちまえ日本の兵隊さん!!」

「(殺せッ)」

場内には日本語とロシア語の歓声、あるいは罵声が飛び交う。

舞台で4人の横一列に並び立つロシア人と、やはり並んで対峙する杉元、谷垣、鯉登少尉、月島軍曹。

「(お前小さいな 子供は帰って寝ろ)」
月島軍曹の目の間にいるロシア人が月島軍曹を見下ろしながら吐き捨てる。

「……」
月島軍曹は顔に血管を走らせつつも何も言い返す事無く、静かに拳を揉む。

ゴールデンカムイ143話 月島軍曹

――スチェンカ初戦への意気込みは?

突如始まる試合前インタビュー。

「こいつは戦争だ」
杉元が答える。

「私ひとりで四人倒してやってもいい」
静かな自信を纏う鯉戸少尉。

「ロシア人は強い…骨格からして違う」
月島軍曹も淡々と答える。
「だが気合じゃ負けない」

「時は来た」
谷垣が短く答える。
「それだけだ!!」

ゴールデンカムイ143話 谷垣


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日本軍人VSロシア人スチェンカ開始

「(用意!)」

「(殴れッ!)」

開始の合図がかかる。

日本軍人、ロシア人、共にファイティングポーズをとってにじり寄る。

鯉戸少尉が猛然と右ストレートを突き出す。

モロに食らうロシア人。

杉元は口を固く結んだまま目の前の相手を左右のフック気味のパンチでタコ殴りにする。

ゴールデンカムイ143話 杉元

右ストレートをモロに顔の中心に食らう谷垣。
しかし一切動じずに相手を睨み、鼻血を、ブッ、と吹き出してから右の打ち下ろしパンチを相手の脳天に見舞う。

月島軍曹は相手のパンチを最小限の動きで横にかわしながら踏み込んで痛烈な左ボディを打ち込む。

「うおおおッ 強いぞ!!」

「日本の兵隊さん強いッ」

盛り上がる場内。

その一番後方、壁にもたれて腕組みをしている一人の体格のガッチリした男。
カイゼル髭を蓄えたその坊主頭の男は目を輝かせながら試合を見つめている。

打撃アーティスト

――あなたにとってスチェンカとは?

再び始まる坊主頭の男に対するインタビュー。

坊主頭の男は、自己表現です、と答える。

ゴールデンカムイ143話 囚人

あらゆる自己表現の手段、絵、歌、文章、踊りなどと同じ、と拳を握って見せる。

「私はこいつで誰でもぶん殴るのです」

小さい頃から自分を知ってもらう唯一の方法として選んだのが暴力だった、と答える坊主頭。

「でも…嫌われちゃいましたね」
たは…と頭を触りながら苦笑する坊主頭。
「そんな私を世間は許しませんでした」

「人生のほとんどを監獄で過ごしました」

「でも私には監獄は居心地が良かった」
監獄内で縛られて正座している坊主頭。
顔はボコボコになって囚人服にはしとどに血がこびりついている。
「監獄には暴力が溢れ私が看守を殴るとみんな喜んだ」

「それに素晴らしい出会いもあった」

「素手で私を止められるのは牛山さんだけでした」
坊主頭が牛山に抑え込まれている。
牛山の顔は殴られた跡がある。
「柔道は掴まれたら勝てません」
その傍らには鼻血を出して昏倒している門倉が転がっている。

「ご褒美に何か女性でもあてがってもらえたのかな?」

坊主頭が暴れる度、網走監獄の典獄である犬童は牛山を呼んだのだと続ける坊主頭。

「私も彼と戦えるので嬉しかった」

「殴り合いだけなら牛山さんに勝った時もあります」

「歓声は…自分が肯定される瞬間なのです」
監獄の廊下で両手を掲げてガッツポーズをする坊主頭。
その足元には倒した相手が転がっている。


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決着。そして次の相手は……。

月島軍曹に左ボディを入れられたロシア人が床に両膝をつく。
そして月島軍曹は今度は右フックを顔面にお見舞いする。
ロシア人の顔が、殴られた方向に跳ねる。

「(舐めるなよ!)」
ロシア人見下ろす月島軍曹。
倒れたロシア人に手を差し伸べる。

「おおおおお」

「すげえッ 勝ったぞ日本軍ッ」

日本軍人チームの勝利に観客の日本人が大いに盛り上がる。

杉元が壁際で自分たちを見ている視線に気付く。

「善き哉」
杉元たちを見つめて、にっこりと笑う坊主頭。

感想

新登場の囚人

やはり今度も変態だった。

でもこれまで登場した囚人の中では変態レベルは低いと思う。

ただそれはあくまで、これまでの囚人と比べて、であり変態には変わりない。

「小さい頃から私という男を知ってもらう唯一の方法として選んだのが暴力だった」

淡々とヤベー事言ってるし。

時に牛山に殴り勝つほどのバトルマニアが今度の杉元達の相手になるわけだ。

当時、日本においてボクシングが盛んだったら天職だったろうに。

ちょっと調べてみたけど、日本で近代ボクシングが流行り始めるのは1920年代かららしいから日露戦争からそれほど経っていない作中においてはおそらくはまだまだマイナーなスポーツなんだな。

