尾形百之助はゴールデンカムイ作中でもトップクラスに
クールでかっこいい男だろう。
初登場時のキチッとした軍帽に軍服姿もかっこいいが、杉元との戦いで負った怪我から復帰した際の軍帽を脱いでオールバックをあらわにし、マント(ポンチョ)を羽織り、顔に縫い傷がある、ラフで歴戦の勇士といった感のある姿もまたハードボイルドでかっこいい。
おばあちゃん子。
目次
杉元佐一の初戦の相手尾形百之助
作中、1巻で杉元の初の対人間戦を飾る相手こそこの第七師団所属尾形百之助(オガタヒャクノスケ)上等兵である(ちなみに本作初バトルはアシリパさんと共闘して倒したヒグマ)。
特に1巻に登場する尾形は、この漫画の格闘シーンは緊迫感に満ちており、作品自体も面白いんだということを読者に刷り込んでくれた。
とても優れたシーンであり、敵キャラだった。
今後、長く作中に出演し続けるキャラになりそうだ。
2018年、実際に主要キャラクターの一人として物語を多く展開させる重要な役割を演じている。
ちなみに尾形に限らず、ゴールデンカムイのキャラは戦闘中のアクションひとつひとつに妙な説得力があるように思う。
前述したが、尾形が木の幹にナイフを刺し、その上で銃身が動かないように、手で震えないように安定させて狙撃を行う様や、その後、5巻で谷垣を襲撃した際にやはり遠距離狙撃のシーンでは銃の照準がブレないように体全体をうまく使った安定の取り方を披露している。
尾形自身ごく自然に行っている事なので、これが得意なんだなということが読者に伝わる。
ここで、次に、尾形を知る上で重要な尾形初登場の流れを振り返る。
注目したいのが、銃での狙撃姿勢が木の幹に突き立てた銃剣で銃身を安定させる独特のフォームである。そうして銃の照準がブレるのを防いでいるのだ。
山猫は眠らないのトーマスベケットをモチーフにした、職人芸を感じさせる尾形の狙撃は果たして修練の賜物なのだろうか、センスか?
どちらの可能性も感じさせる職人の如き佇まいに兵(つわもの)のオーラが漂う。
その瞬間に尾形を生け捕りにすべく陰から飛び出す杉元。しかし尾形は一切慌てず杉元の懐に飛び込み、杉元が腰に下げている銃剣を奪って襲い掛かる。
応戦する杉元が尾形に銃で照準を合わせるも尾形は冷静に銃のボルトを引き抜き杉元の銃は使用不可になる。ここで尾形は纏っていたマントを脱ぎ棄て銃剣を構える。
ここの尾形の初登場時の無表情はインパクトがある。
そして、銃剣の構え方もスキがない。
が、尾形は一瞬の虚をついて左手で杉元の目を突き、『この状況で「不死身の杉元」は手に負えん。片腕だけに』と無表情でギャグを捨て台詞に、折れた右腕をぶらぶらさせつつその場を走り去る。
しかし杉元は逃げる尾形の後頭部に銃をぶつけて故意ではないにせよ尾形を崖から落とすことに成功する。
右腕がバキバキに折られたのに表情一つ変えず微動だにしない尾形の態度はかっこいい。
ギャアギャア泣き叫ぶでもなくギャグすら残す余裕を見せる。
この男っぷりに、私はこの漫画の敵の強さ=この漫画は面白くなることを予感した。
印象に残るキャラではあったが、結構な重症から割と早い5巻目で復帰。
以来、物語を進める上で重要な一人としてコンスタントに活躍している。
連載漫画作品において1巻というのは最も発行され、最も多くが世に出回る。
最も広報能力のある1巻にインパクトのある出演が出来たことを
尾形ファンの読者は喜んだ方がいいだろう。
スポンサードリンク
尾形百之助の得意技「遠距離狙撃」
遠距離狙撃を得意とする尾形は三十年式歩兵銃でなんと300m以内は狙撃が可能。
普通の兵士は同じ銃を使ってもせいぜい100mが狙撃の限界で、頭に当てない限りは致命傷に至らない。
日本軍の愛用している三十年式歩兵銃は口径が小さめで他国軍の銃に比べて威力に劣っているのだが、その代わり、より射程と命中率に優れており、尾形のように頭を打ちぬく自信があるなら遠距離を狙うことが出来るメリットがある。
精密な狙撃技術を持つ尾形にとってもってこいのパートナーであるといえる。
遠距離狙撃の戦術的有効性を知っていた尾形はアメリカ独立戦争においてその旨を上官に伝えていたが、きちんと聞き入れられることなかった。
結果、狙撃部隊を持たない日本軍は日露戦争の激戦地で堡塁から乱射されるマキシム機関銃に苦しめられる。
尾形のような遠距離狙撃技術に優れた兵士がいれば人的被害はもっと抑えられたはずと尾形は静かに述懐する。
その前から匂わせてはいたが、このシーンで頭もキレることが分かってしまった。
1巻で木に刺した銃剣で銃身の安定を図るのはかっこよかったが、
5巻では立てた左膝に左ひじをのせ、固定された左手で、銃を持つ右の手首をつかみ、安定した狙撃を行う様もまた、とてもかっこいい。
8巻でも、トロッコの進行方向を変えるレバーを、まるで出来て当然とばかりに堂々と銃弾を発射して、見事命中させて見事にトロッコの進路を切り替えてしまう。
スナイパーはクールなヤツが似合う。
スポンサードリンク
尾形百之助は山猫に似ている?
