ゴールデンカムイの人物にはモデルがいるが、刺青人皮を持つ囚人のひとり坂本慶一郎にもモデルがいた。
その名は坂本慶次郎。
※これは坂本慶一郎
wikiにその内容があったので引用する。
坂本慶次郎(さかもと けいじろう、慶応2年(1866年)?[1] – 明治33年2月17日(1900年2月17日))は、明治時代の日本の強盗常習犯。
足が驚くほど速く、1日に48里も逃げのびたことから「稲妻小僧」「稲妻強盗」という異名を持つ。 逮捕、出獄後も犯行を重ねたため、再逮捕後に無期徒刑の判決を受けて樺戸へ押送された。 明治33年(1900年)2月17日絞首刑に処された。 警察が把握している被害件数は45件、奪った金は700円余り。 死者3人、重傷者13人。
東京都新宿区の長善寺(笹寺)(新宿区四谷4-4)に墓がある。
基本的なプロフィールはほぼ踏襲されているようで、大変な韋駄天で尚且つ健脚だったようで1日48里、つまり200キロ走るという稲妻強盗の異名もそのまま。
白鳥由栄といい、明治期のフィジカルエリートには強盗が多いのだろうか?
坂本は教養が無かったわけではないらしく、死に際には辞世の句も残している。
辞世の句は「悔ゆるとも罪の報いを逃げざれば、悪しき名をこそ後に残せり」だと伝えられている。
http://www5b.biglobe.ne.jp/madison/murder/text_japan/sakamoto.html
全くとんでもない野郎だ。
この世に悪名を残してやったぜ、ということか。
悪名は無名に勝るというが、こんなやつにその言葉を適用したくない。
間違いなくクソ野郎だ。
坂本慶次郎に関する資料を国会図書館のサイトで見つけたので冒頭を引用し、自分なりに訳してみた。
「近世探偵實話集 第一 稲妻強盗坂本慶次郎」より引用。
※句読点も改行も無く、読みづらいので飛ばしてOK。後に自分なりに現代語訳(+意訳)したものがあります。
發端
明治三十一年の春ころより東京府下を始め近縣は茨城、千葉埼玉の諸縣に渡り抜刀若くは短銃を携て強盗に押入り金品を強奪するのみか無差別に人を殺し亦は傷付ける事毎夜の如くなれば警視庁は言までもなく右三縣の警察署等に於いても警部巡査必至となりて探偵すと雖も強盗の出没自在にしてさらに縛に就ず老練の刑事等も手に足握へたる此の不適の豪賊は何処の何物たるや判然せざれと金品を奪い或いは強姦等の大罪を呼び囃され幾百万の人の心胆を寒からしめたる稀有の大賊こそ實に茨木縣新治郡の出生にして先に強盗人を傷くの罪に依り終身懲役に処せられ北海道の集治監に送られて苦役中三回まても脱監して遂に行方を暗まし居たる坂本慶次郎をふりしとはされは其筋に於ても斯くと鑑定して厳重に探偵しつつありしが二月十四日の晩埼玉懸下針ヶ谷の材木商石井萬吉方に押入りたる強盗伊藤正隆と称するものとぞ乃ち稲妻強盗坂本慶次郎たらんとの認定に依りて東京警視庁にき送せられし上掛官の尋問に依り遉が不適の豪賊も遂に逃るる術をく全く稲妻強盗坂本慶次郎に相違なき旨を自白し是れまて天網を遁れ居て限りなき悪業を逞しうしたる一伍一什を申し立て伏罪に及びたり
現代語訳
※意訳なのでその点はご了承ください。
明治三十一年の春頃から東京府(当時は都ではなく府)を始め、茨城、千葉、埼玉の近県で刀を抜いて、もしくはピストルを持って強盗に押入り、金品を強奪するだけでなく無差別に人を殺したり傷付けられたりすることが毎晩のように起こった。
このような事態に警察庁は言うまでもなく、近県の警察署も一緒に警部も巡査も皆必死になって犯人を捜すが強盗は神出鬼没で一向に掴まらず、ベテランの刑事でも手に負えない。
このとんでもない犯罪者はどこの誰か分からず、しかし金品は奪われ、或いは強姦などの大罪を犯し続ける。
そんな何百万人もの人達を恐怖の坩堝へと落した稀代の犯罪者こそ、茨城縣新治郡に産まれ、以前も強盗や傷害で終身懲役刑に処せられ、北海道の集治監に送られて、懲役中に三回も脱獄し、行方をくらませていた坂本慶次郎だろうとし、警察関係者は厳しく捜査にあたる。
そして二月十四日の晩、埼玉県針ヶ谷の材木商石井萬吉家に押入った強盗自称伊藤正隆こそ稲妻強盗の異名を持つ坂本慶次郎だと認定され捕まって東京警視庁に送られた。
自称伊藤は警察の厳しい尋問によって遂に観念し、稲妻強盗坂本慶次郎に間違いないと自白し、これまで裁かれることなく限りなき悪行を成してきたその全てを告白して罪を認めた。
こうして読んでみるとものすごい悪党だということがわかってもらえると思う。
元々強盗傷害の常習犯で、捕まって北海道の集治監に送致されるも脱獄。
そののち、東京、千葉、埼玉、茨城で刀と短銃を使って民家に強盗に押入り、金品を奪うだけでなく傷害、殺人、強姦などあらゆる凶悪犯罪のフルコースを行ったわけだ。
稲妻強盗の異名の通り、とにかく犯行から逃走スピードまでが速く、中々捕まらなかったという。
恐ろしい犯罪者がいたもんだ。
犠牲者の方々に黙祷を捧げる。
そして、野田サトル先生は良くもまぁこんな人物を発掘してモデルにしたよなぁ。正直こんな人物がいたなんてショッキングだわ。
ただ、そのおかげで物語に厚みが出て来るんだよなぁ。
不謹慎だが、今後どんな人物が出てくるか楽しみでもある。
坂本の稲妻強盗っぷりがされている回↓
坂本慶一郎登場回