第309話 血濡れ事
第308話の感想記事です。
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第309話 感想
鶴見中尉は権利書を携えて、旅順の関東都督府陸軍部守備隊のところに行くつもりらしい。
のちの関東軍か……。キレ者かつ野心家の鶴見中尉らしいチョイスだなぁと感じた。
そして、満州で再び力を蓄えると。
権利書は、関東都督府と対立する中央を脅し、都督府の権限を高めるために使うつもりらしい。
どんだけ大胆なんだよ……。
そして杉元の先制攻撃で開始した、因縁の対・尾形戦。
杉元は和泉守兼定を抜いて尾形と血みどろの格闘を演じる。
これは、どちらか死ぬまで終わらないわ……、と絶望を覚えた。
マジで最終局面なんだな……。
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しかし死闘の途中で列車の上に登ろうとする熊の爪が杉元の足に食い込み、うつぶせになったまま身動きできない杉元。
正反対に、尾形が完全に態勢を立て直してしまう。
自身の銃を取り戻し、杉元に止めを刺そうとする尾形。
しかしそこにアシリパさんが登場……!
尾形に向かって弓を引き絞る。番えた矢には、以前尾形に向けた時にはあえてつけていなかった、熊をも殺す強力な毒が載っている。
射ることが出来るわけがないと確信した様子で、尾形は杉元を銃で撃とうとする。
そしてアシリパさんは、ついにやってしまった……。
樺太の旅を経て、すでに人を殺める覚悟の下地はできていたんだろう。
でも心の準備をすることと、実際に行動に起こす事は全く違う。
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アシリパさんは尾形の右腹部に毒を乗せた矢を射込んだ。明らかな殺意を以て。
でもそれは尾形を殺すためじゃない。今にも尾形に殺されかけている杉元を救うためという動機は明らかだ。
尾形に矢を当てても、アシリパさんの表情からは、僅かな狼狽も感じられない。
その表情は、自分の大切な人を奪おうとしている人間を何としてでも撃退するという強い意思そのものと言って良いだろう。
この行動、そして表情に至るまでには、ここまで看取ってきた、見知った人たちの死が影響しているように思う。
アシリパさんが矢を射込んだ瞬間を前の前で目撃することになった杉元。
その表情からは、無垢だったアシリパさんの手を汚させてしまった後悔など、負の感情は感じられない。
それどころか、逆に極めて穏やかで、アシリパさんに対する感謝さえ感じられるのが何とも……。
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アシリパさんの行動が、杉元のことをを守るという一心からの行動ということが伝わってきているのだと思う。
杉元と一緒に地獄に落ちる。アシリパさんはその覚悟を行動で示して見せた。
アシリパさんが尾形を射った瞬間、杉元は「ついにこっち側に来ちまったか……」とでも思ったのかもしれない。
本当は人を傷つけて欲しくは無かったけど、自分のためにやってくれた。
自分のためにここまでしてくれる人間がいることへの感謝と言って良いのか……?
尾形は、まさか射られるとは思っていなかったのだろう。
自分に向かって弓を引くアシリパさんに背を向け、杉元に止めを刺そうとした。
しかしそうやって、以前のようにアシリパさんは矢を放てはしないと侮ったことが、裏目に出てしまったわけだ。
樺太の流氷の上で相対した時と、今のアシリパさんは違うということに尾形は気付けなかった。
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でも尾形からすれば、アシリパさんですら殺人を辞さないことがわかったからこそ、「スッキリした」のかなと思う。
毒を載せた矢尻を腹部から取り出そうと、杉元が手放した和泉守兼定を腹に突き立てる尾形が、まるで切腹を装って葬った父、花沢中将と同じ運命を辿っているように見えてぞくっとした。
毒矢を受けたというのも、尾形が母に食べさせたあんこう鍋に毒を盛ったことの報いなのか?
腹に埋まった毒付きの矢尻を取り出そうとしている尾形に向けて、アシリパさんは第二射を放とうとするところで終了。
二射目は、一射目よりも抵抗なく放てることだろう。
果たしてこの状況はどう決着するのか。アシリパさんが尾形を殺すことになるのか。
それとも、その前に杉元が尾形を倒すのか。いや、それなら今、杉元の動きを封じている熊はどうなる?
予想がつかない。次回が楽しみだ。
以上、ゴールデンカムイ第309話のネタバレを含む感想と考察でした。
第310話に続きます。