ビジュアルがどことなく似ていると言えば似ている。
ネット上で何故かひそかに尾形が山猫と呼ばれている。
なんでも、自衛隊の対馬警備隊は別名を山猫部隊というのだそうで、それにちなんだ通り名だそうだ。
尾形百之助祭り(?)に活かさない手はないだろう。
尾形百之助のモデルは映画「山猫は眠らない」の「トーマス=ベケット」、及びそのモデルの実在のスナイパー「カルロス=ハスコック」。
山猫はトーマス=ベケットのあだ名でもある。
きちんとしたモデルがあって、また、それに気づく人がいて感心してしまう。
尾形百之助のドヤ顔の破壊力w
第83話でヤマシギを3羽仕留めた尾形のドヤ顔。
鼻から「ふんす」と言わんばかりに、ジェット気流の如く鼻息を出しふんぞり返る。
普段とのギャップで面白い。
あと、
「谷垣狩りだぜ」(5巻)
ここらへんも一番のドヤ顔に若干近いキメ顔だと思う。
尾形百之助にモデルはいるのか?
残念ながら現状、探すことが出来ていない。
日本の明治~昭和初期くらいにかけて優れた狙撃手がいるならその人物が参考になっているのかもしれないと思ったのだが……。
海外だとフィンランドのシモ=ヘイヘや映画スターリングラードの主人公になった旧ソビエトのヴァシリ=ザイツェフなど伝説級のスナイパーは存在するのだが、日本だとちょっとわからない。
分かったら追記する予定。
「山猫は眠らない」という映画シリーズの主人公「トーマス=ベケット」、そしてそのモデルであり、実在の海兵スナイパーである「カルロス=ハスコック」が尾形百之助のモデルになるようだ。
「山猫は眠らない」の1シーン。この独特の狙撃体勢。まさに尾形百之助のモデル。
尾形百之助が山猫と称されているところといい、間違いないだろう。
カルロス=ハスコックは「ホワイトフェザー」と呼ばれ、ベトナム戦争において93名の戦果を上げた伝説のスナイパー。
面構えが戦う男って感じがして良い。
まぁ、こんな狙撃の鬼みたいな兵隊と戦って、結局引き分けに等しい結果に持って行ったベトナムもすごいと思ってしまう……。
スポンサードリンク
尾形百之助のゴールデンカムイ作中における強さのランクは?
総合戦闘評価:80/100
格闘:65/100
射撃:95/100
杉元佐一の総合戦闘評価を85としたのでそれよりも少し下になる。
とはいえ、この数字も曖昧なもので、距離をとって遮蔽物が無い環境であれば尾形は無敵になるので、あくまで勝手な判断ではあるが、格闘と射撃に分けた評価を併記した。
狙撃兵の恐ろしさを凝縮したようなキャラでありながら、1巻でいきなり杉元と激闘を繰り広げたように接近戦もきっちりとこなす。
杉元と同様に基本値が高いキャラだと言える。
1巻の杉元対尾形戦や5巻の谷垣対尾形戦においては尾形は手強く恐ろしい敵役だったが、杉元らと行動を共にすると頼りになるキャラへと変貌を遂げる。
鈴川聖弘をはじめとした脱獄囚たちによって支配されたコタンで、村長を演じていた鈴川を冷静に、最初から懐疑の目で見ていたのはアシリパを除けば尾形だけだった。
第七師団に捕まった白石を奪還する際にも尾形はきっちりと自分の仕事をこなしていた。
尾形のバックアップ無しには杉元は死んでいたかもしれなかった。
今後の活躍が期待できる注目キャラだと思う。
スポンサードリンク
ネタバレ事項
父と母 ~ あんこう鍋にまつわる記憶
103話、アシリパから好物を問われた尾形はあんこう鍋を思い出す。
尾形の父は陸軍中佐の花沢中将、そして母は、花沢中将の妾となった浅草の芸者。
花沢中将に本妻との間に男児が生まれて以来、尾形の母の元に花沢中将は姿を見せなくなり、尾形と母は祖母によって実家の茨城に連れ戻される事になる。
あんこうの獲れる冬、母が毎日あんこう鍋を作るのは、花沢中将が美味しいと言って食べたからであり、また食べに来てくれることを信じてのことだと知っていた、聡明な尾形少年。