この囚人に関しては命のやり取りにはならないっぽい。
スチェンカで勝利した杉元が刺青人皮の写しを得て終わり、という感じがする。

何か憎めないから杉元達が去った後もスチェンカをやり続けて欲しい気がしてる。


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月島軍曹株が上がってる

最近、自分の中で月島軍曹の株が上昇してきている。

元々変態ぞろいのゴールデンカムイ作中において、月島軍曹は唯一まともと言っても良い人間であり(笑)まともなツッコミ役だった。
第七師団では鶴見中尉に大いに頼りにされて、結果振り回される。
最近では鯉戸少尉に手を焼くという、第七師団での保護者役っぷりに拍車がかかっている。

しかし自分は、月島軍曹の初登場時は割と早く退場するのではないかな、と思っていたのを告白しなくてはならない。
なんという見る目の無さ……。

今読み返すと、割と初登場時から軍人としてのその強さを随所で地味に発揮しており、他の変態によって目立たなかったけど実力者としての存在をアピールし続けていた。

そして今回、樺太編では月島軍曹のオールマイティーな活躍がさらに目立ってきている。

ロシア人との会話の橋渡しや、鯉登少尉のお世話(笑)、そして今回の、日本軍人の中でも頭一つ小さいながらも堂々としたロシア人との戦いぶり。

勝敗がついた後は手を差し伸べる紳士っぷり。

弱点が無い安定したキャラであることが、変態揃いのゴールデンカムイ作中での個性になっていて面白い。

今後も暴走する杉元たちを制御する役をお願いしたい(笑)。

読み落としてないとすれば、確か月島軍曹の下の名前ってまだ出てなかったはず。

多分、その内出るだろうから、その時を楽しみにしていたりする。


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「時は来た それだけだ!!」

今回一番吹いたシーン。

やはりオチ要員として重宝されてるなあ。

別に谷垣じゃなくてもオチるのに、あえて谷垣を偏重する傾向が大好き(笑)。

谷垣のインタビューに関しては猪木&坂口VS橋本&蝶野戦前のインタビューにおけるこの橋本真也選手のセリフが元ネタ。
プロレスにあまり詳しくない自分でも知ってるくらいなのでこの動画自体が有名だろう。

コメントしたあと隣の蝶野選手が笑ってしまい、それを見た橋本選手に笑いが伝染。それを誤魔化すために後ろを向いてしまうというこの一連の流れがコントじみたやり取りになってて面白い。

しかし不覚だったな~。雑誌読みながら吹き出してしまった。

他のメンバーのセリフにも元ネタがあると思って調べた。

杉元の「こいつは戦争だ」で検索かけたらアーケードゲームの戦場の絆のキャッチコピーが出たけど多分、関係ないかな。
鯉登少尉のコメントも同様。

元ネタがあるのはオチ要員の谷垣だけみたい(笑)。

今回のスチェンカでの殴り合いのシーン、谷垣はタフガイのイメージそのままの戦い方で好き。

試合前に日本軍人で並び立った際に体格の違いが露わになったのが自分には新鮮だった。

やはり、谷垣の日本軍人の中では一番身長が高く、良い体格だと思う。

フィジカルの強さを感じる。
しかし谷垣は、牛山や、あとはゴールデンカムイ作中における異能生存体である杉元の、牛山に肉薄する謎の膂力には敵わない印象がある。

谷垣は、姉畑の犯行を自分の犯行だと勘違いされて危うく殺されそうになってもその相手に反撃しないような理性的な男であり、まだまだリミッターの存在を感じる。
それを外せば決して牛山や杉元に負けないとも思うんだよなぁ。

むしろインカラマッやチカパシ、あるいは仲間の為なら限界以上の力を引き出せるみたいな、さながら主人公感に溢れた良いキャラだと思う。

普段、甘さが目立つ男が怒りによって本当の強さに目覚める……。
主人公の王道じゃないですか。

いつかそんなシーンが出て来てもおかしくないと思う。

以上、ゴールデンカムイ第143話のネタバレを含む感想と考察でした。

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