祖父の猟銃を持ち出し、撃った鶏を母に渡そうとするが、頭のおかしくなっていた母はそれでもあんこう鍋を作り続ける。
そんな母に対し、尾形は祖父母の留守を狙って殺鼠剤をあんこう鍋に盛り殺害する。
その理由は『花沢中将の心に少しでも母に対する愛情が残っていれば母の葬儀にやって来るから、母は最期に愛した人に会える』というもの。
冷静に殺鼠剤を使い、亡くなった母に祖父母が駆け寄っても何食わぬ顔、そして上記の理由とサイコパス丸出しの尾形は、第七師団入隊後、花沢中将の屋敷に潜入し、拘束してその腹を切る。
さらには、自分を兄と慕う花沢中将と本妻との間に生まれた花沢勇作も203高地での戦いの折にその後頭部を撃ち抜いて殺害したことを告げる。
勇作を撃った理由に関しては、彼の戦死により、それまで無視され続けてきた自分を父が愛おしく想うようになるかどうか、自分にも勇作の様に祝福された道があったのかを確かめる為という哀しいものだった(後者の理由は単行本11巻に追加されたセリフから)。
それに、尾形に腹を切られて弱り行く花沢中将は、お前は何かが欠けた人間であり出来損ないの倅だと答え、呪われろ、と尾形に対して呪詛の言葉を残して死んでいく。
そして、尾形は事切れた花沢中将の拘束を解き、まるで自ら割腹自殺したかのように工作して事なきを得る。
尾形のこの歪んだ人格の形成は、元々尾形自身感情の起伏が激しい子供ではなかったのと、サイコパスの素養も持ち合わせていた事もあるが、それ以上に、家庭環境の寂しさに起因しているように読める。
物心ついた時から父はおらず、父から無視され続けた母は頭をおかしくしても尚、幼い自分を放ってそんな父を求め続ける。
元々のサイコパス気質にネグレクトが重なり、何故自分は愛されないのかという疑問が尾形の内に狂気を育てた。
そして、必要なら誰に対しても躊躇なく引金を引けるスナイパ-と化した。
愛情に飢えていた哀しい男の記憶はあんこう鍋と密接に結びついている。
スポンサードリンク
網走監獄にて
尾形の裏切り。
読者は皆、この展開に驚いたと思う。
138話、教誨堂の地下から抜け出したのっぺらぼうと、彼と一緒に監獄の出口へと向かっていた杉元の二人は尾形に狙撃される。
のっぺらぼうは頭部を撃たれて即死。
杉元も、持ち前に生命力と運の良さで生き残るものの、のっぺらぼうと同様に頭部に銃弾を受ける。
リアルタイムで読んでいた時は、次の週までが長かった。
主人公である以上、死ぬことはないだろうな、と思っていたが、先が気になって仕方なかった。
杉元たちを裏切って以降、同じく裏切ったキロランケと共にアシリパを連れ去る形で樺太へと渡る(白石もアシリパに付き添う形でついていく)。
元々、尾形はその歪んだ過去や尖った言動、拗ねた態度などから、杉元たちと同行するのに違和感があったキャラではあった。
とはいえ、網走監獄に到着するまでに北海道を一緒に旅してきて杉元やアシリパたちと心を通わせる一面も垣間見え、味方キャラの一員としての魅力も高まっていた。
そこでこの裏切り。
網走監獄での描写の中で、138話までは尾形の存在感が不自然なまでに薄かった。
狙撃能力を活かしての援護ならば目立たなくて当然なのだが、それでも待機中の様子さえろくに描かれていなかった。
それは138話の衝撃的な裏切りシーンのための演出だったのだろう。
久々の登場シーンが杉元とのっぺらぼうへの狙撃。
非常に効果的な演出。
樺太編では、尾形はウイルクの故郷である樺太の大地をキロランケ、アシリパ、白石らと一緒に旅しながら、アシリパがウイルクから刷り込まれているはずの金塊に関する情報、それに関する記憶が呼び覚まされるのをじっと待っている。
コメント
何故パイパー大佐がwwww
すみません。画像が間違ってるっぽいですねこれ……。全く違う人物だw
このまま恥を晒しつつ、正しい画像も追加修正します。ありがとうございます!